サッカーのデータ分析が学べる本のおすすめ人気ランキング20選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、サッカーのデータ分析の本を探してみたんですけど、観戦を面白くする読み物と、自分で計算する実践書が同じ棚に並んでいて、どれから読めばいいのか分からなくなっちゃいました。
佐藤メバル
いい質問だね。書店員時代、この手の棚は「読みたい熱」が高いのに、買ったあとに積まれやすいジャンルだったんだ。理由はシンプルで、目的がまったく違う本が「データ分析」という同じ言葉でくくられているから。まずは自分がどこに着地したいのかを決めるのが第一歩だよ。
橘ナナミ
着地、ですか。
佐藤メバル
たとえば、試合を見ながら「この攻撃は数字でどう説明できるんだろう」と考えたいのか、アナリストという仕事に興味があるのか、それともRやPythonで自分で手を動かしたいのか。この3つで、最初に開くべき本は変わってくる。1冊で全部かなえようとすると、たぶん途中で止まってしまう。
橘ナナミ
なるほど! じゃあ「1冊目はどれでもいい」わけじゃないんですね。
佐藤メバル
そう。1冊目でつまずくと、データ分析そのものを嫌いになりかねないからね。ここから選び方の軸を一緒に整理していこう。
サッカーのデータ分析が学べる本の選び方
目的別に選ぶ — 観戦を深める/アナリストを目指す/自分で分析する
橘ナナミ
観戦を深めたい人は、どの本から入るのがいいですか?
佐藤メバル
読み物として面白いのは『サッカーはデータが10割』。物理学の博士号を持つ著者が、くすぶっていた名門チームをデータでどう補強し、立て直したかを追う本で、移籍市場で選手がどう数値評価されるかまで踏み込んでいる。日本版には遠藤航や南野拓実への論評が加筆されていて、そこも読ませどころだよ。
橘ナナミ
アナリストを目指すなら?
佐藤メバル
『サッカーアナリストのすゝめ』だね。Jリーグの現場で分析を担当してきた著者が、スキル、役割、試合の見方、データ分析、コミュニケーション、1週間のスケジュール管理、デジタルツールの使い方という7つのメソッドで語っている。職業としての輪郭が見える本は貴重なんだ。
橘ナナミ
自分で分析する側はどうでしょう。
佐藤メバル
日本語で手を動かせる入門は『少年サッカー データ分析: Rで回帰分析』。相関係数、散布図行列、p値と信頼区間、単回帰・重回帰と、順番に積み上げてくれる構成だよ。Rが初めてでも、この順番なら迷子になりにくい。
レベル別に選ぶ — 1冊目・2冊目・3冊目の順番
橘ナナミ
何冊か読むとして、順番はどう組めばいいんでしょう。
佐藤メバル
1冊目は用語に慣れる段階だから、『アナリシス・アイ』のように図と文章で戦術分析の考え方を示してくれる本が向いている。同じ著者の続編が『アナリシス・ブレイン』で、こちらは分析の視座そのものを扱う。2冊目は指標の意味を押さえる番で、『xGENIUS 確率と統計で観るサッカー』がストレートだね。xGがプロの現場でどう使われるかを一冊通して解説している。
橘ナナミ
3冊目は?
佐藤メバル
ここでようやく手を動かす番か、逆に思想の深いところへ入る番になる。『サッカーマティクス』は数学の側からサッカーを記述していて、パス率と得点の関係やプレッシングの秒数など、具体的な数字が次々に出てくる。読み物として強いけれど、1冊目に置くと重い。順番を守ると、同じ本の面白さが変わるんだよね。
手を動かすか、読むだけか
橘ナナミ
実践書というと、統計やプログラミングの本も別に必要になりますか?
佐藤メバル
まずはサッカーを題材にした実践書で「何のために統計を使うのか」を体感するのがいい。目的がないまま統計の教科書に入ると、たぶん続かない。逆に観戦を深めたいだけなら実践書は要らなくて、『サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか』のようなノンフィクションで十分楽しめる。パスの成功率から移籍金の平均額まで、数字が本当は何を意味するのかを教えてくれる本だよ。
橘ナナミ
たしかに、統計の本をいきなり買っても読まなそう…。
佐藤メバル
実際、書店でもそこが一番売れ残る棚だった。道具は目的が決まってから揃えるほうが身につくんだ。
題材は海外か、Jリーグか
橘ナナミ
海外サッカーとJリーグ、どっちの題材が入りやすいんでしょう。
佐藤メバル
海外の話に馴染みがあるなら『サッカー データ革命』や『xGENIUS』が読みやすい。逆に「自分が観ている試合の数字をそのまま使いたい」なら、Jリーグ公式データを使う『Jリーグを楽しもう! ~サッカーデータ分析入門書~』が強い。無料で取得できるデータを統計学的手法で扱う前提で書かれているから、本と実際の試合を往復しやすいんだ。
橘ナナミ
観る試合と本がつながるの、大事ですね。
紙か電子か、そして発売年の新しさ
橘ナナミ
電子書籍で読めるかどうかも気になります。
佐藤メバル
ここは正直に言うと、確定している情報だけでは電子版の有無まで判断できない。購入前に各ストアで確認してほしい。ただ、実践書は手元に置いて何度も開くから紙が向くし、読み物は電子でも進む。形式は目的で選ぶといい。
橘ナナミ
新しい本を選ぶべきかも迷います。
佐藤メバル
指標や戦術のトレンドは動くから、鮮度は確かに大事。ポジショナルプレーが標準化した後の変化を追う『戦術リストランテⅦ』のような本は、今読む意味が大きい。ただ、スカウティングの基本は古びないから、小野剛さんの一連のレポートと併せて読むと立体的になるよ。
サッカーのデータ分析が学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、20冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
サッカーのデータ分析が学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

サッカーはデータが10割
イアン・グラハム 著|飛鳥新社
ケンブリッジ大で物理学の博士号を持つデータ分析家が、くすぶっていた名門クラブを数値で補強して立て直した過程を追う一冊。移籍市場で選手がどう数値評価され、どう補強されるのかという舞台裏が軸で、メッシとロナウドの比較にも踏み込む。日本版には特別加筆として遠藤航、南野拓実への論評が収録され、海外の理論が日本の代表選手にどう当てはまるかまで確かめられる。物語として読める点が、統計の解説書とは違う面白さ。
こんな人におすすめ
移籍市場で選手がどう評価されるのか、その裏側を数字から覗きたい人。クラブ経営や補強の意思決定に興味がある読者にも向く。さらに、メッシとロナウドの比較や遠藤航・南野拓実への論評など、代表選手の評価を新しい切り口で読みたいファンにも手に取ってほしい一冊。
良い点
- 物語として読める補強の舞台裏
- 日本版の遠藤航・南野拓実論評
- メッシとロナウドの比較にも触れる
気になる点
- 統計の手順を細かく学ぶ用途には不向き
- クラブ内部の記述が中心で戦術論は薄め
- 数値の前提知識が少し要る場面がある
出版社
飛鳥新社
発売日
2025年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「サッカーはデータが10割」って、タイトルが思いきってますね。データ分析の入門書だと思って開くと違うんでしょうか。
佐藤メバル
いい質問だね。これは分析の手引きというより、物理学の博士号を持つ分析家が実際にクラブを立て直した記録なんだ。
移籍市場で選手がどう数値評価され、どう補強されるかという現場が軸になっていて、メッシとロナウドの比較にも踏み込む。
日本版には遠藤航、南野拓実への論評も加筆されている。読み物として面白いよ。
橘ナナミ
なるほど、理論より物語なんですね。代表選手の話も入っているなら、日本のファンには入りやすいかも。
佐藤メバル
そう。海外クラブの話と日本の代表選手の話が地続きで読めるのが強みだね。ただ、統計の手法そのものを手順を追って覚えたい人には向かない。
まず補強や編成の意思決定に数字がどう効くかを知りたい人から始めるのがいい。

サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか
クリス・アンダーセン 著|辰巳出版
クリス・アンダーセンが統計学の専門家デビット・サリーと組み、パスの成功率から移籍金の平均額まで、日常的に目にする数字が本当は何を意味するのかを解きほぐすノンフィクション。ゲームとしてのサッカーとチームマネジメントの両方に踏み込み、「理解したつもり」を丁寧に崩していく構成が特徴。コーチやスカウト、選手にも読まれる一冊で、観戦しながら数字を見る目が変わる。
こんな人におすすめ
パス成功率や移籍金の数字をよく目にするけれど、その意味を説明できないと感じているファン。指導者やスカウト志望者、プレーする側で数字の読み方を知りたい人にも向く。通説を疑う視点を手に入れたい読者に。
良い点
- 統計学の専門家との共著で裏づけが厚い
- マネジメントまで射程に入れた構成
- 数字の誤読を具体的に正してくれる
気になる点
- ロングボール論だけを期待するとずれる
- 統計の話題が中心で読み物色は控えめ
- 前提となるサッカー知識が多少必要
出版社
辰巳出版
発売日
2014年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「ロングボールは時代遅れか」って副題が気になります。ロングボールの話だけの本なんですか?
佐藤メバル
そこが引っかかりどころだね。実際はパスの成功率から移籍金の平均額まで、普段目にしている数字が本当は何を意味するのかを解きほぐす本なんだ。
著者は統計学の専門家デビット・サリーと組んで、ゲームとしてのサッカーとチームマネジメントの両方に踏み込んでいる。副題は入口で、中身はもっと広い。
橘ナナミ
なるほど、数字の読み方そのものの本なんですね。ファンが数字を誤解しがちな例も出てくるんですか?
佐藤メバル
うん、「理解したつもり」を丁寧に崩していく構成が持ち味だよ。パス成功率ひとつとっても、高いことが常に良いとは限らないと分かってくる。
コーチやスカウト、選手にも読まれているのは、現場で使える問いの立て方があるからだと思う。

Jリーグを楽しもう! ~サッカーデータ分析入門書~
坪井亙 著|文芸社
Jリーグ公式データのJ STATSを使い、無料で取得できるデータを統計学の手法で扱いながら、戦術や選手のパフォーマンスを分析する入門書。手元で再現できる範囲から始めるのが方針で、データ分析の敷居をぐっと下げてくれる。Jリーグの歴史や発展にも触れ、観戦の幅を広げる視点を提案する。応援しているクラブの試合を見ながら読み進められる構成になっている。
こんな人におすすめ
Jリーグを応援していて、試合の見方を一段深めたい人。データ分析に興味はあるけれど、何から手をつければいいか分からない初心者にも向く。無料で手に入るデータから始めたい読者に。
良い点
- J STATSを使った国内リーグ専用の入門
- 無料データ前提で再現しやすい
- Jリーグの歴史にも触れる構成
気になる点
- 海外リーグ中心に読みたい人には不向き
- 統計手法の深い解説は期待しすぎない
- 入門書のため物足りなさを感じる上級者も
出版社
文芸社
発売日
2025年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
Jリーグ限定のデータ分析入門って、意外と少ない気がします。これって何から始めればいい人向けなんでしょうか。
佐藤メバル
まさにそこが持ち味だね。Jリーグ公式データのJ STATSを使っていて、無料で取得できるデータから始める方針なんだ。
いきなり高価なツールを揃えなくても、統計学の手法で戦術や選手のパフォーマンスを追える。Jリーグの歴史や発展にも触れているから、読み物としても楽しめるよ。
橘ナナミ
いいですね。自分の贔屓クラブの試合を見ながら読み進められそうです。
佐藤メバル
そう、それが一番いい読み方だと思う。データ分析に興味はあるけど何から手をつけていいか分からない、という人の入口になる。
ただ、統計手法そのものを深く学ぶには物足りないから、観戦の視点を増やす本として使うのが合っているね。

xGENIUS エックスジーニアス 確率と統計で観るサッカー
ジェームズ・ティペット 著|イースト・プレス
¥2,420(税込)
「その勝利は実力か、それとも幸運か」という問いを軸に、xG(ゴール期待値)から現代サッカーを読み解く一冊。プロチームの戦術やスカウティングの場面でxGがどう使われているかを解説し、結果だけでは見えない中身を数字で捉え直していく。試合は偶然に左右されるという前提に立ちながら、見方を根本から変える。xGを軸に一本筋を通した構成が、他のデータ本との違い。
こんな人におすすめ
試合結果に一喜一憂するだけでなく、内容の良し悪しを数字で確かめたい人。戦術やスカウティングの現場でxGがどう働くかに興味がある読者。勝ち負けの裏側を読みたいファン。
良い点
- xGという論点に絞った明快な構成
- スカウティング現場での活用にも触れる
- 「実力か幸運か」の問いが軸になる
気になる点
- xG以外の指標はあまり扱わない
- 統計の前提説明は最小限
- 読み物としてのエピソードは少なめ
出版社
イースト・プレス
発売日
2025年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
xGってよく聞きますけど、正直まだうまく説明できません。この本を読めば分かるようになりますか?
佐藤メバル
いいところに目をつけたね。この本は「その勝利は実力か、それとも幸運か」という問いを軸に、xG(ゴール期待値)で現代サッカーを読み解く。
プロチームの戦術やスカウティングの場面でどう使われるかを解説していて、結果だけでは見えない中身に光を当ててくれるよ。
橘ナナミ
結果と中身は別物、ということですね。試合を見た後のモヤモヤが晴れそうです。
佐藤メバル
まさにそのモヤモヤのための本だね。試合は偶然に左右されるという前提から出発して、見方を根本から変えていく。
xGに絞って筋を通しているぶん、他の指標を広く知りたい人には物足りないかもしれない。一つの数字を深く使うタイプの一冊だよ。

サッカーマティクス 数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」
デイヴィッド・サンプター 著|光文社
¥1,980(税込)
生物学者や社会学者とコラボしながら世界中で活躍する数学者が、サッカーと数学を融合させた一冊。チャンピオンズリーグ決勝の終了間際に2ゴールが決まる確率、バルセロナのフォーメーションが効率的な理由、勝ち点が3なのはなぜか、といった問いに数学で答える。パス率と得点の関係、プレッシングの秒数、粘菌のネットワークと地下鉄網の類似まで話題が広く、観戦の視点が丸ごと入れ替わる。日本版特別序文では香川、岡崎の動きを分析。
こんな人におすすめ
数字や図を見ながらサッカーを考えたい人。戦術とデータの両方に好奇心がある読者。数学の言葉でサッカーを語り直したい人や、観戦の視点を一新したいファンに。
良い点
- 問いの立て方が豊富で飽きない
- 粘菌や群衆事故まで話題が広い
- 日本版特別序文で香川・岡崎を分析
気になる点
- ページ数が多く読み切るのに時間がかかる
- 数式アレルギーがあると序盤は重い
- 話題が広く焦点が散らかる印象も
出版社
光文社
発売日
2017年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「勝ち点はどうして3なのか」って問いが載ってますけど、そんなところまで数学で答えられるんですか?
佐藤メバル
そこが面白いところだね。世界中で活躍する数学者が、サッカーと数学を融合させた一冊なんだ。チャンピオンズリーグ決勝の終了間際に2ゴールが決まる確率、バルセロナのフォーメーションが効率的な理由、パス率と得点の関係、プレッシングの秒数まで扱う。
粘菌のネットワークと地下鉄網の類似からバルサの形を語る場面もあって、視点が丸ごと入れ替わるよ。
橘ナナミ
粘菌とバルサが同じ話になるのが不思議です。ボリュームもかなりありますよね。
佐藤メバル
そう、読み応えがあるぶん時間はかかる。日本版特別序文では香川、岡崎の動きを分析していて、そこから入るのもいい。
観戦の視点を一新したい人にはたまらないけど、数式が苦手な人は序盤で少し構えてしまうかもしれないね。

『サッカー戦術 × 鳩ノ巣原理』: ──現代サッカーを数学で完全に説明する──
坪井亙 著
「巣より鳩が多ければ、必ずどこかが過密になる」という中学数学の鳩ノ巣原理ひとつで、現代サッカーのビルドアップ、守備、3人目の動き、ポジショナルプレー、プレッシング、カウンター、セットプレーまでを説明しようとする戦術書。なぜ3対2は守れないのか、なぜ5レーンは強いのかといった問いに数学的な理由を与え、数的優位・位置的優位・身体的優位で統一する。文章だけで直感的に読める構成。
こんな人におすすめ
戦術用語は知っているけれど、理屈として腹に落ちていない人。指導者や分析官、選手として共通言語を持ちたい人。試合の見え方を根本から変えたいファンに。
良い点
- たった一つの原理で全体を貫く構成
- 文章中心で図がなくても追える
- 指導者とファンの共通言語になる
気になる点
- 原理に絞るため応用範囲は限定的
- 数学的な厳密さを求める人には物足りない
- 著者の他書と内容が近い部分がある
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
鳩ノ巣原理って中学で習った「当たり前」の話ですよね。それだけで一冊書けるのが不思議です。
佐藤メバル
そこが著者の狙いなんだ。たった一つの原理で現代サッカーを貫く。なぜ3対2は守れないのか、なぜ5レーンは強いのか、なぜ3人目の動きがフリーを生むのか。
全部に数学的な理由があると示していく。しかも文章だけで直感的に読めるように書かれている。
橘ナナミ
なるほど、難解な数式ではなく理屈として理解できるんですね。
佐藤メバル
そう。指導者と分析官、選手とファンが同じ言葉で話すための土台になる。ただ、鳩ノ巣原理に絞っているぶん、他の数学的道具立てには触れていない。
戦術の「なぜ」を一本の線で通したい人に向いているよ。

サッカーアナリストのすゝめ 「テクノロジー」と「分析」で支える新時代の専門職 (footballista)
杉崎健 著|ソル・メディア
Jリーグの最前線でアナリストを務めてきた著者が、スキル、役割、試合の見方、データ分析、コミュニケーション、1週間のスケジュール管理、デジタルツールの使い方という7つのメソッドで仕事の中身を伝える。分析が現場でどう使われるかに重心があり、数字を出すだけで終わらせない姿勢が見える。渡邉晋、森岡亮太との特別対談も収録され、職種としての解像度が高い。
こんな人におすすめ
アナリストという仕事に興味がある学生や社会人。クラブの分析担当として働きたい人、指導者と分析の橋渡しを学びたい人。データを現場で活かす方法を知りたい読者に。
良い点
- 現役アナリストによる実務直結の内容
- 1週間のスケジュールまで具体的
- 監督・選手との対談が収録
気になる点
- ソフトの細かい操作手順までは踏み込まない
- クラブ内の機密に関わる話は当然少ない
- 観戦術として読むと方向性が違う
出版社
ソル・メディア
発売日
2021年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
アナリストの本って珍しい気がします。データ分析の技術書とは違うんですか?
佐藤メバル
全然違うね。これは分析が現場でどう使われるかを伝える本なんだ。著者はJリーグのクラブでアナリストを務め、ビデオアナリストとして15年ぶりのリーグ制覇にも貢献した人。
スキルや役割だけでなく、試合の見方、データ分析、コミュニケーション、1週間のスケジュール管理まで7つのメソッドで語っている。
橘ナナミ
スケジュール管理まで書いてあるんですね。仕事としての姿が見えそうです。
佐藤メバル
そこが貴重なところ。渡邉晋、森岡亮太との特別対談も入っていて、現場の空気まで伝わってくる。数字を出すだけで終わらせない姿勢が一貫しているよ。
ソフトの操作手順を細かく知りたい人には別の本が要るけど、職種としての解像度はとても高い。

サッカーテクニカルレポート 超一流のサッカー分析学
小野剛 著|カンゼン
¥1,760(税込)
元日本サッカー協会技術委員長でFIFAインストラクターを務めた著者が、歴代ワールドカップのテクニカルレポートがどう作られ、何を伝えようとしたのかを明かす一冊。ロシア大会の日本代表、クロアチアが示した未来、ベルギーとスペインの対応力の差など、試合の記録が強化の道具になる過程を追う。スカウティングや育成、指導方針の話まで及び、岡田武史との特別対談も収録。
こんな人におすすめ
日本代表の歩みを分析の側から振り返りたい人。指導者や育成に関わる人、テクニカルレポートの作り方に興味がある読者。強化の裏側を知りたいファンに。
良い点
- 歴代W杯のレポートを横断して読める
- 育成や指導方針の話まで及ぶ
- 岡田武史との特別対談を収録
気になる点
- 過去の大会の記述が中心になる
- 統計手法の解説は主目的ではない
- 細かい話が多く通読には根気が要る
出版社
カンゼン
発売日
2019年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
テクニカルレポートって、ふだんファンが目にするものなんですか?
佐藤メバル
あまり表に出ないものだね。だからこそ、その中身を明かすこの本は貴重なんだ。試合の記録が強化の道具になっていく過程が追える。
ロシア大会の日本代表、クロアチアが示した未来、ベルギーとスペインの対応力の差など、歴代の大会を横断して語っているよ。
橘ナナミ
なるほど。分析が次のチーム作りに直結しているんですね。
佐藤メバル
そう。スカウティングや育成、指導方針のズレの話まで及ぶから、指導者にも読まれている。岡田武史との対談も入っているよ。
過去の大会の記述が中心なので、最新の戦術だけを追いたい人には向かないけど、強化の裏側を知りたい人にはたまらない一冊だね。

サッカースカウティングレポート 超一流の分析
小野剛 著|カンゼン
アトランタ五輪、フランスワールドカップで世界の強豪チームを徹底分析してきた日本代表スカウティングの第一人者が、その理論を明かす一冊。プロの現場でどんな情報収集が行われ、分析の際にどこを見るのかを具体的に示す。11対11という基本を忘れないという原則から、ビルドアップで数的優位をどこに作るか、守備がリトリートかフォアチェックかまで読み解き方が並ぶ。観戦力が上がる。
こんな人におすすめ
試合を見ていても、どこに注目すればいいか分からないと感じているファン。コーチや指導者として分析の視点を持ちたい人。観戦眼を鍛えたいすべての読者に。
良い点
- 分析の着眼点が具体的に並ぶ
- プロの現場の情報収集が分かる
- 観戦術としてそのまま使える
気になる点
- 扱う大会がやや古い
- 図やデータの網羅性は限られる
- 現代戦術の最新動向は別途必要
出版社
カンゼン
発売日
2013年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「1人余らせていれば、どこかでマイナス1が生まれている」という言葉が目に留まりました。当たり前に見えて深いですね。
佐藤メバル
そこがこの本の核だね。11対11という基本を忘れないことから始めて、ビルドアップでどこに数的優位を作るか、守備がリトリートかフォアチェックか、といった読み解き方が並んでいく。
プロの現場でどんな情報収集をするのかも分かる。
橘ナナミ
試合を見るときのチェックリストみたいに使えそうです。
佐藤メバル
まさにそういう使い方ができる。ただ、扱っているのはアトランタ五輪やフランスワールドカップの分析だから、最新の戦術動向は別の本で補う必要がある。
観戦の目の付け所を一から鍛えたい人には最適だよ。

サッカープレーヤーズレポート 超一流の選手分析術
小野剛 著|カンゼン
シャビ、イニエスタ、フォルラン、メッシといった選手がなぜあれほど簡単に見えるのかを、スカウティングのプロがポジションごとに解き明かす一冊。FW、MF、SB、CB、GKそれぞれに求められるディマンドを整理し、超一流のプレーが何でできているかを分解していく。GKの足元、ラインコントロール、ボックストゥボックスなど具体的な条件が並び、選手を見る目も変わる。
こんな人におすすめ
好きな選手の凄さを言葉にしたいファン。ポジションごとの役割を整理して理解したい人。選手を評価する視点を持ちたい指導者やスカウト志望者。選手分析の入り口を探している読者に。
良い点
- ポジション別に整理されていて分かりやすい
- 超一流選手の具体例が豊富
- スカウトの着眼点がそのまま学べる
気になる点
- 扱う選手がやや以前の世代に偏る
- データや数値の裏づけは多くない
- 戦術全体の話は中心ではない
出版社
カンゼン
発売日
2013年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
シャビやイニエスタって、見ていて「簡単そう」に見えるのが逆に不思議でした。この本はそこを説明してくれるんですか?
佐藤メバル
まさにそこだね。超一流のプレーが何でできているかを分解する一冊なんだ。FW、MF、SB、CB、GKそれぞれに求められるディマンドを整理して、なぜあれほど余裕があるように見えるのかをポジションごとに示していく。
GKの足元の上手さやラインコントロールの話も具体的だよ。
橘ナナミ
なるほど、ポジションごとに「条件」があるんですね。選手を見る目が変わりそうです。
佐藤メバル
そう。スカウトの着眼点がそのまま学べるのが強みだね。ただ、扱う選手はやや以前の世代に寄っているし、数値の裏づけが中心ではない。
選手の凄さを言葉にする練習をしたい人に向いているよ。

サッカーコーチングレポート 超一流の監督分析
小野剛 著|カンゼン
グアルディオラ、モウリーニョ、ベンゲル、ファーガソンといった名将たちに共通する資質を、スカウティングの第一人者が迫る一冊。UEFA技術委員長との議論から導かれた「サッカーへの情熱」「テクニシャン・マネージャー・リーダー」「ネクストメンタリティ」という3つのキーワードを軸に、監督という仕事の中身を分解する。岡田武史との特別対談も収録されている。
こんな人におすすめ
監督の仕事に興味がある人、指導者を目指す人。名将の言葉から学びたい読者。采配の背景にある資質を考えたいファンに。
良い点
- 名将たちの言葉が多数引用される
- 3つのキーワードで整理される
- 岡田武史との対談を収録
気になる点
- 戦術の細部より人となりが中心
- 同じ著者の他の本と重なる部分がある
- 現代の若手指導者の事例は少なめ
出版社
カンゼン
発売日
2013年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
グアルディオラ、モウリーニョ、ベンゲル、ファーガソンって、タイプが全然違いますよね。共通点なんてあるんでしょうか。
佐藤メバル
そこを正面から扱った本だね。UEFA技術委員長との議論から3つのキーワードが導かれていて、サッカーへの情熱、テクニシャン・マネージャー・リーダー、ネクストメンタリティという軸で名将たちを整理していく。各人の言葉も多く引用されているよ。
橘ナナミ
言葉が読めるのは嬉しいです。采配の理由まで見えてきそう。
佐藤メバル
そう、戦術の細部というより、監督という仕事の中身に迫る本なんだ。岡田武史との対談も入っている。ただ、著者の他の本と重なる部分もあるから、人となりから指導を考えたい人が先に読むと効くと思うよ。

日本サッカースカウティング127選手
ミケル・エチャリ 著|東邦出版
欧州のご意見番として知られるエチャリが、日本代表、次世代、Jリーグの全127選手を徹底分析したスカウティングリポート。名スカウトが見たフットボール・ハポネスから始まり、日本代表の戦術分析、現在地までを一望する。日本人選手が海外の目にどう映るかという視点が一貫していて、国内の評価とのズレも見えてくる。シャビ・アロンソの言葉も寄せられている。
こんな人におすすめ
日本人選手の海外評価を知りたいファン。スカウティングの実例を選手名で読みたい読者。外からの目線で日本サッカーを見直したい人に。
良い点
- 127人という網羅的なスカウティング
- 欧州の目利きによる視点が新鮮
- 次世代選手まで対象に含む
気になる点
- 刊行時点の情報なので現在とは異なる
- 選手ごとの記述は簡潔にとどまる
- 戦術論としては深掘りは少ない
出版社
東邦出版
発売日
2013年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
127選手って、かなりの数ですよね。一人ずつ分析しているんですか?
佐藤メバル
そう、日本代表、次世代、Jリーグの選手をまとめて扱っている。しかも書いているのは欧州のご意見番として知られるエチャリで、シャビ・アロンソの言葉も寄せられているほど評価の高い目利きなんだ。
外から見た日本人選手の姿が一貫して描かれる。
橘ナナミ
国内での評価とズレていたりするんでしょうか。
佐藤メバル
そこが見どころだね。名スカウトが見たフットボール・ハポネスから始まって、日本代表の戦術分析、現在地まで一望できる。
ただ、刊行時点の情報だから今の状況とは違う部分もあるし、一人あたりの記述は簡潔だ。海外の目にどう映るかを知りたい人に向いているよ。

ワールドカップスカウティングレポート
奥寺康彦 著|ザ・マサダ
タイトルのとおり、ワールドカップをスカウティングの視点からまとめた一冊。著者は奥寺康彦、出版社はザ・マサダ。大会を「観る対象」ではなく「分析する対象」として扱う立場が貫かれていて、レポートという形式で大会を読み直す入口になる。試合の印象や結果だけでなく、観察と記録の積み重ねから世界のサッカーを捉えたい人に手に取ってほしい。
こんな人におすすめ
ワールドカップを分析の目で振り返りたい人。スカウティングレポートという形式そのものに興味がある読者。記録としての大会を読みたいファンに。
良い点
- ワールドカップを分析の対象として扱う
- レポート形式で読み進めやすい
- スカウティングの実例に触れられる
気になる点
- 刊行からの時間が経ち情報は古い
- 現代の戦術動向は反映されていない
- 予備知識があったほうが読みやすい
出版社
ザ・マサダ
発売日
1998年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
奥寺康彦さんの名前は聞いたことがあります。ワールドカップをスカウティングの目でまとめた本なんですね。
佐藤メバル
そう。書名のとおり、ワールドカップを分析の対象として扱うレポートなんだ。試合の印象や結果だけでなく、観察と記録の積み重ねから大会を捉える立場が貫かれている。
橘ナナミ
スカウティングの実例として読めるのは貴重ですね。
佐藤メバル
うん、レポート形式だから読み進めやすい。ただ刊行から時間が経っているので、現代の戦術動向を知りたい人には別の本が要る。
記録としての大会を読みたい人に向いているよ。

日本代表スカウティングレポート (広済堂サッカーセレクション) (KOSAIDO SOCCER SELECTION)
日本代表スカウティングチーム 著|廣済堂出版
日本代表をスカウティングの側から記録した一冊。著者は日本代表スカウティングチーム、出版社は廣済堂出版で、サッカーセレクションのシリーズに収められている。代表を「分析する側」の目線で見るという立場がはっきりしていて、試合の結果とは別に、何を見て何を記録したのかが主題になる。代表の試合を観るたびに、見る場所を増やしたい人に向く。
こんな人におすすめ
日本代表の試合を分析的に観たい人。スカウティングの実務に興味がある読者。代表を記録する側の視点を知りたいファンに。
良い点
- 日本代表を分析側から記録する
- スカウティングチームの視点が分かる
- 代表戦の見方を増やせる
気になる点
- 刊行からの時間経過で情報は古い
- 現代の代表戦は反映されていない
- 個人の選手評が中心ではない
出版社
廣済堂出版
発売日
2002年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
著者が「日本代表スカウティングチーム」になっているのが面白いです。個人ではなくチームで書いた本なんですね。
佐藤メバル
そう、そこが要点だね。代表を「分析する側」の目線で見るという立場がはっきりしている。試合の結果とは別に、何を見て何を記録したのかが主題になっているんだ。
橘ナナミ
なるほど。観る側じゃなくて、記録する側の視点なんですね。
佐藤メバル
うん、だから代表戦を見るときの着眼点が増える。ただ、刊行からの時間が経っているので、今の代表戦の分析を知りたい人には物足りない。
記録する側の視点に関心がある人に向いているよ。

少年サッカー データ分析: Rで回帰分析
山岡俊太郎 著
少年サッカーを題材に、R言語で回帰分析を進める手順を紹介する一冊。相関係数の求め方、散布図行列、p値と信頼区間、単回帰分析、重回帰分析という順に、データを扱う型を一通り体験する構成になっている。サッカーの中身を論じる本というより、手を動かして統計の入口を通るための本。分析の再現性を自分で確かめたい人の足がかりになる。
こんな人におすすめ
R言語でサッカーのデータを扱ってみたい人。相関や回帰の考え方を手順として確かめたい学生・社会人。統計の入口を実データで通りたい読者に。
良い点
- Rの手順が順を追って示される
- 少年サッカーという身近な題材
- 回帰分析の基礎を一通り体験できる
気になる点
- サッカーの戦術論はほとんど扱わない
- 統計の理論的な説明は簡潔
- 実務の分析現場の話は出てこない
出版社
詳細情報なし
発売日
2018年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
大学院で統計の授業を取ったことがあるんですが、サッカーを題材にしたRの本は初めて見ました。
佐藤メバル
これはデータを扱う型を一通り体験するための本だね。相関係数、散布図行列、p値と信頼区間、単回帰、重回帰という順に進んでいく。
少年サッカーを題材にしているから、身近な数字で手を動かせる。
橘ナナミ
なるほど、戦術の話ではなく統計の練習帳に近いんですね。
佐藤メバル
そう受け取るのが正しい。サッカーの中身を論じる本ではないから、戦術分析を求めて開くと期待とずれる。逆に、分析の再現性を自分で確かめたい人にはちょうどいい。統計の入口を通る足がかりになるよ。

アナリシス・ブレイン ~サッカーの面白い戦術分析の視座、手に入れよう~(小学館新書)
らいかーると 著|小学館
『アナリシス・アイ』の著者が、近年のサッカーの進化と普遍的な法則を網羅し、サッカー分析を分析するという一歩引いた視点で書いた一冊。4-3-3などの配置に言及する試合解説が定着した状況を踏まえ、その先にある最先端の現場の見方を示す。難しい用語を使わずに整理されているので、前作を読んだ人も初めての人も、ワールドカップへ視点を更新できる。
こんな人におすすめ
戦術解説を読んでも、なぜそう見るのかが分からなかった人。前作『アナリシス・アイ』の読者で視点を更新したい人。分析の前提そのものを疑ってみたいファンに。
良い点
- 分析の視点そのものを扱う珍しさ
- 専門用語を避けた平易な記述
- 前作の進化形として読める
気になる点
- 個々の試合の実況的な分析は少ない
- 最新の話題が中心で通史ではない
- 前作未読だと参照が多く感じる場面も
出版社
小学館
発売日
2026年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「サッカー分析を分析する」って、どういうことでしょう。分析の本を分析するんですか?
佐藤メバル
いい引っかかりだね。4-3-3といった配置に触れる試合解説はもう定着したけれど、その解説の前提そのものを眺め直すのがこの本なんだ。
近年のサッカーの進化と普遍的な法則を、難しい用語を使わずに整理している。
橘ナナミ
なるほど、戦術の中身ではなく「どう見るか」の本なんですね。
佐藤メバル
そう。前作『アナリシス・アイ』の進化形として読めるから、先にそちらを読むとつながりが分かりやすい。個々の試合を細かく追うタイプの分析ではないので、実況的な読み物を期待すると違うかもしれない。
ワールドカップへ視点を更新したい人に向いているよ。

アナリシス・アイ ~サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます~(小学館新書)
らいかーると 著|小学館
SNSで精力的に発信してきた戦術クラスタの最古参が、新しくて面白いサッカーの分析眼をどう身につけるかを示す入門書。得点したら喜び、負ければ監督交代という見方から抜け出すために、戦術的に試合を読む手順を提示する。アジアカップで準優勝に終わった時期の日本代表の未来も見据えている。この分野の入口に置かれた一冊。
こんな人におすすめ
戦術の話題についていけるようになりたい人。SNSの戦術分析を読んでいて、自分でも考えてみたい読者。観戦に分析的視点を足したい初心者に。
良い点
- 分析眼の作り方が手順として示される
- 戦術クラスタの空気感が伝わる
- 日本代表の未来まで視野に入れる
気になる点
- 図やデータの網羅性は高くない
- 上級者には基本に映る内容も
- 刊行時点の代表の状況に依存する
出版社
小学館
発売日
2019年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「サッカーがながら見できなくなる本」という言葉が刺さりました。まさにながら見していました。
佐藤メバル
それでいいんだよ、入口は。この本は、戦術的に試合を読む手順を提示してくれる。得点したら喜び、負ければ監督交代という見方から抜け出すための方法が、SNSで発信を続けてきた戦術クラスタの最古参の手で書かれている。
橘ナナミ
最古参、という言い方に信頼感があります。日本代表の話も入っているんですね。
佐藤メバル
うん、アジアカップで準優勝に終わった時期の代表の未来まで見据えている。ただ、刊行時点の状況に依存する部分はあるし、上級者には基本に見えるかもしれない。
まず分析的視点を一つ足したい人が読むと効果的だね。

サッカー日本代表戦術アナライズ
西部謙司 著|カンゼン
オフト以降の日本代表監督ごとに、ピッチ上で何が起きていたかを図版を交えて分析した「戦術史」の一冊。ドーハ、フランス大会、日韓大会、南アフリカ大会と、名勝負の記録としても読める形で整理されている。ピッチ上の事象に絞って積み上げることで、歴代監督が何を描こうとしたかが客観的に浮かび上がる。岩政大樹との特別対談も収録。
こんな人におすすめ
日本代表の試合を世代ごとに振り返りたい人。戦術の変化を一本の線で追いたい読者。代表の「どう戦うか」を考えたいファンに。
良い点
- 監督ごとに戦術を整理した通史
- 図版が多く試合の記録としても使える
- 岩政大樹との特別対談を収録
気になる点
- アギーレ以降の記述は対象外
- 個々の選手評が中心ではない
- 通史のため分量に厚みがある
出版社
カンゼン
発売日
2018年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
オフトさんからアギーレさんまで、監督ごとに章が分かれているんですね。これは資料としても使えそうです。
佐藤メバル
そう、ピッチ上の事象に絞って積み上げることで、歴代監督が何を描こうとしたかが客観的に浮かび上がる。
ドーハ、フランス大会、日韓大会と、名勝負の記録としても読めるのが強みだね。
橘ナナミ
「フィジカルが弱い」「メンタルが弱い」は間違い、という書き出しも気になります。
佐藤メバル
そこから入るのは面白いよね。図版が多いから、試合を思い出しながら追える。ただ、対象はアギーレのところまでだから、それ以降の代表は別で補う必要がある。
代表の「どう戦うか」を考えたい人にじっくり読んでほしい一冊だよ。

戦術革命サッカーワールドカップ48チーム時代の勝ち筋: 怪物の時代は終わった。守備ブロック、ハイプレス、トランジション、可変システム。“強い国”ではなく“再現できる国”が勝ち始めた現代サッカー戦術論。モロッコ、クロアチア、日本代表から読み解くW杯の新常識 W杯構造分析シリーズ (フットボール分析室)
LeoCosta 著
昔のワールドカップは怪物が世界を壊す大会だったが、今は「強い国」ではなく「再現できる国」が勝ち始めている——という視点で、守備ブロック、トランジション、ハイプレス、PPDA、可変システムを初心者にも分かる言葉で解く。モロッコ、クロアチア、日本代表を軸に、組織と再現性が勝敗を分ける理由を追う。国歌の瞬間やロスタイムの息苦しさにも触れ、W杯の空気まで書いている。
こんな人におすすめ
カタール大会でモロッコやクロアチアがなぜ強かったのか、理屈で知りたい人。戦術用語の意味を整理したい読者。試合の感情と構造の両方を味わいたいファンに。
良い点
- 守備ブロックとトランジションを平易に説明
- モロッコ・クロアチア・日本を軸に構成
- W杯の空気まで書いた情感も残る
気になる点
- データの細かい数値は多くない
- シリーズ第1巻で範囲は限定される
- 構造の話が中心で選手評は少なめ
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「怪物の時代は終わった」って、思いきった言い方ですよね。そこが本の軸なんですか?
佐藤メバル
そう、そこから始まる本だね。昔のワールドカップは一人で試合の空気を変える選手がいたけれど、今は「強い国」ではなく「再現できる国」が勝ち始めているという見方なんだ。
守備ブロック、トランジション、ハイプレス、PPDA、可変システムを初心者にも分かる言葉で説明している。
橘ナナミ
モロッコやクロアチアが取り上げられているのも、そういう理由なんですね。
佐藤メバル
うん、そこが軸になっている。しかも、国歌が流れた瞬間の静けさやロスタイムの息苦しさにも触れていて、W杯の空気まで書いているのが珍しい。
数値の細かい分析を求める人には物足りないかもしれないけど、構造と感情の両方を味わいたい人に向いているよ。

戦術リストランテⅦ 「デジタル化」したサッカーの未来 (footballista)
西部謙司 著|ソル・メディア
¥1,760(税込)
ポジショナルプレーが標準化していくポスト・カタールワールドカップを念頭に、「デジタル化」したサッカーの未来を読む一冊。新しいサッカーの文法を知るのが最低条件になりつつあるという問題意識が軸で、アナログのままでは世界に置いていかれると問いかける。シリーズの第VII巻として積み上げられてきた議論の現在地が示され、興國高校の内野智章監督との特別対談も収録。
こんな人におすすめ
戦術の流行を追いかけている読者。ポジショナルプレー以降の見取り図が欲しい人。高校サッカーの現場とプロの議論の接点に興味がある人。世界との差を感じたいファンに。
良い点
- シリーズの積み上げがある安心感
- ポストW杯の見取り図が得られる
- 高校監督との対談を収録
気になる点
- シリーズ未読だと前提が掴みにくい
- 個別試合の詳細分析は中心ではない
- 抽象度が高く感じる箇所もある
出版社
ソル・メディア
発売日
2023年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「戦術リストランテ」ってシリーズなんですね。VIIということは、途中から読むと分かりにくいでしょうか。
佐藤メバル
単独でも読めるけれど、新しいサッカーの文法を知るのが最低条件になりつつある、という問題意識はシリーズを通して積み上げられてきたものだから、前の巻があると輪郭がはっきりするね。
ポジショナルプレーが標準化した後の風景を描いている。
橘ナナミ
なるほど。今回は高校サッカーの監督との対談も入っているんですね。
佐藤メバル
そこが面白いところで、現場の言葉とプロの議論がぶつかる。アナログのままでは世界に置いていかれるという問いが軸にあって、世界との差をどう埋めるかを考えさせる内容だよ。
個別試合の詳細分析を期待すると方向が違うから、見取り図を得たい人に向いている。
指標から逆引きする — xG・xT・パッキングはどの本で学べるか
橘ナナミ
xG以外の指標って、どの本を見ればいいんでしょう。xTとかパッキングとか、名前だけ聞いたことがあって…。
佐藤メバル
正直に言うと、掲載している本の内容紹介で名前まで確認できる指標は限られているんだ。xGは『xGENIUS 確率と統計で観るサッカー』がど真ん中で、プロチームの戦術やスカウティングの場面でどう活用されるかを一冊通して追える。一方、xTやパッキングを索引レベルで拾えるかは本ごとに差があるから、まずxGを1冊で固めて、そこから自分の観たい指標を足していく順番が現実的だよ。
橘ナナミ
欲張っていっぺんに覚えようとすると失敗しそうですね。
佐藤メバル
そう。逆引きの入り口としては、パスやプレッシングの数字なら『サッカーマティクス』、守備の強度を示すPPDAなら『戦術革命サッカーワールドカップ48チーム時代の勝ち筋』、数的優位の考え方なら『サッカー戦術 × 鳩ノ巣原理』というように、指標そのものより「何を知りたいか」から本を引くほうが迷わない。『サッカー戦術 × 鳩ノ巣原理』は、戦術を数的優位・位置的優位・身体的優位という3つの視点で統一して説明していて、用語の整理にも向いている。
翻訳書と日本人著者本、初心者にはどちらが読みやすいか
橘ナナミ
翻訳書って、やっぱり読みにくいんでしょうか。
佐藤メバル
一概には言えないけれど、翻訳書は論の運びが一直線で、海外リーグの事例が前提になっていることが多い。『サッカーはデータが10割』や『サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか』はそのタイプで、海外サッカーをよく観る人ほど入りやすい。
橘ナナミ
日本人著者の本は?
佐藤メバル
こちらは日本の読者の疑問に合わせて書かれているぶん、前提知識がなくても入れる。『アナリシス・アイ』『アナリシス・ブレイン』『サッカーアナリストのすゝめ』『Jリーグを楽しもう!』あたりがそうだね。あわせてボリュームも意識したい。400ページ級の読み物は覚悟が要るし、200ページ台なら数日で抜けられる。ページ数と価格の情報を見て、自分の読書体力に合わせるのがいちばんだよ。
橘ナナミ
なるほど、難易度だけでなく厚さも選び方なんですね。
佐藤メバル
そう。同じ「入門」でも、片手で持てるかどうかで読了率は変わるんだ。
無料データと本を往復する — そしてAI・機械学習との接続
橘ナナミ
本を読んだあと、実際のデータに触れたほうがいいんでしょうか。
佐藤メバル
触れたほうが断然いい。Jリーグの公式データを使う前提の『Jリーグを楽しもう!』は、まさにその導線を用意してくれている本で、本で覚えた見方を実際の試合や公開データで確かめる。この往復があると、用語が「知識」から「道具」に変わっていくんだ。
橘ナナミ
分析ツールの話や、AI・機械学習につながる本もあるんですか?
佐藤メバル
ここは正直に言っておくと、いま紹介している中で機械学習を主題に据えた本は見当たらない。だから順番としては、統計の基礎と指標の意味を押さえてから機械学習の入門書に進むのが安全だよ。土台なしでモデルの話に入ると、出力された数字の意味を自分で検証できなくなる。『サッカーマティクス』のように数学の言葉でサッカーを記述してくれる本を先に読んでおくと、その後の学習がぐっと楽になる。
橘ナナミ
道具は後から、ですね。
佐藤メバル
そう。RでもPythonでもTableauでも、最初に必要なのは「何を確かめたいか」という問いのほうだからね。
よくある質問
サッカーのデータ分析を全くの初心者が学ぶなら、最初に読むべき本は?
橘ナナミ
サッカーのデータ分析を全くの初心者が学ぶなら、最初に読むべき本はについて教えてください。
佐藤メバル
観戦を楽しみたいなら『アナリシス・アイ』のような戦術分析の入門書、データの使われ方を読み物として知りたいなら『サッカーはデータが10割』が入りやすいです。1冊目は用語に慣れる段階と割り切り、いきなり数式やプログラミングの本に飛び込まないのが挫折しないコツです。
xG(ゴール期待値)を1冊でしっかり理解できるおすすめ本は?
橘ナナミ
xG(ゴール期待値)を1冊でしっかり理解できるおすすめ本はについて教えてください。
佐藤メバル
『xGENIUS 確率と統計で観るサッカー』が最もストレートです。試合が偶然に左右されることを前提に、xGをプロチームの戦術やスカウティングの場面でどう活用するかを解説しています。まずこの1冊でxGの考え方を固め、他の指標は必要になったときに足していくのが効率的です。
自分でデータ分析を実践したい場合、統計やプログラミングの本も必要ですか?
橘ナナミ
自分でデータ分析を実践したい場合、統計やプログラミングの本も必要ですかについて教えてください。
佐藤メバル
必要になりますが、順番が大事です。まず『少年サッカー データ分析: Rで回帰分析』のようにサッカーを題材にした実践書で、相関係数・p値・単回帰・重回帰といった基礎を一通り体験してください。目的がないまま統計の教科書から入ると続きにくいので、サッカーという題材を道しるべにするのがおすすめです。
Jリーグのデータを題材にした入門書はありますか?
橘ナナミ
Jリーグのデータを題材にした入門書はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
『Jリーグを楽しもう! ~サッカーデータ分析入門書~』が該当します。Jリーグ公式データを使用し、無料で取得できるデータを統計学的手法で扱いながら、戦術や選手のパフォーマンスを分析する流れを紹介しています。Jリーグの歴史や発展にも触れているので、観戦と学習を往復したい人に向いています。
アナリストになるために読むべき本と順番を知りたいです。
橘ナナミ
アナリストになるために読むべき本と順番を知りたいです。について教えてください。
佐藤メバル
まず『サッカーアナリストのすゝめ』で、役割・試合の見方・データ分析・コミュニケーションといった仕事の中身を把握してください。そのうえで『サッカースカウティングレポート』や『サッカープレーヤーズレポート』で分析の実践的な視点を補い、必要に応じてJリーグや海外の事例本へ進む流れが自然です。
翻訳書と日本人著者の本、初心者にはどちらが読みやすいですか?
橘ナナミ
翻訳書と日本人著者の本、初心者にはどちらが読みやすいですかについて教えてください。
佐藤メバル
前提知識が少ないなら、日本の読者向けに書かれた日本人著者の本のほうが入りやすいです。一方で『サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか』のような翻訳書は、海外リーグの事例が前提になっているぶん、海外サッカーをよく観る人には逆に読みやすく感じられます。観ているリーグに近い題材から選ぶのが結局は近道です。
Kindle Unlimitedで読めるサッカーデータ分析本はありますか?
橘ナナミ
Kindle Unlimitedで読めるサッカーデータ分析本はありますかについて教えてください。
佐藤メバル
申し訳ないのですが、紹介している本について電子版や読み放題サービスの対応可否までは確認できていません。書名で各ストアを検索し、購入前に電子版の有無と対象サービスを確認することをおすすめします。実践書は書き込みながら使うので、紙で手元に置く選択も十分に合理的です。
2025年以降に出た最新のおすすめ本を教えてほしいです。
橘ナナミ
2025年以降に出た最新のおすすめ本を教えてほしいです。について教えてください。
佐藤メバル
新しめの一冊として、2026年のワールドカップを見据えて書かれた『アナリシス・ブレイン』があります。前作『アナリシス・アイ』の進化形として、近年のサッカーの進化と普遍的な法則を難しい用語を使わずに扱っています。あわせて『戦術リストランテⅦ』のような、ポジショナルプレー標準化後の変化を追う本も、鮮度の高い学びになります。
まとめ
橘ナナミ
今日の話、けっこう頭の整理になりました。データ分析の本って難しそうなイメージだったんですけど、観たい試合と目的を先に決めれば、選び方って意外とシンプルなんですね。
佐藤メバル
そうだね。大事なのは、いきなり全部を理解しようとしないこと。1冊目は言葉に慣れる、2冊目で指標を押さえる、3冊目で手を動かす。この順番さえ守れば、データは味方になってくれる。
橘ナナミ
逆に、順番を飛ばすとどうなるんでしょう。
佐藤メバル
書店員時代、分厚い分析書を1冊だけ買っていくお客さんを何人も見てきたけど、その多くが「用語が分からないまま終わった」と言って戻ってきた。だから僕は、まず薄い入門を1冊、次に指標の本、と段階を薦めるようにしている。積読を防ぐのは、意志の強さじゃなくて順番なんだよ。
橘ナナミ
なるほど…! 私もまずは観戦が楽しくなる1冊から始めてみます。
佐藤メバル
いいね。データ分析の本は、スタジアムの照明塔に似ている。ピッチで起きていることを変えるわけではないけれど、光の当て方が変われば、今まで暗がりにあった選手の動きが浮かび上がってくる。だから最初の1冊は、明日の試合を見るのが少しだけ楽しみになるものを選べばいいんだよ。
