サッカーマネージャーについて学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今回のテーマは「サッカー マネージャー 本」なんですけど……正直、調べていて頭がこんがらがりました。「マネージャー」って、海外クラブを指揮する監督のことですよね。でも高校サッカーだと、部活を裏で支えるマネージャーのことでもある。同じ言葉なのに、ぜんぜん別のものを指している気がします。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。そこがこのテーマのいちばん大事な入口だ。書店のサッカーコーナーでも、「マネージャー」を求めるお客さんの顔は三通りある。海外クラブの監督の話を読みたい人、部活のマネージャーとして使える本を探している学生、そしてサッカーを教材にマネジメントやリーダーシップを学びたいビジネスパーソンだ。同じ棚に並ぶけれど、求める中身はまったく違う。
橘ナナミ
なるほど! 私は「サッカー監督の本」一択だと思い込んでいました。でも、実際にチームをまとめている人と、私みたいに試合を眺めているだけのファンでは、欲しい本が違いますよね。
佐藤メバル
そう。だからこの記事では、いきなり書名を並べる前に、自分の立ち位置を決めてから選ぶことを勧めたい。書店員時代、サッカーの棚を作るときも、まず「誰が読むか」で三つに分けたよ。棚づくりは、読者の自己紹介を先に聞く作業なんだ。
橘ナナミ
それ気になります! じゃあ、選び方の軸から教えてください。
サッカーマネージャーについて学べる本の選び方
何のために読むかで選ぶ
橘ナナミ
最初に決めるべきは、やっぱり目的ですか。
佐藤メバル
そうだね。観戦を深く楽しみたいだけなら、西部謙司さんの『世界のサッカー名将のイラスト戦術ガイド』が入口として強い。名将45人を4つのタイプと大御所系の5つに分けて、戦術の組み立て方をイラストで解説している。名前は知っているけど何がすごいのか説明できない、という状態から抜け出せる。
橘ナナミ
逆に、指導やチーム運営に活かしたい人は?
佐藤メバル
そこは現役監督が書いた本が強い。城福浩さんの『Jリーグサッカー監督 プロフェッショナルの思考法』は、チーム編成論から采配論、育成論まで章立てで整理されている。森保一さんの『プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意』は、選手のモチベーションや「試合に出る選手、出られない選手」の扱いまで踏み込む。純粋に読み物として楽しむなら、平野史さんの『サッカー監督はつらいよ』のような痛快なエッセイもある。目的が違えば、同じ棚から取るべき一冊も変わるんだ。
自分の立ち位置で選ぶ
橘ナナミ
立場で選ぶ、というのも聞きたいです。私は完全に観戦ファン側ですし。
佐藤メバル
観戦ファンなら杉山茂樹さんの『サッカー監督図鑑』が楽しい。オールカラーで世界と日本の現役監督176人を扱っていて、採用戦術や布陣、采配力といった評価まで並ぶ。辞書的に眺めるだけでも面白い。
橘ナナミ
逆に、ビジネスの管理職の人が読むなら?
佐藤メバル
ピーター・クライルガードの『世界一流のサッカー監督から学ぶマネジメント』は、ヨーロッパの監督に共通する資質を10項目に整理したビジネス書だ。清水英斗さんの『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』も、モウリーニョら巨匠のメソッドから7つの力を導き出している。この2冊は「サッカー好きの管理職」にいちばん効く。
戦術リテラシーの現在地で選ぶ
橘ナナミ
戦術書って、いきなり挑むと心が折れそうで……。
佐藤メバル
だから階段を意識してほしい。入門はさっき挙げた『世界のサッカー名将のイラスト戦術ガイド』。次に清水英斗さんの『欧州サッカー 名将の戦術事典』で、名将40人の思考をフォーメーションと一緒に眺める。そのうえでLeothefootballさんの『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』に進むと、ポジショナルプレーやサイドバックの立ち位置まで踏み込める。いきなり専門書から入ると、用語の洪水で終わってしまう。
読みやすさと形式で選ぶ
橘ナナミ
電子書籍で読めるかどうかも気になります。
佐藤メバル
図版の多い本は紙が心地よい。『サッカー監督図鑑』はオールカラーで、写真と布陣図を眺めるための本だからね。一方で、『フットボール新世代名将図鑑』は大きめのディスプレイで読むことを前提にした電子版の作りになっている。文庫や新書も見逃せない。『サッカー監督はつらいよ』は幻冬舎文庫、『森保一の決める技法』は幻冬舎新書、『「サッカー代表監督」本当の名将は誰か』は新書判だ。通学・通勤の鞄に入る形式かどうかは、続くかどうかを左右する。
予算と冊数で選ぶ
橘ナナミ
いきなり何冊も買うのは難しいです。
佐藤メバル
まず1冊なら、自分の目的にいちばん近いものを1冊だけ。体系立てて学ぶなら、戦術の入門→中級→専門を1冊ずつ、組織論を1冊、ノンフィクションを1冊、というように役割を分けて揃えるといい。文庫・新書は手に取りやすく、図鑑や大型の解説本は図版が多い分だけ情報密度が高い。値段の高低ではなく、どの役割を担わせるかで選ぶのがコツだよ。
サッカーマネージャーについて学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
サッカーマネージャーについて学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

サッカー監督という仕事
湯浅健二 著|新潮社
¥2,251(税込)
タイトルそのままに、監督という仕事を一つの職能として正面から見つめようとする一冊です。新潮社から出た222ページで、選手でもサポーターでもない「指揮官」の側からサッカーを捉え直したいときに向いている。派手な図解や特定の名将の一代記ではなく、監督という立場の輪郭をじっくり考えさせてくれるところが、現場の内側を語る体験談や図鑑タイプの本との違いです。
こんな人におすすめ
「監督とは何をする人なのか」を一度立ち止まって考えたい人に。選手目線の観戦に少し物足りなさを感じているサポーター、これから指導者を目指しはじめた学生、そしてサッカーを仕事論として読んでみたいビジネスパーソンにも向きます。
良い点
- 監督という職能を正面から扱う
- 新潮社の一冊で読み口が硬すぎない
- 観戦の視点が指揮官側に広がる
気になる点
- 細かな戦術図解は期待しない方がいい
- 最新欧州戦術の話が中心ではない
- 実戦の技術論ではない
出版社
新潮社
発売日
2000年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
サッカーの監督本っていろいろありますけど、最初の一冊にこの『サッカー監督という仕事』ってどうなんですか?
タイトルが直球すぎて、逆に中身が気になります。
佐藤メバル
いい入り口だね。これは新潮社から出ている222ページの一冊で、タイトルどおり、監督という仕事そのものを正面から扱おうとしている。
戦術の図解を追いかける本でも、特定の名将の一代記でもない。選手でもサポーターでもない「指揮官」という立場からサッカーを見直す、最初の土台に向いているよ。
橘ナナミ
土台、ですか。現役の監督が中から語る本とは、やっぱり役割が違うんですか?
佐藤メバル
そこが面白いところでね。現場の内側を知る人が書く本は具体の強さがある。こちらは逆に、外側から「監督とは何をする職能なのか」を問い直す。
書店員時代、棚を作るときにこういう本を最初に置くと、そのあとの体験談や戦術書がすっと入ったんだよ。まず枠組みを知りたい人に勧めたい一冊だね。

プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意
森保一 著|カンゼン
¥1,760(税込)
2012年、2013年とサンフレッチェ広島をJ1連覇に導いた森保一が、脱トップダウンの指導法を実例つきで綴った一冊です。シーズンを通したチーム作り、コーチや選手との関係、試合に向けた準備や采配、選手の起用法まで、目次が「監督の仕事」「チームマネジメントの極意」「選手の見方」と現場の順番で並んでいる。育成型クラブの常勝化を追う第6章まで含めて、組織論として読めるのが強みです。
こんな人におすすめ
指導者やチームのまとめ役として、上から押さえつけない関わり方を知りたい人に。少年団や部活のコーチ、部下を持つ社会人、そしてカタールW杯で森保采配に興味を持ったサポーターが、代表ではなくクラブでの土台を知るのにも向きます。
良い点
- 連覇までの現場が実例で追える
- コーチとの役割分担まで踏み込む
- ビジネス書としても読める構成
気になる点
- 代表監督時代の話は中心ではない
- 巻末資料のような戦術図は多くない
- 選手目線の技術論ではない
出版社
カンゼン
発売日
2014年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
森保一監督の本が何冊かあるんですけど、この『プロサッカー監督の仕事』は日本代表の話なんですか?
佐藤メバル
ここは代表ではなく、サンフレッチェ広島でのクラブ仕事が中心なんだ。2012年、2013年とJ1連覇に導いた時期の、シーズンを通したチーム作り、コーチや選手との関係、試合前の準備や采配が実例つきで並んでいる。
育成型クラブをどう常勝に近づけたかまで書かれているから、代表の采配だけでは見えない土台がわかるよ。
橘ナナミ
脱トップダウンって言葉が気になります。監督が引っ張るんじゃないんですか?
佐藤メバル
監督とコーチの関係の章があるんだけど、指揮官が全部を仕切るのではなく、スタッフや選手の力を引き出す方向に重心が置かれている。
選手のモチベーションや、試合に出る選手と出られない選手の扱いまで項目が立っているのが誠実でね。時代の潮流にも合うと紹介されているとおり、会社の管理職が読んでも刺さると思う。

世界一流のサッカー監督から学ぶマネジメント
ピーター・クライルガード 著|クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
¥2,201(税込)
イギリスで話題になったビジネス書で、ヨーロッパの傑出した監督に共通する資質を10の特性に整理しています。常に頂点を目指す能力、理由を説明できる能力、戦略を行動に変える能力、二番手のレベルを高める能力、セットプレーの活用法まで、2年間の取材と対談から抽出した項目が並ぶ。特定の一クラブの物語ではなく、チーム運営を企業経営に重ねて読ませるところが他の監督本との違いです。
こんな人におすすめ
組織を動かす立場にある人が、サッカーを素材にマネジメントを学びたいときに。経営者、管理職、プロジェクトリーダー、そして戦術用語より仕組みの話から入りたい読者に向きます。
良い点
- 10の特性で構造的に学べる
- 欧州の現場取材に基づく
- ビジネスへの応用がしやすい
気になる点
- 日本語のサッカー本より抽象度が高い
- Jリーグの話題は少なめ
- 図解中心の入門書ではない
出版社
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日
2012年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、サッカーの本なのにビジネス書って書いてありますね。サッカー目的で読んでも大丈夫なんでしょうか?
佐藤メバル
大丈夫どころか、そこが売りでね。チーム成績がクラブ財政に直結する世界だからこそ、人材の確保と開発、海外との交渉、目標設定、必勝戦略の考案まで全部サッカーの現場にある。
それを10の特性として整理している。サッカーを読みながら、自分の仕事に置き換えられる本だよ。
橘ナナミ
10項目って、たとえばどんなものなんですか?
佐藤メバル
理由を説明できる能力、戦略に柔軟性を持たせる能力、競合相手を分析する能力など、ひとつひとつは案外シンプルなんだ。
でも短期間で結果を求められる世界では、その実行が徹底されている。シンプルだけど徹底されている、という落差を見せてくれる本は珍しい。欧州サッカーの見方も一段深くなるよ。

監督たちの流儀 (サッカー監督にみるマネジメントの妙)
西部謙司 著|内外出版社
¥1,540(税込)
西部謙司が、監督を6つの切り口から論じていく一冊です。ファン・エスナイデルで信念を貫くこと、風間八宏で天才選手は天才監督になりえるかを問い、ペトロヴィッチと西野朗の長期政権、森保一・長谷川健太・堀孝史・鬼木達の継承力、反町康治と曺貴裁のリアリスト像、そして日本代表監督の選び方まで。人物論とチーム作りを往復しながら読ませる構成が、図鑑型の本とはひと味違います。
こんな人におすすめ
監督ごとの思想の違いを、人名だけでなく背景から知りたい人に。Jリーグを長く見ているサポーター、指導者を目指す人、監督人事のニュースを深く味わいたい読者に向きます。
良い点
- 監督を横断して比較できる
- Jリーグの事例が豊富
- 継承という観点が珍しい
気になる点
- 欧州の名将は脇役に回る
- 網羅的な人名辞典ではない
- 戦術図は多くない
出版社
内外出版社
発売日
2018年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『監督たちの流儀』って、要するに監督の紹介本ですか?
佐藤メバル
紹介というより、切り口で分類した論考集だね。信念を貫く、天才選手は天才監督になりえるか、長期政権、継承力、リアリスト、そして日本代表監督の選び方。
この6本の柱で、監督という存在を立体的に見せている。人名を並べる図鑑とは読後感がかなり違うよ。
橘ナナミ
継承力って、聞き慣れない言葉です。どういうことなんですか?
佐藤メバル
前任者が築いたものを、次の指揮官がどう引き継いで強くするか、という視点だね。森保一、長谷川健太、堀孝史、鬼木達と並べているところに、この本のいちばん鋭い部分がある。
書店員時代、前任者のやり方を丸ごと変えようとして空回りする現場を何度も見たから、この章はつい力が入る。組織の引き継ぎに悩む人にも効くと思う。

サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術 (中公新書ラクレ)
清水英斗 著|中央公論新社
モウリーニョら世界的な指揮官のメソッドから、監督に必要な7つの力——刺激、厳格、共和、内発、一貫、組織、修練——を導き出す。そのうえで日本代表監督を検証し、課題を浮かび上がらせる構成が特徴です。ハリルホジッチの力はどこで花開くのか、という問いまで置かれている。中公新書ラクレの新書サイズで、リーダー論として持ち歩けるのも使いやすいところです。
こんな人におすすめ
新書サイズで監督論の骨格をつかみたい人に。通勤中に読み進めたいサラリーマン、日本代表の歴代采配を整理したいファン、リーダーシップの型を短時間で押さえたい学生に向きます。
良い点
- 7つの力という明快な枠組み
- 日本代表の検証まで含む
- 新書で手に取りやすい
気になる点
- 個々の監督の評伝としては短い
- 図版は多くない
- 最新の欧州事情は薄め
出版社
中央公論新社
発売日
2015年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
7つの力って、刺激とか厳格とか、漢字2文字で並んでいて…これって何の略なんですか?
佐藤メバル
略ではなくて、監督に必要な力を7つに名づけたんだよ。刺激、厳格、共和、内発、一貫、組織、修練。
名前だけ見ると固いけど、モウリーニョのような世界的な指揮官のやり方を分解していくと、この7つに行き着くという流れが丁寧でね。
読み終わると、自分の職場の上司や部活の顧問にも当てはめて考えたくなる。
橘ナナミ
後半で日本代表監督を検証しているって聞いて、そこが気になります。
佐藤メバル
そこがこの本のもう一つの柱だね。7つの力を物差しに、日本代表の指揮官たちをふり返り、課題を浮かび上がらせる。
ハリルホジッチの采配がこの先どうなるか、という問いも立てられている。新書ラクレの分量で、骨格と時事の両方に触れられるのは珍しい。まず型を知りたい人にいいよ。

サッカー監督はつらいよ (幻冬舎文庫)
平野史 著|幻冬舎
Jリーグ監督に就任した架空の監督J氏に振りかかる受難の数々を、就任から1シーズン終了まで追いかける痛快なサッカーエッセイです。主力選手選び、日本代表チームとの関係、落選選手のフォローなど、「勝つことだけが仕事じゃない」日常を描く。歴代の日本代表監督を解説する「代表監督もつらいよ」も収録され、電子版特典として続編も収められています。固い論考の合間に挟みたくなる一冊です。
こんな人におすすめ
監督の仕事を笑いながら知りたい人に。難しめの監督論で疲れた読者、Jリーグの舞台裏を軽い気持ちで覗きたいファン、電車移動の合間にサクサク読みたい人に向きます。
良い点
- 架空の監督で描くので親しみやすい
- 1シーズンの流れが見える
- 文庫サイズで軽い
気になる点
- 実在の監督の評伝ではない
- 戦術の深掘りはない
- データ面の話は少ない
出版社
幻冬舎
発売日
2010年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「架空の監督J氏」ってあるんですけど、フィクションなんですか?
佐藤メバル
そう、そこがうまい仕掛けでね。実名を出さずにJ氏という一人の指揮官に背負わせることで、監督の日常を思いきり具体的に描いている。
主力選手の選び方、代表チームとの関係、落選した選手のフォロー。就任から1シーズンを終えるまでを追いかけるから、現場の一年が体感できるんだよ。
橘ナナミ
「勝つことだけが仕事じゃない」って言葉、ちょっと重いですね。
佐藤メバル
そこがこの本の芯だね。勝敗の外側にある雑務や気遣いの量が、笑いごととして出てくる。しかも幻冬舎文庫だから持ち歩けるし、巻末の「代表監督もつらいよ」で歴代の指揮官の苦労も拾える。
書店員時代、難しい監督論の隣にこういう軽い本を置くと、意外なほど売れた。読み疲れしない入門として優秀だよ。

サッカー監督の決断と采配-傷だらけの名将たち-
ひぐらしひなつ 著|エクスナレッジ
¥1,848(税込)
Jリーグで指揮をとる9人の監督に取材を重ね、その生き様と采配の舞台裏を描いたノンフィクション短編集です。田坂和昭、木山隆之、北野誠、吉田謙、小林伸二、石﨑信弘、片野坂知宏、下平隆宏、高木琢也の言葉が本文から抜粋されている。「どんなに有能な監督も必ず敗れるときがくる」という前提から、決断が人の人生を左右する重さまで踏み込むところが、戦術解説書とは決定的に違います。
こんな人におすすめ
監督の人間味に触れたい人に。Jリーグを応援しているサポーター、人の上に立つ覚悟を考えている人、試合後のインタビューをもっと深く味わいたい読者に向きます。
良い点
- 9人それぞれの生の証言が読める
- 決断の裏側まで踏み込む
- Jリーグ30年を感じられる
気になる点
- 戦術の体系的な解説はない
- 欧州の話はほぼ出ない
- 語り口はやや硬派
出版社
エクスナレッジ
発売日
2023年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「傷だらけの名将たち」って副題が痛々しいんですけど、これは失敗の本ですか?
佐藤メバル
失敗の本というより、決断の重さを扱った本だね。成功と失敗が紙一重の世界で、ずっと結果を残し続ける監督は過去にも現在にも、おそらく未来にもいない。
だからこそ、どんな局面で何を選んだのかを9人から丁寧に聞き出している。北野誠や片野坂知宏の言葉がそのまま本文から引かれているのが重いんだよ。
橘ナナミ
監督によって、采配の考え方ってこんなに違うものなんですか?
佐藤メバル
まったく違う。吉田謙のように選手の決断に寄り添う人もいれば、石﨑信弘のように勝てなければ自分がくればいいと言い切る人もいる。
その人にしか出せない言葉が並ぶから、読者は自分の好みの監督を探すように読める。カタールW杯で采配が話題になったあとに読むと、重みがさらに増すよ。

Jリーグサッカー監督 プロフェッショナルの思考法
城福浩 著|カンゼン
ヴァンフォーレ甲府で指揮を執る城福浩が、監督は何を思考し、どう決断するかを自ら明かした一冊です。チーム編成論、マネジメント論、采配論、戦術論、育成論という5章立てで、補強は一刻を争う情報戦、選手が立ち返る場所であるスタンダードの示し方、ポジションの確約はしない、試合翌日にまず考えるのは控え選手のこと、と具体が続く。プロローグで語られる孤独な職業という実感も含めて、内側からの説得力が違います。
こんな人におすすめ
判断の基準を言葉にしたい指導者、コーチ、そして部下を持つ人に。試合中の交代やハーフタイムの使い方まで知りたい戦術好きのサポーター、育成年代の関わり方を考えている人にも向きます。
良い点
- 現役監督本人のロジックが読める
- 采配の判断基準が具体的
- 育成論まで一冊でカバー
気になる点
- 特定クラブの記録集ではない
- 図解は控えめ
- 語りはあくまで本人視点
出版社
カンゼン
発売日
2013年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、現役の監督が書いているんですよね。試合の直前とかに読んでも大丈夫な内容ですか?
佐藤メバル
むしろ試合前に読むと面白いと思う。第3章の采配論には、選手交代は守備面も考えながら行う、プレッシングで守備のスイッチを入れる、ハーフタイムで話せる時間は3、4分、といった具体が並ぶ。
ベンチで何分単位の判断をしているかが見えてくるから、試合の見え方が変わるんだよ。
橘ナナミ
「試合の翌日に考えるのは控え選手のこと」って、そこだけ切り取っても重いですね。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の芯のひとつ。ポジションの確約は絶対にしない、と書きながら、出られない選手のことを真っ先に考えている。
プロローグには監督が孤独な職業だという実感も綴られていてね。選手を外せば選手生命に関わる、結果が出なければスタッフの生活も揺らぐ。
だからこそ成功したときの喜びが格別だという下りまで含めて、生々しい一冊だよ。

名将への挑戦状 ~世界のサッカー監督論~
ヘスス・スアレス 著|順文社
雑誌連載で知られるヘスス・スアレスと、翻訳を手がけてきた小宮良之による初の共著です。世界の名だたる監督13人を、斬新かつユニークな語り口で論じていく。グアルディオラ、カペッロ、エメリ、ファン・ハール、ビエルサ、ラウドルップ、デルボスケ、ドゥンガ、ベニテス、ベンゲル、モウリーニョらが並び、グアルディオラの「君の言葉はいつだってとてもオリジナルだ」という言葉も収録されている。評伝と評論の中間のような読み味です。
こんな人におすすめ
欧州サッカーの文脈で監督を語りたい人に。海外サッカー専門誌を普段読んでいるファン、監督名を思想として整理したい読者、翻訳ものの評論文に慣れている人に向きます。
良い点
- 日欧の書き手による共著
- 13人を横断して論じる
- 引用の言葉が生きている
気になる点
- 図表やデータは少ない
- Jリーグの話題は出ない
- 文体はやや硬め
出版社
順文社
発売日
2011年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ヘスス・スアレスさんと小宮良之さんの共著なんですね。二人で書くと、どんな違いが出るんでしょう?
佐藤メバル
スペイン人記者の視点と、日本語で長く欧州を書いてきた書き手の視点が重なるのが面白いところでね。13人の監督を並べても、単なる経歴紹介で終わらない。
言葉そのものを手がかりに人物を論じるスタイルで、グアルディオラの「君の言葉はいつだってとてもオリジナルだ」みたいな一文が効いてくる。
橘ナナミ
13人って多いですね。順番に読まないといけませんか?
佐藤メバル
好きな監督からつまみ食いでいいと思うよ。カペッロやファン・ハールのような統率型と、ビエルサやラウドルップのような異端を続けて読むと、同じ名将でも方向性がまったく違うとわかる。
書店員時代、海外サッカー誌を愛読するお客さんにこういう本を渡すと、必ず次の来店で感想を聞かせてくれた。そういう一冊だね。

サッカー名監督 超一流の思考
児玉光雄 著|東邦出版
¥600(税込)
名将の言葉を紐解き、リーダー論として読ませる一冊です。ファーガソン、モウリーニョ、ベンゲル、グアルディオラ、そしてザッケローニの5人を取り上げ、組織マネジメントに不可欠なリーダーシップの磨き方を学ぶ構成。205ページで600円という手頃さもあって、サッカーとビジネスの橋渡しとして気軽に試せます。監督を一人ずつ深掘りする評伝ではなく、言葉から共通項を引き出すタイプの本です。
こんな人におすすめ
まずは短く安く読みたい人に。サッカーの知識がまだ浅い学生、仕事の合間にリーダー論へ触れたい社会人、偉人の言葉そのものを味わいたい読者に向きます。
良い点
- 600円で気軽に試せる
- 5人を比較しやすい
- 短時間で読み切れる
気になる点
- 一次取材の本ではない
- 戦術の解説は中心でない
- ページ数は控えめ
出版社
東邦出版
発売日
2012年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
205ページで600円って、監督本のなかでもすごく手頃ですよね。中身は薄くないんですか?
佐藤メバル
薄いというより、絞っている感じだね。ファーガソン、モウリーニョ、ベンゲル、グアルディオラ、ザッケローニの5人に限定して、名将の言葉からリーダーシップの磨き方を引き出す。
組織マネジメントに不可欠な要素を、仕事の場面で明日から活かす、というのが狙いだから、余計な枝葉を落としているんだよ。
橘ナナミ
ザッケローニ監督が入っているのが意外です。日本代表のイメージが強いので。
佐藤メバル
そこがいいバランスでね。欧州の名将と並べて、日本代表を率いた指揮官が入ることで、読者にとっての距離が一気に縮まる。
モウリーニョとザッケローニを続けて読むと、強さの出し方がまるで違うとわかる。手頃な値段で監督本の入口になるから、まず一冊試したい人に勧めているんだ。

蹴球学 名将だけが実践している8つの真理
Leothefootball 著|KADOKAWA
¥1,980(税込)
日本一チャンネル登録者数が多いサッカー戦術分析チャンネルを運営するLeothefootballによる超本格的な戦術書です。紙と電子の累計5万部を突破し、酒井宏樹選手の推薦、佐野海舟選手の個人分析官就任といった情報も添えられている。攻撃編ではポジショナルプレー、正対理論、ウェイティングポイント論、矢印理論、守備編では同サイド圧縮やポークの原則を講義形式で扱う。観戦のお供というより、読みながら頭を使う一冊です。
こんな人におすすめ
試合を見ながら理由を考えたい人に。戦術解説動画が好きな視聴者、フットサルや部活でプレーする学生、そして監督の采配を構造から理解したいサポーターに向きます。
良い点
- 攻守を講義形式で体系的に学べる
- 頻出の戦術用語を整理できる
- 実戦の状況がイメージしやすい
気になる点
- 完全な入門書ではない
- 図解をじっくり見る前提の構成
- 読み通すには根気が要る
出版社
KADOKAWA
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
戦術分析のYouTuberの方が書いた本なんですね。動画を見たことがないと、置いていかれますか?
佐藤メバル
大丈夫、講義形式だから順番に追えばついていける。攻撃編ではポジショナルプレーと正対理論から始まって、サイドバックの立ち位置、ウェイティングポイント論、矢印理論と続く。
守備編では同サイド圧縮やクロス対応の原則が出てくる。本で腰を据えて学び直したい人に向いているよ。
橘ナナミ
5万部って、戦術本としてはすごい数字ですよね。
佐藤メバル
うん、戦術書でこの数字はなかなか出ない。それだけ試合を見ながら「なぜ」を考えたい人が増えているということだね。
酒井宏樹選手の推薦がついていたり、著者が代表選手の個人分析官に就いたりと、現場との距離も近い。書店員時代なら、テレビ観戦の隣に置いて紹介したくなる一冊だよ。

フットボール新世代名将図鑑
結城康平 著|カンゼン
グアルディオラやクロップを引きずり下ろそうとする新世代の監督たちを一挙に収録した一冊です。ナーゲルスマンとラインダースを二大巨頭として据え、アルテタ、ジェラード、ランパード、シャビ、ラウル、クローゼ、アンリ、ヴィエラ、ポチェッティーノ、クレスポ、ガジャルドらが並ぶ。思考、ゲームモデル、相関図、将来像を紐解きながら近未来を占う構成で、人名辞典より読み物として進むのが特徴です。
こんな人におすすめ
これから名前が上がる監督を先に知りたい人に。海外サッカーを追いかけているファン、指導者を志す学生、そして自分の推し監督を探したい人に向きます。
良い点
- 若手監督を横断して追える
- 相関図や将来像が面白い
- リーグ別の章立てで探しやすい
気になる点
- 動きが速いので情報は執筆時点
- 全員の戦術を深掘りはしない
- 図版の利用に端末の制約がある
出版社
カンゼン
発売日
2021年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ナーゲルスマンとかラインダースとか、名前は聞いたことがあるけど何をした人かは全然知りません…。
佐藤メバル
そこから入るのがちょうどいい本だよ。ナーゲルスマンは青年監督の先頭を走る存在、ラインダースはクロップの影武者として紹介されている。
トップの座を狙う側の視点で並んでいるから、すでに名将と呼ばれる人たちの本とは景色がまったく違うんだ。
橘ナナミ
プレミアとかリーガとか、リーグごとに章が分かれているんですね。
佐藤メバル
そう、そこが使いやすいところでね。プレミアならアルテタ、ランパード、アンチェロッティ、リーガならシャビ、ラウル、ブンデスならローゼ、クローゼ、マタラッツォと、応援しているクラブから逆引きできる。
書店員時代、若いお客さんにはこういう現行性の高い本から入ってもらうと、そのあと戦術書に進みやすかったんだよ。

サッカー監督図鑑~オールカラー! 世界と日本の現役サッカー監督176人のすべて~日本代表次期監督を探せ!!
杉山茂樹 著|廣済堂出版
¥2,200(税込)
224ページのオールカラーで、世界と日本の現役監督176人をビジュアルに詳解した一冊です。モウリーニョ、グアルディオラ、シメオネ、レーヴ、ベンゲル、ジダンらについて、実績や採用戦術・布陣に加え、采配力、攻撃度、日本代表監督お勧め度といった評価の切り口まで示される。日本のS級指導者名簿つきで、観戦のお供や次期監督候補を探すのにも使える保存版です。
こんな人におすすめ
手元に置いて眺めていたい人に。試合中に監督名を確認したいサポーター、布陣から試合を予想したいファン、日本代表の次の指揮官を考えたい読者に向きます。
良い点
- オールカラーで見やすい
- 176人という収録人数
- 評価の切り口がユニーク
気になる点
- 一人あたりの記述は短め
- 文章を読み込む本ではない
- 情報は執筆時点のもの
出版社
廣済堂出版
発売日
2016年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
176人って、オールカラーで224ページに収まるんですか?
佐藤メバル
そこは一覧性を優先した作りだね。実績、採用戦術や布陣、采配力や攻撃度、それに日本代表監督お勧め度という評価の軸まで並ぶ。
眺めて楽しい図鑑として作られているから、通読する本ではなく、試合の前後に開く本だと思ってくれたらいい。
橘ナナミ
「日本代表次期監督を探せ」って、そんな使い方もできるんですね。
佐藤メバル
そう、しかも日本のS級全指導者名簿がついているから、候補探しの材料になる。前作の布陣図鑑を好んだ人がそのまま手に取れる作りでね。
書店員時代、レジ横にこういうカラーの本を積むと、試合前の話題づくりにすごく重宝した。実用と娯楽の両方で持っておきたい一冊だよ。

世界のサッカー名将のイラスト戦術ガイド
西部謙司 著|エクスナレッジ
名将45人の戦術の組み立て方を、トータル・フットボール、堅守速攻系、バランス重視系、前衛系、大御所系という5つに分けて解説する一冊です。イラストを交えながら、戦術は監督の人生・哲学・人間性を映し出すという視点で貫かれている。クライフやサッキ、サンターナらを扱うコラムや名将の相関図もあり、単なる分類で終わらせず、戦術の今昔物語として読めるところが他の図鑑との違いです。
こんな人におすすめ
監督の個性から試合を楽しみたい人に。観戦中に布陣の意味を考えたいファン、戦術史の流れを大づかみに知りたい学生、そして図鑑より読み物として名将を追いたい読者に向きます。
良い点
- 5分類で頭が整理される
- イラストで戦術が入りやすい
- 戦術史まで見渡せる
気になる点
- 一人あたりの分量は多くない
- 最新の若手は中心でない
- 細かい数字は少なめ
出版社
エクスナレッジ
発売日
2018年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
45人って多いのに、5タイプに分かれていると探しやすいですね。どのタイプから読むのがおすすめですか?
佐藤メバル
好きな監督がどのタイプか探しながら読むと面白いよ。トータル・フットボールならグアルディオラ、堅守速攻系ならシメオネ、バランス重視系ならモウリーニョやアンチェロッティ、前衛系ならクロップやナーゲルスマン。
同じ勝利でも哲学が違うと一目でわかる並びになっている。
橘ナナミ
大御所系って章名がいいですね。ファーガソンとかが入っているんですか?
佐藤メバル
そう、ファーガソン、ヴェンゲル、カペッロ、ファン・ハール、リッピ、ヒディングらが並ぶ。ここを先に読んでから前衛系に戻ると、新旧の対比がはっきり見えてくるんだ。
巻末に名将の相関図があるのも嬉しいところで、書店員としては観戦のお供として勧めたくなる一冊だね。

欧州サッカー 名将の戦術事典
清水英斗 著|エクスナレッジ
¥1,760(税込)
グアルディオラはなぜ勝ち続けられるのか、ファーガソンはなぜ長期政権を築けたのか、クロップのゲーゲン・プレッシングはなぜ成立するのか——名将40人の戦術と思考を、フォーメーションを使って読み解く一冊です。名将、智将、個性派、新進気鋭という4章立てで、デル・ボスケ、レーヴ、モウリーニョ、シメオネ、ファブレ、ビエルサ、ゼーマン、ポチェッティーノ、トゥヘルらが並ぶ。読むとサッカーの見え方が変わるタイプの解説書です。
こんな人におすすめ
フォーメーションから戦術を理解したい人に。試合中の布陣変更を追いかけたいサポーター、指導者を目指して戦術の引き出しを増やしたい人、観戦前に予習をしておきたい読者に向きます。
良い点
- フォーメーション図で説明が追える
- 40人と対象が広い
- 章立てで時代感もつかめる
気になる点
- 言語化よりも図が前提
- Jリーグの事例は少ない
- 深掘りより横断が中心
出版社
エクスナレッジ
発売日
2016年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「フォーメーションを使いわかりやすく解説」ってありますけど、図が読めないと厳しいですか?
佐藤メバル
そこは心配いらない。図を見ながら「この並びだと誰がどこで受けるのか」を追えるように書かれている。布陣の形から思考を読み取る構成で、グアルディオラ、クロップ、ファーガソンの問いが章ごとに立てられているから、読みながら答え合わせができるんだ。
橘ナナミ
新進気鋭の章にポチェッティーノやトゥヘルが入っているのが、今読むとちょっと感慨深いですね。
佐藤メバル
そう、執筆時点の区切りがそのまま時代の記録になっている。個性派の章にビエルサやゼーマンが並ぶのもいい。
書店員時代、こういう本は試合前日に売れることが多かった。観る前に予習、観たあとに復習、その両方で使える一冊だよ。

サッカー右翼 サッカー左翼 監督の哲学で読み解く右派と左派のサッカー思想史
西部謙司 著|カンゼン
1978年のワールドカップでアルゼンチンを初優勝に導いたメノッティの「左翼のフットボールと右翼のフットボールがある」という言葉を出発点に、監督たちを右派と左派に分類しながら哲学を読み解く思想史です。勝利至上で軍隊的な規律の右翼、理想主義でテクニック重視の左翼という対比に沿って、シメオネ、グアルディオラ、モウリーニョ、クロップ、ヴェンゲル、ビエルサが並ぶ。読み終えると自分の志向が見えてくる一冊です。
こんな人におすすめ
自分はどっちのサッカーが好きなのかを言葉にしたい人に。応援するクラブのスタイルを思想として考えたいファン、スポーツと政治の関係に関心がある読者、そして議論の題材が欲しい人に向きます。
良い点
- 対立軸が明快で議論しやすい
- クラブ史まで広く触れる
- 読後の視点が長く残る
気になる点
- 分類に割り切った面がある
- 図表やデータは少ない
- 好みが分かれるテーマ
出版社
カンゼン
発売日
2015年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
サッカーに右翼と左翼があるって、最初は比喩かと思いました。本当にそんなにはっきり分かれるものなんですか?
佐藤メバル
そこから考えさせるのがこの本の狙いだね。右翼は勝利至上、手段を選ばない、守備から入る、軍隊的な規律。
左翼は理想主義、勝ち方にこだわる、攻撃的、テクニック重視。両方の特徴がページに並ぶと、自分がどちらに惹かれるか急に見えてくるんだよ。
橘ナナミ
グアルディオラが極左の巨星って書かれているのがすごいですね。
佐藤メバル
そう、シメオネは気鋭の右派、モウリーニョは中道として置かれる。クロップのアナーキーな魅力、ヴェンゲルのユートピア、ビエルサとその一派の中道左派と、見出しを拾うだけでも面白い。
ナショナルチームの章ではブラジル、イタリア、ドイツ、アルゼンチン、フランスまで扱う。読後しばらく友達と議論したくなる本だよ。

サッカー日本代表 W杯で勝つための監督論
山本昌邦 著|ベースボール・マガジン社
¥1,980(税込)
2022年のワールドカップで注目された森保一をはじめ、歴代の日本代表監督にスポットをあてた本音の対談集です。森保の2カテゴリー1チームという試み、オフトがW杯出場前夜に築いた礎、岡田武史のチームビルディング、トルシエの準備、ジーコの自由主義と海外組重視、オシムのステイ主義への警告、ザッケローニ、アギーレとハリルホジッチの交代劇、西野朗の選択まで、336ページで一章ずつ積み上げていきます。
こんな人におすすめ
日本代表の歴史を一本の線で振り返りたい人に。W杯ごとに記憶をたどりたいサポーター、代表監督の仕事に関心がある読者、そして対談形式で読み進めたい人に向きます。
良い点
- 歴代監督を時代順に追える
- 対談なので本音が出やすい
- 336ページの読み応え
気になる点
- 欧州クラブの話題は少ない
- 戦術の詳細な図解はない
- 対話形式が苦手な人もいる
出版社
ベースボール・マガジン社
発売日
2023年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
336ページって結構な厚さですけど、対談集なんですね。読み通せますか?
佐藤メバル
一章ずつ区切られているから、監督ごとに読める。森保一、オフト、岡田武史の第1期と第2期、トルシエ、ジーコ、オシム、ザッケローニ、アギーレとハリルホジッチ、西野朗と、年代を追うように並ぶ。
経験豊富な解説者と記者の本音の掛け合いだから、歴史の裏側が生々しい。
橘ナナミ
オシムさんの「ステイ主義への警告」って、今読むと余計に気になります。
佐藤メバル
そう、そこは今の代表を考えるうえでも効く論点だね。森保一の章では、東京五輪代表とA代表を兼任したメリットとデメリットまで踏み込んでいる。
書店員時代、W杯のたびに代表本が並ぶけど、これは一回の大会ではなく20年以上の流れを一冊で持てるのが強い。
サッカー観戦が10倍面白くなる、という売り文句は伊達じゃないよ。

「サッカー代表監督」 本当の名将は誰か(詩想社新書) (詩想社新書 6)
国吉好弘 著|星雲社
負けて叩かれ、勝ってもなお批判される——代表監督という仕事の実態に迫る新書です。代表選手をどのように選出し、どうまとめ、勝利をつかむのか。どういう資質が求められ、報酬はどうなっているのか。オフト、ファルカン、加茂、岡田、トルシエ、ジーコ、オシム、ザッケローニ、アギレ、ハリルホジッチと歴代10人からマネジメント術を読み解き、日本サッカーの進化の過程も追う。山本昌邦氏の推薦と対談も収録されています。
こんな人におすすめ
采配の外側にある仕事を知りたい人に。代表監督の人事や選考に関心があるファン、組織のトップの苦労を考えたい社会人、新書で日本サッカー史を押さえたい読者に向きます。
良い点
- 選出や報酬まで踏み込む
- 歴代10人を比較できる
- 新書で時系列も追いやすい
気になる点
- 戦術論は中心ではない
- クラブサッカーの話は少なめ
- 選手名鑑的な要素はない
出版社
星雲社
発売日
2015年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「勝ってもなお批判される」って、代表監督ってそんなに大変なんですか?
佐藤メバル
この本はまさにそこを扱っている。代表選手をどう選び、どうまとめ、どう勝つか。しかもどういう資質が求められ、報酬はどうなっているのかまで踏み込む。
ピッチ上の司令官という華やかな部分の裏側を、歴代10人から読み解いていく構成なんだ。
橘ナナミ
オフトからハリルホジッチまで並ぶと、日本サッカーの変化も見えてきますね。
佐藤メバル
そこが読みどころでね。外国人監督と日本人監督が交互に現れる流れそのものが、日本サッカーの進化の過程になっている。
山本昌邦氏の推薦と、代表監督に必要なものとは何かをめぐる対談も収録されていて、新書ながら中身は濃い。
書店員時代、新書棚でこういう本は地味に長く売れたよ。

グアルディオラのサッカー哲学
フアン・カルロス・クベイロ 著|実業之日本社
¥881(税込)
12歳でFCバルセロナのカンテラに入り、17年間を過ごしたグアルディオラが、監督として何を考え、何を語ったかを珠玉の言葉でたどる一冊です。就任会見、バルサの精神、クライフとの関係、マシアでの学び、エトー放出の理由、こまやかな配慮、士気を高める策、そして勝利の条件と9つの項目まで、章ごとに本人の言葉が並ぶ。194ページで881円と手頃で、評伝よりも言葉そのものを味わいたい人に向きます。
こんな人におすすめ
指揮官の内面の言葉に触れたい人に。バルセロナのサッカーに惹かれてきたファン、リーダーの語り方を学びたい人、短い時間で哲学の核心に触れたい読者に向きます。
良い点
- 本人の言葉が豊富に引かれる
- 章立てで論点が追いやすい
- 手頃な値段で買いやすい
気になる点
- 試合の詳細な分析は少ない
- バルサ時代が中心
- 語録集に近い面がある
出版社
実業之日本社
発売日
2011年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
グアルディオラの本って何冊かありますよね。これとシティを扱った本と、どう違うんですか?
佐藤メバル
こちらはバルセロナ時代が中心で、グアルディオラ自身の言葉を軸に組み立てている。就任会見、バルサの精神、クライフとの関係、マシアでの学び。
エトーを放出した理由や士気を高める策まで、本人の言葉で語られているのが強みなんだ。
橘ナナミ
「私のサッカー哲学にシークレットはない」って一文が目に留まりました。
佐藤メバル
そこは象徴的な言葉だね。第7章の勝利の条件では、物事を明確にする、平常心を保つ、相手をリスペクトする、感謝するといった9つの項目が並ぶ。
194ページで881円だから、まずは言葉から入ってみたい人にちょうどいい。書店員としては、哲学を知ってから試合を見ると解像度が上がる、と伝えている一冊だよ。

ペップ・シティ スーパーチームの設計図 (footballista)
ル・マルティン 著|ソル・メディア
¥1,760(税込)
戦術、指導、分析、会話、移籍、参謀、そして料理まで——2人の敏腕ジャーナリストが密着取材で明かすグアルディオラの仕事術です。スペイン人記者ル・マルティンと、マンチェスター在住のポル・バジュスが、シティのグアルディオラ体制を内側から追いかける。413ページという厚さで、試合中の采配だけでなく日常の会話や移籍の動きまで描く。言葉を集めた哲学の本とは対照的に、日々の運用が詰まった一冊です。
こんな人におすすめ
長期にわたって現場を追いかけたい人に。プレミアリーグを毎週見ているファン、組織運営のディテールに興味がある人、そして厚いノンフィクションをじっくり読みたい読者に向きます。
良い点
- 密着取材による具体の厚み
- 移籍や参謀の話まで及ぶ
- 本人の推薦の言葉つき
気になる点
- 413ページで読み応えが要る
- バルサ時代は中心でない
- 時点が固定される
出版社
ソル・メディア
発売日
2020年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
413ページって、かなり厚いですよね。これは試合分析が延々と続く感じですか?
佐藤メバル
それだけじゃない。戦術や指導に加えて、分析、会話、移籍、参謀、そして料理まで並んでいる。現場の日常が丸ごと描かれるから厚いんだよ。
著者の一人はグアルディオラ本人と共著を出したことのある記者で、もう一人はマンチェスター在住。距離の近さがそのまま情報量になっている。
橘ナナミ
料理って、サッカーと関係あるんですか…?
佐藤メバル
そこが面白いところでね。チームを動かすには、ピッチの外の細かい配慮も要るということだよ。グアルディオラ本人の「ぜひ読んで欲しい一冊だ」という言葉も添えられている。
バルサ時代の言葉を集めた本を読んだあとにこちらを開くと、同じ人物の別の顔が見えてくる。順番に読むのを勧めたいね。

ミシャ自伝 J1最多指揮監督が綴る来日19年の足跡と攻撃サッカー哲学
ミハイロ・ペトロヴィッチ 著|ベースボール・マガジン社
¥1,980(税込)
ユーゴスラビアに生まれ、32年間の指導キャリアを持つミハイロ・ペトロヴィッチ本人の自伝です。来日から19年、3クラブを指揮し、2023年3月にはJリーグ戦指揮試合数の歴代最多記録を塗り替えた。広島時代の前代未聞の続投オファーとミシャ式フォーメーションの誕生、浦和時代、札幌時代、そしてラストシーズンと日本サッカーへの提言まで、オシムとの出会いも含めて綴られる。結果至上主義の是非を問う姿勢が芯にあります。
こんな人におすすめ
Jリーグの攻撃サッカーを支えた人の原点を知りたい人に。広島、浦和、札幌を応援してきたサポーター、オシムの教えに関心がある読者、指導者として長く続けたい人に向きます。
良い点
- 本人が語る来日19年の記録
- オシムとの関係まで読める
- 日本サッカーへの提言つき
気になる点
- 欧州クラブの戦術論ではない
- 自伝なので主観が中心
- 図解は多くない
出版社
ベースボール・マガジン社
発売日
2025年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ミシャって呼ばれている人ですよね。自伝って、サッカーの話より生い立ちの話が長くなりがちじゃないですか?
佐藤メバル
そこはうまく混ざっているよ。ユーゴスラビア、スロベニア、オーストリア時代から始まって、オシムとの出会い、広島、浦和、札幌、そしてラストシーズンと日本サッカーへの提言まで。
指揮試合数の歴代最多記録を塗り替えた人の、試合数の裏側が詰まっている。
橘ナナミ
広島時代の「前代未聞の続投オファー」って、何があったんですか?
佐藤メバル
そこはぜひ本文で読んでほしい。ミシャ式フォーメーションがどう生まれたかも同じ章で語られる。オシムさんにベテランの扱い方を忠告された話もあってね。
結果至上主義の是非を問う姿勢が全体を貫いているから、戦術書というより、サッカーは誰のためにあるのかを考えさせる一冊だよ。

逆転監督 森保一
木崎伸也 著|文藝春秋
¥1,980(税込)
やんちゃな非エリート選手が、なぜ史上最多勝の指揮官になれたのか——「ただのいい人」ではない森保一の姿を描いた評伝です。中学にサッカー部がなく、強豪校の推薦も得られず、名門でも長く無名選手だった時期から、左腕骨折でも試合に出た高校時代、まさかの戦力外通告、そして代表監督としての采配の裏側まで。長崎、広島、仙台の取材と複数回の本人インタビューから、したたかな勝負哲学が見えてきます。
こんな人におすすめ
人の評伝としてじっくり読みたい人に。森保ジャパンを追ってきたサポーター、若手の指導者、そして逆境からの立ち上がり方を知りたい読者に向きます。
良い点
- 本人インタビューが複数回
- 育った土地を丁寧に取材
- 采配の裏側まで触れる
気になる点
- 戦術の体系的な解説は少ない
- 代表以外の本とは役割が違う
- 224ページで凝縮されている
出版社
文藝春秋
発売日
2026年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ただのいい人じゃ勝てない」って帯の言葉が強いですね。森保一監督って、おだやかなイメージでした。
佐藤メバル
まさにそこを崩しにいった本だね。中学にサッカー部がなく、強豪校の推薦も得られず、名門でも長く無名選手だった。
そこから史上最多勝の指揮官になるまでの過程を、長崎、広島、仙台で取材して描いている。やんちゃだった中学生の話から始まるから、読み物として引き込まれるよ。
橘ナナミ
ブラジル戦のウラ側って章があるんですけど、采配の話も入っているんですか?
佐藤メバル
入っている。堂安律も驚いたという伊東純也のシャドー起用の話、歴史的采配ミスと言われたかもしれないという本人の言葉まで載る。
代表選手が驚いた朝4時の見送りや、今その話は必要かと叱った日など、リーダー論の章も濃い。穏やかな表情の裏側を知りたい人にちょうどいい一冊だよ。

森保一の決める技法 サッカー日本代表監督の仕事論 (幻冬舎新書 704)
二宮清純 著|幻冬舎
¥1,056(税込)
「僕は単なる決める係」と語る森保一の決断の技法に迫る新書です。2022年のワールドカップでドイツとスペインを破った采配の裏に、選手時代から培われた決断の速さがあると見る。なぜ試合中にまるで違うチームになったかのような采配ができるのか、その一瞬のために日頃どんな準備をしているのかを、長年取材してきたジャーナリストが解き明かす。240ページの新書で、仕事論として読みやすいのが持ち味です。
こんな人におすすめ
決断の速さを仕事に活かしたい人に。会議や判断に迷いがちな社会人、リーダー職を任された人、そして森保采配を組織論として読みたいサポーターに向きます。
良い点
- 新書で短時間に読める
- 決断という切り口が明快
- 長期取材に基づく
気になる点
- 選手としての評伝ではない
- 戦術の図解はない
- 代表以外の話題は少ない
出版社
幻冬舎
発売日
2023年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「僕は単なる決める係」って言葉、聞いたことがあります。それだけで一冊書けちゃうんですね。
佐藤メバル
そこに焦点を当てたのがこの本の面白さでね。決断の速さは選手時代から培われたものだという見立てで、試合中にあれだけ大胆な采配ができる理由を、日頃の準備から解き明かしていく。
長年取材してきた書き手だから、挫折も苦労も見極めたうえでの言葉になっているんだ。
橘ナナミ
ドイツやスペインを破った采配の話は、やっぱり入っているんですか?
佐藤メバル
そこを入口にしているよ。個性豊かな選手をまとめ上げた非カリスマ型のリーダーシップが、なぜ機能したのか。
幻冬舎新書で240ページだから、通勤の往復で読めてしまう分量なのもいい。会議で決めきれない日に開くと、けっこう刺さると思う。
仕事論として手元に置いておきたい一冊だね。

ジダン監督のリーダー論~チャンピオンズリーグ3連覇の軌跡~ (扶桑社BOOKS)
フアン・カルロス・クベイロ 著|扶桑社
レアル・マドリードを率いて欧州チャンピオンズリーグ3連覇という偉業を成し遂げたジダンのリーダー論です。名選手が名監督にあらずと言われていた人物が、なぜ勝てたのか。信頼、称賛、擁護、傾聴、協力、共感というキーワードを軸に、わがままなスーパースター集団をまとめた秘訣に迫る。セルヒオ・ラモスやマルセロの言葉も引かれ、グアルディオラの哲学を扱った同じ著者の本とは対照的に、人を動かす技術に重心が置かれています。
こんな人におすすめ
個性の強いメンバーをまとめたい人に。チームリーダー、管理職、部活やサークルの幹部、そしてスター選手の扱いに関心があるサッカーファンに向きます。
良い点
- CL3連覇という明確な題材
- 選手の証言が生きている
- リーダー論として応用しやすい
気になる点
- 戦術の詳細な分析は少ない
- レアル以外の事例は薄い
- 語りはやや抽象度が高い
出版社
扶桑社
発売日
2019年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
ジダン監督の本で、著者がグアルディオラの本と同じ人なんですね。読み比べると面白そう。
佐藤メバル
そこはぜひ読み比べてほしい。グアルディオラの本は言葉と哲学が中心だったけど、こちらは人をまとめる技術に重心がある。
セルヒオ・ラモスやマルセロの証言が引かれていて、スター集団をどう束ねたかが具体的に見えてくるんだ。
橘ナナミ
「我々は全員、監督のために死んでもいい」って、選手がそこまで言うものなんですか?
佐藤メバル
そこがこの本の核心だね。信頼、称賛、擁護、傾聴、協力、共感という言葉が並ぶけど、要は選手を一人の人間として扱ったということだろうと思う。
勝利が義務づけられた世界一のクラブで、エゴの塊のような選手たちを動かした方法は、会社でも部活でも応用がきく。
書店員時代、上司に悩むお客さんにこっそり勧めていた一冊だよ。

ヨハン・クライフ自伝 サッカーの未来を継ぐ者たちへ
ヨハン・クライフ 著|二見書房
¥2,090(税込)
2016年3月に亡くなったヨハン・クライフが、生前に自らの生涯を振り返り、サッカーへの思いを語った自伝です。選手としてアヤックスを欧州チャンピオンズカップ3連覇に導き、バロンドールを3度受賞。監督としてバルセロナでリーガ4連覇と欧州チャンピオンズカップ優勝を果たした。巻末にはテクニック、戦術、独創力、責任感、リスペクトなど14のルールが並び、その遺伝子はグアルディオラやメッシたちに受け継がれていると記されています。監督本の原点として置きたい一冊です。
こんな人におすすめ
監督論の源流まで遡りたい人に。トータルフットボールに関心があるファン、指導者としての土台を言葉で持ちたい人、そしてサッカーがどう進化してきたかを知りたい読者に向きます。
良い点
- 本人が生涯を振り返る自伝
- 14のルールが指針になる
- 現代サッカーの基礎に触れられる
気になる点
- 戦術の細かい図解はない
- 死去後の刊行という性格
- 読み応えのある320ページ
出版社
二見書房
発売日
2017年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
クライフって選手としては有名ですけど、監督としてもそんなにすごかったんですか?
佐藤メバル
選手と監督の両方で頂点を極めた人だよ。バルセロナではリーガ・エスパニョーラ4連覇やUEFAチャンピオンズカップ優勝を果たしている。
その理論がグアルディオラをはじめ多くの指導者に受け継がれ、現代サッカーの基礎になった。この自伝は、本人が生涯を振り返った最初で最後の一冊なんだ。
橘ナナミ
「14のルール」って、テクニックとかリスペクトとか、サッカー以外にも通じそうですね。
佐藤メバル
まさにそこが読みどころ。テクニックは基礎を学ぶこと、戦術は何をするべきか把握すること、独創力はスポーツの美学、と一文で言い切っていく。
320ページの自伝を読み終えたあとにこのルールだけ見返すと、重みがまったく変わってくるはずだよ。ガイドディオラの本を読んだ人こそ、その源流として最後に置いてほしい一冊だね。
「マネージャー」の3つの意味を、ここで一度ほどく
橘ナナミ
さっきの三つの読者層の話、もう少し詳しく聞きたいです。
佐藤メバル
ひとつめは海外クラブの監督、いわゆるマネージャー。クラブの編成から采配まで担う、いちばん重い意味だ。この文脈を深く知るなら、ル・マルティンらによる『ペップ・シティ スーパーチームの設計図』がいい。2人のジャーナリストが密着取材で、戦術だけでなく指導、分析、会話、移籍、参謀までを描いている。監督の仕事が「試合中の90分」ではないことがよくわかる。
橘ナナミ
ふたつめは?
佐藤メバル
部活動のマネージャーだ。正直に言うと、部活マネージャー専用の実務書はほとんどない。だから仕事を分解して、近い本を組み合わせる。記録と分析なら『蹴球学』。選手との距離感やチーム内の空気の作り方なら森保一さんの『プロサッカー監督の仕事』。控え選手への向き合い方まで書かれているのは、裏方の立場でも参考になる。
橘ナナミ
記録の付け方そのものは?
佐藤メバル
木崎伸也さんの『逆転監督 森保一』に、恩師が明かす「森保メモはこうして生まれた」という章がある。日々の記録がどう積み上がるかを描いていて、ノートを取る意味を考えさせられる。
橘ナナミ
三つめのビジネス管理職は?
佐藤メバル
児玉光雄さんの『サッカー名監督 超一流の思考』や、フアン・カルロス・クベイロの『ジダン監督のリーダー論』が入りやすい。ジダンの本は、エゴの強いスーパースターたちをどうまとめたかに焦点を当てていて、信頼・称賛・傾聴といった言葉が軸になる。サッカー以外のスポーツの組織論と並べて読むと、サッカー固有の難しさも見えてくる。
戦術リテラシーの読書階段と、ノンフィクションの厚み
橘ナナミ
戦術の読む順番、もう一度おさらいしたいです。
佐藤メバル
①『世界のサッカー名将のイラスト戦術ガイド』で名将の分類に慣れる、②『欧州サッカー 名将の戦術事典』で監督ごとの思想を掴む、③『蹴球学』で原則を体系化する。この3冊を順に読むと、試合中に「今のは意図か、事故か」を切り分けられるようになる。中級の寄り道なら『フットボール新世代名将図鑑』や『名将への挑戦状』が楽しい。
橘ナナミ
ノンフィクションのほうは?
佐藤メバル
ひぐらしひなつさんの『サッカー監督の決断と采配』は、Jリーグで指揮を執る9人への取材を重ねた短編集だ。成功と失敗が紙一重の世界で、監督が自分の采配をどう受け止めているかが描かれる。たとえば小林伸二さんの
監督が世間の方々から言われることは『いいね』と『何やってんの』のふたつしかない
という言葉は、この仕事の輪郭をそのまま示している。『監督たちの流儀』や『サッカー右翼 サッカー左翼』のように、思想史として読む本もある。『サッカー日本代表 W杯で勝つための監督論』は歴代代表監督を対談形式で振り返る構成で、最新の代表論までつながる。
橘ナナミ
新しい本はどう探せばいいでしょう。
佐藤メバル
育成年代の新しい潮流は『フットボール新世代名将図鑑』のような世代別の本に出る。翻訳書は原著の議論を伝える一方で、訳語のクセがある。気になる一冊は紙で立ち読みして、文体が合うか確かめてから電子に切り替える、という順番もおすすめだよ。
よくある質問
サッカー部のマネージャーの仕事に役立つ本はどれですか?
橘ナナミ
サッカー部のマネージャーの仕事に役立つ本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
部活マネージャー専用の実務書は多くないため、仕事を分解して選ぶのが現実的です。記録・分析なら『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』、チーム内の空気や選手との距離感なら森保一『プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意』、控え選手への向き合い方なら城福浩『Jリーグサッカー監督 プロフェッショナルの思考法』が参考になります。日々の記録の意味を考えたい人には、森保メモが生まれた経緯を扱う木崎伸也『逆転監督 森保一』も向いています。
サッカー監督のマネジメントを学べるおすすめ本は?
橘ナナミ
サッカー監督のマネジメントを学べるおすすめ本はについて教えてください。
佐藤メバル
現役監督が自ら書いた本と、外部の書き手が分析した本を1冊ずつ持つと理解が深まります。前者は森保一『プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意』と城福浩『Jリーグサッカー監督 プロフェッショナルの思考法』。後者は清水英斗『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』で、モウリーニョら巨匠のメソッドから監督に必要な7つの力を導き出しています。
戦術の初心者が最初に読むべき1冊は?
橘ナナミ
戦術の初心者が最初に読むべき1冊はについて教えてください。
佐藤メバル
西部謙司『世界のサッカー名将のイラスト戦術ガイド』を挙げます。名将45人を4つのタイプと大御所系の5つに分け、戦術の組み立て方をイラストで説明しているので、用語の意味を調べながら読み進められます。ここで名将の顔と戦術の型を覚えてから『欧州サッカー 名将の戦術事典』に進むと、つまずきにくくなります。
サッカー選手の自伝でおすすめはありますか?
橘ナナミ
サッカー選手の自伝でおすすめはありますかについて教えてください。
佐藤メバル
この記事で扱う自伝は、ヨハン・クライフ『ヨハン・クライフ自伝 サッカーの未来を継ぐ者たちへ』と、ミハイロ・ペトロヴィッチ『ミシャ自伝 J1最多指揮監督が綴る来日19年の足跡と攻撃サッカー哲学』です。前者は選手と監督の両方で頂点を極めた人物が14のルールとしてサッカー観を語り、後者は来日後の3クラブでの指導と攻撃サッカーへの信念を振り返ります。
組織論やリーダー論をサッカーで学べる本はありますか?
橘ナナミ
組織論やリーダー論をサッカーで学べる本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
ピーター・クライルガード『世界一流のサッカー監督から学ぶマネジメント』は、ヨーロッパの監督に共通する資質を10項目に整理したビジネス書です。児玉光雄『サッカー名監督 超一流の思考』はファーガソン、モウリーニョ、ベンゲル、グアルディオラ、ザッケローニの言葉からリーダーシップを学ぶ構成。フアン・カルロス・クベイロ『ジダン監督のリーダー論』は、スーパースター集団の掌握術に焦点を当てています。
高校生でも読める難易度のサッカー本はありますか?
橘ナナミ
高校生でも読める難易度のサッカー本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
まず平野史『サッカー監督はつらいよ』が読みやすいでしょう。架空の監督J氏の1シーズンを描いたエッセイで、文庫で気軽に読めます。図版から入るなら杉山茂樹『サッカー監督図鑑』が向いています。オールカラーで現役監督176人を扱い、布陣や評価を眺めるだけでも知識になります。
Kindleなど電子書籍で読めるサッカー本はありますか?
橘ナナミ
Kindleなど電子書籍で読めるサッカー本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
主要な本の多くは電子版が用意されていますが、向き不向きがあります。図版をじっくり見たい『サッカー監督図鑑』のような本は紙が快適です。一方、『フットボール新世代名将図鑑』は大きめのディスプレイを備えた端末で読むことを前提にした電子版の作りになっているため、タブレットやPCでの閲覧が前提になります。
戦術書はどれから読めばいい?読む順番を知りたい
橘ナナミ
戦術書はどれから読めばいい?読む順番を知りたいについて教えてください。
佐藤メバル
入門は『世界のサッカー名将のイラスト戦術ガイド』、中級は清水英斗『欧州サッカー 名将の戦術事典』、専門はLeothefootball『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』という順番がおすすめです。名将の分類で語彙を増やし、監督ごとの思想を掴み、最後に原則として体系化する。この順番なら用語の洪水で挫折しにくくなります。
まとめ
橘ナナミ
聞いているうちに、自分の読む順番が見えてきました。私はまず観戦を楽しむ側から始めます。
佐藤メバル
それがいい。『世界のサッカー名将のイラスト戦術ガイド』から入って、面白くなったら『欧州サッカー 名将の戦術事典』へ。欲張らなくて大丈夫だ。
橘ナナミ
でも、部活のマネージャーをしている友だちには何を勧めればいいでしょう。
佐藤メバル
まず『プロサッカー監督の仕事』を渡してあげて。プロの監督が控え選手やコーチとの関係をどう考えているかが書かれている。裏方の立場で読むと、視界が変わるはずだ。記録に悩んでいるなら『逆転監督 森保一』の森保メモの話も刺さると思う。
橘ナナミ
なるほど! 立場が違うだけで、同じ「マネージャー」という言葉がここまで別物になるんですね。
佐藤メバル
名将と呼ばれる人たちも、最初から完成していたわけじゃない。勝って讃えられ、負けて責められながら、その都度チームの形を作り直してきた。本を読むのも同じで、今日の自分のチームに合う戦術を、その都度選び直せばいい。
橘ナナミ
じゃあ、本棚はベンチですね。全員を一度にピッチへ出す必要はない。今日の試合に必要な1冊を、そっと送り出す。
佐藤メバル
いい例えだね。交代枠は限られているけれど、ベンチにいる選手が多いほど、監督の選択肢は増える。あなたの本棚も、そうやって厚くしていこう。
