スポーツの経済効果が学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、「スポーツ 経済 効果」で調べると「◯兆円」という数字ばかり出てきて、どこから読めばいいのか分からなくなります。そもそも、あの数字はどうやって出しているんですか。
佐藤メバル
いい質問だね。多くは産業連関表という、経済の連関を描いた地図を使って計算する。観客が使ったお金が飲食や宿泊に落ち、さらに仕入れ先へ波及していく。その一次・二次の波及を足し上げたものが経済効果だ。仕組みそのものを知りたいなら、宮本勝浩さんの 『「経済効果」ってなんだろう?』 が入口になる。身近な題材を実際に計算してみせる本で、読み口は軽い。
橘ナナミ
なるほど!じゃあ次は、オリンピックやワールドカップの本ですか。
佐藤メバル
そこは分けて考えるといい。原田宗彦さんの『スポーツイベントの経済学』は、メガイベントとホームチームが都市をどう変えるかを論じた新書で、期待が膨らむ段階の議論が整理されている。一方、小林至さんの『[新装改訂版]スポーツの経済学』は、選手経験と球団経営経験の両方から「みるスポーツ」を産業として実証しようとした本だ。期待の本と検証の本を並べると、同じ数字の見え方が変わるよ。
橘ナナミ
電子書籍で読めるかどうかも気になります。
佐藤メバル
実用情報として大事だね。『スポーツビジネス入門』は電子書籍オンリーのシリーズで、スマホでも読める。逆に『九州経済白書 2019 スポーツの成長産業化と九州経済』のような白書は地域の実態データが濃い代わりに入手が限られる。版の新旧も意識してほしい。下で軸ごとに整理していくね。
スポーツの経済効果が学べる本の選び方
目的別で選ぶ
橘ナナミ
目的別だと、どう分かれますか。
佐藤メバル
数字の作り方を理解したいなら宮本勝浩さんと、伊多波良雄さんの『スポーツの経済と政策』。ビジネス事例なら平田竹男さんの『スポーツビジネス 最強の教科書〔第2版〕』で、欧米のスポーツビジネス、日本のプロスポーツ経営、メディアと放映権、スタジアム・アリーナと、目的別に読み始める場所が示されている。地域政策なら『Jリーグスタジアム経済論』だ。スタジアム建設を無条件に勧める本ではなく、既存の陸上競技場を生かす地域、5000席から始めるクラブと、地域ごとに答えが違うという前提で書かれている。
レベル別で選ぶ
橘ナナミ
経済学は初心者です。いきなり学術書はきついですか。
佐藤メバル
里麻克彦さんの『スポーツ経済学』は、先に経済学とファイナンスの分析手法を学んでから具体的事例に入る構成で、腰を据えて学ぶ人向け。最初の一冊なら『サクッとわかるビジネス教養 野球の経済学』や、平田竹男さんの『サクッとわかる ビジネス教養 サッカーの経済学』がいい。独自のビジュアル解説が中心で、年俸の決まり方や球場使用料といった素朴な疑問に答えていく。上辺の理解で終わらせず、説明できるようになりたい人に向いている。
立場別で選ぶ
橘ナナミ
学生、自治体、経営者だと違いますか。
佐藤メバル
学生なら『マンガでよくわかる!スポーツビジネス入門』でクラブ経営の全体像をつかんでから、『スポーツビジネスを知るための基礎知識』や『スポーツビジネス論―理論と実態』へ進むと、理論と実践の橋が架かる。自治体や政策担当者は『スポーツの経済と政策』、九州経済白書、そして『エンタテインメントの経済効果と地域活性化』——推し活市場を27事例、統一基準で経済波及効果を算出し直した本だ。経営者なら小寺昇二さんの『実践スポーツビジネスマネジメント』や、ファジアーノ岡山を急成長させた木村正明さんの『スポーツチームの経営・収入獲得マニュアル』が現場の数字を持っている。
時期別で選ぶ
橘ナナミ
同じテーマでも、出た時期で性格が変わるんですね。
佐藤メバル
そこは重要だ。小林至さんの『スポーツの経済学 2020年に向けてのビジネス戦略を考える』は、勧進相撲から説き起こし、メジャーリーグと日本のプロ野球の年俸差、NFLの経営がシーズン前に黒字確定する理由まで踏み込む。大会を前にして期待が高まる時期の本だ。だからこそ、開催後の検証や批判的な視点の本とセットで読むと、数字を鵜呑みにせずに済む。
切り口別で選ぶ
橘ナナミ
マクロとミクロ、どちらから入るべきですか。
佐藤メバル
イベントの経済効果はマクロ、健康や労働はミクロだ。『経済学者が語るスポーツの力』は、非認知スキルや労働生産性の向上、介護費の減少まで、スポーツがもたらす幅広い効果を経済学で明らかにしている。イベントの派手な数字だけを見ていると、この地道な便益を見落とす。両方の棚を持つと視野が広がるよ。
形式別で選ぶ
橘ナナミ
分厚い本は、少し身構えてしまいます。
佐藤メバル
読みやすさで選ぶなら新書、構造まで踏み込むならデータ本だ。『スポーツビジネス15兆円時代の到来』は平凡社新書で、政府がスポーツの産業化を後押ししてきた実態を最前線の著者が語る。資金循環の構造から迫るなら、日本政策投資銀行の『スポーツビジネス成長論』。スポーツ産業の資金の流れを可視化する、世界でも類を見ない分析をやっている。
スポーツの経済効果が学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
スポーツの経済効果が学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

「経済効果」ってなんだろう?
宮本勝浩 著|中央経済社
「経済効果」はニュースで毎日のように流れてくるけれど、その計算の中身を説明できる人は少ない。本書は、マスコミで時折取り上げられる経済効果を、こんなものやあんなもの、この人やあの人の分まで実際に計算してみせた一冊だ。数字がどこから出てくるのかを楽しく読みながら追える構成で、読み終えるころには経済効果の考え方が自然に身につく。スポーツイベントの経済効果を語る本の前に置きたい土台。
こんな人におすすめ
ニュースで流れる経済効果の数字を鵜呑みにしたくない人、スポーツイベントの経済効果を語る前に基礎を固めたい学生や自治体職員、数字の作られ方を知りたい人。読み口が軽いので通勤や休憩時間にも向く。
良い点
- 計算の考え方を具体的に追える
- 身近な題材で読みやすい
- 経済効果の入門として最適
気になる点
- スポーツ専門の内容ではない
- データは執筆時点のもの
- 厳密な理論より読みやすさ重視
出版社
中央経済社
発売日
2012年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「経済効果」ってニュースでよく聞きますけど、どうやって計算しているのかは全然知らないんです。それ気になります!
佐藤メバル
いい質問だね。この本は、その「よく聞くけど中身は知らない」数字を、著者が実際に計算して見せてくれる。
マスコミが取り上げる経済効果を、こんなものやあんなもの、この人やあの人の分まで試算してみた構成なんだ。
数字がどこから出てくるのかを自分の目で追えるのが価値だよ。
橘ナナミ
計算の過程を見せるって、ちょっと地味な本なんですか?
佐藤メバル
そこがむしろ面白い。スポーツ大会の効果を論じる本はたくさんあるけれど、そもそも経済効果とは何かから始める本は少ないんだ。
この一冊を先に置いておくと、後のイベント本に出てくる数字をぐっと冷静に読めるようになる。土台づくりの本だね。

スポ-ツイベントの経済学: メガイベントとホ-ムチ-ムが都市を変える (平凡社新書 145)
原田宗彦 著|平凡社
メガイベントとホームチーム、この二つを並べて「都市を変える」と捉えるのが本書の持ち味。オリンピックやワールドカップのような一過性の大会と、日常的に地域に根を張るチームとでは、効果の出方がまるで違う。一発の効果と、続いていく効果は別物だという視点が、新書サイズで手に入る。スポーツと地域の関係を初めて考える人の入り口として最適な一冊。
こんな人におすすめ
スポーツと地域の関係を初めて考える人、オリンピックやワールドカップの後に何が残るのかを知りたい人、ホームチームを持つ街の変化に関心がある人。新書なので通勤の合間にも読める。
良い点
- 大会と日常のチームを分けて論じる
- 新書で読み切りやすい
- 地域とスポーツの入り口になる
気になる点
- 個別事例の詳細は限られる
- 理論より事例の整理が中心
- データは執筆時点のもの
出版社
平凡社
発売日
2002年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
副題の「メガイベントとホームチームが都市を変える」が気になります。イベントと普段のチーム、両方なんですね。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の勘所。オリンピックやワールドカップのような一過性のメガイベントと、日常的に地域に根を張るホームチームを並べて論じている。
一発の効果と、続いていく効果は別物だという視点が、新書サイズで手に入るんだ。
橘ナナミ
新書なら、電車の中でさっと読めそうですか?
佐藤メバル
通勤の合間でも読める分量だね。ただ新書ゆえに、個別の事例を細かく追う本ではない。統計や理論を腰を据えて学びたい人は、分厚いテキストと組み合わせるといい。
まず全体の地図がほしい人にとっては、ちょうどいい入り口になるよ。
![[新装改訂版]スポーツの経済学](https://img.shelf-y.com/items/18881.jpg)
[新装改訂版]スポーツの経済学
小林至 著|PHP研究所
¥3,410(税込)
2015年刊行の同名書に、その後の動きを踏まえた新たな知見を加えた新装改訂版。ラグビーワールドカップ、東京五輪、ワールドマスターズゲームズと大規模イベントが続き、スポーツ庁の発足や大学スポーツ協会の設立もあって、日本のスポーツ産業に成長の足がかりが生まれた時期を背景にしている。選手経験・球団経営・留学・現地視察という多彩な視点から成功法則を考える。
こんな人におすすめ
スポーツ産業を本気で追う人、選手と経営の両方の視点を知りたい人、プロ野球に関わる仕事を目指す学生。価格と厚さを踏まえ、座右の書として長く手元に置きたい人に向く。
良い点
- 選手経験と経営経験の両方が効く
- 政策や制度の動きまで追える
- ラグビーW杯後の知見を追加
気になる点
- 304ページで読み応えが重い
- 価格が高め
- 刊行当時のイベント前提の記述
出版社
PHP研究所
発売日
2019年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「新装改訂版」とついていますけど、元の本と何が変わったんですか?
佐藤メバル
2015年に出た同名書に、その後の動きを踏まえた新たな知見を加えた版だね。ラグビーワールドカップ、東京五輪、ワールドマスターズゲームズと大規模イベントが続いた時期で、スポーツ庁の発足や大学スポーツ協会の設立といった環境の変化も背景にある。
選手経験と球団経営の両方を持つ著者ならではの視点が効いているよ。
橘ナナミ
東大出身のプロ野球選手だった方ですよね。その経歴だけで読みたくなります。
佐藤メバル
選手として、経営側として、留学や現地視察まで経験しているから、現場の実感と制度論がつながるんだ。ページ数も価格もそれなりの覚悟がいるから、スポーツ産業を本気で追う人の座右の書という位置づけだね。

スポーツ経済学
里麻克彦 著|北海道大学出版会
¥2,640(税込)
スポーツ系社会科学の授業では、経営学・マーケティング・ファイナンス・リスク管理・法務・会計学・経済学と守備範囲が広い。本書はそのなかで、まず経済学の分析手法を学び、そのうえで具体的事例で理解するという順番をとる。スポーツマネジメントに必要な経済学とファイナンスを、遠回りせず身につけたい人に向けた、北海道大学出版会の堅実なテキスト。
こんな人におすすめ
大学でスポーツマネジメントを学ぶ学生、経済学とファイナンスの土台を先に固めたい人、理論から入って事例を解釈するタイプの人。講義の副読本としても使いやすい一冊。
良い点
- 経済学の型から順に学べる
- ファイナンスまで範囲に入る
- 大学の講義に沿った構成
気になる点
- 読み物としては渋い
- 数式や理論が中心
- 学術書で価格はやや高め
出版社
北海道大学出版会
発売日
2011年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルがずばり『スポーツ経済学』。これって大学の教科書ですか?
佐藤メバル
大学の講義で使われるタイプの本だね。特徴は順番で、先に経済学の分析手法を学んでから、具体的事例で理解する流れになっている。
スポーツマネジメントには経営学やマーケティング、ファイナンス、法務、会計まで含まれるけれど、そのうち経済学とファイナンスの土台を固めるのが狙いだよ。
橘ナナミ
事例から入る本のほうが読みやすそうだな、って思っていました。
佐藤メバル
たしかに事例先行のほうが親しみはある。でも理論の型を持っていると、事例に出てくる数字を自分で解釈できるようになるんだ。
北海道大学出版会の学術書らしく堅実で、読み物としては渋いけれど、長く使える一冊だよ。

スポーツの経済と政策
伊多波良雄 著|晃洋書房
¥3,300(税込)
スポーツを市場に任せるだけでいいのか、公共はどこまで関わるのか。本書は経済の仕組みと政策の設計を並べて扱う研究書で、お金の流れと制度をセットで見る視点を提供する。イベントの収支ではなく制度の側からスポーツを考えたい人に向く。学術書だけに取っつきはよくないが、自治体や政策の実務に引き寄せて読むと、ぐっと効いてくる。
こんな人におすすめ
スポーツ政策や公共投資を自分の仕事として考える自治体職員、制度の側からスポーツを捉えたい研究者、経済と政策をセットで学びたい大学院生。読みやすい入門を一冊挟んでから挑みたい。
良い点
- 経済と政策をまとめて扱う
- 公共の関わり方を考えられる
- 制度設計の視点が得られる
気になる点
- 学術書で取っつきにくい
- 価格は高め
- 実務ノウハウ本ではない
出版社
晃洋書房
発売日
2011年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『スポーツの経済と政策』って、政策のほうが主題なんですか?
佐藤メバル
タイトルどおり、経済の仕組みと政策の設計を並べて扱う研究書だね。スポーツを市場に任せるだけでいいのか、公共がどう関わるのかという問いを、制度の側から考えていく。
お金の流れと制度設計をセットで見る視点は、自治体や政策に関わる人には刺さるよ。
橘ナナミ
逆に、ただ観戦が好きなだけの私には難しいですか?
佐藤メバル
そこは正直に言うと、学術書なので取っつきはよくない。価格も含めて、スポーツ政策や公共投資を自分の仕事に引き寄せて考えたい人向けだね。
まず読みやすい入門を一冊挟んでから戻ってくると、驚くほど分かるようになるよ。

スポーツの経済学 2020年に向けてのビジネス戦略を考える
小林至 著|PHP研究所
見物料を取って競技を見せるスポーツ興行の始まりが、江戸時代の勧進相撲だったという指摘から始まる。日本人にはスポーツをビジネスにする先見の明があったのに、今は欧米に大きく後れを取っている。メジャーリーグの平均年俸と日本のプロ野球の差、アメフトの全球団が黒字を確定させる仕組みなど、差がどこから生まれるのかを構造から解き明かしていく。
こんな人におすすめ
スポーツビジネスの歴史と構造を押さえたい人、日米の年俸やリーグ経営の差に関心がある人、プロ野球の経営を学ぶ学生。著者の新装改訂版と並べて読むと、考えの変化も追える。
良い点
- 勧進相撲から説き起こす歴史観
- 日米比較の数字が具体的
- ビジネスノウハウとして読める
気になる点
- 新装改訂版の元になった版
- データは執筆時点のもの
- 「2020年に向けて」の前提がある
出版社
PHP研究所
発売日
2015年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
副題に「2020年に向けて」とありますが、今読んでも意味がありますか?
佐藤メバル
面白いのは歴史の部分だね。見物料を取って競技を見せるスポーツ興行の始まりが、江戸時代の勧進相撲だったと指摘している。
日本人にはスポーツをビジネスにする先見の明があったのに、今は欧米に後れを取っている。メジャーリーグと日本のプロ野球の年俸の差など、数字で突きつけられるよ。
橘ナナミ
アメリカのアメフトは全球団の黒字が確定している、という話も気になります。
佐藤メバル
そう、なぜそうなるのかを構造から説明してくれる。なお、この本は先に紹介した新装改訂版の元になった本だから、両方並べると著者の考えの変化も追えるんだ。
今読むなら、歴史と構造の教科書として手元に置くといい。

経済学者が語るスポーツの力
佐々木勝 著|有斐閣
¥2,310(税込)
スポーツで得られる効果は、健康の維持・増進だけではない。非認知スキルや労働生産性の向上、介護費の減少まで、私たちに幅広い効果をもたらすとともに、選手の活躍は人々に感動を与え、社会に大きなベネフィットをもたらす。その効果を経済学で明らかにした一冊で、元陸上選手の為末大さんも推薦。各紙の書評でも取り上げられている。
こんな人におすすめ
スポーツの価値を予算や政策の言葉で説明したい人、健康以外の効果に関心がある研究者や実務者、スポーツと社会の関係を数字で考えたい大学生。
良い点
- 健康以外の効果まで射程に入る
- 経済学の裏付けがある
- 書評や推薦で話題になった
気になる点
- イベントの経済効果の話ではない
- 学術的な記述が中心
- 数字を追う読み方が必要
出版社
有斐閣
発売日
2021年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
スポーツの効果って、健康にいい、くらいしか思いつきませんでした。
佐藤メバル
そこを経済学で掘るのがこの本。健康の維持増進だけでなく、非認知スキルや労働生産性の向上、介護費の減少まで、効果を幅広く捉えている。
スポーツが人生に何をもたらすかを経済学で整理したと、元陸上選手の為末大さんも推薦している。各紙の書評でも取り上げられた一冊だよ。
橘ナナミ
経済効果というと、大会が開かれて儲かる話かと思っていました。
佐藤メバル
そこが決定的な違いなんだ。これはイベントの収支ではなく、スポーツをする人・見る人が長い目で受け取る便益の話だね。
数字の裏付けがあるから、スポーツ予算を説明する立場の人にも説得力になる。順位づけより、この視点の違いを押さえてほしい。

サクッとわかるビジネス教養 野球の経済学
小林至 著|新星出版社
¥1,292(税込)
プロ野球では多くのお金が動くけれど、親会社との関係も複雑で全貌は見えにくい。本書は「子どもをプロ野球選手にするにはいくらかかるのか」「選手の年俸はどう決めるのか」「球場の使用料はいくらくらいか」といった素朴な疑問に答えながら、日本とメジャーリーグのお金の情報を独自のビジュアル解説で整理する。上辺だけでなく説明できる理解を目指せる。
こんな人におすすめ
野球のビジネス面を手軽に知りたい人、野球談義でお金の話もできるようになりたいファン、文字中心の本が苦手な学生。プロ野球の裏側に興味を持つ社会人にも向く。
良い点
- ビジュアル中心で読みやすい
- 素朴な疑問から入れる
- 日米のお金の違いがわかる
気になる点
- 入門ゆえ深掘りは限定的
- 野球にテーマが限定される
- 図中心で物足りない人もいる
出版社
新星出版社
発売日
2022年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『サクッとわかる』って付いていると、つい手に取っちゃいます。ビジュアル中心なんですか?
佐藤メバル
そう、独自のビジュアル解説が中心で、文字だけのテキストが苦手な人でも入りやすい。中身は「子どもをプロ野球選手にするにはいくらかかるのか」「選手の年俸はどう決めるのか」「球場の使用料はいくらくらいか」といった素朴な疑問に答えていく。
プロ野球とメジャーリーグのお金の違いが会話できるレベルまで引き上がるよ。
橘ナナミ
同じ著者の方の本がいくつかありますけど、これは位置づけが違うんですか?
佐藤メバル
そうだね、こちらは入門のビジュアル版。分厚い経営論の前に、まずこの一冊で登場人物とお金の流れを頭に入れておくと、次がすっと入る。
ページ数も多くないから、一晩で読み切れる手軽さがいいところだよ。

サクッとわかる ビジネス教養 サッカーの経済学
平田竹男 著|新星出版社
¥1,650(税込)
サッカーは世界中で親しまれ、プロリーグも多く、巨大なお金が動く。本書はトップ選手の年俸やチーム経営にまつわる話題から、ワールドカップやチャンピオンズリーグで発生するお金まで、だれもが気になる経済の話をビジュアル中心で解説する。サッカーという産業の全体像を短時間でつかみ、人に説明できるようになりたい人にぴったりの一冊。
こんな人におすすめ
サッカーのお金の流れを整理したい人、移籍金や年俸のニュースを背景から理解したいファン、スポーツビジネスに興味を持ち始めた学生。ビジュアル中心で読みやすい。
良い点
- 年俸から大会収益まで幅広い
- ビジュアルで短時間に読める
- 説明できる理解を狙える
気になる点
- サッカーにテーマが限定される
- 入門レベルの内容
- ページ数は少なめ
出版社
新星出版社
発売日
2023年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
サッカーのお金の話って、移籍金のニュースくらいしか知りません。
佐藤メバル
この本は、トップ選手の年俸やチーム経営、ワールドカップやチャンピオンズリーグで発生するお金までを、ビジュアル中心で解説していく。
野球版と同じシリーズの作りだから、サッカーという産業の全体像を短時間でつかめる。上辺の理解で終わらせず、人に説明できるレベルを狙ったつくりだね。
橘ナナミ
ページ数が少なめですけど、物足りなくなりませんか?
佐藤メバル
入り口としては十分で、むしろこれ以上厚いと手が出ない人も多い。物足りなくなったら、スポーツビジネスの体系的なテキストに進めばいい。
順番としては、まずこの一冊でサッカーのお金の地図を描くのがおすすめだよ。

高校野球の経済学
中島隆信 著|東洋経済新報社
高校野球は「重要無形文化財」、球児は「特別天然記念物」——著者のそんな言い切りから始まる。年間の費用、都道府県ごとの学校数と甲子園での強さ、審判になる方法、特待生が問題視される理由、高野連の姿勢、外野席が無料な理由。なぜ100年も続いてきたのかを、他のスポーツとの違いも交えながら経済学的思考法で体系的に説明する。
こんな人におすすめ
高校野球ファン、甲子園という舞台装置がどう作られてきたかを知りたい人、教育とスポーツの関係を考えたい教師や保護者。経済学の入門としても読める。
良い点
- 素朴な疑問が入り口になる
- 100年の歴史を構造で説明
- 経済学の使い方が学べる
気になる点
- 高校野球にテーマが限定される
- 制度の話が中心で硬め
- 記述は執筆時点の状況
出版社
東洋経済新報社
発売日
2016年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
高校野球を経済学で見るって、いったいどういうことなんですか?
佐藤メバル
著者は高校野球を「重要無形文化財」、球児を「特別天然記念物」とまで言い切る。男子高校生の10人に1人が野球部で、平日の昼間に視聴率20%を超える。
なぜ100年も続いてきたのかを、経済学的な思考法で体系的に説明するのが目的だと「はじめに」で宣言しているんだ。
橘ナナミ
外野席が無料なのはなぜ、とか、特待生が問題視されるのはなぜ、とか、確かに素朴に気になります。
佐藤メバル
そうした素朴な疑問が全部入り口になっている。都道府県ごとの学校数と強さの関係、審判になる方法、高野連の姿勢まで、大人たちがどう甲子園という舞台を演出してきたかを追うんだ。野球ファンなら間違いなく面白いよ。

プロ野球の経済学
橘木俊詔 著|東洋経済新報社
¥2,300(税込)
日本のプロ野球を労働経済学の観点から捉え、年俸問題、キャリア問題、選手の権利問題、球団経営を調査・分析する。メジャーリーグとの比較分析も行い、選手を労働者として見ることで見えてくる構造的な課題を浮かび上がらせる。新しい視点のプロ野球解説書でありながら、経営やビジネスの指南書としても読める構成だ。
こんな人におすすめ
プロ野球の契約や年俸の仕組みを構造から知りたい人、選手の権利をめぐる議論に関心があるファン、労働経済学を身近な題材で学びたい学生。
良い点
- 労働経済学の切り口が新鮮
- 年俸や権利を構造で説明
- 経営書としても読める
気になる点
- 分析が中心で読み物性は薄い
- データは執筆時点のもの
- メジャー比較が前提になる
出版社
東洋経済新報社
発売日
2016年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
同じプロ野球でも、この本は切り口が違うんですか?
佐藤メバル
労働経済学の観点から入るのが特徴だね。年俸問題、キャリアの問題、選手の権利、球団経営を調査・分析し、メジャーリーグとの比較も行う。
選手を労働者として見ると、日本のプロ野球の課題がくっきり浮かび上がる。経営やビジネスの指南書としても読めるつくりなんだ。
橘ナナミ
選手の権利って、移籍の自由とかそういう話ですか?
佐藤メバル
そう、契約や権利の設計が、年俸やキャリアにどう効いてくるかという話だね。感情論ではなくデータで語られるから、ファンが抱えてきたもやもやが構造の話として整理される。プロ野球の議論が一段深くなる一冊だよ。

Jリーグスタジアム経済論: スタジアムから始まる地方創生 日本サッカー産業論シリーズ (MA Publishing)
蒼色真琴 著
「スタジアムを造りたいのではありません」と著者は言い切る。試合が終われば観客は一斉に帰り、試合のない日には施設の多くが使われない。その人の集まりを商業、交通、観光、雇用、教育、健康、防災へつなげられないか。スタジアムを入口に地域の資源をつなぎ直す発想で、観客保護率や適正規模、四つの財布など具体的な論点を全18章で描く。
こんな人におすすめ
Jリーグクラブの経営やスタジアムに関わる人、地域創生とスポーツをつなぎたい自治体職員や議員、商店街・交通・観光の事業者、まちづくりに関心がある人。
良い点
- スタジアムを目的にしない視点
- 適正規模や防災まで論点が具体
- いわきFCとFC今治が原点
気になる点
- サッカーとJリーグが前提
- 自治体・地域向けの内容
- 各地域で読み替えが必要
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『Jリーグスタジアム経済論』。スタジアムを造ろうという本なんですか?
佐藤メバル
そこを著者は最初に否定する。「スタジアムを造りたいのではありません」とね。スタジアムを入口にして、地域にすでにある人、場所、産業、交通、文化をつなぎ直したいんだという。
試合の90分で終わらせないというのが全編を貫く姿勢だよ。
橘ナナミ
具体的にはどんな論点が出てくるんですか?
佐藤メバル
屋根率ではなく「観客保護率」で評価する、5000席・7000席・1万席から地域の適正規模を選ぶ、人工芝を地域利用の選択肢として検証する、防災拠点として活用する、建設・運営・修繕・承継という四つの財布を示す、といった具合だね。
原点にはいわきFCとFC今治がある。全18章の提言書だよ。

エンタテインメントの 経済効果と地域活性化 Economic Impact (MAPLE BOOKS)
江頭満正 著|MAPLE BOOKS
「推し活」市場は年間約4.1兆円。10代後半女性の約56%、20代は男女ともに50〜60%が「自分の推し」を持つ時代になった。本書はその熱量を地域の力に変えるための実践的事例集で、全27事例の経済波及効果を統一基準で新たに算出し、横断的な比較を可能にしている。建物が残らないから撤退障壁が低いという指摘もユニークだ。
こんな人におすすめ
「推し活」を地域の力に変えたい自治体職員、エンタメとツーリズムの接点を探す事業者、統一基準で比較できる事例を求める企画職。スポーツイベントの企画にも応用できる。
良い点
- 27事例を統一基準で比較できる
- 推し活市場の規模がつかめる
- 地域との協力の作り方が具体
気になる点
- スポーツは扱う領域の一部
- 事例集で理論は薄め
- 波及効果は推計値である
出版社
MAPLE BOOKS
発売日
2026年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「推し活」の市場って、そんなに大きいんですか?
佐藤メバル
本書では年間約4.1兆円と示されている。10代後半女性の約56%、20代は男女ともに50〜60%、30代でも30〜40%が「自分の推し」を持つ時代だという。
熱量をお金の流れに変える27の事例を、統一基準で経済波及効果を算出して並べているのが珍しいところだね。
橘ナナミ
スポーツの本を探していたのに、エンタメ全体の本なんですね。
佐藤メバル
そう、アイドルもアニメも含む広い枠だね。でもスポーツも当然この中に入るし、地域とどう組むかの実践ポイントはそのまま応用できる。
建物のような負の遺産が残りにくく撤退障壁が低い、という指摘はスポーツイベントを考えるうえでも効くよ。

行動経済学が勝敗を支配する 世界的アスリートも“つい”やってしまう不合理な選択
今泉拓 著|日本実業出版社
2022年サッカーワールドカップのPK戦を「損失回避バイアス」で、日本記録が更新されない男子マラソン界に風穴を開けた「概数効果」を、2009年WBC決勝の劇的タイムリーを「サンクコスト」で読み解く。世界的アスリートでも不合理な選択をするという現実が、実際のデータとグラフで見えてくる。競技場の形状やファンの声援、コートの工夫まで扱う。
こんな人におすすめ
スポーツ観戦が好きで見方を変えたい人、勝敗の裏の心理を知りたい選手や指導者、行動経済学を身近な題材で学びたい学生。
良い点
- 名場面を理論で説明してくれる
- データとグラフで理解しやすい
- 観戦の楽しみ方が増える
気になる点
- マクロな経済効果の話ではない
- 事例の解釈は著者による
- 心理学寄りの内容
出版社
日本実業出版社
発売日
2024年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
行動経済学とスポーツの組み合わせって、聞いたことがないです。
佐藤メバル
これが意外に相性がいいんだ。2022年のサッカーワールドカップのPK戦を「損失回避バイアス」で読み、日本記録が更新されない男子マラソン界に風穴を開けた「概数効果」、2009年WBC決勝の劇的なタイムリーを「サンクコスト」で説明する。
勝敗の裏側の不合理が実例で見えてくるよ。
橘ナナミ
スポーツのデータは分析に向いている、という話も面白そうですね。
佐藤メバル
映像が残っていて検証しやすい、ルールが公開されている、100年以上の記録が蓄積されている。この三つが行動経済学の教材として効くんだと著者は言う。
競技場の形状やファンの声援まで扱っていて、観戦の見方が確実に変わるよ。

九州経済白書 2019 スポーツの成長産業化と九州経済
九州経済調査協会
1967年に創刊され、52回目を迎えた九州経済白書の2019年版。テーマは「スポーツの成長産業化と九州経済」で、ラグビーワールドカップと東京オリンピック・パラリンピックを控えて関心が高まるなか、成長産業化が期待されるスポーツ産業の実態を概観する。大型イベントの後も持続可能な形でスポーツの力を地域に生かす方策まで示している。
こんな人におすすめ
九州でスポーツに関わる自治体職員や企業、大型イベント後の地域をどう設計するか考えたい人、スポーツ産業の統計を手元に置きたい研究者。
良い点
- 地域単位の実態が数字で見える
- イベント後の方策まで踏み込む
- 白書ならではの統計の厚み
気になる点
- 分析対象は九州に限定
- 2019年時点の分析
- 統計資料なので読み物性は薄い
出版社
九州経済調査協会
発売日
2019年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
九州経済白書というと、統計資料のイメージなんですけど。
佐藤メバル
白書だけれど、テーマがはっきりしている。スポーツの成長産業化と九州経済だね。ラグビーワールドカップと東京オリンピックを控えて関心が高まる時期に、スポーツ産業の実態を概観し、新たなビジネスと地域活性化の芽を探した一冊なんだ。
1967年創刊で52回目という歴史もある。
橘ナナミ
九州以外に住んでいても参考になりますか?
佐藤メバル
分析対象は九州だから、そこは割り切ってほしい。ただ、大型イベントの後も持続可能な形でスポーツの力を地域に生かす、という問いは全国共通だ。
地域単位でスポーツを考える人の参考になるよ。

スポーツビジネス 最強の教科書〔第2版〕
平田竹男 著|東洋経済新報社
¥4,400(税込)
アマチュアからプロまで、はじめて本格的に学ぶ人に向けた定番テキストの新版。欧米のスポーツビジネス、日本のプロスポーツ経営、トリプルミッションと逆台形モデル、メディアとマーケティング、スポーツメーカーとスタジアム・アリーナという五つの部で、どこから読んでもいいように入口が示されている。放映権やスポンサーシップの実際も実データで解説する。
こんな人におすすめ
スポーツビジネスを体系的に学びたい学生、現場で判断する立場にあるクラブスタッフ、スポンサーやメディアの担当者。分厚いが辞書として長く使える。
良い点
- 五つの部で体系立てられている
- 個人競技まで範囲が広い
- 実データと事例が豊富
気になる点
- ページ数が多く重い
- 価格は高め
- 教科書的な構成
出版社
東洋経済新報社
発売日
2017年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ページ数も価格も、さすがに覚悟がいりますね。
佐藤メバル
でも「一番読まれている定番テキスト」と言われるだけのことはある。五つの部で、欧米のスポーツビジネス、日本のプロスポーツ経営、トリプルミッションと逆台形モデル、メディアとマーケティング、スポーツメーカーとスタジアム・アリーナを扱う。
どの章から読んでもいいと著者自身が入口を示しているのが親切だね。
橘ナナミ
個人競技の話も入っているんですか?
佐藤メバル
テニス、卓球、ゴルフ、マラソン、フィギュアスケートまで触れているよ。放映権やスポンサーシップ、ナイキやアディダスの戦略まで実データで解説するから、まるごと一冊が辞書のように使える。はじめて本格的に学ぶ人向けの入門書だ。

スポーツビジネス15兆円時代の到来 (平凡社新書 915)
森貴信 著|平凡社
¥924(税込)
長らく競技者のものだった日本のスポーツが、人びとの暮らしに密着した新しいステージへ向かう。スポーツビジネスの最前線で活躍する著者が、人・モノ・カネの動きと予想される未来を語る。国がスポーツの産業化を強く後押ししている実態を紹介し、進学や就職・転職から共生の場の創出まで、新時代の社会のかたちが見えてくる新書だ。
こんな人におすすめ
スポーツ業界への就職や転職を考えている人、スポーツが暮らしに入り込む未来を想像したい人、異業種からの参入を検討する企業の企画担当。
良い点
- 政策の裏付けを丁寧に分析
- 就職や進学の視点がある
- 新書で価格も手頃
気になる点
- タイトルの数字は将来推計
- 全体を概観する内容
- 政策の記述は当時の前提
出版社
平凡社
発売日
2019年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルの「15兆円時代」って、もうそうなっているんですか?
佐藤メバル
そこは注意して読んでほしい。政府がスポーツの産業化を後押ししている実態を紹介し、今後どこまで伸びるかを予想する本だから、15兆円は到達点というより見取り図だね。
人・モノ・カネの動きを最前線の著者が語る。新書で手に取りやすい価格なのもありがたい。
橘ナナミ
進学や就職の話まで出てくるんですか?
佐藤メバル
そう、進学、就職・転職から共生の場の創出まで、スポーツが暮らしに密着していく姿を描く。だからスポーツ業界を目指す学生にも読みやすい。
異業種との交流や他産業の参入の話は、自分の仕事に置き換えて読めるよ。

スポーツビジネス成長論: 各国の歩みと資金循環構造の分析から日本のスポーツビジネスの成長可能性を考える (DBJ BOOKs)
株式会社日本政策投資銀行 著|ダイヤモンド・ビジネス企画
¥1,760(税込)
大谷翔平に三笘薫。スター選手はなぜいつも海外に行ってしまうのか。本書は、スポーツ産業を多様なプレイヤーが連なる一大産業として捉え、日本と欧米の資金流入の差に迫る。資金循環の実態を可視化するという世界でも類を見ない分析が核で、国内13の企業事例も収録。プロスポーツ経営に関心がある人なら必読の一冊。
こんな人におすすめ
プロスポーツ経営に関心があるファン、スポーツ産業の資金の流れを構造から知りたい金融・事業会社の担当者、スポーツ政策を考える研究者。
良い点
- 資金循環を図で可視化している
- 欧米4カ国と米国の歴史が厚い
- 国内13の企業事例を収録
気になる点
- 金融・産業構造寄りの内容
- 個別クラブの実務策ではない
- 図表が多く読み進めに根気が要る
出版社
ダイヤモンド・ビジネス企画
発売日
2025年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
大谷翔平や三笘薫の名前が挙がっていると、つい手に取ってしまいます。
佐藤メバル
でも中身はスター選手の話ではなく、なぜ彼らがいつも海外に行ってしまうのか、という構造の問題だね。金融機関が編著者で、スポーツ産業の資金循環を可視化するという、世界でも類を見ない分析をしている。
欧州4カ国と米国の歴史から丁寧に追うんだ。
橘ナナミ
資金循環って、お金がどこから入ってどこへ行くか、ということですか?
佐藤メバル
そう。日本のスポーツ産業が伸びない背景に、資金の流れの目詰まりがあるのではないかと疑い、その実態を図で示す。
国内13の企業事例の分析も入っていて、プロスポーツ経営に関心がある人には読み応えがあるよ。

スポーツチームの経営・収入獲得マニュアル 売上ゼロから10億に伸ばす具体策
木村正明 著|同文舘出版
¥2,420(税込)
立ち上げたものの消滅するチーム、売上が1億円や2億円で止まるチーム、親企業があって来場者を増やす動機が弱いチーム。黎明期のスポーツチームが直面する共通の課題を、ファジアーノ岡山を急成長させた著者が解く。売上ゼロから10億円への具体策に加え、クラブの企業価値や親企業の拠出金額の分析も公開している。
こんな人におすすめ
立ち上げ期のスポーツチームを運営する人、売上を伸ばしたいクラブのスタッフや経営者、親企業からの独立を考える団体の担当者、地域創生に関わる人。
良い点
- 実践から得た具体策が並ぶ
- 企業価値や拠出金の分析つき
- どの競技にも通じる課題を扱う
気になる点
- 題材はサッカークラブが中心
- マニュアル的で硬め
- 事例は一クラブの経験に寄る
出版社
同文舘出版
発売日
2025年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「売上ゼロから10億に伸ばす具体策」って、かなり強気な副題ですね。
佐藤メバル
著者はファジアーノ岡山を急成長させた人で、そこでの実践がベースになっている。消滅してしまうチーム、1億円や2億円で止まるチーム、親企業があるために来場者を増やす動機が弱いチーム。
黎明期の共通の壁をどう越えたかが書かれているよ。
橘ナナミ
サッカーのクラブに限った話なんでしょうか?
佐藤メバル
題材はサッカークラブだけれど、課題はどの競技でも共通だと著者は言う。日本のサッカークラブの企業価値や、親企業が拠出している金額の分析結果も公開されていて、数字で自分の状況を確認できるのが実務者にはうれしいところだね。

実践スポーツビジネスマネジメント―劇的に収益力を高めるターンアラウンドモデル (日本経済新聞出版)
小寺昇二 著|日経BP
千葉ロッテマリーンズの球団改革を手掛けた当事者による経営論。財務構造やビジネスモデル、中期経営計画の策定から、スタジアムへの入場者を増やす計画、ファンや親会社といったステークホルダーとのコミュニケーションまでを、PDCAサイクルで徹底的に分析する。現場で数字を動かした人の言葉だけに、施策の解像度が高い。
こんな人におすすめ
球団やクラブの経営に携わる人、収益力を高める施策を探しているスポーツ団体の企画担当、スポーツ経営を実例で学びたい大学院生や学生。
良い点
- 当事者ゆえの具体性がある
- 財務から集客まで網羅する
- PDCAで整理されていて実務的
気になる点
- 球団経営の視点が中心
- 事例は一球団に寄る
- 実務者向けで硬め
出版社
日経BP
発売日
2009年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
千葉ロッテマリーンズの改革をやった方の本なんですね。実際の話は強いです。
佐藤メバル
当事者による経営論だね。財務構造やビジネスモデル、中期経営計画の策定から、スタジアムへの入場者を増やす計画、ファンや親会社とのコミュニケーションまで、PDCAで徹底的に分析する。
球団経営の実務がそのままテキストになっているんだ。
橘ナナミ
スポーツビジネスを学ぶ学生にも読めますか?
佐藤メバル
読めるけれど、どちらかというと現場で数字を動かす人向けの熱量だね。理論書で枠組みを入れてから読むと、ここで語られる施策がなぜ効くのか腹に落ちる。
組み合わせ次第で使い方が広がる一冊だよ。

マンガでよくわかる!スポーツビジネス入門
中村武彦 著|東洋館出版社
¥1,432(税込)
Jリーグ発足から名門として名を馳せたクラブが、今は万年J3に甘んじている。海外で活躍する旧知の人物に再建を託す——そんな物語を軸に、チケット、スタジアムでの時間と空間、スポンサーシップの価値、強化部の役割、クラブビジョンの確立までをマンガで解説する。スポーツビジネスの論点が物語で頭に入る入門書だ。
こんな人におすすめ
スポーツビジネスに興味を持ち始めた学生、マンガから入りたい社会人、クラブのスタッフになったばかりで全体像をつかみたい人。
良い点
- 物語で論点が頭に入る
- 短時間で全体像をつかめる
- 経営者の推薦も付いている
気になる点
- マンガゆえ情報量は限られる
- サッカークラブが題材
- 上級者には物足りない
出版社
東洋館出版社
発売日
2021年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
マンガでスポーツビジネスって、本当に学べるんでしょうか?
佐藤メバル
物語の作りがしっかりしているんだ。Jリーグ発足から名門と呼ばれたクラブが万年J3に甘んじ、海外で活躍する旧知の人物に再建を託す。
チケット、スタジアムの時間と空間、スポンサーシップ、強化部、クラブビジョンと、章ごとに論点が並んでいく。
メルカリ会長で鹿島アントラーズ社長の小泉文明さんも推薦しているよ。
橘ナナミ
入門として、これ一冊で足りますか?
佐藤メバル
足りはしないけれど、最初の一冊としてはとてもいい。プロスポーツ産業に興味を持つきっかけを作る本だと著者も言っている。
ページ数も多くないから、まずここから入って、物足りなくなったら分厚いテキストへ進む流れが自然だね。

スポーツビジネス入門: スポーツビジネスの現在と未来 スポーツ・デジタルブックレットシリーズ
谷塚哲 著|みらい
オリンピックやワールドカップ、プロスポーツは今や大きなビジネスに成長し、拡大している。ではスポーツを介したビジネスにはどんな活動があるのか。本書はスポーツビジネスの基本的な領域と構造、活動を整理し、今後の展望までを7章で描く。放送権やスポーツブランド、学校部活動まで論点が広く、電子書籍で手軽に読める。
こんな人におすすめ
スポーツビジネスの全体像を短時間で眺めたい人、放送権やブランドに関心がある人、スマホやタブレットで手軽に学びたい学生や社会人。
良い点
- 7章で全体像を整理している
- 放送権やブランドまで扱う
- 電子書籍でどこでも読める
気になる点
- 電子書籍のみの提供
- ブックレットで分量は少なめ
- 入門レベルの内容
出版社
みらい
発売日
2024年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
電子書籍オンリーというのは、ちょっと珍しいですね。
佐藤メバル
スポーツ・デジタルブックレットシリーズの一冊で、スマホやタブレットで気軽に読める形になっている。スポーツビジネスの基本的な領域と構造、活動、そして今後の展望を7つの章で整理していく。
スポーツビジネス法を専門にする著者ならではの視点も入るよ。
橘ナナミ
放送権の章があるのが気になります。
佐藤メバル
そこは今のスポーツを考えるうえで避けて通れない論点だね。ほかにもスポーツブランド、スポーツクラブ、学校部活動とスポーツビジネス、新しいビジネスへの期待と、短いながら論点が広い。
まず全体をざっと眺めたい人に向いているよ。

スポーツビジネスを知るための基礎知識
浦久保和哉 著|文眞堂
¥2,799(税込)
現代のスポーツビジネスがどのように形成され、どんな構造で成立し、どの方向に動いていくのか。国際的なスポーツ大会の開催が数多く迫るなか、我が国および世界のスポーツビジネスを知るための入門編として最適な一冊。将来スポーツ関連事業に従事したいという希望を持つ人が、最初に手に取ることを想定してまとめられている。
こんな人におすすめ
将来スポーツ関連の仕事に就きたい学生、基礎から順に学びたい社会人、世界と日本のスポーツビジネスの構造を前提知識なしで押さえたい人。
良い点
- 予備知識なしで読み進められる
- 形成から今後の方向まで追える
- 構成が素直で迷わない
気になる点
- 入門書ゆえ深掘りは限界
- 価格はやや高め
- 事例の新しさは刊行時点
出版社
文眞堂
発売日
2018年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
また「入門」の本。たくさんあって、どれを選べばいいか分からなくなります。
佐藤メバル
いい質問だね。この本の立ち位置は、基礎から学びたい人向けの入門編だ。現代のスポーツビジネスがどう形成され、どんな構造で成り立ち、どの方向へ動くのかを、著者が培った知識と経験からまとめている。
国際大会が続く時代に、世界と日本の全体像をつかむための一冊なんだ。
橘ナナミ
「基礎知識」と言い切るだけあって、前提は要らないんでしょうか?
佐藤メバル
そこは安心していい。将来スポーツ関連の仕事に就きたい人が最初に読むことを想定している。ページ数も構成も素直だから、予備知識なしでも読み通せる。
ただ入門書ゆえ、個別テーマの深掘りは次の一冊に任せることになるよ。

スポーツビジネス論―理論と実態
大野貴司 著|三恵社
¥1,980(税込)
順調に拡大すると思われていたスポーツビジネスは、新型コロナウイルスによるコロナ禍で転換期を迎えた。経営実践者には脅威だけでなく機会の探索が求められ、研究者にはその経営行動を描き出し理論へ昇華する作業が求められる。7名の執筆者が理論と実態をそれぞれの見地から論じた、今までと現在、そしてこれからの一冊。
こんな人におすすめ
スポーツビジネスの研究を始めた大学院生、転換期の経営行動に関心がある実務者、複数の視点から理論と実態を学びたい人。
良い点
- 7人の専門分野を持ち寄る
- 理論と実践の両面を扱う
- 転換期の記録として読める
気になる点
- 章ごとにトーンが変わる
- コロナ禍の記述が中心
- 学術寄りの論文集
出版社
三恵社
発売日
2021年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
7人の執筆者による本って、バラバラな印象になりませんか?
佐藤メバル
そこは長所にもなる。それぞれのバックボーンやキャリア、得意分野を生かして章を担当しているから、理論の見地と実践の見地の両方からスポーツビジネスに迫れるんだ。
コロナ禍で転換期を迎えた時期に、経営実践者には機会の探索が求められると論じているよ。
橘ナナミ
コロナの話が中心だと、今読むと古くなっていませんか?
佐藤メバル
転換期の記録として読む価値はあるよ。脅威だけでなく機会を探す経営行動を、研究として描き出し理論に還元する、という問題意識は今も生きている。
学術寄りの論文集だから、実務マニュアルを探している人には向かないけれどね。

現代のスポーツビジネス: 越境する身体
久富健治 著|大学教育出版
¥2,200(税込)
スポーツとはデフォルメ化された身体活動である——この理解を起点に、社会科学の基本概念に立ち、国際化や他産業との協業といったスポーツビジネスの現代的な展開を、豊富な事例を引用しながら考察する。越境する身体という副題が示すとおり、既存の枠を超えていく動きを捉える視点が新鮮。入門書の次に読みたい一冊だ。
こんな人におすすめ
入門書を一通り読んだ学生、社会科学の概念からスポーツを捉え直したい研究者、国際化や他産業との協業に関心がある実務者。
良い点
- 身体という独自の切り口
- 国際化と協業の事例が豊富
- 薄いが密度が濃い
気になる点
- 概念や理論が中心
- 物語として読む本ではない
- 実務マニュアルではない
出版社
大学教育出版
発売日
2026年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
副題が「越境する身体」。ちょっと文学的な響きで、中身が想像できないです。
佐藤メバル
そこがこの本の出発点なんだ。スポーツとはデフォルメ化された身体活動だという理解から始めて、社会科学の基本概念に立ち、国際化や他産業との協業といった現代的な展開を、豊富な事例を引きながら考察する。
越境という切り口でスポーツビジネスを捉え直しているよ。
橘ナナミ
事例が豊富なら、読みやすいほうなんですか?
佐藤メバル
事例は理論を支えるために引かれているから、物語として読む本ではないね。ページ数は多くないけれど密度は濃い。
他の入門書で全体像をつかんだあとに読むと、視点が一段上がる。この並びの締めくくりにふさわしい一冊だよ。
「経済効果◯兆円」のカラクリと数字の限界
橘ナナミ
結局、あの大きな数字は信用していいんでしょうか。
佐藤メバル
読み方を知れば、というのが答えだ。産業連関表による計算は、開催のために本来使われたはずのお金が別の消費から引き上げられるクラウディングアウトや、便益が最終的に誰に帰着するかを自動では教えてくれない。だから数字の大きさより、誰がどう計算したかを見る。経済学者が書いた本は前提と限界を明示する。実務家の本は現場の数字が強い代わりに、著者の立場が結論ににじむ。ジャーナリストの本は論点の整理に強い。著者の専門分野で本の性格が変わることを覚えておくといい。
橘ナナミ
一次・二次波及という言葉も、そこで出てくるんですね。
佐藤メバル
そう。どこまでを「効果」に数えるかで、同じイベントが倍にも半分にも見える。費用対効果まで踏み込んでいるかどうかが、本を見分ける目安になる。
2020東京五輪・ラグビーW杯の「その後」をどう読むか
橘ナナミ
開催前の本と、開催後の本は別物ですか。
佐藤メバル
別物だと考えたほうがいい。開催前の本は期待値を前提に書かれている。小林至さんの『[新装改訂版]スポーツの経済学』は、ラグビーワールドカップに続いて東京五輪、ワールドマスターズゲームズと大規模大会が続く状況を、欧米に後れを取った日本スポーツ産業の成長の足がかりにできるかの好機として捉えている。九州経済白書も同じ時期に、開催後も持続可能な形でスポーツの力を地域に生かす方策を探っている。
橘ナナミ
じゃあ、負の側面を扱った本は。
佐藤メバル
『Jリーグスタジアム経済論』が象徴的だ。スタジアムを入口として、地域にある人・場所・産業・交通・文化をつなぎ直したいという立場で、建設を無条件に勧めない。試合がない日に使われない施設、試合後は一斉に帰る観客という現実から出発している。『エンタテインメントの経済効果と地域活性化』も、建物などの負の遺産が残りにくく撤退障壁が低いことを利点として挙げる。失敗や限界を書いた本を先に読むと、期待値の本が冷静に読める。
15兆円市場の収益構造と、その先のマーケット
橘ナナミ
プロ野球やメジャーリーグ、Bリーグの違いも知りたいです。
佐藤メバル
『プロ野球の経済学』は労働経済学の観点から、年俸問題、キャリア、選手の権利、球団経営を分析し、メジャーリーグとの比較まで行う。『サクッとわかるビジネス教養 野球の経済学』は親会社との複雑な関係を、子どもをプロ選手にするといくらかかるか、といった疑問から解きほぐしていく。バスケットボールやラグビーまで含めて経営を比較したいなら、『スポーツビジネス 最強の教科書〔第2版〕』の日本のプロスポーツ経営のパートが効率的だ。
橘ナナミ
放映権やメディアマネー、その先のベッティングやeスポーツはどうですか。
佐藤メバル
放映権は『スポーツビジネス 最強の教科書〔第2版〕』が、テレビとインターネット、オリンピックやFIFAワールドカップの放映権として扱っている。収益源の多様化という文脈なら『スポーツビジネス成長論』の資金循環の分析が近い。ただしベッティングやナイトタイムエコノミー、eスポーツを正面から論じた本は、このラインナップでは多くない。『スポーツビジネス入門』や『現代のスポーツビジネス』のように、新しい展開や他産業との協業として触れられる程度だと考えて、数字は別途当たるといい。
橘ナナミ
選手報酬の話は、高校野球ともつながりますか。
佐藤メバル
つながる。『高校野球の経済学』は、特待生がなぜ問題視されるのか、学校数が多い都道府県は甲子園でも強いのか、外野席が無料なのはなぜかまで、野球伝来からの歴史をたどって特殊構造を分析している。インセンティブの設計という意味で、プロの年俸論と並べて読むと面白い。行動経済学の側からは、『行動経済学が勝敗を支配する』がPK戦やサンクコストを例に、選手やチームの不合理な選択を扱っている。
よくある質問
スポーツの経済効果について、初心者が最初に読むべき本は?
橘ナナミ
スポーツの経済効果について、初心者が最初に読むべき本はについて教えてください。
佐藤メバル
まずは宮本勝浩さんの『「経済効果」ってなんだろう?』がおすすめです。マスコミで見かける経済効果を、身近な題材で実際に計算してみせる構成なので、数字がどう作られるのかを体感しながら学べます。計算の前提そのものを知りたいなら、伊多波良雄さんの『スポーツの経済と政策』を次の一冊にすると理解がつながります。
オリンピックやワールドカップの経済効果を学べる本は?
橘ナナミ
オリンピックやワールドカップの経済効果を学べる本はについて教えてください。
佐藤メバル
原田宗彦さんの『スポーツイベントの経済学』が、メガイベントとホームチームが都市をどう変えるかを新書サイズで整理しています。日本で大規模大会が続いた時期の状況まで含めて知りたいなら、小林至さんの『[新装改訂版]スポーツの経済学』が選手経験と球団経営経験の両方から書かれていて読み応えがあります。
スポーツビジネスを学びたい大学生・就活生向けの本は?
橘ナナミ
スポーツビジネスを学びたい大学生・就活生向けの本はについて教えてください。
佐藤メバル
『マンガでよくわかる!スポーツビジネス入門』でクラブ経営の全体像をつかみ、『スポーツビジネスを知るための基礎知識』や『スポーツビジネス論―理論と実態』で理論を足す流れが入りやすいです。体系立てて学ぶなら平田竹男さんの『スポーツビジネス 最強の教科書〔第2版〕』が定番で、欧米と日本の経営を並べて読める構成になっています。
経済効果の数字は信用できる?過大評価を解説した本はある?
橘ナナミ
経済効果の数字は信用できる?過大評価を解説した本はあるについて教えてください。
佐藤メバル
数字の大きさだけで判断せず、前提と限界まで書かれているかを確認するのが基本です。産業連関表を使った計算では、クラウディングアウトや便益の帰着先までは示されません。『スポーツの経済と政策』のように政策の費用対効果まで踏み込む本や、建設を無条件に勧めない『Jリーグスタジアム経済論』を併読すると、過大評価のカラクリが見えてきます。
スポーツと地域活性化・まちづくりを学べる本は?
橘ナナミ
スポーツと地域活性化・まちづくりを学べる本はについて教えてください。
佐藤メバル
『Jリーグスタジアム経済論』が、既存施設を地域の365日に開くという発想で、地域ごとに適正規模が違うことを丁寧に扱っています。事例とデータで比較したいなら『エンタテインメントの経済効果と地域活性化』が、27事例を統一基準で経済波及効果を算出し直していて横断比較に向きます。九州経済白書も地域実態の把握に役立ちます。
スポーツの健康効果や介護費削減を経済学で説明した本は?
橘ナナミ
スポーツの健康効果や介護費削減を経済学で説明した本はについて教えてください。
佐藤メバル
佐々木勝さんの『経済学者が語るスポーツの力』がまさにその一冊です。健康の維持・増進だけでなく、非認知スキルや労働生産性の向上、介護費の減少まで、スポーツがもたらす効果を経済学で明らかにしています。イベントの経済効果とは別の、暮らしに効く便益を知りたい人に向いています。
古い本と最新の本、どちらから読むべき?
橘ナナミ
古い本と最新の本、どちらから読むべきについて教えてください。
佐藤メバル
テーマの骨格をつかむなら新書や入門書から、データの精度を求めるなら新しい版から選ぶと失敗しにくいです。小林至さんの本は新装改訂版が出ており、続編の『スポーツの経済学 2020年に向けてのビジネス戦略を考える』と読み比べると変化が追えます。2019年から2020年に出た本は開催前の期待を含むため、開催後の視点とセットで読むのが安全です。
東京2020オリンピックの経済効果を検証した本はある?
橘ナナミ
東京2020オリンピックの経済効果を検証した本はあるについて教えてください。
佐藤メバル
東京2020を名指しで総括した一冊というより、開催前の期待と開催後の現実を突き合わせて読む形になります。小林至さんの『[新装改訂版]スポーツの経済学』がその軸を作ってくれ、九州経済白書のような開催を控えた時点の分析とセットにすると検証の視点が持てます。開催後に何が残ったかまで見たいなら、負の遺産に触れる地域系の本も併せてどうぞ。
まとめ
橘ナナミ
佐藤さん、最初は「◯兆円」の数字に圧倒されていただけだったのに、ずいぶん見方が変わりました。
佐藤メバル
数字そのものより、その数字を誰が、どの前提で、どこまで数えたか。それが読めるようになると、この分野の本は一気に面白くなる。
橘ナナミ
期待の本と検証の本をセットで読む、というのも印象的でした。
佐藤メバル
うん。そして忘れないでほしいのは、スポーツの価値はイベントの経済効果だけではないことだ。『経済学者が語るスポーツの力』が示すように、健康や非認知スキル、介護費の減少といった効果は、数字としては地味だけれど、暮らしに長く効いてくる。
橘ナナミ
マクロとミクロ、両方の棚を持つイメージですね。
佐藤メバル
そう。経済効果の◯兆円という数字は、打ち上げ花火に少し似ている。夜空を明るく照らすけれど、その光が地面のどこを照らしていたかは、消えた後でしか確かめられない。だからこそ、期待の本と検証の本を机の上に並べて、自分の目で照らし返してみてほしい。
