サッカーマネジメントが学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、サッカーのマネジメント本を調べていたら、戦術の本とごちゃ混ぜで出てきてしまって。そもそも何が違うんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。戦術書は「ピッチの中」、マネジメント本は「ピッチの外」の話だと考えると整理しやすい。たとえば『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』はポジショナルプレーや守備の原則を扱う戦術書。一方で森保一さんの『プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意』は、チームの1週間の組み立て方やコーチとの関係を扱っている。同じ監督の視点でも、覗いている場所が違うんだ。
橘ナナミ
なるほど! でもマネジメント本だけでも種類が多すぎて選べないです。
佐藤メバル
そこは大きく3系統に分けよう。リーダー論、組織論、クラブ経営論だね。祖母井秀隆さんの『「監督を決める」仕事』はリーダー論寄り、『FCバルセロナ 常勝の組織学』は組織論、『サッカー×M&A入門』は経営論だ。
橘ナナミ
それ気になります! 私みたいな素人がいきなり経営論から入っても大丈夫ですか?
佐藤メバル
それが危ない。まずは読み物から。望月重良さんの『全くゼロからのJクラブのつくりかた』は、元日本代表の選手が経営素人からクラブを立ち上げた話で、入り口としてとても親切だよ。
サッカーマネジメントが学べる本の選び方
目的別から選ぶ
橘ナナミ
目的で選ぶなら、どう分けますか?
佐藤メバル
現場を良くしたいなら『教えないスキル』や『根っこがなければきれいな花は育たない』、組織を動かしたいなら『世界一流のサッカー監督から学ぶマネジメント』、経営なら広瀬一郎さんの『サッカービジネスの基礎知識』だね。
レベル別から選ぶ
橘ナナミ
読書量に自信がない人はどこから?
佐藤メバル
自伝・評伝から。『サッカーは監督で決まる』や西部謙司さんの『監督たちの流儀』は読み物として進む。理論書なら『スポーツマネジメント入門〔第2版〕』、専門なら『プロサッカークラブのマネジメント・コントロール・システム』。
形式別から選ぶ
橘ナナミ
形式でも選び方が変わるんですか?
佐藤メバル
変わるね。評伝は人物から入れる、理論書は図表で整理されている、実務書は手順がそのまま使える。ボルコーヴァー『サッカー名監督に学ぶ勝つための経営学』は成功例と失敗例の分析だから、評伝と理論書の中間みたいな読み味だ。
文脈別から選ぶ
橘ナナミ
日本か海外か、という違いも気になります。
佐藤メバル
Jリーグの成り立ちから知るなら広瀬さんの本や『大宮アルディージャはなぜ外資に買収されたのか?』、欧州の巨大化なら大山高さんの『海外のサッカーはなぜ巨大化したのか』。アメリカなら『MLSから学ぶスポーツマネジメント』だね。
テーマ別から選ぶ
橘ナナミ
テーマで深掘りするなら?
佐藤メバル
リーダー論は松村卓朗さんの『勝利のチームマネジメント』、組織論は『FCバルセロナ 常勝の組織学』、人材は佐藤修さんの『サッカー型人事戦略』、そしてお金と価値は『サッカー×M&A入門』。
活用シーン別から選ぶ
橘ナナミ
指導現場で使うのと、仕事に応用するのでは違いますか?
佐藤メバル
現場なら京都精華学園高校のマネジメント術やビジャレアルの『教えないスキル』、仕事に効かせたいなら『勝利を求めず勝利する』やクライルガードの本が近い。観戦を深めるなら祖母井さんのGM論やマリオ宮川さんの『スポーツのマネジメント』だね。
サッカーマネジメントが学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
サッカーマネジメントが学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

サッカービジネスの基礎知識 「Jリーグ」の経営戦略とマネジメント 増補改訂版
広瀬一郎 著|東邦出版
Jリーグはどう設計されたのか。著者は創設期のマネジメントを『ゲームというプロダクトの品質管理=QC』と位置づけ、続く顧客満足=CS、そして来るべき3.0へと段階的に整理する。前半はJリーグの発足ビジョン、制度とガバナンス、メディア戦略、事業性を、後半はボスマン判決後のプレミアリーグ誕生とマードック化現象、UEFAチャンピオンズリーグ誕生、ISLとキルヒの破綻によるサッカーバブルの崩壊、指定管理者制度やCRMまで世界の流れを追う。観戦ガイドではなく制度設計の記録として読めるのが他書との違いだ。
こんな人におすすめ
Jリーグの成り立ちを制度から知りたい人、スポーツビジネスを志す学生、自治体やスタジアム運営に関わる実務者。経営史として通読する場面にも、世界のリーグ動向と照らし合わせる辞書的な使い方にも向く。
良い点
- 創設期から現在までの流れを一冊で追える
- QC・CS・3.0という整理軸が明快
- 世界のリーグ動向と比較して読める
気になる点
- 情報量が多く通読には時間がかかる
- 前提知識ゼロだと後半は重い
- 3.0は将来構想として語られる
出版社
東邦出版
発売日
2017年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、Jリーグって今でこそ当たり前ですけど、最初はどうやって作られたんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。この本はその『作られ方』を経営の言葉で追いかける一冊なんだ。著者はJリーグ創設のマネジメントを、まずゲームというプロダクトの品質管理、つまりQCとして捉える。
次に顧客満足=CSへ発展し、そしてこれからの3.0へ、と段階で整理していく。制度設計やガバナンス、メディア戦略まで踏み込んでいるよ。
橘ナナミ
ゲームを商品として品質管理する、って発想が面白いです。後半は世界のリーグの話になるんですか?
佐藤メバル
そう。ボスマン判決、プレミアリーグの誕生とマードック化現象、UEFAチャンピオンズリーグの誕生、ISLとキルヒの破綻によるサッカーバブルの崩壊まで、『J』の後のサッカービジネスが並ぶ。
制度とお金がどう動いてきたかの地図になるんだ。まず第1章でJの話を掴んでから第2章へ進むと、頭に入りやすいと思うよ。

スポーツマネジメント入門〔第2版〕: プロ野球とプロサッカーの経営学
西崎信男 著|税務経理協会
¥3,201(税込)
米国大リーグ野球と英国プレミアリーグを軸に、熾烈な競争ビジネスの姿を正面から捉えたスポーツ経営・ファイナンスの教科書。サッカー単独ではなく野球と並べることで、リーグ構造や収益の作り方の違いがくっきり見える。数字と制度からスポーツを考えるタイプの一冊で、感覚的な経営論とは一線を画す。第2版として内容が更新されている点も、古い入門書を避けたい読者には助かる。303ページと厚めだが、通読に耐える骨格がある。
こんな人におすすめ
スポーツ経営を体系的に学びたい学生、クラブやリーグの財務に関心がある社会人、野球とサッカーの経営を比較したい人。教科書として通読する場面にも、ゼミや勉強会のテキストとしても向く。
良い点
- 野球との比較で構造が見える
- 財務・経営の基礎が体系的
- 第2版で内容が更新されている
気になる点
- 価格帯が高めで気軽ではない
- 教科書調で読み物としては硬い
- 事例は米英が中心になる
出版社
税務経理協会
発売日
2017年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルに『プロ野球とプロサッカー』って入ってますね。サッカーの本を探しているのに、野球が出てくるのはなぜなんですか?
佐藤メバル
そこがこの本の面白さなんだ。米国大リーグ野球と英国プレミアリーグを並べて、熾烈な競争ビジネスの姿を正面から捉えている。
同じプロスポーツでも、リーグの作り方もお金の回し方も違う。比較するから構造が見えるわけだね。
スポーツ経営とファイナンスの教科書として書かれているから、骨太だと感じる人は多いよ。
橘ナナミ
なるほど、ひとつを掘るより並べたほうが違いが見えるんですね。値段は少し高めですけど、教科書なら納得かも
佐藤メバル
そう、大学のテキストとして使われるような作りだから価格帯も相応なんだ。第2版として内容が更新されているのも大事な点だね。
事例は米英が中心だから、日本のJリーグを主役にしたい人は別の一冊と組み合わせるといい。まず通読して、用語を自分のものにするのがおすすめだよ。

プロサッカーのマネジメント
書名が示すとおり、プロサッカーのマネジメントを主題に据えた一冊。ネット上の紹介文はごく短く、扱う年代や対象リーグ、著者の立場といった情報がほとんど出てこない。だからこそ実物を手に取る価値があるタイプで、目次と版元、刊行の頃合いを確認してから読むかどうかを決めたい。同じ棚にある入門書や実践書と並べて、自分の関心が経営なのか現場なのかを見極める入口になる。
こんな人におすすめ
タイトルに惹かれて棚の前で迷っている人、まず概要を自分の目で確かめたい人、サッカーのマネジメント本を比較検討している読者。書店で中身を確認してから買う場面に向く。
良い点
- テーマが明確で迷いにくい
- 薄すぎず重すぎない情報量
- 他の入門書の比較対象になる
気になる点
- ネット上に紹介情報が乏しい
- 対象や年代が判別しにくい
- 内容の予習がしづらい
出版社
詳細情報なし
発売日
詳細情報なし
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
えっ、この本、紹介文が『プロサッカーのマネジメントです』でほぼ終わってます…。これだけだと選びづらくないですか?
佐藤メバル
よく気づいたね。僕が書店員だったころも、こういう本は棚で手に取って中身を見るしかなかった。タイトルはど真ん中で、テーマがぶれないのは確かなんだけど、扱う年代も対象リーグも外からは見えてこない。
目次と奥付を確認する、これが確実な選び方だよ。
橘ナナミ
ネットで情報を集める癖がついてたので、その発想がなかったです。今度、実物を見に行こうと思います
佐藤メバル
それがいい。同じ棚には入門書や実践書が並んでいるから、自分の関心が経営なのか現場なのかを確かめてから選ぶと失敗が少ない。
手に取って、序文と目次で『これは自分のための本だ』と思えたら買う。逆に最初の十数ページで違和感があれば棚に戻せばいい。それだけの判断で十分なんだよ。

プロサッカークラブのマネジメント・コントロール・システム
角田幸太郎 著|同文舘出版
プロサッカークラブをプロフェッショナル組織として捉え、マネジメント・コントロール・システムの構築と運用を論じる研究書。さらにインセンティブ・システムの導入がチーム成績の向上にどうつながるか、そのプロセスまで考察する。勝利と制度設計を結びつけるのが核で、監督の語りや戦術の話とはまったく角度が違う。クラブ内部の仕組みを経営学の枠組みで読み解きたい人に向く一冊だ。
こんな人におすすめ
管理会計や組織論を学ぶ大学院生、クラブの評価制度や報酬設計に関わる実務者、組織研究の題材を探している人。研究の参考文献として手元に置く使い方にも向く。
良い点
- クラブ内部の管理システムに踏み込む
- インセンティブ設計という切り口が独自
- 組織論の語彙で整理されている
気になる点
- 学術書のため読み口が硬い
- 実例の物語性は薄い
- 入門には前提知識が要る
出版社
同文舘出版
発売日
2020年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『マネジメント・コントロール・システム』って、研究の授業で聞いた気がします。サッカークラブにもそういう仕組みがあるんですか?
佐藤メバル
あるんだよ。この本はプロサッカークラブをプロフェッショナル組織として捉えて、その仕組みの構築と運用を論じる。
さらにインセンティブ・システムの導入がチーム成績の向上にどうつながるか、そのプロセスまで考察している。
勝利と制度設計を結びつけるのが主題で、監督の語りや戦術の話とはまったく角度が違うんだ。
橘ナナミ
評価や報酬の設計が成績に関わる、というのは研究としても面白いですね。これは学術書なんですか?
佐藤メバル
大学のテキストに近い作りで、事例の物語性は少なめだね。だからこそ、組織論や管理会計を学んでいる人が参考文献として手元に置く使い方が向いている。
読み物として楽しむ本ではないけれど、クラブの中の仕組みをここまで詰めて書いた本は多くない。研究テーマが近い人ほど刺さると思うよ。

全くゼロからのJクラブのつくりかた サッカー界で勝つためのマネジメント
望月重良 著|東邦出版
元サッカー日本代表選手が、経営素人のままゼロからクラブを立ち上げ、史上最速の6年でJリーグ入りを果たした記録。しかも著者は難病に襲われ、どん底を経験している。ピッチの外で何を決めてきたかが中心で、戦術書や観戦本とは読む位置がまったく違う。ビジネス哲学と経営戦略メソッドとしてまとまっているので、サッカーに関心が薄い人にも届く内容になっている。
こんな人におすすめ
これから何かを立ち上げたい人、地域クラブの運営に関わる人、スポーツビジネスを志す学生。体験談から学びたい場面にも、起業や地域ビジネスの事例として読む場面にも向く。
良い点
- ゼロから立ち上げた実体験が軸
- 経営メソッドとして整理されている
- 挫折の記述に説得力がある
気になる点
- 数字や制度の解説は中心でない
- 一クラブの事例で再現性は限られる
- 専門用語より物語が中心になる
出版社
東邦出版
発売日
2015年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
経営の素人だった元日本代表選手が、クラブを立ち上げた話なんですね。しかも6年でJリーグ入りって…
佐藤メバル
そこがこの本の核だね。しかも著者は難病に襲われてどん底を経験している。ピッチの外で何を決めてきたかが中心に書かれていて、戦術書や観戦本とは読む位置がまったく違う。
ビジネス哲学と経営戦略メソッドとしてまとまっているから、サッカーに関心が薄い人にも届く内容になっているよ。
橘ナナミ
立ち上げる話って、サッカーじゃなくても読めそうですね。私みたいに何か始めたい人にも効きますか?
佐藤メバル
効くと思うよ。ただ、あくまで一クラブの事例だから、そのまま再現できるわけではない。数字や制度の解説が中心ではないぶん、そこは別の本で補うといい。
読むときは『この判断はなぜ必要だったのか』を自分に置き換えながら読むと、単なる成功談で終わらない。順調な部分より、詰まった場面にこそ学びがあるよ。

世界一流のサッカー監督から学ぶマネジメント
ピーター・クライルガード 著|クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
¥2,201(税込)
2年間の取材や対談、調査、研究から、ヨーロッパの傑出したクラブ監督に共通する資質を10項目に抽出したビジネス書。常に頂点を目指す能力、理由を説明できる能力、戦略を行動に変える力、柔軟性、人材を見つける力、二番手のレベルを高める力、コーチング、問題解決、競合分析、そしてセットプレーの活用。サッカーを素材にした経営論として読めるのが特徴で、監督の評伝とも戦術書とも違う。
こんな人におすすめ
部下を持つ管理職、チームを立ち上げたばかりのリーダー、海外の経営書が好きな人。10項目を見出しに自組織を点検する使い方にも、勉強会の題材にする場面にも向く。
良い点
- 10項目という整理で使いやすい
- 取材に基づく具体例が豊富
- ビジネス書として読みやすい
気になる点
- 監督個人の評伝ではない
- 戦術の詳細は扱わない
- 欧州クラブ前提の例が多い
出版社
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日
2012年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
イギリスで話題になったビジネス書なんですね。『10の手法』って、具体的には何が挙がってるんですか?
佐藤メバル
2年間の取材や対談、調査、研究から抽出された10項目だよ。常に頂点を目指す能力、理由を説明できる能力、戦略を行動に変える能力、戦略に柔軟性を持たせる能力、優れた人材を見つける能力、二番手のレベルを高める能力、強力なコーチング能力、問題解決を応援する能力、競合を分析する能力、そしてセットプレーを最大限に活用する能力だ。
橘ナナミ
二番手のレベルを高める、とかセットプレー、というのがサッカーらしくて面白いです。経営書として読めますか?
佐藤メバル
読めるよ。サッカーを素材にした経営論として作られているから、部下を持つ人には見出しがそのまま点検項目になる。
ただし監督個人の評伝ではないし、戦術の詳細も扱わない。そこを期待すると物足りないかもしれないね。10項目を自分のチームに当てはめて、どこが弱いかを書き出しながら読むのが一番いい使い方だと思う。

勝利のチームマネジメント サッカー日本代表監督から学ぶ組織開発・人材開発 (竹書房新書 30)
松村卓朗 著|竹書房
組織の自立を追い求めたオフトとトルシエ、プロとしての自主性を選手に要求したジーコ、日本化によってグローバル化を図ったオシム、組織と個人の融合を成し遂げた岡田、世界標準となるチームを育てたザッケローニ。歴代の日本代表監督が何を求め、どうチームを組み替えたかをリーダーシップと組織開発の言葉で追う。日本企業の『失われた20年』と重ねる構成が独自で、単なるサッカー史にはならない。
こんな人におすすめ
組織開発や人材育成の担当者、日本代表の変遷を経営目線で振り返りたい人、新書で通勤中に読み進めたい読者。自組織の20年と重ねて読む場面に向く。
良い点
- 歴代監督の狙いが一本の線になる
- 新書で読みやすい分量
- 企業組織と重ねる視点が明快
気になる点
- 個々の戦術には踏み込まない
- ザッケローニ以降は範囲外
- 既存の代表史と重なる部分がある
出版社
竹書房
発売日
2014年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
オフト、トルシエ、ジーコ、オシム、岡田、ザッケローニ。歴代の日本代表監督が並んでますね。名前を見るだけで懐かしいです
佐藤メバル
そう、この本はその歴代監督のリーダーシップを、組織開発と人材開発の言葉で読み解くんだ。組織の自立を追い求めたオフトとトルシエ、選手にプロとしての自主性を要求したジーコ、日本化によってグローバル化を図ったオシム、組織と個人の融合を成し遂げた岡田、世界標準となるチームを育てたザッケローニ。
日本企業の『失われた20年』と重ねる構成が独特なんだよ。
橘ナナミ
同じ20年で、企業は停滞してサッカーは飛躍した、という対比が効きますね。新書なんですね、読みやすそう
佐藤メバル
そこがいいところで、通勤の合間に読める分量にまとまっている。ただし個々の戦術には踏み込まないし、ザッケローニ以降は範囲外だ。
だから戦術史としてではなく、組織がどう変わったかの物語として読むのが正解。企業でチームを預かっている人ほど、自分たちの20年と重ねて読めると思うよ。

サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術 (中公新書ラクレ)
清水英斗 著|中央公論新社
監督という仕事の全体像を、モウリーニョら世界的な巨匠のメソッドから7つの力——刺激、厳格、共和、内発、一貫、組織、修練——として導き出す。そのうえで同じ物差しを使って日本代表監督を検証し、課題を浮かび上がらせる構成。監督論を感情論で終わらせないのが気持ちよく、新書ならではの明快な論点が並ぶ。刊行当時の政権を問いの形で締めるなど、読む時期で見え方が変わるのも面白い。
こんな人におすすめ
監督の仕事を構造で理解したい人、指導者のタイプを言語化したい人、新書で一気に読み切りたい読者。自分の上司を7つの力で当てはめてみるような読み方も楽しい。
良い点
- 7つの力という分析軸が明快
- 巨匠と代表監督を同じ物差しで見る
- 新書で導入しやすい分量
気になる点
- 刊行後の代表史は自分で補う必要
- 個別戦術の解説は少ない
- 人物評に寄る部分がある
出版社
中央公論新社
発売日
2015年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
監督に必要な7つの力、って刺激、厳格、共和、内発、一貫、組織、修練ですか。この並び、なんだか面白いですね
佐藤メバル
この本はモウリーニョら世界的な巨匠のメソッドから、その7つの力を導き出す。そして同じ物差しで日本代表監督を検証して、課題を浮かび上がらせる構成なんだ。
監督論を感情論で終わらせないのが気持ちいいところだね。ハリルホジッチ政権を問いの形で締めるなど、読む時期で見え方が変わるのも面白いよ。
橘ナナミ
共和、とか内発、とか、聞き慣れない言葉が出てきたら、ちゃんと説明があるんですか?
佐藤メバル
そこは新書の親切さで、概念の説明を挟みながら進むから追いかけられると思う。ただ刊行後の代表史は自分で補う必要があるし、個別の戦術解説が読みたい人には物足りない。
指導者のタイプを言語化したい人、たとえば自分の上司を7つの力に当てはめてみたい人には、けっこう楽しい一冊だよ。

監督たちの流儀 (サッカー監督にみるマネジメントの妙)
西部謙司 著|内外出版社
¥1,493(税込)
長期政権、継承力、天才タイプ、ハイリスク・ハイリターン、リアリスト。監督たちのチーム作りと戦術を、マネジメントスタイルとサッカー哲学から読み分ける。信念を貫くファン・エスナイデル、天才選手は天才監督になりえるかを問う風間八宏、長期化する創業者としてのペトロヴィッチと西野朗、継承力を森保一や長谷川健太らで見る構成。人と型の組み合わせで並べるのが独特で、順位づけの監督論とは趣が違う。
こんな人におすすめ
Jリーグの監督を追いかけている人、リーダーの型を事例で知りたい人、気になる章から拾い読みしたい読者。自分の推し監督の型を確かめる目的にも向く。
良い点
- 監督をタイプ別に整理して読める
- Jリーグの具体例が豊富
- 1章ずつ独立して読みやすい
気になる点
- 体系的な理論書ではない
- 海外の監督は少なめ
- 刊行後の交代は反映されない
出版社
内外出版社
発売日
2018年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本、監督をタイプ別に並べてますね。長期政権、継承力、天才タイプ、ハイリスク・ハイリターン、リアリスト…
佐藤メバル
そう、そこが上手い構成なんだ。信念を貫くファン・エスナイデル、天才選手は天才監督になりえるかを問う風間八宏、長期化する創業者としてのミハイロ・ペトロヴィッチと西野朗、継承力を森保一や長谷川健太らで見る、といった具合にね。
人と型の組み合わせで並べるから、順位づけの監督論とは趣が違うんだよ。
橘ナナミ
なるほど、誰が一番すごいかではなくて、型で読むんですね。気になる章から読んでも大丈夫ですか?
佐藤メバル
大丈夫、1章ずつ独立しているから拾い読みに向いている。逆に体系的な理論書ではないし、海外の監督は少なめだ。
Jリーグを追いかけている人ほど、『あの監督はこの型か』と当てはめながら読めて楽しいと思う。刊行後の監督交代は反映されていないから、そこは自分で更新しながら読むといいよ。

プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意
森保一 著|カンゼン
¥1,760(税込)
サンフレッチェ広島を連覇に導いた監督が、現場で日々考えていることを実例で綴る。シーズンを通したチーム作り、コーチや選手との関係、試合に向けての準備や采配、選手の見方、モチベーション、試合に出る選手と出られない選手の扱いまで踏み込む。脱トップダウンの指導法が芯にあり、監督の哲学書でありながら、育成型クラブの運営論にもなっているのが面白い。
こんな人におすすめ
指導者やコーチを目指す人、部下の育て方に悩む管理職、育成型クラブの内側を知りたいファン。人材マネジメントの実例として読む場面にも向く。
良い点
- 現役監督が自ら語る現場の解像度
- 連覇までの道程が章で追える
- ビジネスにも置き換えやすい
気になる点
- 戦術の図解は中心ではない
- 広島というクラブの前提が大きい
- 特定クラブの事例に寄る
出版社
カンゼン
発売日
2014年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
森保さんの本ですか。サンフレッチェ広島を連覇に導いたときの話が入ってるんですね
佐藤メバル
そう。シーズンを通したチーム作りから、コーチや選手との関係、試合に向けての準備や采配、選手の見方、モチベーション、試合に出る選手と出られない選手の扱いまで、現場のことを実例で書いている。
脱トップダウンの指導法が芯にあって、育成型クラブとして成長してきた広島の運営論にもなっているんだ。
橘ナナミ
試合に出られない選手の話まで書いてあるの、いいですね。指導者じゃなくても読めますか?
佐藤メバル
読めるよ。部下を持つ人にとっては、選手の見方の章がそのまま人材マネジメントの話に見えてくるはずだ。ただ戦術の図解が中心ではないし、広島というクラブの前提が大きい。
そこを踏まえて読むと、連覇までの道程がただの成功談ではなく、判断の積み重ねとして見えてくると思うよ。

「監督を決める」仕事―世界が認めた日本人GMの 逃げないマネジメント
祖母井秀隆 著|ダイヤモンド社
¥2,942(税込)
日本人初の欧州サッカークラブ代表兼GMとして現場に身を置いてきた著者が、なぜ日本でも海外でも結果を出し続けられるのかを10のキーワードでまとめたGM論。鍵は、元日本代表監督のオシムにも信頼されたという本物のコミュニケーション力。『監督を決める』という仕事を正面から扱う本は珍しく、采配や戦術ではなく、誰を選び、どう支えるかに焦点が当たる。
こんな人におすすめ
人事や組織の責任者、スポーツクラブの運営に携わりたい人、リーダー選びで悩んだ経験がある人。意思決定の実例を読みたい場面や、後任を選ぶ立場になったときに手に取りたい。
良い点
- GM視点の希少な一冊
- 10のキーワードで整理されている
- 海外での実体験が軸になっている
気になる点
- 戦術や試合の話は中心でない
- 価格はやや高めの部類
- クラブ固有の事情に踏み込む
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2010年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『監督を決める』仕事、ってタイトルが刺さります。監督を選ぶこと自体が、そんなに大きな仕事なんですね
佐藤メバル
そう、そこを正面から扱った本は珍しいんだ。著者は日本人初の欧州サッカークラブ代表兼GMとして現場に身を置いてきた人で、元日本代表監督のオシムにも信頼されたという本物のコミュニケーション力を持っている。
経験から培われた信念が10のキーワードでまとまっていて、采配ではなく誰を選びどう支えるかに焦点が当たっているよ。
橘ナナミ
それって人事の仕事に近いですね。私も研究室で後輩の担当を決めるとき、けっこう悩んだので気になります
佐藤メバル
その感覚で読むと面白いと思う。誰に任せるかで結果が変わるというのは、クラブでも研究室でも同じだからね。
ただ戦術や試合の話は中心ではないし、価格はやや高めだ。海外で結果を出し続けた人の意思決定の実例を、自分の中の『選ぶ場面』と重ねながら読むのがいいと思うよ。

サッカー名監督に学ぶ勝つための経営学
デビッド・ボルコーヴァー 著|オープンナレッジ
¥2,600(税込)
イングランドの一流監督たちの成功例と失敗例を分析し、そこから普遍的な経営問題へ引き上げる。モウリーニョ、ベンゲル、ファーガソン、シャンクリーらを素材に、優秀だがわがままな人材の扱い、内部の人材を伸ばすか外部から招くか、傑出した一人を中心に組むべきか、経営者の継承をどう進めるか、という問いを立てる。答えより問いが残る構成で、読後に自組織を考えさせられる。
こんな人におすすめ
人材の登用や後継者問題を抱える経営者、チーム編成を任されている管理職、ケーススタディで議論したい勉強会の参加者。自組織の問いとして読み替える場面に向く。
良い点
- 監督の成功と失敗の両方を扱う
- 経営の論点に翻訳されている
- 著名監督の事例が豊富に並ぶ
気になる点
- イギリスサッカー前提の例が多い
- 答えは読者に委ねられる構成
- ページ数は多めで覚悟が要る
出版社
オープンナレッジ
発売日
2007年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
モウリーニョ、ベンゲル、ファーガソン、シャンクリー。そうそうたる名前ですね。成功例と失敗例の両方を扱うって書いてあります
佐藤メバル
そこがいいんだ。優秀だがわがままな人材をどう扱うか、社内の人材を伸ばすべきか外部から招くべきか、傑出した一人を中心に組むべきか、経営者の継承をどう進めるか。
答えより問いが残る構成で、読後に自組織を考えさせられる。サッカーを素材にした経営のケース集だね。
橘ナナミ
答えを教えてくれる本かと思ってました。問いを持ち帰るタイプなんですね。ページ数は299と、けっこうありますね
佐藤メバル
そう、読み応えはある。イギリスサッカー界の例が中心だから、そこは頭に置いておいてほしい。僕はこの手の本を、章ごとに自分のチームの状況を書き出しながら読むようにしている。
答えを写すのではなく、うちならどうするかを考える。その使い方なら、300ページでもあっという間だよ。

サッカー型人事戦略
佐藤修 著|日経BPコンサルティング
書名どおり、サッカーを人事戦略の比喩と実例に使う一冊。ネット上の紹介文が乏しく、扱う組織や想定読者を事前に把握しにくい。だからこそ目次を見て判断したいタイプで、人事制度や採用、育成に関心がある人が、自分の課題と重なる章があるかを確かめてから読むとよい。スポーツとビジネスの橋を架ける本を探しているなら候補になる。
こんな人におすすめ
人事・採用・育成の担当者、スポーツ組織の人事に関わる人、組織づくりの実務書を探している読者。棚で目次を確認してから選ぶ買い方に向く。
良い点
- 人事という実務に近い切り口
- 233ページで扱いやすい分量
- タイトルから目的が明確
気になる点
- ネット上の情報が少ない
- 内容の予習がしづらい
- 対象読者が絞られている可能性
出版社
日経BPコンサルティング
発売日
2002年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『サッカー型人事戦略』。これ、サッカーの本というより人事の本ですか? 紹介文がほとんど見つからないんですけど
佐藤メバル
書名どおり、サッカーを人事戦略の比喩と実例に使う一冊だね。ただネット上の紹介文が乏しくて、扱う組織や想定読者を事前に把握しにくい。
だからこそ目次を見て判断したいタイプなんだ。人事制度や採用、育成に関心がある人が、自分の課題と重なる章があるかを確かめてから読むといい。
橘ナナミ
なるほど。情報が少ない本は、書店で中身を見るのが大事なんですね。233ページなら手に取りやすいです
佐藤メバル
そう思う。僕がバイヤーをしていたころも、紹介文が短い本は必ず自分で読んでから棚に並べていた。タイトルから目的は明確だから、人事の実務をやっている人には候補になる。
逆に、サッカーの戦術や試合の話を期待して開くと方向が違う。まずは目次で章の並びを確かめてみてほしい。

ゴールは偶然の産物ではない~FCバルセロナ流世界最強マネジメント~
フェラン・ソリアーノ 著|アチーブメントシュッパン
¥2,459(税込)
モスクワのスタジアムで行われたチャンピオンズリーグ決勝、テリーがPKを外してチェルシーがタイトルと約3000万ユーロを失った場面から始まる。著者はそれを不運の一言で片づけない。『ゴールは偶然の産物ではない』という主張のもと、FCバルセロナや世界の強豪クラブの経営者が使う理論、その実践方法と成果を述べ、バルサの成功理由まで具体に踏み込む。経営者自身の視点で書かれた一冊だ。
こんな人におすすめ
クラブ経営を内側から知りたい人、スポーツを論理で見直したい人、経営者や企画職として判断の材料を探している読者。事例と理論を往復して読む場面に向く。
良い点
- バルサ経営陣自身の語りが軸
- 冒頭の事例が強烈で引き込まれる
- 理論と実践を往復できる構成
気になる点
- 自クラブ視点の肯定面が強い
- 価格はやや高めの部類
- 数字の細部は追いにくい
出版社
アチーブメントシュッパン
発売日
2009年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
冒頭がチャンピオンズリーグ決勝で、テリーがPKを外した場面から始まるんですか。そこから経営の話になるのが不思議です
佐藤メバル
そこが著者の狙いなんだ。あの一蹴でチェルシーがタイトルと約3000万ユーロを失った。それを不運の一言で片づけず、裏に論理があるのではないかと問う。
『ゴールは偶然の産物ではない』というのが全編を貫く主張で、FCバルセロナや世界の強豪クラブの経営者が使う理論と実践、そしてバルサの成功理由まで具体に踏み込むよ。
橘ナナミ
当事者のクラブの人が書いてるんですよね。説得力がありそうですけど、偏りはないですか?
佐藤メバル
自クラブ視点の肯定面が強いのは確かで、そこは差し引いて読みたい。それでも、経営者が何を見て決めているのかを内側から語る本は貴重だ。
数字の細部を追う本ではないから、まず冒頭のエピソードに引き込まれて、そこから理論に入る順番で読むといい。スポーツを論理で見直したい人に向くよ。

FCバルセロナ 常勝の組織学
ダミアン・ヒューズ 著|日経BP
¥1,870(税込)
スポーツ心理学者で組織改善コンサルタントでもある著者が、バルサの強さを組織文化から解く。スタンフォード大学経営大学院の研究による5類型——スター型、独裁型、官僚型、エンジニアリング型、コミットメント型——を並べ、最も安定して成功していたのがコミットメント型だと述べる。クライフとグアルディオラが等しく重視した理想、変革の旅路、反復、文化の設計者、本物のリーダーシップの5要素が核になる。
こんな人におすすめ
組織文化の作り手、リーダー層、バルサの内実を知りたいファン。企業経営に引き写して読む場面や、自社がどの型なのかを考える場面に向く。
良い点
- 5類型という比較軸が強力
- クライフとグアルディオラを貫く分析
- 研究と取材の裏づけがある
気になる点
- 364ページで相応に重い
- 他クラブは比較役に回る
- 用語はやや学術的に寄る
出版社
日経BP
発売日
2019年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
組織を5つの型に分けて、バルサはコミットメント型だって書いてあるんですね。他の4つは何なんですか?
佐藤メバル
スター型がレアル・マドリード、独裁型がチェルシー、官僚型がリバプール、エンジニアリング型がボルシア・ドルトムント、そしてコミットメント型がバルサだ。
スタンフォード大学経営大学院の研究を引いて、最も安定して成功を収めていたのがコミットメント型だったと述べる。
文化の型で勝ち続け方を説明するのがこの本の核だね。
橘ナナミ
クライフとグアルディオラが重視した5つの要素、っていうのも気になります。理想、変革の旅路、反復、文化の設計者、本物のリーダーシップ…
佐藤メバル
そこが読みどころだよ。スポーツ心理学者でもある著者が、選手や関係者に取材し、経営学から脳科学まで照合しながら分析している。
364ページと重いから、第1章で型を押さえてからクライフとグアルディオラの章へ進むと迷わない。組織文化を作っている人には、自分の会社をどの型で見るかを考えながら読んでほしいね。

大宮アルディージャはなぜ外資に買収されたのか? 日本サッカーとスポーツビジネスに起きた「革命」 (光文社新書)
戸塚啓 著|光文社
¥1,166(税込)
史上初の100%外国資本クラブの誕生を軸に、巨大資本の本格参入が日本サッカー界の歴史をどう変えるかを描く。2兆円に迫るプレミアリーグとの絶望的な経済格差、『移籍金で稼ぐ』という世界基準の欠如にも触れ、最先端の育成とクラブ経営哲学を解き明かす。新書で読める現在進行形の論点として貴重で、外資参入を好機と捉え、Jリーグが世界市場へ逆襲する道筋を描く。
こんな人におすすめ
Jリーグの今後を考えたいファン、スポーツビジネスの実務者、外資と地域クラブの関係に関心がある人。新書で通読する場面にも、議論の材料を集める場面にも向く。
良い点
- 今まさに動く論点を扱っている
- 新書で価格も手頃
- 格差と育成の両面を追う
気になる点
- 刊行後の展開は自分で追う必要
- クラブ内部の詳細は限られる
- 賛否のあるテーマである
出版社
光文社
発売日
2026年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
大宮アルディージャが外資に買収された話、ニュースで見ました。100%外国資本のクラブは史上初なんですね
佐藤メバル
そう、そこを軸にした新書だ。レッドブルという巨大資本の本格参入が日本サッカー界の歴史をどう変えるか。
2兆円に迫るプレミアリーグとの経済格差や、『移籍金で稼ぐ』という世界基準が欠けている点にも触れて、最先端の育成とクラブ経営哲学を解き明かしていく。
新書で読める現在進行形の論点として貴重だね。
橘ナナミ
海外と比べたときの差が、お金だけじゃないんですね。サポーターとしては複雑な気持ちもあります
佐藤メバル
その複雑さも含めて書かれていると思う。外資参入を好機として、Jリーグが世界市場へ逆襲する道筋を描くのが著者の視点だ。
ただ刊行後の展開は自分で追う必要があるし、クラブ内部の詳細は限られる。賛否のあるテーマだからこそ、感情と数字の両方で考えたい人が読むといい。新書で価格も手頃だよ。

サッカー×M&A入門: The Valuation of Football Clubs
岡本教孝 著|税務経理協会
¥3,080(税込)
サッカークラブはいくらで買えるのか、その価格はどう決まるのか。ファンド業務の知見とデータ分析による学術研究の両面から、クラブ価値の『見える化』を試みる入門書。プレミアリーグとJリーグの取引価格の差を、市場の成熟度、移籍金の考え方、会計制度や税制の違いまで分解する。鹿島アントラーズやFC東京、サンフレッチェ広島、大宮アルディージャなどの事例も追い、想定される取引価値まで導く。
こんな人におすすめ
クラブ経営やM&Aに関心がある実務家、財務・会計を学ぶ学生、数字でサッカーを見たいファン。入門書として読む使い方にも、深く学ぶための入口として使う場面にも向く。
良い点
- クラブ価値の算定を丁寧に解説
- 図表が多く入門書として使える
- 実例から税制・会計まで広い
気になる点
- 価格帯が高めの部類に入る
- 回帰分析などは前提知識が要る
- 事例の解釈は今後変わりうる
出版社
税務経理協会
発売日
2026年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
サッカークラブって、いくらで買えるのか。その値段がどう決まるのか。素朴に知りたくなります
佐藤メバル
その問いに正面から答える入門書だ。ファンド業務の知見とデータ分析の学術研究の両面から、クラブ価値の『見える化』を試みる。
プレミアリーグとJリーグの取引価格の差を、市場の成熟度、移籍金の考え方、会計制度や税制の違いまで分解していく。
鹿島アントラーズやFC東京、サンフレッチェ広島、大宮アルディージャなどの事例も追い、想定される取引価値まで導くよ。
橘ナナミ
赤字のクラブでも価値がある、という章があるの、不思議です。財務の勉強にもなりそうですね
佐藤メバル
そこが面白いところでね。回帰分析などが出てくるから、統計に触れていないと少し重い。でも図表が多く、入門書として読めるように配慮されている。
スタジアムで応援する側の視点と、投資家の視点、その両方を行き来しながら読むと、ニュースの見え方が変わるはずだ。
価格帯は高めだから、腰を据えて読みたい人向けだね。

海外のサッカーはなぜ巨大化したのか
大山高 著|青娥書房
サッカーの起源から欧州クラブ経営の実態までを、手に取るように解説する。観客動員で存在感のあるブンデスリーガのクラブ経営システム、資産価値で欧州屈指に伸びたマンチェスター・ユナイテッドのグローバル戦略を軸に、五大リーグが急成長した時代背景まで追う。欧州クラブで働いた経験を持つ3人への取材も収録され、歴史と現在地の両方が掴めるのが強みだ。
こんな人におすすめ
海外サッカーの歴史と経営をまとめて知りたい人、スポーツビジネスを志す大学生、欧州クラブで働きたい人。全体像の地図を手に入れる目的に向く。
良い点
- 起源から現在までを一本で追える
- 実務家への取材が入っている
- 223ページで見通しがよい
気になる点
- 各国リーグの細部は限られる
- データは刊行時点のものである
- 深掘りには別の一冊が必要
出版社
青娥書房
発売日
2019年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
サッカーの起源から書いてあるんですか。ドイツのブンデスリーガと、マンチェスター・ユナイテッドの話が中心なんですね
佐藤メバル
そう。観客動員で存在感のあるブンデスリーガのクラブ経営システムと、資産価値で欧州屈指に伸びたマンチェスター・ユナイテッドのグローバル戦略を軸に、五大リーグが急成長した時代背景まで追う。
欧州クラブで働いた経験を持つ3人への取材も入っていて、歴史と現在地の両方が掴めるのが強みだね。
橘ナナミ
223ページなら、全体像をつかむのによさそうです。スポーツビジネスを志す大学生に必読、と書いてありますね
佐藤メバル
その通りで、まず地図を手に入れる一冊だね。僕も書店員時代、海外サッカーの棚にこういう本を並べると、学生さんがよく手に取ってくれた。
ただ各国リーグの細部は限られるし、データは刊行時点のものだ。深く掘りたい人は、ここで得た道筋を頼りに次の一冊へ進むといい。入門としてちょうどいい重さだよ。

MLSから学ぶスポーツマネジメント (TOYOKAN BOOKS)
中村武彦 著|東洋館出版社
日本人で初めてMLSに勤務した著者が、リーグ躍進の舞台裏を解説する。ベッカム獲得の駆け引き、リーグの基本構図、単一の存在として運営されるシングルエンティティシステムという特異なリーグ構造、Soccer United Marketingの業務まで踏み込む。『人』『組織・マーケティング』『設備』への投資という章立てで投資と回収を考える構成が実務的だ。
こんな人におすすめ
リーグ運営やマーケティングの実務者、スポーツビジネスを学ぶ学生、北米スポーツの仕組みに関心がある人。日本との違いを制度から知る場面に向く。
良い点
- シングルエンティティ構造を詳しく解説
- 投資と回収の視点が明確
- 現場にいた著者の具体例が豊富
気になる点
- MLSの制度用語が多く最初は重い
- 日本との比較は控えめである
- 刊行後のMLS拡大は追えない
出版社
東洋館出版社
発売日
2018年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
MLSって、ベッカムが移籍したリーグですよね。日本人が初めてMLSに勤務した人が書いてるんですか
佐藤メバル
そう。しかもFCバルセロナなど欧州ビッグクラブや代表チームのUSツアーも手がけた人だ。ベッカム獲得の駆け引き、リーグの基本構図、単一の存在として運営されるシングルエンティティシステムという特異なリーグ構造、Soccer United Marketingの業務まで踏み込む。
『人』『組織・マーケティング』『設備』への投資という章立てで、投資と回収を考える構成になっているよ。
橘ナナミ
シングルエンティティって何ですか? 言葉を聞いたことがなくて、そもそも想像がつきません
佐藤メバル
リーグ全体が単一の存在として運営される仕組みで、そこが日本や欧州と大きく違うんだ。シアトルサウンダーズではファンがゼネラルマネージャーの信任投票をするという話も出てくる。
制度用語が多くて最初は重いけれど、リーグ運営やマーケティングの実務者には刺激が強い。アメリカのスポーツの作り方を知りたい人に向くよ。

スポーツのマネジメント ユベントス・フェラーリ その交渉と契約
マリオ宮川 著|東邦出版
ジャン・アレジ、アイルトン・セナ、小林可夢偉らF1のスター、サッカーのアレッサンドロ・デル・ピエロなど、多数のスポーツ選手のマネジメントと契約に携わってきた著者が、世界を股にかけた交渉の内側を語る。契約書よりも大切なもの、選手と意見が食い違ったときの作法、マネジャーとエージェントの違いまで具体的だ。巻頭にはザッケローニによる特別寄稿も収録されている。
こんな人におすすめ
代理人や交渉の仕事に興味がある人、選手のキャリアを支えたい人、契約の現場を覗いてみたい読者。キャリアの相談相手を考える場面にも通じる。
良い点
- 交渉の実例が生々しく残る
- F1とサッカーの両方を扱う
- 巻頭の特別寄稿が読ませる
気になる点
- 中心はF1のエピソードである
- 制度面の解説は少なめ
- 人名が多く最初は追いづらい
出版社
東邦出版
発売日
2012年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
アレジ、セナ、可夢偉、デル・ピエロ。F1とサッカーの両方が出てくるんですね。巻頭にザッケローニさんの特別寄稿もあるって
佐藤メバル
そう、監督業とマネジメント業の共通項という寄稿だ。著者は世界を股にかけた交渉と契約の内側を語る。契約書よりも大切なもの、選手と意見が食い違ったときの作法、マネジャーとエージェントの違い。
現場の交渉の手触りがそのまま残っているのが魅力だね。サッカーの章ではユベントスやアジアツアーの話も出てくる。
橘ナナミ
選手のキャリアって、誰に預けるかで本当に変わりそうです。私も就活のとき、相談相手でだいぶ違いましたし
佐藤メバル
その実感は近いと思うよ。ただ中心はF1のエピソードで、人名も多いから、最初は人名メモを作りながら読むと迷わない。
制度や仕組みの解説は少なめだから、そこは別の本で補いたい。それでも、交渉の現場をここまで具体的に書いた本は少ない。
代理人や契約の仕事に興味がある人にはたまらないはずだよ。

サッカーを楽しむ心を育てて勝つ 京都精華学園高校のマネジメント術
越智健一郎 著|竹書房
無人島で思い出作り、卒部式でファッションショー、全国大会の直前に部員全員でディズニーランド、年間のオフは90日。常識にとらわれない仕掛けで、女子サッカー部を全国有数の強豪に押し上げた監督のマネジメント術をまとめる。『好き』と『勝利』を両立させるという主題がぶれず、独自のトレーニング法や目標へ向かわせる気持ちのくすぐり方まで具体的に公開する。
こんな人におすすめ
部活動や育成年代の指導者、子どもを預ける保護者、楽しみながら結果を出したい組織の作り手。指導の常識を疑いたい場面に向く。
良い点
- 仕掛けの具体例が豊富
- 楽しさと勝利の両立が主題
- 独自のトレーニング法が読める
気になる点
- 女子サッカー部の事例が中心
- 高校という環境が前提になる
- ビジネスへの翻訳は読者次第
出版社
竹書房
発売日
2020年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
全国大会の直前に、部員全員でディズニーランドに行くんですか。しかも年間のオフが90日…。それで勝てるんですか?
佐藤メバル
そこがこの監督の狙いなんだ。無人島で思い出作り、卒部式でファッションショー、そして楽しみながら全国有数の強豪に押し上げた。
『好き』と『勝利』を両立させるという主題が全編ぶれていない。常識にとらわれない仕掛けと、独自のトレーニング法、目標に突き進ませる気持ちのくすぐり方が具体的に公開されているよ。
橘ナナミ
なるほど、緩く見えて設計があるんですね。私にはまだ子育ての実感はないですけど、部活の指導者には効きそう
佐藤メバル
そう、まず育成年代の指導者に読んでほしい。高校の女子サッカー部という前提はあるから、そのまま別の環境に当てはめるのは難しいけれど、人は楽しさで伸びるという前提に立つと、自分のチームで何を変えるかを考えさせられる。強豪校の指導論の中でも異色の一冊だよ。

根っこがなければきれいな花は育たない<サッカー育成年代のカリスマ指導者が明かす「最強マネジメント術」>
内野智章 著|ベースボール・マガジン社
¥1,760(税込)
『サッカークリニック』の好評連載を加筆・再編集した一冊で、多くのJリーガーを送り出してきた興國高校サッカー部の指導アプローチに迫る。注目したいのは、プロになることだけをゴールにせず、その後の人生や社会でも活躍できる人間にするという育成の設計だ。中学年代の指導者への視点、戦術理解と選手育成の関係、ポジションごとの理想像まで、根を育てる発想で貫かれている。
こんな人におすすめ
育成年代のコーチ、中学・高校の部活指導者、子どもにどうサッカーを教えるかを考えている人。長期の目線で育成を捉え直す場面に向く。
良い点
- 育成の根幹を長期目線で語る
- 戦術理解と育成を結びつける
- 連載を再編集し読みやすく構成
気になる点
- 高校サッカーの文脈が前提になる
- 試合戦術の実用書ではない
- 特別対談は一部の読みどころ
出版社
ベースボール・マガジン社
発売日
2022年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『根っこがなければきれいな花は育たない』。このタイトル、いいですね。育成の本ですか?
佐藤メバル
そう、多くのJリーガーを輩出してきた興國高校サッカー部の指導アプローチに迫る一冊だ。連載を加筆・再編集しているから読みやすい。
ポイントは、プロになることだけをゴールにしないこと。その後の人生や社会でも活躍できる人間にするという発想が全編の土台になっていて、中学年代の指導者への視点やポジションごとの理想像も入っているよ。
橘ナナミ
戦術理解が選手を育てる、という章があるんですね。戦術って教える側のものだと思ってました
佐藤メバル
そこが面白いところで、戦術を理解させることが選手を育てることにつながる、という考え方なんだ。育成年代のコーチや、子どもにどうサッカーを教えるか考えている人に向く。
試合の戦術を明日すぐ使いたい人には向かないけれど、根を育てるという長期の視点を持ちたい人にはちょうどいい。特別対談も収録されているよ。

教えないスキル: ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術 (小学館新書 せ 4-1)
佐伯夕利子 著|小学館
¥1,012(税込)
スペインのビジャレアルでカンテラ、つまり育成組織の改革に携わった著者が、『教えない』ことの技術を7つに整理する。テーブルは丸テーブルにする、注意するときはサンドイッチ話法、『こうだよ』を『どう思う?』という問いに変える、選手が選手を指導する学び合いを作る、コーチ全員がビデオで指導を客観視する。引き出す側に回る発想が貫かれ、家庭や職場にも置き換えやすい。
こんな人におすすめ
若手を育てる立場の人、部活や習い事の指導者、子どもや後輩への声かけを見直したい人。日常の一言を変えるヒントを探す場面にも向く。
良い点
- 新書で手頃かつ実践的
- 具体メソッドが7つに整理
- 育成以外の場面にも応用できる
気になる点
- ビジャレアル固有の背景が前提
- 戦術の話は中心ではない
- 事例は育成年代が中心になる
出版社
小学館
発売日
2021年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『教えないスキル』。教えないのに育つって、どういうことなんですか? 放っておくのとは違いますよね
佐藤メバル
スペインのビジャレアルでカンテラ、つまり育成組織の改革に携わった人が書いた本だよ。テーブルは丸テーブルにする、注意するときはサンドイッチ話法、『こうだよ』を『どう思う?』という問いに変える、選手が選手を指導する学び合いを作る、コーチ全員がビデオで指導を客観視する。
引き出す側に回る技術を7つに整理しているんだ。
橘ナナミ
サンドイッチ話法、聞いたことあります。まず褒めて、次に指摘して、最後にまた褒める、でしたっけ
佐藤メバル
そう、その型だね。新書で手頃だし、家庭や職場にも置き換えやすいのがいい。ただビジャレアル固有の背景は前提だし、戦術の話は中心ではない。
僕が面白いと思ったのは、コーチの指導を客観視するために全員にビデオを持たせるという発想でね。教える側を測るという視点は、上司にもそのまま当てはまるよ。

蹴球学 名将だけが実践している8つの真理
Leothefootball 著|KADOKAWA
¥1,980(税込)
戦術分析で存在感のある著者による本格的な戦術書。ポジショナルプレー×正対理論、サイドバックの立ち位置、Waiting Point論とアピアリング、3-3-4の万能性、属性表、矢印理論など、攻撃と守備の原則を講義形式で積み上げる。『ヨーロッパの真似をする必要はない』というまえがきの姿勢が通底し、分析とトライ&エラーで日本人の特性を乗せる道を探る。実試合を題材にした応用編も収録。
こんな人におすすめ
戦術を言葉で理解したいファン、指導者や分析を学ぶ学生、試合の見方を一段深めたい人。観戦しながら原則を照合する場面に向く。
良い点
- 講義形式で原則から積み上げる
- 攻守と応用編の構成が明快
- 実際の試合を題材にした分析
気になる点
- 用語が多く初心者には重い
- 図の理解に時間がかかる
- 観戦入門書ではない
出版社
KADOKAWA
発売日
2023年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
戦術分析のYouTuberの方が書いた本なんですね。ポジショナルプレーに正対理論、Waiting Point論…用語がすごい
佐藤メバル
講義形式で攻撃と守備の原則を積み上げていく本だ。サイドバックは低い位置で張ってはいけない、3-3-4の万能性、属性表で攻撃ユニットを組む、クロス対応のロックとT字など、名前のついた原則が次々出てくる。
『ヨーロッパの真似をする必要はない』というまえがきの姿勢が通底していて、分析とトライ&エラーで日本人の特性を乗せる道を探っているよ。
橘ナナミ
応用編にアーセナル対マンチェスター・シティ、PSG対バイエルンが入ってるんですね。実際の試合でどう使うかが見えそうです
佐藤メバル
そこがいい。ただ用語が多くて観戦入門書ではないから、初心者は第1章から順に読むより、気になる講義から入って図と照らし合わせるほうが進めやすい。
指導者や分析を学ぶ学生には特に刺さるはずだ。試合を見ながら『あの原則が使われている』と気づけるようになると、見え方が一段変わるよ。

勝利を求めず勝利する ― 欧州サッカークラブに学ぶ43の行動哲学
ラインハルトK.スプレンガー 著|英治出版
¥1,760(税込)
ドイツ屈指の経営コンサルタントが、ブンデスリーガを中心とした欧州の監督やスター選手のエピソードを交えながら、組織マネジメントと行動哲学を43項目で説く。クロップ、マガト、ヒッツフェルト、ソリアーノ、レバノフスキーらの言葉が並び、勝ち方より続け方を見るような視点が全体を貫く。元ジェフ・千葉のゼネラルマネージャーを務めた祖母井秀隆氏が序文を寄せている点も見どころだ。
こんな人におすすめ
組織の長期運営に悩む経営者、リーダーシップを学び直したい人、ドイツサッカーの思想に触れたい読者。寝る前に1項目ずつ読む使い方に向く。
良い点
- 43項目で短く区切られ読みやすい
- 監督や選手の実際の言葉が豊富
- 序文を含め人選が渋い
気になる点
- ドイツ文脈の前提が大きい
- 体系的な経営書ではない
- 各項目は簡潔で物足りなくも感じる
出版社
英治出版
発売日
2010年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
『勝利を求めず勝利する』。逆説的で気になります。43の行動哲学って、短い章が並ぶんですか?
佐藤メバル
そう、ドイツ屈指の経営コンサルタントが、ブンデスリーガを中心とした欧州の監督やスター選手のエピソードを交えながら、組織マネジメントと行動哲学を43項目で説く。
クロップ、マガト、ヒッツフェルト、ソリアーノ、レバノフスキーらの言葉が並ぶ。勝ち方より続け方を見るような視点が全体にあるね。
橘ナナミ
元ジェフ・千葉のゼネラルマネージャーの祖母井さんが序文なんですね。前に紹介してもらった『監督を決める』の著者と同じ方だ
佐藤メバル
よく覚えていたね。そのつながりで読むと、ドイツと日本のクラブ運営の距離感がまた違って見えると思う。各項目は簡潔だから読みやすいけれど、体系的な経営書ではないし、欧州、とくにドイツの文脈が前提だ。
寝る前に1項目ずつ読むような使い方が向いている。長く続けるための哲学として受け取ってほしい本だよ。
世界の名将と日本人監督――読み比べで見える現在地
橘ナナミ
海外の名将の本と日本人監督の本って、読む意味が違うんですか?
佐藤メバル
読み比べると日本の現在地が見える。『世界一流のサッカー監督から学ぶマネジメント』は2年にわたる取材から共通する資質を10項目に整理した本で、ボルコーヴァーの本はモウリーニョやファーガソンの強みと弱みを、人材の扱いや後継者の問題といった経営課題に置き換えていく。日本側は『サッカーは監督で決まる』が刺激や厳格など7つの力で代表監督を検証し、『勝利のチームマネジメント』はオフトからザッケローニまでのリーダーシップを追う。海外の一般論と日本の具体例を往復すると、理解が立体的になるよ。
橘ナナミ
なるほど。同じ「監督の力」でも、切り口がかなり違うんですね。
育成年代・現場のマネジメントという空白地帯
橘ナナミ
育成年代の本は、やっぱり毛色が違いますか?
佐藤メバル
ここは競合の記事が手薄な領域だね。『教えないスキル』はスペインのビジャレアルの育成改革を、丸テーブルにする、注意するときはサンドイッチ話法で、といった具体策として紹介する。『根っこがなければきれいな花は育たない』は興國高校で多くのJリーガーを送り出した育成の考え方、京都精華学園の本は年間のオフを多く取りながら楽しさと勝利を両立させる異端のマネジメント術。どれも「教える側の設計」の話なんだ。
橘ナナミ
指導者じゃなくても、後輩の育て方に通じそうです。
クラブ経営・データの現在地と、読む順番
橘ナナミ
経営やデータの話は難しそうで、少し身構えます……。
佐藤メバル
難易度は上がるけど射程は長い。『サッカービジネスの基礎知識』はJリーグ創設期の制度設計から、ボスマン判決、プレミアリーグの誕生とメディア資本の関係、指定管理者制度までを一本の流れで追う。『サッカー×M&A入門』はクラブの価値がどう測られるのか、なぜJリーグクラブの取引価格が欧州と大きく違うのかを数字で考えさせてくれる。制度と財務と人事を一冊ずつつなぐと、ニュースの見え方が変わるよ。
橘ナナミ
数字で見るサッカー、面白そうです。読む順番の目安も知りたいです。
佐藤メバル
基本は「理論書→自伝・評伝→実務書」。まず『サッカーは監督で決まる』で棚を作り、次に森保さんの本や望月さんの本で一人称の現場を読み、最後に『教えないスキル』や『サッカー型人事戦略』のように手を動かせる本へ進む。読んだら「自分のチームならどうするか」を一つだけ紙に書く。それが読後を実務につなげる最短の作法だ。
橘ナナミ
一つだけ、なら私にもできそうです。
よくある質問
サッカーのマネジメント本はビジネスマンにも役立つ?
橘ナナミ
サッカーのマネジメント本はビジネスマンにも役立つについて教えてください。
佐藤メバル
役立ちます。チームの成績がクラブ財政に直結する世界なので、資産の調達と売却、経費の最適化、人材の確保と開発といった業務がそのまま詰まっています。『世界一流のサッカー監督から学ぶマネジメント』は共通する資質を10の特性として抽出しており、自社の会議に持ち込みやすい構成です。
サッカーマネジメント本の初心者におすすめの一冊は?
橘ナナミ
サッカーマネジメント本の初心者におすすめの一冊はについて教えてください。
佐藤メバル
まずは森保一さんの『プロサッカー監督の仕事』です。現役監督が日々のチーム作りを実例まじりで語るので、予備知識がなくても読み進められます。読み物として軽い順なら『世界一流のサッカー監督から学ぶマネジメント』も入り口になります。いきなりM&Aや制度の本から入らないのがコツです。
森保一以外に日本人監督が書いたおすすめ本はある?
橘ナナミ
森保一以外に日本人監督が書いたおすすめ本はあるについて教えてください。
佐藤メバル
現役監督の著書としては森保一さんの本が代表です。加えて、育成の現場では越智健一郎さんの京都精華学園高校の本、内野智章さんの興國高校の本があります。監督ではなく選ぶ側の視点ですが、祖母井秀隆さんの『「監督を決める」仕事』も日本人のマネジメント論として貴重です。
組織論やリーダーシップを学べるサッカー本は?
橘ナナミ
組織論やリーダーシップを学べるサッカー本はについて教えてください。
佐藤メバル
『FCバルセロナ 常勝の組織学』は企業文化を5つの型に分け、最も安定して成功するのがコミットメント型だと紹介しています。リーダー論なら『勝利のチームマネジメント』が、オフトからザッケローニまでの代表監督の変遷を組織開発の視点で追っています。
クラブ経営・フロントの仕事を学べる本は?
橘ナナミ
クラブ経営・フロントの仕事を学べる本はについて教えてください。
佐藤メバル
『サッカービジネスの基礎知識』『海外のサッカーはなぜ巨大化したのか』『MLSから学ぶスポーツマネジメント』の3冊が土台になります。MLSのシングルエンティティという特殊なリーグ構造など、フロント志望なら知っておきたい論点が揃います。
翻訳・洋書でおすすめのマネジメント本は?
橘ナナミ
翻訳・洋書でおすすめのマネジメント本はについて教えてください。
佐藤メバル
クライルガード『世界一流のサッカー監督から学ぶマネジメント』、ボルコーヴァー『サッカー名監督に学ぶ勝つための経営学』、ヒューズ『FCバルセロナ 常勝の組織学』、スプレンガー『勝利を求めず勝利する』です。最後の一冊はドイツの経営コンサルタントの著書で、クロップやマガトの言葉が引用され読み味は軽めです。
戦術書とマネジメント本はどう違う?
橘ナナミ
戦術書とマネジメント本はどう違うについて教えてください。
佐藤メバル
戦術書はピッチ内の配置や原則を扱い、マネジメント本は人・組織・お金の扱いを扱います。『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』は前者、『プロサッカー監督の仕事』は後者です。同じ監督の視点でも、覗いている対象が違うと考えると整理しやすいです。
サッカーマネジメント本はどの順番で読めばいい?
橘ナナミ
サッカーマネジメント本はどの順番で読めばいいについて教えてください。
佐藤メバル
理論書→自伝・評伝→実務書の順がおすすめです。理論で棚を作り、自伝で現場の空気を入れ、実務書で手順に落とします。読んだら一つだけ、自分のチームならどうするかを書き出すと定着します。
まとめ
橘ナナミ
今日はたくさん出てきましたが、頭の中がまだ整理しきれていません……。
佐藤メバル
それでいいんだよ。棚は一日では作れない。まずは一冊、読み切ることを優先しよう。
橘ナナミ
だったら、私は望月さんの『全くゼロからのJクラブのつくりかた』から読んでみます。経営素人の人がクラブを立ち上げた話なら、私の目線に近い気がして。
佐藤メバル
いい選び方だね。読んだら次は『サッカーは監督で決まる』で理論の棚を足す。そうやって一冊ずつ、自分の棚に段を作っていけばいい。
橘ナナミ
佐藤さん、最後にひとつだけ。この本たちって、勝つための正解を教えてくれるんでしょうか?
佐藤メバル
正解は載っていないよ。ただ、先に悩んだ人たちの判断が残っている。本棚はロッカールームみたいなものだと思っているんだ。試合中に動かせるのは交代枠だけど、ハーフタイムにロッカールームへ戻れば、何冊でも戦術を確認できる。慌てて全部を読み切らなくていい。あなたのハーフタイムに、必要な一冊がそこにあればいいんだよ。
