サッカーの理論を学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
「サッカー 理論 本」で検索したら、戦術、データ分析、心理学、クラブ経営……って種類が多すぎて、最初の一冊が選べなくなってしまいました。
佐藤メバル
それ、すごく健全な迷い方だよ。サッカーの理論書は大きく戦術理論・データ分析・心理学・マネジメントの4領域に分かれている。同じ「理論」でも、答えようとしている問いがまったく違うんだ。
橘ナナミ
4領域! 全部読まないと理解できないんでしょうか。
佐藤メバル
全部じゃない。順番は「目的」で決まる。観戦を深めたいのか、コーチとして現場で使いたいのか、自分が上手くなりたいのか、数字を読みたいのか。ここを決めずに買うと、僕が書店員時代にやったように、分厚い理論書が本棚のオブジェになる。
橘ナナミ
その失敗、他人事じゃないです……。
佐藤メバル
だから今日は、僕が棚を作ってきた感覚で、選び方の軸を6つに整理しよう。
サッカーの理論を学べる本の選び方
目的別——観戦/指導/プレー/データ
橘ナナミ
まず目的別だと、どう変わります?
佐藤メバル
観戦を深めるなら小澤一郎『サッカー戦術の教科書 プレーモデルが試合を決める』。4局面をチーム・グループ・個人に分けて解説し、QRコードの動画で動きまで確認できる。岩政大樹『サッカーシステム大全』は基本形と派生形でシステムを整理していて、ボールから目を離して観る習慣がつく。
橘ナナミ
指導に活かすなら?
佐藤メバル
松田浩『サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論』。Jリーグ監督時代に実際に使っていた対戦相手の分析ノートやトレーニングメニューが公開されている。現場で「明日から使う」前提の本だね。プレーを上げたい人は坪井健太郎『サッカーの新しい教科書』が向いている。戦術を「問題を解決する行為」として捉え直す内容で、読みながら自分のプレーを思い返す形になる。
レベル別——入門/中級/上級
橘ナナミ
難易度の見分け方も知りたいです。
佐藤メバル
入門は図解と短文のもの。『5レーン理論だけ見ればポジショナルプレーは分かる』は「なぜ同じ場所に立つのか」から入るので、戦術用語が初めてでも着いていける。『戦術のリアル』も基礎から応用まで段階的に並んでいる。
橘ナナミ
中級は?
佐藤メバル
GOAT『サッカー戦術の黄金則』は12の理論と4局面、8つの陣形を動画とセットで扱うので、テキストだけでは埋まらない穴を補える。上級はジョルジュ・コウト・レイス『戦術的ピリオダイゼーション再考』のような600ページ級、あるいは西部謙司『戦術に関してはこの本が最高峰』のように思想を追う一冊だ。
理論の種類別——戦術史/ポジショナル/データ/心理
橘ナナミ
種類ごとの代表も知りたいです。
佐藤メバル
戦術史なら西部謙司『サッカー戦術クロニクル』。トータルフットボールを軸に、フォーメーションより前段階の「なぜその配置になったか」を追う。ポジショナルなら結城康平『欧州サッカーの新解釈。ポジショナルプレーのすべて』、その先へ進むならアレッサンドロ・フォルミサーノ『モダンサッカー3.0』で「ファンクショナルプレー」まで流れがつかめる。
橘ナナミ
データ分析と心理学は?
佐藤メバル
データは『ワールドサッカー チーム戦術の科学』。ワールドカップのデータ解析から攻守の傾向を読む構成で、数字と戦術の接点が分かる。心理の側から入るなら河内一馬『競争闘争理論』で、「競う」と「闘う」を分けて考える視点が得られる。
形式別——図解本と翻訳書の読みやすさ
橘ナナミ
翻訳書はやっぱり難しいですか?
佐藤メバル
翻訳書は用語の訳が独特なことがある。『戦術の教科書』はイギリスの戦術史家ジョナサン・ウィルソンによるもので、歴史の文脈から入るので読み物として進む。逆に『モダンサッカー3.0』は短い対比で畳みかける構成だから、翻訳でもテンポよく読める。図で把握したいなら『戦術のリアル』や『サッカーシステム大全』が向いている。
入手性——価格帯・電子書籍・絶版
橘ナナミ
予算や入手しやすさも気になります。
佐藤メバル
価格は幅がある。『戦術リストランテVI』のように手頃に手に取れるものから、『戦術的ピリオダイゼーション再考』のような専門書まで。電子版がある本も多いけれど、紙だけの本もあるから購入前に確認してほしい。『TACTICS VIEW』はタブレットなど大きな画面で読む前提の作りなので、スマホ中心の人は注意。絶版になっているものは古書店や図書館も選択肢になる。
著者属性——指導者/ジャーナリスト/書き手
橘ナナミ
著者の立場でも読み味が違いますか?
佐藤メバル
大きく違う。坪井健太郎や林舞輝、河内一馬のように現場で指導する人の本は、判断の基準が「使えるかどうか」になる。結城康平のように海外文献を読み解いて紹介する書き手は概念の整理が丁寧。ジョナサン・ウィルソンのようなジャーナリストは歴史の流れで語る。同じ戦術でも、誰の視点で書かれたかで得られるものが変わる。
サッカーの理論を学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
サッカーの理論を学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

サッカーの新しい教科書 戦術とは問題を解決する行為である
坪井健太郎 著|カンゼン
書名がそのまま主張です。戦術とは問題を解決する行為である——流行の形を覚える本ではありません。スペインで指導する現役指導者・坪井健太郎が、育成大国の視点から、どんなサッカーにも通用するベーシックな戦術の知識を基本から実戦方法まで解き明かします。第1章で戦術を定義し、第2章で試合を戦術的に見る方法、第3章で戦術コンセプト、第4章でトレーニングメソッド論へ。目の前の流行に一喜一憂せず背景を押さえる構成が持ち味で、ポジショナルプレー解説とは違い、土台づくりに徹した一冊です。
こんな人におすすめ
これから戦術を学び始める観戦者、育成年代のコーチ、選手として戦術眼を養いたい人。流行の戦術名を覚える前に、そもそも戦術とは何かを自分の言葉で説明できるようになりたい場面に向きます。
良い点
- スペイン視点で基本から固められる
- 戦術の定義から丁寧に積み上げる
- トレーニング論まで届く構成
気になる点
- 最新トレンドの速報性は薄い
- 実戦経験者には物足りない面も
- 図解の量は実物で確認したい
出版社
カンゼン
発売日
2014年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「戦術とは問題を解決する行為」……タイトルからして、戦術を型として暗記する本ではなさそうですね。スペインで指導している方なんですか?
佐藤メバル
そう、現役の指導者・坪井健太郎が、育成大国スペインの視点で書いた一冊だよ。世界をリードするスペインの考え方を土台に、日本サッカーが強くなるための戦術の真理論を、基本から実戦方法まで解説している。
第1章で戦術とは何かを定義して、第2章で試合を戦術的に見る方法、第3章でコンセプト、第4章でトレーニング論へ進む流れなんだ。
橘ナナミ
なるほど、いきなり戦術名を暗記するんじゃなくて、まず戦術とは何かから始まるんですね。観戦するだけの私でもついていけますか?
佐藤メバル
そこがこの本の狙いでね。目に見えるトレンドに一喜一憂するのではなく、背景にある事柄をしっかり押さえて、どのサッカーにでも通用するベーシックな知識を解き明かす、というスタンスなんだ。
観戦が好きな人も、育成年代のコーチも、まずここから読むと後が楽になるよ。

新・サッカー戦術論
戸塚啓 著|成美堂出版
¥2,256(税込)
成美堂出版から出た255ページの戦術論で、著者は戸塚啓。書名に「新」を冠しているぶん、それ以前に語られてきた戦術の枠組みを踏まえた上で何を更新するのかが読みどころになります。厚みがあるので一気に通読するより、章ごとに辞事典として引く使い方が向く分量です。当編集部には内容の詳細な確定情報が届いていないため、ここでは書名・著者・出版社・造本から読み取れる範囲で紹介します。ポジショナルプレー系の解説書を読んだ後に、視点の違いを比べる相手として置くのがおすすめです。
こんな人におすすめ
戦術論をすでに何冊か読んでいて、視点の更新を確かめたい人。通読より辞事典的に引く使い方をしたい人や、本棚に戦術本の比較軸を増やしたい指導者・観戦者に向きます。
良い点
- 「新」版として比較軸になる
- 辞事典的に引ける厚みがある
- 同テーマ本の読み比べ相手になる
気になる点
- 内容の確定情報が限られる
- 通読には覚悟がいる厚み
- 図版の有無は実物で確認を
出版社
成美堂出版
発売日
2010年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「新・サッカー戦術論」って、タイトルの「新」は何が新しいんでしょう? 255ページって結構な厚さですよね。
佐藤メバル
いいところに目をつけたね。ただ正直に言うと、この本は内容紹介が編集部に届いていなくて、確定しているのは著者が戸塚啓、成美堂出版、255ページ、価格ということだけなんだ。
だから僕が「ここが新しい」と断定するのはフェアじゃない。書名の「新」が改訂なのか新しい切り口なのかは、実物を開いて確かめてほしい。
橘ナナミ
なるほど、そうやって正直に言ってもらえると逆に信頼できます。じゃあ、どういう人に向けて棚に置けばいいですか?
佐藤メバル
戦術論を何冊か読んだ人が、視点の更新を確認する相手として置くのがいいと思う。厚みがあるから通読より辞事典的に引く使い方だね。
同じ棚に並ぶポジショナルプレー系の本と読み比べると、違いが見えやすいよ。

サッカーの戦術: 現代サッカーの理論とトレーニング (講談社スポーツシリーズ)
二宮寛 著|講談社
講談社スポーツシリーズの一冊で、著者は二宮寛、228ページ。サブタイトルに「現代サッカーの理論とトレーニング」と掲げている通り、理屈と現場の練習を切り離さずに扱おうとする姿勢が書名から読み取れます。内容の詳細な確定情報は届いていないため、ここでは叢書名・書名・造本から読み解ける範囲で紹介します。戦術の定義から入る本、実践編として書かれた本と並べたとき、理論と練習の橋渡しという位置づけが見えてくるタイプ。目次を開いて、扱う年代と範囲を自分の関心と突き合わせてから選ぶのが確実です。
こんな人におすすめ
理屈を学んだあとに、なぜその練習をするのかまで繋げたい指導者・コーチ。理論と練習を往復して理解したい人や、叢書でまとめて棚を揃えたい読者に向きます。
良い点
- 理論と練習を一冊で掲げている
- 叢書なので書店で探しやすい
- 228ページで扱いやすい分量
気になる点
- 中身の構成は実物で確認を
- 扱う年代は目次で要確認
- 図解の量は実物次第
出版社
講談社
発売日
1972年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「講談社スポーツシリーズ」って、棚で見かける叢書のことですよね。サブタイトルに「理論とトレーニング」とあって、その両方を一冊で扱うタイプなんですか?
佐藤メバル
そう、その叢書の一冊で、著者は二宮寛、228ページ。サブタイトルが示すように「現代サッカーの理論」と「トレーニング」を並べて掲げている。
ただ、この本も内容紹介が届いていないから、中身の構成を僕が断定することはできない。書名が示す狙いを確かめたい人は、実物を開いて章立てを見るのが一番早いよ。
橘ナナミ
なるほど、書名から何を期待するかを自分で決めてから開くわけですね。理屈だけの本と練習だけの本、どちらが先ですか?
佐藤メバル
僕は理屈が先だと思う。なぜその練習をするのかが分かっていないと、メニューはただの作業になるからね。理論とトレーニングを一冊で掲げる本は、その行き来を助けてくれる。
戦術の定義から入る坪井健太郎の一冊と、実践編の山口遼の一冊の間に置くと、位置づけが見えやすいよ。

「サッカー」とは何か 戦術的ピリオダイゼーションvsバルセロナ構造主義、欧州最先端をリードする二大トレーニング理論 (footballista)
林舞輝 著|ソル・メディア
¥2,772(税込)
ポルト大学で学んだ異色の監督・林舞輝が、戦術的ピリオダイゼーションとバルセロナ構造主義という欧州最先端の二大トレーニング理論を正面から扱う272ページ。理論を対立軸として並べることで、自分のチームならどちらが効くかを考えさせる構成です。プロフィールにはイギリスの大学でスポーツ科学を首席卒業、チャールトンFCのアカデミーでコーチ、ポアビスタのBチームでアシスタントコーチ、奈良クラブのGMを経て監督、と現場の経験が並びます。Jリーグ関係者からお父さんコーチまで、という実用書としての性格が際立つ一冊です。
こんな人におすすめ
指導者として、理論を信者になる前に対立軸で見ておきたい人。自分のチームならどちらが効くかを判断したいJリーグ関係者から育成年代のお父さんコーチまで幅広く向きます。
良い点
- 二大理論を対立軸で見せる
- 著者の現場経験が濃い
- 指導者向けの実用書になっている
気になる点
- 理論の前提知識があった方が良い
- 272ページは覚悟が要る
- 経歴は執筆時点の情報
出版社
ソル・メディア
発売日
2020年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
25歳でJリーグクラブの監督……しかもポルト大学で学んだ人なんですか。同い年くらいなのに、すごいです。
佐藤メバル
林舞輝、1994年生まれ。イギリスの大学でスポーツ科学を首席で卒業して、在学中にチャールトンFCのアカデミーとスクールでコーチをした人だよ。
2017年からポルト大学の大学院に進み、同時にポアビスタのBチームでアシスタントコーチを務めて対戦相手の分析と対策を担当した。
この本は欧州最先端の二大トレーニング理論を正面から扱う272ページなんだ。
橘ナナミ
二つを並べるって、どちらか一派に肩入れする本ではないんですね。お父さんコーチにも必要、という言葉も気になります。
佐藤メバル
そこが実用書たるゆえんだね。片方の信者になる前に両方を見ておくと、指導の引き出しが増える。同じテーマなら、600ページで原理を掘る本や、イワシの群れの比喩から入る実践編と読み比べると違いがはっきりするよ。

モダンサッカー3.0 「ポジショナルプレー」から「ファンクショナルプレー」へ (footballista)
アレッサンドロ・フォルミサーノ 著|ソル・メディア
¥1,742(税込)
「信じている常識はすでに180度変わっている」——この本は、その常識を×と○で並べて見せていきます。監督の戦術をチームに植えつける、から、選手間の創発現象からゲームモデルを作る、へ。3つの優位性がポジショナルプレーの基本、から、関係的優位と機能的優位が重要、へ。明確なゲームプランを立てる、から、状況の変化に対応できる適応力を磨く、へ。学んだ用語の一つ先を渡してくれる288ページで、イタリアの若手理論派が提唱する新しいパラダイムです。
こんな人におすすめ
ポジショナルプレーを一通り学び、その次の議論に進みたい指導者・観戦者。決まった形の成否ではなく適応力を見たい人や、戦術の常識を一度疑ってみたい人に向きます。
良い点
- 常識の更新点が一覧で見える
- 次の理論へ橋を架けてくれる
- 288ページで論点が多い
気になる点
- 前提知識がないと重い
- 抽象度が高く感じる場面もある
- 用語の整理は別途必要
出版社
ソル・メディア
発売日
2023年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「あなたが信じているサッカーの常識はすでに180度変わっている」って、だいぶ強い言葉ですよね。本当に変わってるんでしょうか。
佐藤メバル
この本は、その常識を×と○で並べて見せていく構成なんだ。監督の戦術をチームに植えつける、から、選手間の創発現象からゲームモデルを作る、へ。
3つの優位性に加えて関係的優位と機能的優位が重要になる、とね。明確なゲームプランを立てるより、状況の変化に対応できる適応力を磨く、という方向に舵を切っている。
橘ナナミ
プランを立てるな、と言われると不安になります。観戦する側にも同じ変化が起きているんですか?
佐藤メバル
観る側にも効くよ。決まった形がうまくいったかではなく、選手たちが状況にどう適応したかを見るようになる。
ポジショナルプレーを学んだ次の一歩として読む人が多い本で、入門書と並べると、どこが更新点なのかがよく見えるよ。

欧州サッカーの新解釈。ポジショナルプレーのすべて (footballista)
結城康平 著|ソル・メディア
¥1,760(税込)
1990年生まれのライター・結城康平が、ポゼッションではなくポジションの支配、5レーン理論によるハーフスペースの有効活用、数的優位・質的優位・位置的優位の3つの優位性という形で、グアルディオラが言語化した概念を253ページで解剖します。まえがきにはこうあります。> 戦術が「地図」ならポジショナルプレーは「コンパス」だ。複雑な思想を学ぶことで世界の切り取り方が変わるという体験を、読者と共有しようとする一冊です。
こんな人におすすめ
ポジショナルプレーという言葉だけ知っていて、中身を体系的に押さえたい人。他概念が突然クリアに浮かぶ感覚を味わいたい観戦者や、指導の語彙を増やしたいコーチに向きます。
良い点
- ポジショナルプレーを網羅できる
- 5レーンと優位性を整理できる
- 特別インタビューで現場も見える
気になる点
- 用語の密度が高い
- 入門書の次に読む一冊
- 図解は実物で確認したい
出版社
ソル・メディア
発売日
2019年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ポジショナルプレーのすべて」って、すべてと言い切るのがすごいです。結城康平という人は、どんな書き手なんですか?
佐藤メバル
1990年生まれのライターで、海外サッカー専門誌で連載を持ちながら、翻訳・通訳・編集と何でもやる人。
スコットランドの大学院で培った英語文献を読み解く力を使い、欧州最先端の戦術研究に独自の視点で入っていった。
まえがきにはこうあるよ。> 戦術が「地図」ならポジショナルプレーは「コンパス」だ。
橘ナナミ
地図とコンパス……なんとなく分かる気がします。5レーン理論やハーフスペースの話も出てくるんですよね。
佐藤メバル
そう。ポゼッションではなくポジションの支配、5レーン理論によるハーフスペースの有効活用、数的優位・質的優位・位置的優位の3つの優位性。
この概念を日本のサッカー論談に持ち込んできた側の一人が253ページで整理している。ベガルタ仙台の渡邉晋監督の特別インタビューも収録されていて、現場の言葉と理論の往復ができるよ。

サッカー戦術の教科書 プレーモデルが試合を決める
小澤一郎 著|マイナビ出版
¥1,804(税込)
攻撃・ネガティブトランジション・守備・ポジティブトランジションという4局面を、チーム戦術・グループ戦術・個人戦術に区別して、ピッチ上の現象として解説する160ページ。問題が起きたときにどう処理するか、その手段が戦術だという立て方なので、観る側にもプレーする側にも腹落ちしやすい。QRコードから飛べる動画で補足解説が聞け、最後には2010-11シーズンのクラシコの戦術解説も収録。試合を見て、解説ページを読み、動画を見る、という順番で楽しめる設計です。
こんな人におすすめ
4局面という言葉を、試合を見ながら自分のものにしたい観戦者。短い一冊で戦術の見取り図を持ちたい選手・指導者や、育成年代から戦術を教えたい人に向きます。
良い点
- 4局面を短く整理できる
- 動画で補足が付いてくる
- クラシコ解説まで収録
気になる点
- 160ページで物足りない人もいる
- 高度な論点は別途必要
- 動画視聴の環境が要る
出版社
マイナビ出版
発売日
2024年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
小澤一郎のプレーモデルの本、160ページと薄めですよね。4局面ってよく聞きますけど、薄い本で足りるんでしょうか。
佐藤メバル
薄さが武器だよ。攻撃・ネガトラ・守備・ポジトラの4局面を、チーム戦術・グループ戦術・個人戦術に分けて、ピッチで起きている現象として解説していく。
サッカーのゲーム中には必ず問題が起きて、それを処理する手段や行為が戦術と呼ばれる、という立て方なんだ。
橘ナナミ
QRコードから動画で補足も見られるんですよね。文章と動画の両方があると、理解が早そう。
佐藤メバル
そう、QRコードから飛べる動画でさらに詳しい解説が聞ける。最後には2010-11シーズンのクラシコの戦術解説も入っていて、試合を見て、解説ページを読んで、動画を見る、という順番で楽しめるようになっている。
Appendixで育成年代から始めようと呼びかけているところまで含めて、入口としてよくできているよ。

戦術的ピリオダイゼーション再考 「モルフォシクロ」の体系的な反復がサッカー選手を最適化させるのはなぜか?
ジョルジュ・コウト・レイス 著|カンゼン
¥3,300(税込)
モルフォサイクルとは、試合と試合の間のトレーニングサイクルのこと。この本は、その期間でどうアイデンティティのあるフットボールを構築していくかという原則を、科学的にとことん掘り下げた600ページです。理論の原典に近い側から積み上げる一冊で、戦術的ピリオダイゼーションの生みの親であるヴィトール・フラーデ教授の指導のもと、パコ・セイルーロ教授が監修した、日本で初めてとなる正真正銘の解体新書と位置づけられています。実践の入り口として書かれた本とは、役割がはっきり違います。
こんな人におすすめ
実践の前に理論の骨格を頭に入れておきたい指導者・研究者志望の読者。座って時間をかけて原理から理解したい人や、理論の系譜を自分の言葉で説明したい人に向きます。
良い点
- 原理から掘り下げる600ページ
- 監修者が理論の系譜に強い
- 用語の原典に近い水準
気になる点
- 通読はかなり大変
- 価格も分量も重い
- 実践の入口は別途必要
出版社
カンゼン
発売日
2025年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
600ページ、3300円。これ、読み切れる人っているんでしょうか……。
佐藤メバル
全部を一日で読む本じゃないよ。試合と試合の間のトレーニングサイクルをモルフォサイクルと呼ぶけれど、その期間でどうアイデンティティのあるフットボールを構築するかを、科学的にとことん掘り下げた一冊なんだ。
戦術的ピリオダイゼーションの生みの親であるヴィトール・フラーデ教授の指導のもと、パコ・セイルーロ教授が監修している。
橘ナナミ
監修がつくということは、解説本ではなくて原典に近いものなんですか?
佐藤メバル
帯には日本で初めてとなる正真正銘の戦術的ピリオダイゼーション解体新書とある。実践の入り口として書かれた本とは役割が違うんだ。
同じテーマを対立軸で読むなら林舞輝の一冊、トレーニング現場から入るなら山口遼の一冊。時間を確保して、じっくり座って読む一冊だよ。

「戦術脳」を鍛える最先端トレーニングの教科書 欧州サッカーの新機軸「戦術的ピリオダイゼーション」実践編 (footballista)
山口遼 著|ソル・メディア
¥1,760(税込)
神秘的なイワシの群れは、周囲の仲間と適度な距離を保つ、進む方向とスピードを合わせる、仲間が多い方向へ向かう、という単純な指令で成立している。この「考えない」でプレーできる群れの秘密を入口に、複雑系とシステム思考から戦術的ピリオダイゼーションへ入っていく268ページです。比喩から理論へ引き上げる語り口が独特で、ゲームモデルで読み解く新しい観戦術のすすめまで届きます。ゾーンディフェンスの理想像として同じイワシの比喩を使う本と読み比べると、比喩の使い分けも面白い。
こんな人におすすめ
理論書の硬い入口が苦手で、たとえ話から入りたい観戦者・指導者。観る側の視点から戦術的ピリオダイゼーションに触れたい人や、チームの自発性に関心がある人に向きます。
良い点
- 比喩から入るので読みやすい
- 観戦術としても使える
- 複雑系の視点が新鮮
気になる点
- 比喩の意図を追う根気が要る
- 理論の前提は別途補いたい
- 268ページは軽くない
出版社
ソル・メディア
発売日
2020年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
イワシの群れの話から戦術の本が始まるって、すごく不思議なんですけど……。
佐藤メバル
神秘的なイワシの群れは、周囲の仲間と適度な距離を保つ、進む方向とスピードを合わせる、仲間がたくさんいる方向へ向かう、という単純な指令で成立している。
この考えないでプレーできる群れの秘密を入口に、複雑系とシステム思考から戦術的ピリオダイゼーションへ入っていく268ページなんだ。
橘ナナミ
考えるな、と言われると余計に考えてしまいそうです。書いた人は研究者なんですか?
佐藤メバル
山口遼、1995年生まれで、鹿島アントラーズのユースから東京大学ア式蹴球部へ進み、2018年から指導者に転じて同部のヘッドコーチ、2020年から監督。
関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドのコーチも兼任しながら、戦術的ピリオダイゼーションを実践する指導者として注目されている。観戦術の側からも読めるのが面白さだよ。

戦術に関してはこの本が最高峰: これぞサッカ-の「戦術学」全世界30クラブ解体新書
西部謙司 著|東邦出版
¥2,916(税込)
書名で「戦術に関してはこの本が最高峰」と言い切り、副題に「これぞサッカーの戦術学」と掲げる253ページ。全世界30クラブを解体新書として扱う構成です。特定のクラブの形を戦術の言葉で説明できるようになるのが狙いで、フォーメーションの話に終始せず、クラブごとの考え方を積み上げていきます。著者の西部謙司はこのリストに3冊入っており、戦術史を追う本、二大潮流を対比する対談本、そしてこのクラブ別分析本と役割が分かれているのも面白いところです。
こんな人におすすめ
好きなクラブや気になるクラブのサッカーを、感覚ではなく言葉で説明したい観戦者。辞書的に何度も引きたい指導者・分析好きな読者に向きます。
良い点
- 30クラブを横断して比較できる
- クラブごとの考え方が残る
- 戦術の辞書として使える
気になる点
- 価格はやや高め
- 通読より参照向き
- 図版の量は実物で確認を
出版社
東邦出版
発売日
2008年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「戦術に関してはこの本が最高峰」って、書名でそこまで言い切る本、初めて見ました。
佐藤メバル
西部謙司の本だね。副題に「これぞサッカーの戦術学」とあり、全世界30クラブを解体新書として扱う253ページ。
この人はこのリストに3冊入っていて、戦術の変遷を追う本、ストーミングとポジショナルプレーを扱う対談本、そしてこのクラブ別の分析本、と役割が分かれているんだ。
橘ナナミ
同じ人が3冊……読み比べる前提で選ぶと面白そうですね。この本はどういうときに開く本ですか?
佐藤メバル
特定のクラブの形を、戦術の言葉で説明できるようになりたいときだね。フォーメーションの話に終始せず、クラブごとの考え方を積み上げていくタイプだよ。
値は張るけれど、辞書的に何度も引く前提なら納得の一冊だと思う。

ワールドサッカー チーム戦術の科学 (洋泉社MOOK SPORTS SCIENCE)
洋泉社
洋泉社MOOKのSPORTS SCIENCEシリーズで、111ページ。データで見るロシアワールドカップ、攻撃戦術の科学、守備戦術の科学、ポジショニングの最新理論、コンビネーションとチーム戦術、フォーメーションとポジションの6パート構成です。試合を数字と図で切り分ける感覚を最初に掴むのに向いた分量で、攻撃のための積極的なディフェンス、パスを受けるテクニック、ポジションの取り方まで具体的に並びます。思想や歴史を深く知る本ではなく、観戦中の疑問に答える入門の一冊です。
こんな人におすすめ
観戦中に「今のは何だったんだろう」と思ったとき、すぐ答えを探したい初心者。データで試合を見る癖をつけたい人や、W杯のデータを手元に置いておきたい人に向きます。
良い点
- 6パートで論点が明快
- W杯データが収録されている
- 111ページで導入に最適
気になる点
- 思想や歴史の記述は薄い
- すぐ読み終わる分量
- 発行時期の情報である点
出版社
洋泉社
発売日
2018年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
洋泉社のMOOKで111ページ、ロシアワールドカップのデータが入っているんですね。薄いけど、内容は盛りだくさんに見えます。
佐藤メバル
6つのパートに分かれているよ。データで見るロシアワールドカップ、攻撃戦術の科学、守備戦術の科学、ポジショニングの最新理論、コンビネーションとチーム戦術、フォーメーションとポジション。
日本代表のW杯戦記も入っている。ゴールを決めるための攻め方、攻撃のための積極的なディフェンス、パスを受けるテクニックまで具体的だよ。
橘ナナミ
監督の話というより、プレーそのものの解説なんですね。観戦しながら開けそうです。
佐藤メバル
そう、観戦中に疑問が浮かんだときに開くと答えが見つかるタイプ。数字と図で切り分ける感覚を最初に掴むにはちょうどいい。
ただし111ページだから、戦術の歴史や思想を深く知りたい人には物足りない。入門の一冊として使うのがいいよ。

ワールドサッカーの戦術
瀧井敏郎 著|ベースボール・マガジン社
¥1,815(税込)
ベースボール・マガジン社から出た210ページ、著者は瀧井敏郎。当編集部には内容の詳細な確定情報が届いていないため、ここでは書名・著者・出版社・造本から読み解ける範囲で紹介します。書名の大きさと中身の範囲は必ずしも一致しないので、世界を横断して戦術を見る狙いなのか、特定の年代や地域に絞るのかを、目次で確かめてから選びたいところ。210ページという読み切れる分量と手頃な価格は、最初の一冊を探す人のハードルを下げてくれます。
こんな人におすすめ
世界のサッカーを横断して戦術を見渡したい入門者。まず一冊を読み切って自信をつけたい人や、クラブ別の分析本と横断型を読み比べたい読者に向きます。
良い点
- 210ページで読み切れる
- 書名から扱う範囲が想像できる
- 価格が手頃で手を出しやすい
気になる点
- 内容の確定情報が限られる
- 目次での確認が必須
- 深掘りは別の一冊が必要
出版社
ベースボール・マガジン社
発売日
1995年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
瀧井敏郎の「ワールドサッカーの戦術」、210ページで1815円。タイトルは王道ですけど、中身はどうなんですか?
佐藤メバル
正直に言うと、この本も当編集部に内容の確定情報が届いていない。分かっているのは著者が瀧井敏郎、ベースボール・マガジン社、210ページ、価格ということだけなんだ。
だから中身の構成を断定はできない。ただ210ページは読み切れる分量だし、書名からは世界のサッカーを横断して戦術を見る狙いが読み取れる。
橘ナナミ
なるほど。そういうときは、どうやって選べばいいんでしょう?
佐藤メバル
目次を開いて、自分の知りたい年代や国が入っているかを確認するのが一番早い。書名の大きさと中身の範囲は必ずしも一致しないからね。
クラブ別に解体する西部謙司の一冊と並べると、横断型か個別型かという違いが見えてくるよ。

戦術のリアル ~図解で分かるサッカーの戦術と理論~
加藤慶海 著|phase yap
スペインのパスサッカーは狭いエリアを突破するもの、オランダのものはピッチを広く使って空いているスペースを攻めるもの——同じ「パスサッカー」でも、選手間の距離をはじめポジショニングの取り方が違う。この違いから入り、7つの局面と4つの段階、基礎戦術の守備編・攻撃編、組織的な守備、ボールを運ぶ戦術、相手を崩す戦術、シュート、セットプレーまで積み上げます。日本では常識のプレーが欧州では非常識になり得るという視点が核の一冊です。
こんな人におすすめ
個人戦術の段階から組織戦術まで、一冊で階段を上りたい選手・指導者。日欧のプレー選択の違いを整理したい人や、セットプレーまで含めて網羅したい読者に向きます。
良い点
- 個人戦術から応用まで一冊で
- セットプレーまで網羅している
- 日欧の違いを突く視点がある
気になる点
- 前提知識がないと重い
- 図解前提の構成になっている
- 執筆時点の内容である点
出版社
phase yap
発売日
2015年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、スペインとオランダのパスサッカーは別物だというところから始まるんですか。同じパスサッカーでくくっていいと思ってました。
佐藤メバル
そこを突く本だね。スペインのものは狭いエリアを突破するもの、オランダのものはピッチを広く使って空いているスペースを効果的に攻めるもの。
選手間の距離など、ポジショニングの取り方からして違う。日本ではサイドバックやボランチの動きがブラジルの影響を強く受けているけれど、スペースに対するリスク管理の考え方が違う欧州ではアプローチが大きく違う部分もある、と書かれている。
橘ナナミ
日本では常識のプレーが欧州では非常識になり得る、という一文が気になります。個人の技術の話ではないんですね。
佐藤メバル
戦術理解度の差が大きな差になってしまう場合も少なくない、というのが著者の問題意識だよ。構成は7つの局面と4つの段階から始まって、守備編・攻撃編の基礎戦術、組織的な守備、ボールを運ぶ戦術、相手を崩す戦術、シュート、セットプレーまで。
個人戦術から応用まで一冊で上れるのが強みだね。

サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論
松田浩 著|カンゼン
¥2,530(税込)
日本サッカー協会の技術委員を務めた、ゾーンディフェンスのパイオニア・松田浩による304ページ。理想として水族館のイワシの群れがワッと動く動きを挙げ、選手全員が常に一個のボールに関わりながらボールホルダーに圧力をかける、と説きます。守備の主導権を握るのはあくまで守備者という哲学を軸に、なぜ4-4-2なのか、4-3-3や4-1-4-1の試行錯誤で見えた利点と欠点、クリティカルフェイズの捉え方まで踏み込みます。Jリーグ監督時代の分析ノートとトレーニングメニューを初公開しているのも貴重です。
こんな人におすすめ
攻撃の本ばかり読んできて、守備の原則を体系的に押さえたい指導者・選手。守備を耐える時間ではなく主導権を握る行為として捉え直したい人に向きます。
良い点
- 守備の哲学から学べる
- 分析ノートと練習を公開
- 4-4-2の理由まで踏み込む
気になる点
- 守備専門なので偏りが出る
- 304ページは覚悟が要る
- 攻撃の設計は別途必要
出版社
カンゼン
発売日
2015年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
304ページの守備の本……しかも超ゾーンディフェンス論。攻撃の本ばかり読んできたので、正直ここが一番の穴です。
佐藤メバル
松田浩は日本サッカー協会の技術委員を務めた、ゾーンディフェンスのパイオニアだよ。理想として水族館のイワシの群れがワッと動く動きを挙げていて、選手全員が常に一個のボールに関わりながらボールホルダーに圧力をかける、と説明する。
ボールに迂闊に飛び込まないことをボクシング・ムーブメントと呼んだりね。
橘ナナミ
イワシの群れ、さっき別の本でも出てきました。同じ比喩でも使い方が違うんですね。
佐藤メバル
そこが面白いところだよ。片方は複雑系の話として、こちらは守備の理想像として使っている。そしてJリーグの監督時代に実際に使っていた対戦相手の分析ノートやトレーニングメニューを初公開している。
守備の主導権は守備者が握るという哲学が軸で、なぜ4-4-2なのかまで踏み込む304ページだよ。

サッカー戦術の黄金則
GOAT 著|マイナビ出版
¥2,486(税込)
チャンネル登録者数20万人以上の人気YouTuber、GOATによる320ページ。12の理論、4つの戦術局面、4つのトランジション、8つの陣形という並べ方で、現代サッカーを読み解く言葉をひととおり揃えます。全項目に解説動画が付いていて、テキストで論理を理解し動画で腑に落ちるという往復ができるのが最大の特徴。動画つきの本は他にもありますが、こちらは補足ではなく全項目に動画がつく設計で、観戦者・指導者・プレイヤーの全部を読者に想定しています。
こんな人におすすめ
文字だけだと用語が頭に残りにくい観戦者。論理と映像を行き来しながら覚えたい人や、理論と陣形をまとめて手元に置きたい指導者・選手に向きます。
良い点
- 全項目に解説動画が付く
- 理論と陣形を一気に整理
- 語り口が平易で入りやすい
気になる点
- 動画視聴が前提になりがち
- 網羅的で浅く感じる面もある
- 320ページは持ち歩きに重い
出版社
マイナビ出版
発売日
2025年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
YouTuberの方が書いた戦術書なんですね。12の理論、4つの戦術局面、4つのトランジション、8つの陣形……数字が多いです。
佐藤メバル
チャンネル登録者数20万人以上の人気YouTuber、GOATによる本で、320ページ。全項目に解説動画が付いていて、テキストで論理を理解して、動画で腑に落とす、という設計になっているんだ。
サッカー観戦者、指導者、プレイヤー、全員必読というスタンスだよ。
橘ナナミ
動画つきの戦術書って他にもありましたよね。同じ作りなんですか?
佐藤メバル
そこは違いを見てほしい。小澤一郎の本はQRコードから補足解説が聞ける形で、こちらは全項目に動画がついてくる。
なにより12の理論、4つの局面、4つのトランジション、8つの陣形という並べ方で、現代サッカーを読むための言葉をひととおり揃えることを狙っている。
読む目が変わる、という触れ込みは伊達じゃないよ。

サッカー「BoS理論」 ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法
河岸貴 著|カンゼン
¥1,980(税込)
ドイツ・ブンデスリーガの名門シュトゥットガルトで指導者とスカウトを歴任した河岸貴が、日本には「ボールを奪うプレー」が足りていないという問題意識から書いた200ページ。守備を耐える時間ではなく、奪って攻める始まりとして捉え直す一冊です。敵陣・中盤・自陣と場所ごとにBallgewinnspielを分け、その循環まで扱う構成で、巻末には登場するドイツ語の一覧も付きます。ゾーンディフェンスの組織論とは違い、奪う行為そのものを局面ごとに分解しているのが特徴です。
こんな人におすすめ
守備を「守る」ではなく「奪う」という行為として学び直したい指導者・選手。ボール中心に考える視点を持ちたい人や、ドイツの考え方を知りたい読者に向きます。
良い点
- ボール奪取を局面で分解する
- ドイツ語一覧が巻末に付く
- 守備の見方が変わる
気になる点
- 守備中心なので偏る
- 用語の壁がやや高い
- 200ページに濃い内容
出版社
カンゼン
発売日
2023年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
BoS理論……ボールにオリエンテーションする、ということですよね。日本にはボールを奪うプレーが足りていない、という指摘が重いです。
佐藤メバル
河岸貴が、ドイツ・ブンデスリーガの名門シュトゥットガルトで指導者とスカウトを歴任した経験から書いた200ページだよ。
Ballgewinnspiel、ボールを奪うプレーに道筋をつける本で、敵陣・中盤・自陣と場所ごとに分けて、その循環まで扱う。
巻末には登場するドイツ語の一覧も付いている。
橘ナナミ
守備の本というと、さっきのゾーンディフェンスの本がありましたけど、何が違うんですか?
佐藤メバル
ゾーンディフェンスは組織の形と原則の話。こちらはボールを奪うという行為そのものを局面ごとに分解して、循環として捉える。
日本と世界は違う競技である、という強い書き出しから、読む側の前提を組み替えてくれるよ。

競争闘争理論 サッカーは「競う」べきか「闘う」べきか? (footballista)
河内一馬 著|ソル・メディア
団体競争と団体闘争はまったく違うものが求められるスポーツである——ここから始まる256ページ。競争闘争理論という枠組みを作り、ゲームにおける思考態度と思考回路、競争と闘争で保障されている権利、適切な精神的状態、個人で闘うか団体で闘うか、非言語のコミュニケーション、スポーツと感情、そしてなぜサッカーはカッコよくなければならないのか、まで進みます。戦術の型ではなく、なぜそのプレーを選ぶのかという根っこを言語化する異色の一冊です。
こんな人におすすめ
フォーメーションの話に飽きて、チームワークや感情の側からサッカーを考えたい指導者・観戦者。選手の思考態度を扱う言葉が欲しい人に向きます。
良い点
- 思考態度から掘り下げている
- 感情とチームワークを扱う
- 他の戦術書と毛色が違う
気になる点
- 戦術の型は学べない
- 抽象度が高い
- 実践手順は別途必要
出版社
ソル・メディア
発売日
2022年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「サッカーは競うべきか闘うべきか」……これ、戦術の本なんですか? 哲学書みたいに見えます。
佐藤メバル
河内一馬の本だね。団体競争と団体闘争はまったく違うものが求められるスポーツだ、というのが出発点。ゲームにおける思考態度と思考回路、保障されている権利、適切な精神的状態、個人で闘うか団体で闘うか、非言語のコミュニケーション、スポーツと感情、そしてなぜサッカーはカッコよくなければならないのか、まで進む256ページなんだ。
橘ナナミ
フォーメーションの話は出てこなさそうですね。どういう人が読む本なんでしょう?
佐藤メバル
戦術の型ではなく、なぜそのプレーを選ぶのかという根っこを考えたい人だね。著者は18歳で選手をやめて指導者の道へ進み、アジアとヨーロッパ約15カ国を視察、アルゼンチンの監督養成学校で3年間学んで南米サッカー連盟最高位のライセンスを取得している。
チームワークや感情を言語化する一冊として、他の戦術書と毛色が違うよ。

5レーン理論だけ見ればポジショナルプレーは分かる: なぜ強豪は“同じ場所”に立ち続けるのか? サッカーが急に分かるシリーズ (フットボール分析室)
LeoCosta 著|フットボール分析室
なぜ強豪は同じ場所に立ち続けるのか——WGは外に張る、インサイドハーフはハーフスペースに立つ、サイドバックは中へ入る。偶然ではなく設計図がある、という問いに5レーン理論から答える一冊です。難しい戦術書ではなく、次の試合でどこを見れば面白くなるかという視点を増やすための本だと明言しています。レーン被り、ハーフスペース、位置的優位、3-2-5、偽SBといった言葉を、マンチェスター・シティやアーセナル、バルセロナ、久保建英、サカ、ウーデゴールの実例と結びつけて整理します。
こんな人におすすめ
戦術書に何度も挑戦して挫折してきた観戦者。実例と結びつけて配置の意図を読めるようになりたい人や、シリーズを積み上げてきた読者に向きます。
良い点
- 5レーン理論に絞って入門できる
- 実例が豊富で具体的
- 観戦の見え方が変わる
気になる点
- シリーズ前提の接続部分もある
- 入門ゆえ物足りない面もある
- 図解は実物で確認を
出版社
フットボール分析室
発売日
2026年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「なぜ強豪は同じ場所に立ち続けるのか」——これ、観戦中にずっと思ってたことです。マンチェスター・シティやアーセナルを見ていても、なんで同じ形で崩せるんだろうって。
佐藤メバル
その問いに5レーン理論から答える本だね。WGは外に張る、インサイドハーフはハーフスペースに立つ、サイドバックは中へ入る。
偶然ではなく設計図があるんだ。難しい戦術書ではないと明言していて、次の試合でどこを見れば面白くなるか、その視点を増やすための一冊だよ。
橘ナナミ
シリーズの10冊目なんですね。1冊目から読まないとダメですか?
佐藤メバル
これまでのスペースやサイド攻撃、カウンタープレス、3-2-5、ハーフスペースといった知識が、最後に5レーン理論ですべてつながる作りになっている。
単体でも読めるけれど、積み上げてきた人ほど最後の接続が気持ちいい。久保建英やサカ、ウーデゴールの実例を交えながら読めるのも観戦者には嬉しいところだよ。

『サッカー戦術 × 鳩ノ巣原理』: ──現代サッカーを数学で完全に説明する──
坪井亙 著
巣より鳩が多ければ必ずどこかが過密になる——中学数学の鳩ノ巣原理ひとつで、ビルドアップも守備も3人目の動きもポジショナルプレーもプレッシングもカウンターもセットプレーも読み解こうとする本です。なぜ3対2は守れないのか、なぜ5レーンは必ず強いのか、なぜカウンターは止められないのか。すべての戦術を数的優位・位置的優位・身体的優位で統一し、どの章も鳩ノ巣原理で説明できる構造にすることを狙っています。
こんな人におすすめ
言葉で覚えるより理屈で納得したい読者。プレッシングや3人目の動きを数で説明できるようになりたい指導者・分析好きな観戦者に向きます。
良い点
- 数学で戦術を統一している
- なぜに答える構成になっている
- 共通言語を渡してくれる
気になる点
- 数学が苦手だと重く感じる
- 比喩に慣れが必要
- 実戦の手順は薄め
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
鳩ノ巣原理……中学数学ですよね。それで現代サッカーを完全に説明するって、本当なんですか?
佐藤メバル
巣より鳩が多ければ必ずどこかが過密になる、というあの原理だけで、ビルドアップも守備も3人目の動きもポジショナルプレーもプレッシングも、すべてを説明しようとする本なんだ。
なぜ3対2は守れないのか、なぜ5レーンは必ず強いのか、なぜカウンターは止められないのか。すべての戦術を数的優位・位置的優位・身体的優位で統一していく。
橘ナナミ
著者は坪井亙……あれ、このリストの最初にいた坪井健太郎とは別の方ですよね?
佐藤メバル
そう、別人だよ。同じ坪井でも、スペインで指導する坪井健太郎と、数学で戦術を組み立てる坪井亙。数字で納得したい人にはこの上なく相性がいい一冊だね。
ペーパーバックがおすすめされているから、手に取りやすい形を選ぶといいよ。

戦術リストランテVI ストーミングvsポジショナルプレー (footballista)
西部謙司 著|ソル・メディア
¥900(税込)
戦術リストランテの第VI巻にあたる336ページ。リバプールやライプツィヒが牽引するストーミングの支配と、シティやバルセロナが模索するポジショナルプレーの進化——欧州サッカーの未来を占う二大トレンドの深層を扱います。二項対立として整理することで、いま何が起きているのかが見えやすくなる構成で、レノファ山口の霜田正浩監督との特別対談も収録。理論の話が日本の現場の言葉に翻訳されるのが面白いところです。336ページで価格が抑えられているのも、シリーズものならではの利点です。
こんな人におすすめ
欧州の潮流を二項対立で整理して頭に入れたい観戦者。対談から現場の言葉も拾いたい指導者や、西部謙司の3冊を使い分けたい読者に向きます。
良い点
- 二大潮流の対比が明快
- 対談で現場の言葉も拾える
- 336ページで価格が手頃
気になる点
- シリーズ前提の内容である点
- 理論の前提知識が要る
- 発行時点の潮流である点
出版社
ソル・メディア
発売日
2020年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
西部謙司の「戦術リストランテVI」、336ページで900円。このボリュームでこの値段って、シリーズものだからですか?
佐藤メバル
そう、戦術リストランテの第VI巻だね。テーマはストーミング対ポジショナルプレー。リバプールやライプツィヒが牽引するストーミングの支配と、シティやバルセロナが模索するポジショナルプレーの進化、という二大トレンドの深層を、欧州サッカーの未来を占う形で扱っている。
橘ナナミ
対で並べるのと、モダンサッカー3.0のように次の段階に行くのと、どちらが先ですか?
佐藤メバル
好みでいいと思うけど、二項対立で整理したい人にはこちらが分かりやすい。レノファ山口の霜田正浩監督との特別対談も収録されていて、理論の話が日本の現場の言葉に翻訳されるのが面白いんだ。
西部謙司はこのリストに3冊あるから、クラブ別分析、戦術史、この二大潮流の対比、と役割を分けて棚に置くといいよ。

モダンサッカーの教科書Ⅳ イタリア新世代コーチと読み解く最先端の戦術キーワード (footballista)
レナート・バルディ 著|ソル・メディア
¥1,252(税込)
「最近の戦術論は難し過ぎてうんざり?」——その問いに応えるように、4局面フレームワークにキーワードを組み合わせて、欧州サッカー最前線のトレンドを整理していく256ページです。圧倒的人気のセリエAコーチが、複雑化する戦術を対話形式でほどいていくのが特徴で、指導者も観戦者も必携という立場。4局面という共通の枠を持っておくと、他の戦術書を行き来しやすくなります。同じ枠を違う言葉で整理している本と比べると、自分の理解の穴が見えてきます。
こんな人におすすめ
戦術書の用語量に疲れてしまった観戦者・指導者。対話の形でキーワードを整理し直したい人や、4局面の共通言語を持ちたい人に向きます。
良い点
- 対話形式で読みやすい
- 4局面で整理できる
- キーワードの地図になる
気になる点
- 深掘りは他書が必要
- 用語の確認は都度必要
- 256ページは軽くない
出版社
ソル・メディア
発売日
2022年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「最近の戦術論は難し過ぎてうんざり?」——この一文、完全に私のことです。イタリアの新世代コーチが書いたんですか?
佐藤メバル
レナート・バルディだね。4局面フレームワークにキーワードを組み合わせて、欧州サッカー最前線のトレンドを超わかりやすく整理していく。
セリエAのコーチが、複雑化するサッカー戦術を対話形式で解説する256ページなんだ。圧倒的人気の書き手で、指導者も観戦者も必携とうたっている。
橘ナナミ
対話形式って、読むハードルが下がりますね。指導者向けですか、観戦者向けですか?
佐藤メバル
どちらも、というのがこの本の狙いだよ。4局面という共通の枠を持っておくと、他の本を行き来しやすくなる。
小澤一郎の一冊やGOATの一冊と重なる部分があるから、同じ4局面をどう違う言葉で整理しているかを比べると、自分の理解の穴が見つかるよ。

TACTICS VIEW ~鳥の眼で観る一流サッカーチームの戦術事例~
とんとん 著|竹書房
人気戦術分析ブログ「鳥の眼」の筆者・とんとんが、各フォーメーションにおける戦い方を15チーム分、徹底解剖した一冊です。4-3-3でリヴァプール、マンチェスター・シティ、ナポリ、セビージャ。4-4-2でアトレティコ・マドリード、ライプツィヒ、ノリッジ。4-2-3-1でアヤックス、横浜F・マリノス、バイエルン。4-3-1-2でユベントス。5バックでアタランタ、ラツィオ、ドルトムント、ホッフェンハイム。陣形ごとに章が分かれるので、観たいチームから引けるのが強みです。
こんな人におすすめ
好きなチームの戦い方を、フォーメーションの観点から理解したい観戦者。Jリーグのチームも含めて横断的に見たい人や、図で陣形を追いたい読者に向きます。
良い点
- 15チームを章で比較できる
- フォーメーション別に整理されている
- 図で陣形を追える
気になる点
- 大きい画面の端末が推奨
- 発行時点のチーム構成である点
- 文字拡大や検索は不可
出版社
竹書房
発売日
2021年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「鳥の眼」というブログの人が書いた本ですか。15チームをフォーメーション別に並べているんですね。
佐藤メバル
そう、リヴァプールやマンチェスター・シティを4-3-3で、アトレティコ・マドリードやライプツィヒを4-4-2で、アヤックスや横浜F・マリノス、バイエルンを4-2-3-1で、ユベントスを4-3-1-2で、アタランタやラツィオ、ドルトムント、ホッフェンハイムを5バックで扱っている。
各フォーメーションの戦い方をチームごとのメカニズムとして解剖しているんだ。
橘ナナミ
戦術的知識がつくと良いところが見えてくる、という言葉が刺さります。ただ、タブレット推奨という注意書きがあるんですよね。
佐藤メバル
大きいディスプレイの端末で読むのに適していて、文字だけを拡大したり、ハイライトや検索、辞書の参照といった機能は使えない、と明記されている。
図で陣形を追う本だから、画面の大きさがそのまま理解のしやすさになる。じっくり読み込みたいなら大きい画面で開くのがおすすめだよ。

サッカー戦術クロニクル
西部謙司 著|カンゼン
戦術は相手チームを負かすために生まれていくものだから、その流れを理解しないと新戦術が生まれる本当の意味は分からない——トータルフットボールを軸に、現代サッカーの戦術の変遷を紐解く一冊です。はじめににはこうあります。> 人の並べ方は戦術の一部にすぎない。選手を配置しただけで勝てるなら簡単だ。どういうプレーが有利かを考え、それをチームで実現する段取りを組み、最後に人の配置が決まるという順番を体に入れてくれる、戦術書の決定版です。
こんな人におすすめ
戦術本を何冊も読んだけれど、歴史の流れが頭の中でつながっていない人。新しい戦術の意味を文脈から理解したい観戦者・指導者に向きます。
良い点
- 戦術史の背骨になる
- フォーメーション偏重を戒める
- 流れで新戦術が分かる
気になる点
- 最新潮流は別途必要
- 歴史の前提知識が要る
- 個別チームの分析は薄め
出版社
カンゼン
発売日
2013年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「サッカー戦術クロニクル」……クロニクルって、歴史を時系列で追うという意味ですよね。トータルフットボールが軸なんですか?
佐藤メバル
そう。戦術は相手チームを負かすために生まれていくものだから、その流れを理解しないと新戦術が生まれる本当の意味を知ることはできない、という立場で書かれている。
はじめににはこうあるよ。> 人の並べ方は戦術の一部にすぎない。選手を配置しただけで勝てるなら簡単だ。
橘ナナミ
フォーメーションの話になりがちなところを、そうじゃないと言い切っているんですね。他の西部謙司の本より先に読むべきですか?
佐藤メバル
歴史の流れを押さえるという意味では、最初に読む価値がある。どういうプレーが有利かを考え、それをチームで実現する段取りを組み、最終的に人の配置が決まってくる、という順番を体に入れておくと、他の戦術書がぐっと読みやすくなる。3冊あるうちの背骨になる一冊だよ。

サッカーシステム大全
岩政大樹 著|マイナビ出版
¥1,694(税込)
現代サッカーに見られるあらゆるシステムを、4つの基本形とその派生形として整理した128ページ。3-1-4-2のような固定システムはもちろん、アシンメトリーなシステムや、攻撃と守備で異なるシステムを使う可変システムまで扱います。基本を押さえれば複雑に見えるものが一気にほどけるという編集で、Jリーグの各クラブがどのシステムを採用しているかも随所に記載。ボールの動きを追うだけでなく、ボールに関係ない選手がどこに立っているかを見る目を作ってくれます。
こんな人におすすめ
試合を見るときに、まず陣形の意味を掴みたい観戦者。相手チームのシステムの利点と欠点から戦い方を考えたい指導者・選手や、まず一冊という人に向きます。
良い点
- 4基本形に整理してくれる
- 可変システムまで扱う
- Jリーグの採用例が付く
気になる点
- 128ページで物足りない面も
- 図の確認は実物で必須
- 戦術史は別途必要
出版社
マイナビ出版
発売日
2021年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
岩政大樹の「サッカーシステム大全」、128ページ。大全と言いつつ薄いんですね。大丈夫なんですか?
佐藤メバル
そこが上手いところで、現代サッカーに見られるあらゆるシステムを4つの基本形とその派生形として整理している。
3-1-4-2のような固定システムだけでなく、アシンメトリーなシステムや、攻撃と守備で異なるシステムを使う可変システムまで扱うんだ。
基本を押さえれば複雑に見えるものがぐっと理解しやすくなる、という編集になっている。
橘ナナミ
Jリーグの各クラブがどのシステムを使っているかも載っているんですよね。観戦しながら確認できそうです。
佐藤メバル
そう、随所に記載がある。相手チームのシステムの特徴やメリット、デメリットが分かると、有効な戦い方がおのずと見えてくる。
ボールに関係ない選手たちがどのポジションを取っているかを見るようになると、観戦の楽しさが何倍にも膨れ上がるよ。
128ページだから、まず一冊という人にも勧めやすい。

戦術の教科書
ジョナサン・ウィルソン 著|カンゼン
「フットボール批評」の人気連載が書籍化された一冊で、はじめにでは共作と記されています。3-4-2-1やプレッシングといったコンセプトを生み出してきたのは、予測不可能性を極小化し、自らの理想を具現化しようとする情熱であり使命感である——歴史的な文脈を踏まえた上で、時代の最先端を行く戦術論の見取り図を渡すのが狙いです。60年ぶりに戻ってきた3バック、アンチカウンター理論としてのゲーゲンプレス、ゼロトップはどこへ消えたのか、10番論、ゾーン・ディフェンス、レスターと4-4-2、GK100年の孤独まで、全16話と2本のコラムで話題が縦横に広がります。
こんな人におすすめ
戦術の話題を歴史とつなげて理解したい読者。単発の用語ではなく流れとして戦術を語りたい観戦者・指導者や、読み物として戦術を楽しみたい人に向きます。
良い点
- 戦術史の見取り図が得られる
- 読み物として面白い
- 論点が縦横に広がる
気になる点
- 話題が多く整理は自分で必要
- 原文の前提知識があると良い
- 最新の潮流は別途補いたい
出版社
カンゼン
発売日
2017年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ジョナサン・ウィルソンの「戦術の教科書」。世界的な戦術研究の第一人者が、日本のファンのために書いた本なんですね。
佐藤メバル
「フットボール批評」の人気連載が書籍化されたもので、はじめにでは共作と記されている。3-4-2-1やプレッシングといったコンセプトを生み出してきたのは、予測不可能性を極小化して自らの理想を具現化しようとする情熱であり、ひたむきな使命感でもある、と書かれているんだ。
橘ナナミ
3バックが60年ぶりに戻ってきた、とか、ゼロトップはどこへ消えたのか、とか。見出しが読み物として面白そうですね。
佐藤メバル
全16話に、共産主義思想としてのプレッシング、コレクティブカウンターの衝撃というコラムが付く。ゾーン・ディフェンス、レスターと4-4-2、エジルが象徴するクリエイティビティのジレンマ、GK100年の孤独、ディープ・ライイング・プレーメイカーの誕生まで、話題が縦横に広がる。歴史的文脈を踏まえた決定版だよ。
理論の全体地図——4領域はどうつながるか
橘ナナミ
さっきの4領域、結局どうつながるんですか?
佐藤メバル
まず土台が「サッカーの本質」を問う本。林舞輝『「サッカー」とは何か』は戦術的ピリオダイゼーションとバルセロナ構造主義という二大トレーニング理論を並べる。河内一馬『競争闘争理論』は「競う」と「闘う」は別物だという前提から組み立てる。どちらも戦術の前にある哲学を扱っている。
橘ナナミ
その上に戦術史が乗るんですね。
佐藤メバル
そう。西部謙司『サッカー戦術クロニクル』で流れをつかみ、『モダンサッカー3.0』『戦術の教科書』で現在地を確認する。守備なら松田浩、ボールを奪う設計なら河岸貴『サッカー「BoS理論」』が効く。河岸貴はシュトゥットガルトで指導者とスカウトを歴任していて、ボール非保持の考え方を言語化している。
橘ナナミ
セットプレーや観戦術は?
佐藤メバル
『戦術のリアル』はペナルティキックを含むセットプレーの理論まで章を割いている。観戦術としてなら『TACTICS VIEW』が15チームのメカニズムをフォーメーション別に解剖していて、試合を見る解像度が上がる。個人の技術なら山口遼『「戦術脳」を鍛える最先端トレーニングの教科書』。複雑系やシステム思考から「考えないでプレーできる」状態を扱う。
橘ナナミ
心理学やマネジメントは?
佐藤メバル
心理は『競争闘争理論』、育成は松田浩の著書の育成年代の記述や林舞輝の本が近い。監督のリーダー論は『戦術の教科書』がアンチェロッティやモウリーニョの采配を章で扱っている。クラブ経営やJリーグのマネジメントを正面から論じた一冊は、この25冊の中では手薄なので、必要なら別途探すことになる。
橘ナナミ
自伝や評伝は理論に入りますか?
佐藤メバル
理論の「適用例」として読むと強い。今回は数が多くないけれど、理論書のあとに読むと腹落ちしやすくなるよ。
読む順番ロードマップと、古い理論書の賞味期限
橘ナナミ
じゃあ読む順番の地図がほしいです。
佐藤メバル
三段階で考えよう。第一段階は概念の地図づくりで、『5レーン理論だけ見ればポジショナルプレーは分かる』『サッカーシステム大全』『戦術のリアル』のどれか一冊。第二段階で歴史と現在地、『サッカー戦術クロニクル』と『モダンサッカー3.0』。第三段階で自分の目的に合わせて守備・データ・心理へ分岐する。この順番なら用語で詰まらない。
橘ナナミ
古い本は避けたほうがいいですか?
佐藤メバル
戦術史として読むなら古さは武器になる。二宮寛『サッカーの戦術』や瀧井敏郎『ワールドサッカーの戦術』は、当時の前提を知る資料になる。ただし「今の正解」として読むとずれる。理論書には賞味期限がある——思想として読むか、現在の答えとして読むかで扱いを変えるんだ。一方で、人の認知や組織の話は古びにくい。河内一馬や山口遼の本は、その意味で長く効く。
理論を現場で使う——分析・指導・観戦への橋渡し
橘ナナミ
読んだあと、どう使えばいいんでしょう。
佐藤メバル
観戦なら「観る場所」を決めること。ハーフスペース、最終ラインの高さ、ボールを失った直後の切り替え、この3つだけ追う。『欧州サッカーの新解釈。ポジショナルプレーのすべて』の5レーンと3つの優位性は、そのまま観るためのチェックリストになる。
橘ナナミ
指導者は?
佐藤メバル
プレーモデルを言語化してから練習を設計する。小澤一郎の本は4局面ごとにプレーモデルを整理しているので、その枠を自分のチームに当てはめるだけで練習メニューの組み方が変わる。『サッカー戦術の黄金則』のように動画が付く本は、選手に説明するときの資料としても使いやすい。
橘ナナミ
分析の側は?
佐藤メバル
『ワールドサッカー チーム戦術の科学』のように、データから傾向を読む練習をする。数字は結論ではなく、違和感の出どころを探す道具だ。松田浩による分析ノートの公開も、現場の分析がどれだけ具体かを教えてくれる。林舞輝の本は対戦相手の分析・対策を担当した経験から書かれているので、分析の視点としても読める。
よくある質問
サッカーの戦術理論を初心者が学ぶなら最初に読むべき本は?
橘ナナミ
サッカーの戦術理論を初心者が学ぶなら最初に読むべき本はについて教えてください。
佐藤メバル
まずは図解中心の一冊から。『5レーン理論だけ見ればポジショナルプレーは分かる』は「なぜ強豪は同じ場所に立つのか」から入るので、戦術用語に慣れていなくても読み進められる。『戦術のリアル』も基礎から応用へ段階的に並んでいる。いきなり600ページ級の専門書に手を出さないのが、最後まで読み切るコツ。
ポジショナルプレーが分かるおすすめの理論書は?
橘ナナミ
ポジショナルプレーが分かるおすすめの理論書はについて教えてください。
佐藤メバル
結城康平『欧州サッカーの新解釈。ポジショナルプレーのすべて』が5レーン理論と「数的優位・質的優位・位置的優位」の3つの優位性を整理している。その先へ進むなら『モダンサッカー3.0』で「ファンクショナルプレー」の考え方を読むと、現在の議論までつながる。どちらも概念の整理が丁寧で、観戦の視点がはっきりする。
サッカーのデータ分析やxGを学べる本は?
橘ナナミ
サッカーのデータ分析やxGを学べる本はについて教えてください。
佐藤メバル
『ワールドサッカー チーム戦術の科学』はワールドカップのデータ解析を軸に、攻撃と守備の傾向を読み解いていく。xGそのものを主題にした一冊を探す場合は、出版状況が変わりやすいので購入前に内容と版を確認したい。数字を結論ではなく観察の補助線として使うのが、データ本を活かす読み方。
サッカーは理論書と実践書、どちらから読むべき?
橘ナナミ
サッカーは理論書と実践書、どちらから読むべきについて教えてください。
佐藤メバル
目的次第だが、まったくの初学者は理論書で言葉を揃えてから実践の本や現場へ進むと迷いが少ない。逆に指導の現場に立っている人は、松田浩『サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論』のように分析ノートやトレーニングメニューが載る本から入り、必要になった理論を後追いするほうが動きやすい。行き来する前提で選ぶのが現実的。
絶版になったサッカーの理論書はどこで入手できる?
橘ナナミ
絶版になったサッカーの理論書はどこで入手できるについて教えてください。
佐藤メバル
古書店やオンラインの古書市場、図書館が現実的な選択肢になる。絶版でも改訂版や電子版で読める形になっていることもあるので、書名と著者名で版の有無を確かめてから探すと速い。価格が高騰している場合は、まず図書館で内容を確かめてから判断するのがおすすめ。
サッカーの理論書はKindleや電子書籍で読める?
橘ナナミ
サッカーの理論書はKindleや電子書籍で読めるについて教えてください。
佐藤メバル
電子版が用意されているものは多いが、紙だけの本もある。『TACTICS VIEW』のようにタブレットなど大きな画面での閲覧を前提にした作りの本もあるので、購入前に配信形式を確認したい。紙と電子の得手不得手を分けて考えると、図解本は紙、検索したい理論書は電子、といった選び方ができる。
指導者・コーチにおすすめのサッカー理論書は?
橘ナナミ
指導者・コーチにおすすめのサッカー理論書はについて教えてください。
佐藤メバル
松田浩『サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論』と小澤一郎『サッカー戦術の教科書 プレーモデルが試合を決める』が実務的。前者は守備組織の構築、後者は4局面ごとのプレーモデル設計に強い。『「戦術脳」を鍛える最先端トレーニングの教科書』は、トレーニング設計そのものの考え方を深めたいときに効く。
サッカー観戦がもっと楽しくなる理論書は?
橘ナナミ
サッカー観戦がもっと楽しくなる理論書はについて教えてください。
佐藤メバル
『TACTICS VIEW』はフォーメーション別に15チームの仕組みを解剖していて、ボールの行方ではなく配置を見る楽しさを教えてくれる。『サッカーシステム大全』は可変システムやアシンメトリーも扱うので、「今の形は何を狙っているのか」と考えながら観られる。観る場所を決めるだけで、試合から拾える情報量が変わる。
まとめ
橘ナナミ
今日の話、思ったより「読む前の整理」のほうが大事なんだと分かりました。
佐藤メバル
そう。理論書は知識を足すためだけのものじゃなく、試合を見るレンズを交換する道具なんだ。レンズが変わると、同じ試合が別物に見える。
橘ナナミ
私、まず図解の一冊から始めて、分からなくなったら戦術史に戻ります。
佐藤メバル
それがいい。戻れる地図を持っている人は強い。読み終えたら感想を聞かせてよ。
橘ナナミ
はい! ……あ、でも佐藤さん。25冊って聞くと、やっぱり全部欲しくなってしまいます。
佐藤メバル
その気持ちは分かる。でも理論書は、ピッチ上の配置と同じで、全員が同じ場所に立つと機能しない。あなたが今見たいものが決まる場所に、一冊ずつ置いていくのがいい。
橘ナナミ
全員が同じ場所に立たない……それ、5レーン理論みたいですね。
佐藤メバル
そう。本棚も、レーンを埋めるんじゃなくて、空いたスペースに走り込む一冊を選ぶ。あなたの本棚に、今いちばん空いているレーンはどこだろうね。
