サッカー経営を学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今日は「サッカー経営」の本を集めるんですよね。正直、サッカーの本って戦術とか選手の話だと思ってたんですが、経営の本もそんなにあるんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。実はかなりあるんだよ。しかも、ファン向けの読み物から、財務諸表を本気で読み解く専門書まで、レイヤーがはっきり分かれている。そこがこのテーマの面白さであり、選びにくさでもある。
橘ナナミ
レイヤー……。たとえばどう違うんですか?
佐藤メバル
たとえば『弱くても稼げます シン・サッカークラブ経営論』は、地域リーグのクラブがどう稼ぐかを経営学者との対話で考える本。一方で『サッカー×M&A入門』は、クラブはいくらで買えるのか、企業価値評価の話まで踏み込む。同じ「サッカー経営」でも、必要な前提知識がまるで違うんだ。
橘ナナミ
なるほど……! じゃあ、いきなり専門書から入ると挫折しそうですね。
佐藤メバル
書店員時代、そういうお客さんをたくさん見てきたよ。「サッカービジネスに興味があって」と来た人が、いきなり分厚い教科書を買って、翌週に別の本を探しに来る(笑)。だから今日は、選び方の軸を先に整理しよう。
サッカー経営を学べる本の選び方
目的別:就活・転職/クラブ実務/ファン教養/起業・副業
橘ナナミ
最初の軸は目的ですか。就活でスポーツ業界を志望してる友人に、何を勧めればいいでしょう。
佐藤メバル
その場合はまず『スポーツマネジメント入門〔第2版〕』や『スポーツ・マネジメント入門〔第2版〕 24のキーワードで理解する』のような教科書で、業界の共通言語を押さえるのが近道だね。プロ野球とプロサッカーの経営を並べて扱うから、視野も広がる。
橘ナナミ
すでに実務で働いている人は?
佐藤メバル
『スポーツチームの経営・収入獲得マニュアル』は、ファジアーノ岡山を成長させた著者が、売上を伸ばす具体策を書いた本。数字の作り方が実務目線で書かれている。交渉やプレゼンの実践知なら『代理人は眠らない』も読めるよ。
橘ナナミ
ファンとして純粋に読みたいだけの人は?
佐藤メバル
それなら『サクッとわかる ビジネス教養 サッカーの経済学』が入りやすい。ビジュアル中心で、年俸や移籍のお金の流れがすっと入ってくる。
レベル別:入門(新書・図解)/中級(事例研究)/専門(財務・分析)
橘ナナミ
レベル別だと、入門と専門の境目はどこですか?
佐藤メバル
入門は、専門用語を覚えなくても読めるもの。『海外のサッカーはなぜ巨大化したのか』は、サッカーの起源から欧州クラブ経営の実態までを平易に解説している。中級は事例研究で、『大宮アルディージャはなぜ外資に買収されたのか?』は、レッドブル参入という実際の出来事を追いながら、移籍金で稼ぐという世界基準の欠如に触れる。
橘ナナミ
専門は?
佐藤メバル
『サッカー×M&A入門』と『スポーツファイナンス入門』。前者はプライベート・エクイティ・ファンドの知見とデータ分析でクラブ価値の見える化を試みる。後者は、有名選手は資産計上されるのか、放映権料がクラブ運営に与える影響は、といった問いからB/S、P/L、資金調達まで学ぶ教科書だ。
地域軸:Jリーグ・国内クラブか、欧州・グローバルか
橘ナナミ
ここ、けっこう迷います。Jリーグと欧州、どっちから読むべきですか?
佐藤メバル
まず足元のJリーグからがおすすめ。『サッカービジネスの基礎知識 「Jリーグ」の経営戦略とマネジメント 増補改訂版』は、Jリーグ創設の戦略と制度設計から、ボスマン判決、プレミアリーグの誕生、ISLとキルヒの破綻まで射程が広い。国内と欧州をつなげて理解できる。
橘ナナミ
欧州から入りたい人は?
佐藤メバル
『なぜレアルとバルサだけが儲かるのか?』や『エクストリームフットボール』かな。後者はレッドブル・ザルツブルクやRBライプツィヒを例に、巨大ドリンクメーカーがサッカー界で勢力を伸ばす戦略史を辿る。グローバル資本のダイナミズムが掴める。
テーマ軸:経営戦略/マーケティング/財務/データ分析
橘ナナミ
学びたいテーマで選ぶのもアリですよね。
佐藤メバル
そう。経営戦略なら『ゴールは偶然の産物ではない』。FCバルセロナの経営者が使う経営理論を解説している。組織文化なら『FCバルセロナ 常勝の組織学』で、コミットメント型文化の話が企業にも応用できる。マーケティングなら『プロスポーツビジネス 私たちの成功事例』が、放映権やスポーツツーリズムの実務家の声を集めている。
橘ナナミ
財務とデータ分析は?
佐藤メバル
財務は先ほどの『スポーツファイナンス入門』。産業設計やデータなら『日本サッカー産業論』が面白い。試合映像を全国でつなぐ構想や、海外移籍で生まれた資金を育成へ戻す設計など、日本サッカーという産業を設計し直す視点を描いている。
形式・コスパ軸:新書・図解・実務マニュアル
橘ナナミ
最後は形式ですね。通勤中に読むなら?
佐藤メバル
新書サイズなら『天日干し経営』や『神主さんがなぜプロサッカーチームの経営をするのか』が持ち歩きやすい。『古都鎌倉に「みんなのスタジアム」を作ったサッカークラブの物語』や『脱サラして再びサッカー界へ』のようなクラブ創設の物語も、通勤のお供に向いている。
橘ナナミ
図解なら?
佐藤メバル
『サクッとわかる ビジネス教養 サッカーの経済学』だね。肩肘張らずに読むなら、モウリーニョ、ベンゲル、ファーガソンといった監督たちの成功と失敗を経営問題に読み替える『サッカー名監督に学ぶ勝つための経営学』もいい。
サッカー経営を学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
サッカー経営を学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

弱くても稼げます シン・サッカークラブ経営論 (光文社新書)
小山淳 著|光文社
¥924(税込)
経営学者と、リアル“サカつく”を実現した起業家の対話で構成される一冊です。著者の小山淳さんが運営する「おこしやす京都AC」は地域リーグ所属ながら、2021年の天皇杯でJ1のサンフレッチェ広島を5-1で撃破したクラブ。選手の社員化や徹底した地域密着など、弱くても稼げるクラブの形を、入山章栄さん、松田修一さん、阿久津聡さんという経営学者3人との議論で立体的に描きます。
こんな人におすすめ
Jリーグや地域クラブの経営に関心がある人、スポーツ×地方創生を考えたい人、経営学の理論を実例で学びたい読者。クラブ運営の当事者だけでなく、自治体や地域企業でスポーツを絡めた事業を構想している人の入り口にもなります。
良い点
- 経営学者3人との対話で論点が立体的
- 天皇杯ジャイアントキリングの実例が軸
- 選手の社員化など独自モデルを具体提示
気になる点
- 新書ゆえ数字の細部は限られる
- クラブ運営の実務手順書ではない
- 地域リーグ前提の話が中心
出版社
光文社
発売日
2022年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「弱くても稼げます」って、ちょっと勇気が出るタイトルです。強くないと稼げないのがスポーツだと思っていたので、この逆転の発想が気になります!
佐藤メバル
いいところに目をつけたね。この本は、著者の小山淳さんが運営する「おこしやす京都AC」という地域リーグのクラブが、2021年の天皇杯でJ1のサンフレッチェ広島を5-1で破った話を軸にしています。
しかも選手の社員化や地域密着など、独自の経営スタイルを、入山章栄さんたち経営学者3人との対話で掘り下げていく。
現場の実践と理論が往復するのが気持ちいいんですよ。
橘ナナミ
なるほど、勝ち負けの話じゃなくて、クラブの作り方の話なんですね。弱小と呼ばれるクラブでも、設計次第で稼げる余地があるってことですか?
佐藤メバル
そう、そこが核心です。地域に根を張って、選手を社員として雇い、観客や地元企業との関係を積み上げていく。
派手な補強ではなく、仕組みで稼ぐ方向を選んだクラブの記録です。同じ地域密着でも、単なる応援論で終わらせず、経営学の言葉で説明してくれるのが、他のサッカー本と違うところ。地方創生に関わる人にも刺さりますよ。

なぜレアルとバルサだけが儲かるのか?: サッカークラブ経営に魔法は存在しない
アルフレードガティウス 著|ベースボール・マガジン社
¥1,650(税込)
レアル・マドリードとバルセロナという二強の収益構造に、なぜそこまでの差がつくのかを正面から問う一冊。副題の「サッカークラブ経営に魔法は存在しない」が示す通り、再現性のない成功譚ではなく、クラブ経営を成り立たせている仕組みの側から光を当てようとする姿勢が読みどころです。175ページと薄めで、経営論の入口としても取りつきやすい分量。他クラブが同じ手を打てない理由を考えながら読むと、欧州サッカーの見え方が変わります。
こんな人におすすめ
欧州サッカーの収益格差に素朴な疑問を持つ人、数字や構造からクラブ経営を考えたい読者。Jリーグと欧州の違いを比較しながら読みたい人、経営分析の題材としてサッカーを眺めたい人にも向きます。
良い点
- 二強の収益構造に焦点を絞る
- 魔法ではなく仕組みから考察
- 175ページで取りつきやすい
気になる点
- レアルとバルサ中心の議論
- Jリーグ実務の話は範囲外
- 経営一般論を求める人には不足
出版社
ベースボール・マガジン社
発売日
2012年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「なぜレアルとバルサだけが儲かるのか」って、ずばり聞いてきますね。しかも「魔法は存在しない」と。これは期待していいタイトルですか?
佐藤メバル
期待していいと思います。ただ、魔法の裏側を見せてくれる本です。二強が特別なのは、歴史やスター選手だけではなく、収益を生む構造を持っているから。
その構造は他のクラブにも条件次第で応用できる。再現性の話として読ませるところが、応援本とは一線を画します。
サッカーに限らず、事業の強弱を考える筋トレにもなりますよ。
橘ナナミ
なるほど、レアルとバルサを持ち上げる本じゃなくて、なぜ差がつくのかを分解する本なんですね。登場する数字はどんなふうに読めばいいんでしょう?
佐藤メバル
数字を覚えるより、「なぜその差が生まれるのか」を自分で考える素材として使うのがいいですね。この本はクラブ経営を成り立たせている仕組みの側から書かれています。
Jリーグのクラブを眺めるときのものさしとして持ち歩くと、ニュースの読み方が変わります。まずは序盤で問いの立て方を掴んでから、じっくり進めてください。

サッカービジネスの基礎知識 「Jリーグ」の経営戦略とマネジメント 増補改訂版
広瀬一郎 著|東邦出版
Jリーグ創設の戦略と制度設計から、その後のサッカービジネスの展開までを一冊で辿れる基礎固めの定番。著者はJリーグ創設に関わった広瀬一郎さんで、マネジメントを「1.0=品質管理」「2.0=顧客満足」「3.0へ」と整理する視点が軸になります。ボスマン判決、プレミアリーグの誕生とマードック化、UEFAチャンピオンズリーグの誕生、ISLとキルヒの破綻、指定管理者制度やCRMまで、論点が章単位で整理されているので、辞書的に引く使い方もできます。
こんな人におすすめ
Jリーグの成り立ちから学びたい人、スポーツビジネスを体系的に押さえたい学生・実務者。欧州との制度差を比較したい読者、会議資料やレポートの下地が欲しい人にも使いやすい一冊です。
良い点
- Jリーグ創設の内部事情に強い
- 1.0→2.0→3.0の整理が明快
- 制度・メディア・事業性を横断
気になる点
- 増補改訂でも骨格は解説中心
- 最新シーズンの話題は薄め
- 読み物としての物語性は控えめ
出版社
東邦出版
発売日
2017年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、これって「サッカービジネスの教科書」みたいな本ですか? 基礎知識と書いてあるので、最初に読むべき一冊なのかなと思って。
佐藤メバル
まさに土台になる一冊です。著者の広瀬一郎さんはJリーグ創設に関わった人で、この本は「1.0は品質管理、2.0は顧客満足、そして3.0へ」という整理でサッカービジネスの流れを説明します。
ボスマン判決、プレミアリーグとマードック、チャンピオンズリーグの誕生、ISLやキルヒの破綻まで。制度の歴史を一本の線で見られるのが強みです。
橘ナナミ
制度の名前がたくさん出てくると身構えちゃいます。通読するより、気になるところから拾ったほうがいいんでしょうか?
佐藤メバル
最初から通す必要はありません。第1章でJリーグ創設の設計を押さえて、あとは関心のあるテーマからつまむ。
指定管理者制度やCRMの章は、スタジアム運営や集客を考えている人に特に効きます。索引的に使えるのが教科書のいいところで、増補改訂版なので論点も整理されていますよ。

大宮アルディージャはなぜ外資に買収されたのか? 日本サッカーとスポーツビジネスに起きた「革命」 (光文社新書)
戸塚啓 著|光文社
¥1,166(税込)
史上初の100%外国資本クラブ「RB大宮アルディージャ」の誕生を追いながら、日本サッカー界に何が起きたのかを描く一冊。レッドブルという巨大資本の参入を、単なる事件としてではなく、プレミアリーグとの経済格差や「移籍金で稼ぐ」という世界基準の欠如と重ねて論じます。最先端の育成とクラブ経営哲学を解き明かしつつ、外資を脅威ではなく好機として捉え直す視点が読みどころ。同じレッドブル題材でも、こちらは日本側の当事者目線で読めます。
こんな人におすすめ
Jリーグの将来に関心がある人、クラブ買収や外資参入の意味を考えたい読者。欧州との経済格差を数字と現場の両面から知りたい人、移籍金で稼ぐ仕組みを基礎から押さえたい人に向きます。新書なので通勤・通学の合間にも読み進められます。
良い点
- 外資参入の経緯を当事者目線で追う
- 育成と経営哲学まで踏み込む
- 光文社新書で入手しやすい
気になる点
- クラブ内部の全容までは描かない
- 欧州側の事例は補助的
- 買収の技術論は専門書に譲る
出版社
光文社
発売日
2026年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
大宮が外資に買収された、ってニュースで見たときは驚きました。でもこの本は「なぜ」から入るんですね。事件のルポなんでしょうか?
佐藤メバル
事件の記録であり、同時に構造の解説でもあります。史上初の100%外国資本クラブ「RB大宮アルディージャ」の誕生を軸に、プレミアリーグとの経済格差や、日本に欠けていた「移籍金で稼ぐ」発想まで踏み込む。
外資を脅威ではなく好機として捉え直す視点が通底していて、レッドブルの育成や経営哲学も具体的に見えてきます。
橘ナナミ
外資って、なんとなく怖いイメージがありました。でも好機として見る立場もあるんですね。サポーターとしては複雑な気持ちになりそうです。
佐藤メバル
その複雑さを抱えたまま読めるのが、この本の誠実さです。クラブが外資を受け入れるかどうかは、地域やサポーターの感情と切っても切り離せない。
だから数字だけでなく、現場の空気も追っています。買う側と迎える側の両方を見ておくと、今後Jリーグで起きる同種のニュースが立体的に読めますよ。

サッカー×M&A入門: The Valuation of Football Clubs
岡本教孝 著|税務経理協会
¥3,080(税込)
「サッカークラブはいくらで買えるのか」という問いに、プライベート・エクイティ・ファンド業務の知見と学術研究の両面から迫る一冊。上場クラブの市場データと財務データを使って価値評価の要因を抽出し、コントロール・プレミアムを算定してJリーグクラブの想定取引価値を導く流れが骨格です。鹿島、町田、FC東京、広島、山形、大宮といった実際のM&A事例を追えるので、理論と現場が往復します。図表と回帰分析の解説つきで入門書として設計されています。
こんな人におすすめ
数字でクラブ経営を語りたい人、M&Aや企業価値評価を学ぶ学生・実務者。Jリーグの経営に関わる人、サッカーをビジネスの題材として深掘りしたい読者に向きます。財務諸表に少し慣れた人なら挑戦しやすい内容です。
良い点
- 企業価値評価の三手法を整理
- JクラブのM&A事例を多数収録
- 図表と回帰分析の解説つき
気になる点
- 価格は3080円とやや高め
- 会計・税務の前提知識が要る
- 読み物としての軽さはない
出版社
税務経理協会
発売日
2026年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「サッカークラブはいくらで買えるのか」って、そんなこと考えたこともありませんでした。でも鹿島や町田、FC東京って名前が並んでいて、急に現実味が出てきました。
佐藤メバル
実際の取引が題材だから、ぐっと身近に感じますよね。この本はプライベート・エクイティ・ファンドの実務と学術研究の両輪で、クラブ価値の「見える化」を試みます。
インカム、マーケット、コストという3つの評価アプローチから入り、最後はコントロール・プレミアムを算定して、Jリーグクラブの想定取引価値まで辿る。骨太です。
橘ナナミ
コントロール・プレミアム……すみません、それってどういう意味ですか? 聞いたことはあるんですが、説明しようとすると詰まってしまいます。
佐藤メバル
いい質問です。簡単に言えば、経営権を握れるだけの株式をまとめて買うときに、市場価格に上乗せされる分のこと。
少数株主として持つ株より、クラブを動かせる立場の株のほうが価値が高い、という考え方です。同じクラブでも誰が持つかで値段が変わる。
この視点があると、買収のニュースが全然違って見えますよ。

海外のサッカーはなぜ巨大化したのか
大山高 著|青娥書房
サッカーの起源から欧州五大リーグが急成長した背景、クラブ経営システムのノウハウまでを平易に解説する一冊。観客動員数で世界一を誇るドイツ・ブンデスリーガのクラブ経営と、資産価値で欧州トップに立ったマンチェスター・ユナイテッドのグローバル戦略を軸に、欧州クラブで働いた経験を持つ3人への取材も収録。歴史と現場の両方から「なぜ巨大化したのか」に答えてくれるので、欧州サッカー観戦の解像度が一段上がります。
こんな人におすすめ
欧州サッカーを経営の目で見てみたい人、スポーツビジネスを志す学生や社会人。海外クラブの歴史を入口から知りたい読者、ブンデスリーガやプレミアの成り立ちを整理したい人に向いています。
良い点
- 起源から現在までを一冊で追う
- 欧州で働く3人への取材を収録
- ブンデスとユナイテッドを対比
気になる点
- 話題が広く各論は簡潔
- 日本のクラブ事例は中心外
- 最新の移籍市場動向は薄い
出版社
青娥書房
発売日
2019年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「海外のサッカーはなぜ巨大化したのか」。これ、試合を見ているだけでは絶対に分からないやつですよね。起源から書いてあるんですか?
佐藤メバル
そう、サッカーの起源から始まって、欧州五大リーグがどう大きくなったか、クラブ経営の仕組みまで一気に案内してくれます。
中心は観客動員世界一のブンデスリーガと、資産価値で欧州トップに立ったマンチェスター・ユナイテッド。そこに欧州クラブで働いた3人の取材が重なります。歴史書と現場レポートの合わせ技ですね。
橘ナナミ
なるほど、歴史と現場が両方入っているのは助かります。スポーツビジネスを志す大学生が読んでも置いていかれませんか?
佐藤メバル
置いていかれません。むしろスポーツビジネスを志す学生に勧めたい一冊です。専門用語は噛み砕かれていて、ブンデスとユナイテッドという対照的な二つを並べるので、何がクラブを大きくするのかを自分で考えながら読めます。
通読したあとで試合を見ると、スタジアムの見え方が変わりますよ。

エクストリームフットボール 欧州の勢力図を塗り替える巨大ドリンクメーカーの破壊的戦略
カラン・テージワーニ 著|カンゼン
¥1,980(税込)
レッドブル・ザルツブルクやRBライプツィヒの背後にいるレッドブルグループが、なぜサッカー界に照準を合わせたのか、その戦略史を辿る一冊。ザルツブルクからライプツィヒ、ニューヨーク、ブラジル、アフリカのスカウティング網まで、グローバルに広がるクラブ網の作り方が見えてきます。リーフェリングやラングニックの「3K」など育成の仕組みにも章が割かれ、アンチも多い存在を、感情抜きで構造として理解できるのが読みどころです。
こんな人におすすめ
レッドブルのクラブ網が気になっている人、欧州の育成システムを学びたい読者。クラブ買収やブランド戦略を事例で知りたい人、大宮アルディージャの外資参入を扱った本と合わせて読みたい人にも向きます。巻末には指導者の登竜門としてのレッドブルグループを論じた論考も収録されています。
良い点
- ザルツブルクとライプツィヒを軸に追跡
- 育成の仕組みに章を割く
- 巻末論考まで収録
気になる点
- レッドブル寄りの視点は否めない
- 日本サッカーとの接点は少ない
- 関係者名が多く最初は混乱しがち
出版社
カンゼン
発売日
2021年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
レッドブルって、エナジードリンクの会社ですよね。それがザルツブルクやライプツィヒを持っている。しかも結構嫌われている、と。
これはどっちの立場で書かれた本なんですか?
佐藤メバル
著者はカラン・テージワーニさんで、アンチが多い存在を感情抜きで構造として描こうとしています。始まりのオーストリアからライプツィヒの革命、ニューヨーク、ブラジル、アフリカのスカウティング網まで。
巧妙かつ革命的な戦略史として読めるのが持ち味です。賛否は読者が持ち帰ればいい、という書き方ですね。
橘ナナミ
なるほど。育成のところも気になります。リーフェリングとか、ラングニックの「3K」って聞いたことがあるんですが、そこも詳しいんですか?
佐藤メバル
そこが読みどころのひとつです。レッドブルグループの育成革新、学び舎としてのリーフェリング、ラングニックの「3K」、英国が生んだもう一人のキーマンまで、人と仕組みの両面から描かれます。
巻末には指導者の登竜門としてのレッドブルグループを論じた論考も収録。クラブ網を人材育成装置として見る視点が面白いんですよ。

スポーツファイナンス入門 プロ野球とプロサッカーの経営学
西崎信男 著|税務経理協会
¥2,750(税込)
「有名サッカー選手は資産計上されるのか」「放映権料はクラブ運営にどう効くのか」といった素朴な疑問から入り、欧州サッカーとJリーグ、NPBを例にスポーツ経営の資金の流れを解説する教科書。選手年俸を売上原価と販管費のどちらに計上するか、フィナンシャル・フェア・プレイ規制がビジネスをどう変えたかなど、具体的な論点からB/S、P/L、キャッシュフロー、資金調達、企業価値へと進みます。160ページで会計の基礎まで辿れる構成が親切です。
こんな人におすすめ
会計やファイナンスを学び始めた学生、スポーツビジネスに携わりたい人。クラブの財務諸表を読めるようになりたい読者、欧州と日本の開示制度の違いを知りたい人にも向いています。
良い点
- 素朴な疑問から会計の基礎へ
- 選手計上や年俸の論点が具体的
- 160ページで全体像をつかめる
気になる点
- 教科書調で読み物感は薄い
- 数値例の更新は版による
- 実務家向けの深掘りは少ない
出版社
税務経理協会
発売日
2021年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「有名サッカー選手は資産計上されるのか」。この一文で一気に引き込まれました。選手って、会社の備品みたいに扱われるものなんですか?
佐藤メバル
いい疑問の立て方です。この本は、そうした具体的な問いから会計の世界へ入っていきます。選手を資産として計上できるのか、年俸は売上原価なのか販管費なのか。
そこからB/S、P/L、キャッシュフロー、資金調達、企業価値へと進む。身近な題材で会計の骨格が学べるのが教科書として優秀なところです。
橘ナナミ
会計は苦手だったんですけど、サッカーが題材なら読める気がします。欧州のクラブの財務分析も出てくるんですか?
佐藤メバル
出てきます。英国の有名クラブやNPB各球団の財務分析が例に使われ、放映権料がクラブ運営に与える影響も扱います。
プロサッカーを儲かるビジネスへ転化させたフィナンシャル・フェア・プレイ規制の章は特に面白い。ルールが経営を縛るという感覚がつかめると、ニュースの見方が変わりますよ。

Jリーグが追求する「地域密着型クラブ経営」が未来にもたらすも: 大学とのパートナーシップで築く日本独自の経営モデル
大山高 著|青娥書房
¥1,155(税込)
地域密着型のクラブ経営を、大学とのパートナーシップという切り口から論じる一冊。日本独自の経営モデルとして何が成り立つのかを、クラブと大学の関係に焦点を当てて描きます。地域と大学をつなぐ発想は、欧州の真似でもなくJリーグ初期の理想論でもない、第三の道として読めます。同じ著者の『海外のサッカーはなぜ巨大化したのか』と並べると、欧州のやり方と日本のやり方の対比がはっきりして面白いですよ。
こんな人におすすめ
地域クラブの運営に関わる人、大学との連携を考えている自治体や教育関係者。学生を巻き込んだプロジェクトを構想している読者、地域密着という言葉を具体策に落としたい人に向きます。
良い点
- 大学連携という切り口が独自
- 日本独自モデルを構想する
- 著者の欧州本と対で読める
気になる点
- 理想像が先行する面がある
- 具体的な財務データは限定的
- 一般読者には専門的
出版社
青娥書房
発売日
2016年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
地域密着型クラブ経営、まではよく聞く話ですけど、「大学とのパートナーシップ」ってのが気になります。なぜ大学なんですか?
佐藤メバル
そこがこの本の独自性です。地域に根を張るといっても、企業協賛だけでは続かない。人材、調査、教育の機能を持つ大学と組むことで、日本独自の経営モデルを作れないか。
欧州の真似でも初期の理想論でもない第三の道として構想しています。同じ著者の欧州本を読んでいると、対比がはっきり見えてきますよ。
橘ナナミ
なるほど、学生を巻き込んだプロジェクトみたいな話もあるんでしょうか。私も大学院で研究しているので、当事者のつもりで読めそうです。
佐藤メバル
そこはあなたの立場でも読めますね。クラブと大学が何を交換できるのか、お互いに何を求めるのかを考える素材になります。
研究やインターン先で「地域とスポーツ」を扱うなら、事例の引き出しとして持っておくと強い。薄めなので、まずこの一冊で論点を掴むのがおすすめです。

日本サッカー産業論: ワールドカップ優勝を「偶然」ではなく「仕組み」で実現する 日本サッカー産業論シリーズ (蒼色文庫)
蒼色真琴 著
日本代表を強くする本ではなく、日本サッカーという産業を設計し直す本。映像、データ、AI、メディア、スポンサー、海外移籍、人材育成、クラブ経営をつなぎ、ワールドカップ優勝を「偶然」から「仕組み」へ変える構想を描きます。Japan Football Video Grid、Japan Football Data Grid、JFA Media、JFA Transfer Center、フットボール産業大学院といった具体的な仕組みが並び、2046年という目標地点から逆算する構成。戦術論ではなく構造論として読めるのが特徴です。
こんな人におすすめ
日本サッカーの構造を議論したい人、データや育成の仕組みに関心がある読者。クラブ経営やメディアの将来像を考えたい人、長期的な視点でスポーツ産業を構想する学生にも向きます。「現場にもっと努力を」ではなく、重複を減らして価値をつなぐ発想が軸です。
良い点
- 映像・データ網の構想が具体的
- 2046年から逆算する構成
- 戦術論ではなく産業設計論
気になる点
- 構想段階の提案が中心
- 実現可能性の検証はこれから
- 専門用語はやや多め
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ワールドカップ優勝を偶然ではなく仕組みで」。この言い方、すごく強いですね。でも2046年って数字が出てくると、ずいぶん先の話なのかなとも思います。
佐藤メバル
その遠さがポイントなんです。近い目標ではなく、逆算して今日から何を始めるかを考えるための目印として置かれています。
映像をつなぐJapan Football Video Grid、選手の成長を追うData Grid、移籍で生まれた資金と知識を育成に戻す仕組み、そして産業大学院。
点を線にする設計図を描いているんですよ。
橘ナナミ
なるほど。クラブ単体の経営術ではなくて、業界全体のOSを変える話なんですね。実現できるのかな、という気もしてきます。
佐藤メバル
そこは読者それぞれの判断でいいと思います。ただ、映像やデータが眠っている、仕事が重複している、価値が分散している、という指摘は現場感覚として納得できるはずです。
構想の粒度が細かいので、賛成でも反対でも議論の土台になります。自治体や協会で働く人にこそ読んでほしいですね。

サクッとわかる ビジネス教養 サッカーの経済学
平田竹男 著|新星出版社
¥1,650(税込)
トップ選手の年俸やチーム経営、ワールドカップやチャンピオンズリーグで動くお金を、独自のビジュアル解説で手軽に押さえられる一冊。文字中心のテキストが苦手でも、図解を追ううちにサッカーとお金の関係が頭に入ります。上辺だけでなく会話や説明ができる理解を目指す設計で、160ページと短く、読了までの負荷が軽い。同じサッカー経済の入門でも、こちらは図版中心の見た目重視、という違いがあります。
こんな人におすすめ
サッカーのお金の話を手早く掴みたい人、図やイラストから入りたい読者。会話のネタとしてサッカービジネスを押さえたい人、スポーツ経済に関心を持ち始めた学生にも向きます。通勤や休憩の合間に少しずつ読み進める使い方も合います。
良い点
- ビジュアル中心で読みやすい
- 年俸や放映権の話題を網羅
- 160ページで短時間で把握
気になる点
- 深い分析や論証は少なめ
- 専門用語の説明は簡潔
- 既に詳しい人には物足りない
出版社
新星出版社
発売日
2023年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
表紙を見た感じ、図やイラストが多めの読みやすい本ですよね。サッカーの経済学と聞くと身構えちゃうんですが、これなら入っていけますか?
佐藤メバル
そこが狙いの一冊です。トップ選手の年俸、チーム経営、ワールドカップやチャンピオンズリーグで動くお金。
独自のビジュアル解説が中心なので、文字を追うのが億劫な人でもすいすい進みます。会話や説明ができる理解を目指す設計で、うわべで終わらせないのがいい。短時間で全体像を掴みたいときにどうぞ。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、細かい分析は別の本に任せて、まずは全体の流れをつかむ用途なんですね。入門の一冊目にちょうどよさそうです。
佐藤メバル
そういう使い方が合っています。年俸や放映権、スポンサーの話がどうつながっているかを、まず地図として持っておく。
そのうえで深掘りしたい論点が見つかったら、財務やM&Aの本に進む。入口を軽くするのがこの本の役割です。
気になった章だけ拾い読みしても十分機能しますよ。

スポーツマネジメント入門〔第2版〕: プロ野球とプロサッカーの経営学
西崎信男 著|税務経理協会
¥3,201(税込)
米国大リーグ野球と英国プレミアリーグを中心に、熾烈な競争ビジネスの姿を正面から捉えたスポーツ経営・ファイナンスの教科書。303ページと厚めで、経営とファイナンスの両面から球団とクラブの実像に迫ります。同じ著者による入門書より踏み込みが深く、プロ野球とサッカーを並べて比較できるのが持ち味。競技をまたいで「稼ぐ仕組み」を比べたい人にとって、教科書として長く使える一冊です。
こんな人におすすめ
経営やファイナンスを体系的に学びたい学生・実務者、野球とサッカーの両方を比較したい読者。講義やゼミのテキストとして腰を据えて読みたい人、スポーツ産業の研究を進めたい大学院生にも向きます。
良い点
- MLBとプレミアを並べて比較
- 経営とファイナンスを横断
- 303ページの網羅的な教科書
気になる点
- 厚く値も高めで気軽ではない
- 数値や制度の更新は版次第
- 入門書より難度は上がる
出版社
税務経理協会
発売日
2017年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっきのファイナンスの本と同じ著者ですよね。こっちのほうがページ数も価格も大きい。これは「入門の次」と考えるべきですか?
佐藤メバル
そう捉えて大丈夫です。こちらは米国大リーグと英国プレミアリーグを中心に、熾烈な競争ビジネスを正面から扱うスポーツ経営・ファイナンスの教科書。
303ページあるので、経営とお金の両面を腰を据えて学べます。野球とサッカーを並べて比較できるのが、他の本にはない強みですね。
橘ナナミ
なるほど。野球とサッカーを同じ土俵で比べるのって、あまり見たことがないです。研究のテーマとしても使えそうですか?
佐藤メバル
使えますよ。同じ「プロスポーツ」でも、リーグの作り方、収益の柱、選手契約の考え方はかなり違う。その差を教科書として整理してあるので、比較の枠組みをそのまま研究に流用できます。
まず目次を眺めて、自分の関心に近い章から入るのが現実的です。通読するなら時間を確保してどうぞ。

スポーツ・マネジメント入門 〔第2版〕: 24のキーワードで理解する
広瀬一郎 著|東洋経済新報社
¥2,200(税込)
オリンピックやワールドカップがなぜ巨大ビジネスになったのかを、24のキーワードで理解するテキストの第2版。著者は「スポーツ産業も産業なので基本的なマネジメントは8割同じ、残りの2割の違いを理解することが目的」と明言します。一般の経営知識をスポーツに応用するという骨格がはっきりしており、初版刊行後の変化も踏まえて更新されています。キーワード単位で読めるので、辞書的に使いやすい構成です。
こんな人におすすめ
スポーツと一般企業の違いを言語化したい人、経営学の基礎がある読者。24のキーワードごとに整理して学びたい実務者、講義の副読本を探している学生にも向いています。気になる語から拾い読みできるのも助かります。
良い点
- 24キーワードで整理された構成
- 8割同じ・2割違うの枠組み
- 初版後の変化を反映した第2版
気になる点
- 抽象度が高く事例は絞られる
- 実務の手順書ではない
- 入門者にはやや硬い文体
出版社
東洋経済新報社
発売日
2014年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「24のキーワードで理解する」って、辞書みたいに使えるんですか? スポーツ産業も8割は普通の経営と同じ、という一文が気になりました。
佐藤メバル
まさにその一文がこの本の骨格です。スポーツ産業も産業である以上、基本的なマネジメントは8割同じ。違うのは残りの2割で、そこを理解するのが目的だと著者は言い切っています。
オリンピックやワールドカップがどう巨大ビジネスになったかを、キーワード単位で分解してくれる。思考の整理に効きますよ。
橘ナナミ
なるほど。逆に言うと、普通の経営を学んだ人ほど、この「2割の違い」が気になって読める本なんですね。私も研究で組織論を触っているので刺さりそうです。
佐藤メバル
そう、そこが読みどころです。初版から10年ほど経って、著者自身が「半分当たり、半分は外れた」と振り返っているのも正直でいい。
予想と現実のズレまで書かれているので、ただの理論書より立体的です。気になるキーワードからつまんで、最後に全体を通すと理解が締まりますよ。

FCバルセロナ 常勝の組織学
ダミアン・ヒューズ 著|日経BP
¥1,870(税込)
スポーツ心理学者で組織改善コンサルタントでもある著者が、FCバルセロナの強さを「組織文化」から解き明かす一冊。企業文化と成長の関係を調べた研究で示された5つの類型——スター型、独裁型、官僚型、エンジニアリング型、コミットメント型——のうち、最も安定して成功する「コミットメント型」をバルサが体現していると論じます。クライフとグアルディオラという新旧のリーダーを軸に、理想、変革の旅路、反復、文化の設計者、本物のリーダーシップの5要素を分析します。
こんな人におすすめ
組織文化やリーダーシップを学びたいビジネスパーソン、チームづくりに悩む管理職。バルサのサッカーと経営の両方に興味がある読者、組織論の事例を探している大学院生にも向きます。
良い点
- 5つの文化類型で比較できる
- クライフとグアルディオラを分析
- 経営学から脳科学まで参照
気になる点
- バルサ中心で他クラブは補助
- 364ページで読み応え重視
- 学術研究の引用がやや多め
出版社
日経BP
発売日
2019年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
バルセロナの強さを「組織学」として読むんですね。スター型、独裁型、官僚型……って、クラブを会社の文化みたいに分類するのが新鮮です。
佐藤メバル
そこがこの本の白眉です。スタンフォード大学経営大学院の研究をもとに、組織を5つの文化に分けて、最も安定して成功するのが「コミットメント型」。
バルサがまさにそれだと論じます。レアル・マドリードはスター型、チェルシーは独裁型、リヴァプールは官僚型、ドルトムントはエンジニアリング型という整理も比較の道具として便利です。
橘ナナミ
なるほど、クライフとグアルディオラが並べて分析されているのも気になります。これは戦術の本ではなく、リーダーの本なんですね。
佐藤メバル
そう、戦術書ではありません。2人が選手や関係者に何を語り、どう振る舞ったかを取材し、経営学から脳科学までの研究と照合しながら、理想、変革の旅路、反復、文化の設計者、本物のリーダーシップという5要素に整理します。
文化を設計する側の視点が手に入るので、職場のチームづくりにも持ち帰れますよ。

ゴールは偶然の産物ではない FCバルセロナ流 世界最強マネジメント
フェラン・ソリアーノ 著|アチーブメント出版
2008年のチャンピオンズリーグ決勝、ジョン・テリーがPKを滑って外した場面から始まる一冊。あの失敗はただの不運だったのか、裏に論理はなかったのか。偶然に見える出来事を論理で捉え直す姿勢を貫きながら、FCバルセロナや世界の強豪クラブの経営者が使う理論と実践を解説します。需要と供給、競合との関係まで現行の論理を問い直す構成で、ビジネス書としても読めるのが特徴です。
こんな人におすすめ
スポーツと経営を重ねて考えたいビジネスパーソン、バルサの経営に興味がある読者。意思決定や競争戦略の題材を探している人、勝敗の裏側を論理で読みたい人に向きます。物語の導入から入るので、経営書が苦手な人にも取っつきやすい。
良い点
- PK失敗の場面から引き込む
- バルサ経営陣の理論を解説
- ビジネス書としても読める
気になる点
- クラブ内部の詳細は限られる
- 論理の飛躍を感じる箇所も
- データ面の裏づけは控えめ
出版社
アチーブメント出版
発売日
2013年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ジョン・テリーがPKを滑って外した話から始まるんですね。あれを「不運」で終わらせず、論理を探すって、すごく惹かれます。
佐藤メバル
その入り方がうまいんですよ。あの一瞬でチェルシーはタイトルと巨額のお金を失った。でも著者はそれを不運として片づけず、裏に論理があるはずだと考えます。
そこから偶然に見える出来事を論理で捉え直す視線で、バルサや強豪クラブの経営理論へ進んでいく。読み物として引き込まれます。
橘ナナミ
なるほど、サッカーの本というより、判断や競争の話として読めるんですね。バルサ寄りの書き方になっていたりはしませんか?
佐藤メバル
バルサの成功理由は具体的に解説されますから、そこは差し引いて読むといいですね。ただ、強豪クラブの経営者が何を考えているかを知れる価値は大きい。
自チームを特別扱いしない経営論として読むと、需要と供給、競合との関係を自分の仕事に置き換えられますよ。

天日干し経営: 元リクルートのサッカーど素人がJリーグを経営した
村井満 著|東洋経済新報社
¥1,760(税込)
元リクルートのサッカーど素人がJリーグのチェアマンを務めた著者が、未経験の環境で組織変革を進めた記録。「魚と組織は天日にさらすと日持ちが良くなる」という口癖を軸に、情報を隠さずオープンにすることが組織を強くするという考え方を、自身の失敗や修羅場も含めて語ります。経営の教科書ではなく、未知の環境に放り込まれた人の心構えの本として読めるのが持ち味です。
こんな人におすすめ
未経験の環境に飛び込む人、組織の風通しを改善したい管理職。Jリーグの内側を知りたいサッカーファン、リーダーの心構えを読み物として味わいたい人にも向きます。サッカーの知識がなくても読める構成なのも助かります。
良い点
- 未経験者の組織変革記として読める
- 「天日干し」の合言葉が具体的
- 失敗や修羅場も率直に綴る
気になる点
- 経営の実務手順は示さない
- 組織論の体系的な解説は薄い
- 内容は著者の体験に依存
出版社
東洋経済新報社
発売日
2023年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「天日干し経営」って、ちょっと不思議な言葉です。魚と組織は天日にさらすと日持ちが良くなる……なるほど、情報を隠さないってことですか?
佐藤メバル
そういうことです。著者の村井満さんは元リクルートで、選手も監督もクラブ経営も未経験のままJリーグのチェアマンになった人。
だからこの本は、成功談というより、未知の環境でどう振る舞うかの記録です。失敗も修羅場も隠さず書いていて、そこが読んでいて励みになります。
橘ナナミ
なるほど。経営の技術というより、心構えの本なんですね。サッカーに詳しくない人でも読めますか?
佐藤メバル
読めます。Jリーグの話は背景として出てきますが、軸にあるのは「未経験の環境に放り込まれたとき、どう情報を開き、どう人を巻き込むか」という普遍的な問いです。
転勤や転職、あるいは研究で新しい分野に入るときにも、そのまま置き換えられる感覚がありますよ。

神主さんがなぜプロサッカーチームの経営をするのか
池田弘 著|東洋経済新報社
神主という、サッカーとは縁遠く見える立場の人物が、なぜプロサッカーチームの経営に踏み出すのかを追う一冊。タイトルが投げかける問いそのものが読みどころで、異分野からスポーツ経営に入るとはどういうことかを考えさせます。地域と信仰とスポーツがどう結びつくのか、経営の原動力はどこにあるのかを、著者自身の言葉で辿れる構成です。既存のクラブ経営論とは違う角度からJリーグを見直せます。
こんな人におすすめ
地域とクラブの関係を考えたい人、異色の経営者に興味がある読者。Jリーグの成り立ちを多様な視点で知りたい人、地域活性化の事例を探している人に向いています。サッカーと宗教や地域文化の交わりに関心がある人なら、なお面白く読めます。
良い点
- 神主という異色の経営者を追う
- 地域とクラブの関係を再考できる
- 本人の言葉で綴られる
気になる点
- 経営手法の体系化は薄い
- サッカー実務の話は限られる
- 内容は著者の体験に依存
出版社
東洋経済新報社
発売日
2006年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルで完全に手が止まりました。神主さんが、なぜプロサッカーチームの経営を? 宗教とサッカーって、結びつかない気がします。
佐藤メバル
そこですよね。この問いの立て方そのものが読みどころです。サッカーとは縁遠く見える立場の人がクラブ経営に入っていく。
地域と信仰とスポーツがどう重なるのか、経営の原動力はどこにあるのかを、本人の言葉で辿れます。異分野から経営に入るとはどういうことかを考えさせられます。
橘ナナミ
なるほど。経営ノウハウの本というより、なぜやるのか、という動機の本なんですね。地域の人たちの反応も出てくるんですか?
佐藤メバル
地域との関わりが軸になるので、そこは自然に語られます。クラブ経営の技術論を期待すると物足りないかもしれませんが、経営の入口にある動機をここまで丁寧に書いた本は珍しい。
Jリーグを支えてきた人たちの多様さが見えて、リーグの見え方が少し変わりますよ。

古都鎌倉に「みんなのスタジアム」を作ったサッカークラブの物語
本田辰成 著|クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
古都・鎌倉に「みんなのスタジアム」を作り上げるまでのサッカークラブの物語。コロナ禍に見舞われたシーズンの顛末、フィールド・オブ・ドリームスを実現するまでの道のり、クラブ創設4年目でのブランド刷新、そして鳩スタの誕生までを章ごとに追います。スタジアムづくりは資金と合意形成の物語でもあると実感できる構成で、最後には支援者名簿やメンバー募集も収録されています。
こんな人におすすめ
地域クラブのスタジアム構想を持つ人、鎌倉という土地に関心がある読者。資金集めやブランド戦略の実例を知りたい人、コロナ禍のクラブ運営を追体験したい人にも向きます。物語としても読みやすいので、経営書が重い日にどうぞ。
良い点
- スタジアム建設の過程を追える
- コロナ禍のクラブ運営が生々しい
- 支援者名簿まで収録
気になる点
- 物語色が強く分析は控えめ
- 数字面の詳細は限られる
- 鎌倉周辺の文脈が前提
出版社
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日
2022年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
鎌倉にスタジアムを作ったクラブの話、ですか。しかも「鳩スタ」って愛称が出てくる。これはドキュメントとして読む本ですか?
佐藤メバル
ドキュメントとして読めます。コロナ禍に見舞われたシーズンの顛末、フィールド・オブ・ドリームスを実現するまでの道のり、クラブ創設4年目でのブランド刷新、そして鳩スタの誕生まで。
スタジアムづくりは資金と合意形成の物語でもあると、生々しく伝わってきます。
橘ナナミ
なるほど。スタジアム一つ作るのに、そんなに長い道のりがあるんですね。最後に支援者名簿が入っているのも、なんだか温かいです。
佐藤メバル
そうなんです。読者でありサポーターである人たちの名前まで残っている。これ、地域クラブが支えられて成り立つことの証拠なんですよ。
お金の話と人の話が同時に進むので、数を追う経営書とは違う読後感があります。自分の街で何か始めたい人にもおすすめです。

脱サラして再びサッカー界へ 前代未聞のサッカークラブを創設した 松田宏起が見据える未来
松田宏起 著
熊本で社会人サッカークラブFC.MIFUNEを創設した著者が、脱サラして再びサッカー界に戻るまでの道のりと、クラブの哲学を綴る一冊。走り込みゼロ、給料ゼロ、企業から金銭的支援を受けない運営法、サードプレイスの実現、意味や意義に価値を見出す世界観。常識の逆をいく運営とパスサッカーへのこだわりが並び、普通のクラブ論とはまるで違う景色が広がります。創設者の想いが熱く語られる構成です。
こんな人におすすめ
普通じゃないクラブ運営に触れたい人、市民クラブや社会人チームに関わる読者。サッカーの指導や哲学に関心がある人、お金に頼らない組織づくりを考えたい人にも向きます。既存のJリーグ本に飽きた人ほど刺激を受けるはずです。
良い点
- 企業支援に頼らない運営法が独自
- パスサッカーへのこだわりを語る
- 創設者の想いが熱量高く伝わる
気になる点
- 体験談が主体で検証は少ない
- 読者を選ぶ主張の強さ
- 組織論としての体系化は薄い
出版社
詳細情報なし
発売日
2021年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「走り込みゼロ」「給料ゼロ」って、さすがに驚きました。それでクラブが成り立つんですか? 普通のサッカーの常識と真逆ですよね。
佐藤メバル
そこがこの本の面白さです。著者の松田宏起さんは脱サラして熊本でFC.MIFUNEを創設した人。企業から金銭的支援を受けない運営、サードプレイスの実現、意味や意義に価値を見出す世界観、徹底したパスサッカー。
常識の逆をいく決断が語られていて、読む人によって賛否が分かれるでしょうね。
橘ナナミ
なるほど。賛否が分かれるというのは、それだけ主張がはっきりしているんですね。指導の現場にいる人にも刺さりますか?
佐藤メバル
刺さると思います。特に「なぜその練習をするのか」「何を価値とするのか」を問い直したい指導者には、刺激の強い一冊です。
経営の教科書的な整理はないので、哲学書として読むのが向いています。Jリーグを扱った本に少し飽きてきた人ほど、新鮮に感じるはずですよ。

スポーツチームの経営・収入獲得マニュアル 売上ゼロから10億に伸ばす具体策
木村正明 著|同文舘出版
¥2,420(税込)
立ち上げ後に消滅するチーム、売上が1億円で止まるチーム、親企業頼みで集客に悩むチーム。そんな共通課題に対して、ファジアーノ岡山を急成長させた著者が実践してきた手法をまとめた一冊。売上ゼロから10億円へ伸ばす具体策を段階的に示し、日本のサッカークラブの企業価値や親企業が拠出している金額の分析結果も公開します。ノウハウ本でありながら、データも添えられているのが特徴です。
こんな人におすすめ
クラブやチームの運営を任されている人、収入源を増やしたい実務者。スポーツと地域創生に関わる自治体・企業の人、これからチームを立ち上げたい人にも向きます。手順を追いながら読みたい向きに合います。
良い点
- 売上ゼロからの段階的手順
- ファジアーノ岡山の実践を収録
- 企業価値と親企業の分析つき
気になる点
- 地域クラブ前提の内容
- 既存の大規模クラブには冗長
- 競技によっては応用が要る
出版社
同文舘出版
発売日
2025年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「売上ゼロから10億に伸ばす具体策」って、すごく直球ですね。こういう数字って、ふつうのビジネス書では見かけても、サッカーの本では珍しい気がします。
佐藤メバル
珍しいんですよ。しかもファジアーノ岡山を急成長させた著者本人が、Jリーグで実践してきた手法を書いている。
立ち上げ後に消えるチーム、1億で止まるチーム、親企業頼みで集客に悩むチームという課題を、売上ゼロからの段階として整理しています。
日本のクラブの企業価値や親企業の拠出額の分析も入っています。
橘ナナミ
なるほど。運営を任されている人には、手順書として使えるわけですね。私は直接は関わらない立場ですが、読んで面白いものでしょうか?
佐藤メバル
面白いと思いますよ。集客や収入源をどう積み上げるかは、サッカーに限らず小さな組織を動かす話そのものです。
自治体や企業でスポーツに関わる人、これからチームを立ち上げたい人にも向いています。数字の根拠が添えられているので、説得力を持って読み進められますよ。

プロスポーツビジネス 私たちの成功事例
東邦出版 著|東邦出版
¥2,113(税込)
マーケティング、スポーツデータリサーチ、施設、イノベーション、スポーツツーリズム、クラブ運営、ブランディング、アジア戦略、放映権ビジネス。第一線の実務家たちが、それぞれの領域から成功事例を語る一冊。日本コカ・コーラ、ニールセンスポーツ、JTBグループ、アルビレックス新潟シンガポール、Jリーグマーケティング、TEAMマーケティングといった顔ぶれが並びます。立場の違う9人の視点を持つことで、スポーツビジネスを多面的に捉えられます。
こんな人におすすめ
スポーツビジネスの実務に関わりたい人、業界の仕事を知りたい学生。マーケティングや放映権の現場感覚を得たい読者、キャリアを考えている社会人にも向きます。業界地図としても使えます。
良い点
- 領域ごとの実務家が執筆
- 企業名と担当領域が明示される
- アジア戦略や放映権まで網羅
気になる点
- 成功事例が中心の構成
- 各章の深さには差がある
- 失敗の分析は少なめ
出版社
東邦出版
発売日
2017年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、著者が一人じゃなくて、いろんな会社の人が章を書いているんですね。日本コカ・コーラやJTB、Jリーグマーケティングまで並んでいて、顔ぶれがすごいです。
佐藤メバル
そう、マーケティング、データリサーチ、施設、イノベーション、ツーリズム、クラブ運営、ブランディング、アジア戦略、放映権と、第一線の実務家が自分の領域の成功事例を持ち寄る形です。
アルビレックス新潟の海外展開を担う人の話も入っていて、業界地図としても読めます。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、スポーツビジネスで働きたい学生が読むと、仕事の種類が具体的に見えてくる感じですか?
佐藤メバル
まさにその使い方が向いています。どの領域にどんな仕事があり、何を成功と呼んでいるのかが見える。業界の入り口を眺めるのにちょうどいい一冊です。
ただし成功事例が中心なので、失敗の分析を期待すると物足りない。そこは他の本と組み合わせて補ってくださいね。

代理人は眠らない 世界への路を拓くサッカー代理人の流儀
遠藤貴 著|徳間書店
日本人初のFA公認エージェントとして、遠藤航のリバプール移籍をはじめ数々のビッグディールをまとめてきた代理人が、初めて交渉術と舞台裏を明かす一冊。移籍という一大イベントがどう成立するのかを、当事者の目線で追えます。サッカーファンはもちろん、交渉力やプレゼン力を磨きたいビジネスパーソンにも役立つメソッドが詰まっているのが特徴。代理人という職業の実像に迫れる貴重な記録です。
こんな人におすすめ
移籍の裏側を知りたいサッカーファン、交渉や営業を仕事にしている人。代理人という職業に関心がある学生、海外で働くことを考えている読者にも向きます。読み物としても軽快です。
良い点
- 日本人初のFA公認エージェントが執筆
- 遠藤航の移籍の舞台裏に触れる
- 交渉術をビジネスに応用できる
気になる点
- 守秘の範囲で語られる部分あり
- 交渉論の体系化は控えめ
- 事例はサッカー移籍に偏る
出版社
徳間書店
発売日
2023年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
遠藤航選手のリバプール移籍の裏側が読めるんですか。しかも著者は日本人初のFA公認エージェント。これは当事者にしか書けないやつですね。
佐藤メバル
そう、本人が初めて明かす交渉術と舞台裏です。ビッグディールがどう組み立てられ、どこで折れて、どこで押すのか。
移籍が成立するまでの空気が手に取るように伝わります。サッカーの本でありながら、交渉やプレゼンの実践書としても読めるのが面白いところです。
橘ナナミ
なるほど。営業をしている友人にも勧められそうですね。でも、書けないことは書けないですよね。どこまで踏み込んでいるんでしょう?
佐藤メバル
そこは守秘の範囲があるので、すべてが明かされるわけではありません。ただ、判断の順序や相手の読み方、信頼の築き方といった再利用できる思考はしっかり書かれています。
サッカーファンは移籍の見方が変わり、ビジネスの人は交渉の型を持ち帰れる。二重に楽しめる本ですよ。

サッカー日本代表が一つの会社だったら―リストラすべきは本田?カズ?ヒデ?
光田耕造 著|星雲社
¥2,380(税込)
本田圭佑、三浦知良、中田英寿、長友佑都、内田篤人、遠藤保仁といった選手の成功要因と、ユニクロ、マクドナルド、無印良品、セブン-イレブン、スズキ、京セラといった企業の成功要因を重ねて徹底解説する一冊。選手を企業に置き換えて読むという切り口が独特で、最後には経営者失格として「リストラされる選手」とその理由まで明かされます。切り口の大胆さを楽しむ本です。
こんな人におすすめ
サッカーとビジネスを結びつけて考えたい読者、選手のキャリアに関心がある人。大胆な比喩を楽しめる人、経営の事例を意外な角度から見たい人にも向きます。議論のネタとしても便利です。
良い点
- 選手と企業を対比する独自の切り口
- 著名選手と企業が多数登場
- 最後にリストラ論まで踏み込む
気になる点
- 比喩の強さに賛否が分かれる
- データより印象論が中心
- 検証の厳密さは求めにくい
出版社
星雲社
発売日
2013年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
本田圭佑はユニクロ、三浦知良はセブン-イレブン、中田英寿はマクドナルド……って、選手と企業を重ねる発想がすごいですね。これは真面目な経営論なんですか?
佐藤メバル
真面目にやっているから面白いんですよ。超一流選手の成功要因と超一流企業の共通点を突き合わせて、最後には「経営者失格としてリストラされる選手」とその理由まで明かす。
選手を企業に置き換えて読むという切り口が徹底していて、賛否はあっても議論の材料になります。
橘ナナミ
なるほど。比喩が強いぶん、鵜呑みにせず考える本なんですね。サッカーに詳しくない人でも読めますか?
佐藤メバル
企業側の例も入っているので、むしろ経営に詳しい人にも面白がられる作りです。ただしデータや検証より印象に寄った議論なので、比喩を楽しむ本として読むのが正解。
正しさを求めるより、この視点を持ち帰って自分なりに組み替えると、キャリアの見え方が変わりますよ。

サッカー名監督に学ぶ勝つための経営学
デビッド・ボルコーヴァー 著|オープンナレッジ
¥2,600(税込)
モウリーニョ、ベンゲル、ファーガソン、シャンクリーら、イングランドサッカー界の一流監督の成功例と失敗例を分析し、その特徴を経営の言葉で解き明かす一冊。優秀だがわがままな人材の扱い方、社内育成か外部登用か、傑出した人材中心の組み立て方、経営者の継承をどう進めるか。監督の判断を普遍的な経営問題に置き換える構成で、人材と組織の悩みに直結します。
こんな人におすすめ
人材や後継者の課題を抱える管理職・経営者、組織づくりに関心がある読者。欧州サッカーの監督論が好きな人、採用や育成の判断材料を探している人にも向きます。事例が豊富です。
良い点
- 名将の成功と失敗を両面分析
- 人材登用と継承の論点が明確
- 経営問題に引きつけて整理
気になる点
- 欧州サッカーの前提知識が要る
- 日本的雇用の文脈は薄い
- 事例の年代はやや幅がある
出版社
オープンナレッジ
発売日
2007年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
モウリーニョにベンゲル、ファーガソン。名前を見るだけで読みたくなります。これは監督の評伝なんですか、それとも経営書ですか?
佐藤メバル
両方のいいところ取りです。監督たちの成功例と失敗例を分析しながら、「優秀だがわがままな人材をどう扱うか」「内部育成か外部登用か」「傑出した人材中心に組むべきか」「後継者をどう継承するか」という普遍的な経営問題に置き換えていく。人材の悩みに直球で効きます。
橘ナナミ
なるほど。うちの研究室でも後継者の話はよく出るので、他人事じゃないです。欧州サッカーに詳しくないと厳しいですか?
佐藤メバル
選手の名前より監督の意思決定が中心なので、ある程度は追えますよ。ただ当代の欧州事情を知っていると格段に面白い。
采配を経営判断として読み替える訓練になるので、管理職や経営者、採用に関わる人ほど持ち帰るものがあります。まずモウリーニョの章からどうぞ。

ピッチの上の経営学: サッカーに学ぶ40代のチームビルディング術 人生実践シリーズ (実践知ブックス)
大空まさと 著
平日は仕事、週末はスパイクを履く40代以上の社会人サッカープレイヤーたちの現実を描きながら、ビジネスと組織運営、人生設計に通じる知恵をまとめた一冊。人数調整、出欠管理、会費の回収といったピッチの外の雑務が会社経営そのものであることから説き起こし、戦術と経営戦略、キャプテンシー、連携、準備と習慣、そして人生の法則まで6章で展開します。再成長の教科書として読めます。
こんな人におすすめ
40代でチームや部下を率いる人、社会人スポーツを続けている読者。仕事と家庭と趣味のバランスに悩む人、リーダーシップを生活の言葉で学びたい人にも向きます。気軽に読める語り口です。
良い点
- 社会人チームの運営を組織論に重ねる
- キャプテンシーを具体例で語る
- 40代の習慣づくりに触れる
気になる点
- 実証データはほぼ扱わない
- 若い読者には響きが薄い面も
- 体系的な経営学ではない
出版社
詳細情報なし
発売日
2025年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
40代の社会人チームの話なんですね。私にはまだ遠い年代ですが、出欠管理や会費の回収が会社経営そのもの、という一文は妙に納得しました。
佐藤メバル
そう、そこから入るのがうまいんです。人数調整、グループLINE、会場予約、会費の回収。誰かが声を上げ、誰かがフォローする。
ピッチの外の雑務が組織運営そのものだと気づかせてくれます。そこから戦術と経営戦略、キャプテンシー、連携、準備と習慣、そして人生の法則へと6章で進みます。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、40代で部下を持つ人が自分の生活に引き寄せて読む本なんですね。私が読んでも学べることはありますか?
佐藤メバル
ありますよ。「命令より任せる勇気」「叱るより感じ取る力」といった言葉は、年齢に関係なく効きます。研究でチームを組むときの信頼残高の積み方としても読める。
ただ、根拠となるデータはほぼなく、体験から抽出した言葉が軸なので、そこは期待値を合わせてくださいね。
サッカー経営本の「読む順番」ロードマップ
橘ナナミ
佐藤さん、本が多すぎて、どれから読めばいいか分からなくなってきました。
佐藤メバル
順番を決めようか。まずは業界の地図を掴む。『海外のサッカーはなぜ巨大化したのか』か『サッカービジネスの基礎知識』を一冊。次にJリーグの実録として『天日干し経営』や『弱くても稼げます』で現場感覚を入れる。そのうえで財務に進むと、頭に入りやすい。
橘ナナミ
財務はハードル高そうですが。
佐藤メバル
『スポーツファイナンス入門』は、選手年俸を売上原価と販管費のどちらに計上するか、といった身近な論点から入って、B/S、P/L、資金調達へ進む構成になっている。いきなり決算書を渡されるより、ずっと入りやすい。決算の読み方を学ぶと、ニュースの見え方が変わるよ。
橘ナナミ
なるほど。ファン向けと実務者向けのラベルも付けておきたいですね。
佐藤メバル
そうだね。ファン教養なら『サクッとわかる ビジネス教養 サッカーの経済学』や『サッカー名監督に学ぶ勝つための経営学』。実務・専門なら『サッカー×M&A入門』や『スポーツマネジメント入門』。ここを混ぜると、読者は選び間違える。
Jリーグ型と欧州型、二つの経営モデルをどう比べるか
橘ナナミ
放映権の分配とか、Jリーグと欧州リーグの構造の違いも知りたいです。
佐藤メバル
そこは『サッカービジネスの基礎知識』が強い。プレミアリーグの誕生とマードック化現象、UEFAチャンピオンズリーグの誕生、ビジネスモデル化、つまりグローバリズム導入の流れが追える。Jリーグの制度設計と並べると、同じサッカーでも設計思想がまったく違うと分かる。
橘ナナミ
Jリーグは地域密着、欧州はグローバル資本、という対比ですか?
佐藤メバル
きれいに対比できる。Jリーグ側は『Jリーグが追求する「地域密着型クラブ経営」』が、大学とのパートナーシップによる日本独自のモデルを論じている。欧州側は『大宮アルディージャはなぜ外資に買収されたのか?』で、どこまでが地域で、どこからが資本なのかを考えさせられる。
失敗と育成、そして最新の動向まで押さえる
橘ナナミ
失敗事例から学ぶ視点も欲しいです。
佐藤メバル
『サッカービジネスの基礎知識』には、ISLとキルヒの破綻、いわゆるサッカーバブルの崩壊が扱われている。『サッカー×M&A入門』は、横浜フリューゲルスや、クラブを「つぶさない」ためのM&Aという論点も持っている。成功談だけ読むと危ういんだよね。
橘ナナミ
育成やアカデミーのビジネス視点は?
佐藤メバル
『エクストリームフットボール』が、レッドブルグループの育成革新やリーフェリングという「学び舎」に触れている。『大宮アルディージャはなぜ外資に買収されたのか?』も、最先端の育成とクラブ経営哲学を解き明かす。選手を資産として捉える視点は、財務の本とセットで読むと立体的になる。
橘ナナミ
最新の動向も気になります。
佐藤メバル
『日本サッカー産業論』は、映像・データ・AI・メディアをつないで日本サッカー全体を産業システムへ変える構想を描く。目標地点から逆算する設計図だ。こうした新しい視点の本と、広瀬一郎や西崎信男のような定番の教科書を、往復しながら読むのがいい。
よくある質問
サッカー経営の勉強はどの本から始めればいい?
橘ナナミ
サッカー経営の勉強はどの本から始めればいいについて教えてください。
佐藤メバル
まずは全体像がつかめる一冊から始めるのがおすすめです。『サクッとわかる ビジネス教養 サッカーの経済学』は年俸や移籍のお金の流れをビジュアル中心で解説しており、『海外のサッカーはなぜ巨大化したのか』は起源から欧州クラブ経営までを平易にたどれます。専門用語の前に地図を頭に入れると、その後の財務書がぐっと読みやすくなります。
サッカービジネスに転職したい人におすすめの本は?
橘ナナミ
サッカービジネスに転職したい人におすすめの本はについて教えてください。
佐藤メバル
業界の共通言語を押さえるなら『スポーツマネジメント入門〔第2版〕』や『スポーツ・マネジメント入門〔第2版〕 24のキーワードで理解する』が土台になります。実務の数字作りを学ぶなら、ファジアーノ岡山を成長させた著者による『スポーツチームの経営・収入獲得マニュアル』が具体的です。面接で語れる言葉を持つという意味でも、教科書を一冊通しておく価値は大きいです。
サッカー経営初心者でも読める入門書はどれ?
橘ナナミ
サッカー経営初心者でも読める入門書はどれについて教えてください。
佐藤メバル
『サクッとわかる ビジネス教養 サッカーの経済学』はビジュアル中心で最も入りやすい一冊です。物語として読める『天日干し経営』や『古都鎌倉に「みんなのスタジアム」を作ったサッカークラブの物語』も、専門知識なしでクラブ経営の現場感覚に触れられます。肩肘を張らずに読み始めるのが長続きのコツです。
Jリーグのクラブ経営がわかる本のおすすめは?
橘ナナミ
Jリーグのクラブ経営がわかる本のおすすめはについて教えてください。
佐藤メバル
制度設計から学ぶなら『サッカービジネスの基礎知識 「Jリーグ」の経営戦略とマネジメント 増補改訂版』が軸になります。現場の実録としては『弱くても稼げます シン・サッカークラブ経営論』や『天日干し経営』、『神主さんがなぜプロサッカーチームの経営をするのか』が読み応え十分です。地域密着のモデルを深掘りしたいなら『Jリーグが追求する「地域密着型クラブ経営」』も外せません。
欧州サッカーの経営・マネタイズがわかる本は?
橘ナナミ
欧州サッカーの経営・マネタイズがわかる本はについて教えてください。
佐藤メバル
『なぜレアルとバルサだけが儲かるのか?』は、クラブ経営に魔法は存在しないという視点から収益構造を考えさせられます。巨大資本の戦略史を追うなら『エクストリームフットボール』が、レッドブルグループのグローバル展開を描いています。ドイツやイングランドのクラブ経営を平易に解説する『海外のサッカーはなぜ巨大化したのか』も、入門として頼れる一冊です。
サッカーのマーケティング本で定番はどれ?
橘ナナミ
サッカーのマーケティング本で定番はどれについて教えてください。
佐藤メバル
『プロスポーツビジネス 私たちの成功事例』は、マーケティング、スポーツデータリサーチ、スポーツツーリズム、放映権ビジネスなど各分野の実務家の声を集めた一冊で、現場の具体例が豊富です。理論の骨格を押さえるなら『スポーツ・マネジメント入門〔第2版〕 24のキーワードで理解する』が、スポーツビジネスの特徴を一般マネジメントとの違いから整理しています。
サッカークラブのM&Aや買収がわかる本はある?
橘ナナミ
サッカークラブのM&Aや買収がわかる本はあるについて教えてください。
佐藤メバル
本格的に学ぶなら『サッカー×M&A入門』が最適です。クラブはいくらで買えるのか、価格はどう決まるのかを、企業価値評価やコントロール・プレミアムの考え方から解説しています。事例として読みやすいのは『大宮アルディージャはなぜ外資に買収されたのか?』で、外資参入の背景と意味を追えます。価格の裏側を知ると、ニュースの見方が変わります。
サッカーのデータ分析・アナリティクスの本は?
橘ナナミ
サッカーのデータ分析・アナリティクスの本はについて教えてください。
佐藤メバル
データ分析を正面から扱う単独の入門書はまだ多くありませんが、『サッカー×M&A入門』は上場クラブの市場データや財務データを用いた分析が中心にあり、数字でクラブを見る訓練になります。産業全体のデータ活用構想を知るなら『日本サッカー産業論』が、映像やデータをつないで育成へ循環させる設計図を描いています。財務書とセットで読むと理解が深まります。
まとめ
橘ナナミ
今日、思った以上に本の層が厚くて驚きました。戦術本だけじゃないんですね。
佐藤メバル
そう。ピッチの外にも、もう一つの試合がある。それがサッカー経営なんだよ。
橘ナナミ
私、まずは『サクッとわかる ビジネス教養 サッカーの経済学』から入って、それから財務の本に挑戦してみます。
佐藤メバル
いい順番だと思う。いきなり専門書で心を折るより、地図を掴んでから数字に入る。書店員時代、遠回りに見える読者が、結局いちばん深く理解していたよ。
橘ナナミ
遠回りが近道、ですね。
佐藤メバル
うん。そして本を読んだあとに試合や移籍ニュースを見ると、景色が変わる。あの移籍金はこう決まったのか、あのクラブはなぜ買われたのか。ニュースが「答え合わせ」になるんだ。
橘ナナミ
なるほど……! 経営の本って、サッカーをもう一度好きになるための、もう一つの応援の仕方なのかもしれないですね。
佐藤メバル
そうだね。経営の本は、スタジアムの外からピッチを照らす照明のようなものだ。ピッチの上だけを見ていた人に、その光がクラブの成り立ちや街まで見せてくれる。まずは一冊、光を当ててみよう。
