銀行の法人営業が学べる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今日のお題は「銀行 法人 営業 本 おすすめ」です。検索すると、きれいなランキング記事がたくさん出てくるんですけど……読み終えたあとに「で、明日の訪問で何を話せばいいの?」ってなるんですよね。
佐藤メバル
いい質問だね。書店員時代、法人営業の担当者から「本は読むのに頭の中が整理されない」とよく相談されました。原因はたいてい同じで、営業の一般論と銀行の実務書が、別々の棚に並んでいるんです。ソリューション営業の考え方と、与信や事業性評価の実務は、つながって初めて現場で使える。
橘ナナミ
確かに。提案の型は分かっても、目の前の決算書が読めなかったら提案にならないですもんね。
佐藤メバル
そう。だから今日は順番を暗記するのではなく、自分の業務フローのどこを埋めるかという視点で選び方を整理しよう。僕も若い頃、話題の営業本を片っ端から買って、どれも身につかなかったことがあります。棚に並べて満足していたんですね。
橘ナナミ
それ、すごく分かります……。では、選び方からお願いします。
銀行の法人営業が学べる本の選び方
目的別(与信・審査/新規開拓/ソリューション提案/管理者・組織)
橘ナナミ
「目的別」と言われても、銀行の法人営業って仕事が多すぎて、自分が何を目的にすればいいのか分からなくなります。
佐藤メバル
そこが最初の分かれ道だね。与信や審査に時間を取られているなら『精選実例に学ぶ営業店融資推進150』のような事例集、新規開拓が課題なら『法人営業のバイブル』や『新規開拓・取引深耕につながる! 融資渉外に役立つアプローチトーク集』、提案の中身を厚くしたいなら『ソリューション営業のすすめ方』、支店を動かす立場なら『実践!「現場営業力」強化セミナー』。目的を1つに絞ると、選書は一気に軽くなるよ。
レベル別(新人渉外・2〜5年目・中堅・支店長/本部企画)
橘ナナミ
レベル別だと、何が変わるんですか?
佐藤メバル
読める抽象度が変わる。新人なら『法人営業1年目の教科書』や『実務入門 改訂版 法人営業のすべてがわかる本』で「型」を体に入れる。2〜5年目は『財務で切り込む法人営業』や『営業成果に差が出る法人EBMのススメ』で、感覚ではなく根拠で動く段階。中堅から支店長なら『法人営業「力」を鍛える』や『事例に学ぶ法人営業の勘所』で、収益と組織の視点を足す。背伸びした1冊より、半歩だけ上の1冊が効きます。
形式別(体系書/事例集/時短で読める新書/図解入門)
橘ナナミ
同じテーマでも、分厚い本と図解の本がありますよね。どちらから読めばいいんでしょう。
佐藤メバル
用途で分けるといい。全体を一度つなぎたいなら『ソリューション営業の基本戦略』のような体系書、感覚をつかむなら『図解入門ビジネス最新法人営業の基本としかけがよ~くわかる本』、泥臭い実例なら『事例に学ぶ法人営業の勘所』。移動時間しか読めない人は、薄い実践本を1冊鞄に入れておく。厚さは正義じゃないからね。
情報鮮度(制度改正・DX対応か、古典として色褪せないか)
橘ナナミ
制度改正が多い世界だと、古い本は避けたほうがいいんでしょうか。
佐藤メバル
二分して考えよう。相続・事業承継や保険を使った提案のように制度に直結するものは新しい版を選ぶ。たとえば『知識で差がつく法人営業プラス』のように改正を反映した作りになっている本は、そこが強みになる。一方で、『法人営業の本質』や『グロービスの実感するMBA 法人営業 利益の法則』のような考え方の本は、前提が古びない限り読み続けられる。鮮度が要る本と、骨になる本を分けて持つのが現実的だね。
読みやすさと厚み(多忙な銀行員が通読できるか)
橘ナナミ
正直、支店にいるとまとまった読書時間が取れないです。何ページくらいを目安にすればいいんでしょう。
佐藤メバル
1冊の分量より「1日どれだけ読めるか」から逆算するほうがいい。通勤と寝る前で1日15分なら、薄めの実践書を1冊、厚い体系書を週末用に1冊、の二本立て。『新規開拓・取引深耕につながる! 融資渉外に役立つアプローチトーク集』のような短い単位で読める本は、忙しい時期の主力になるよ。
アウトプット直結度(提案書・与信レポート・事業性評価に使えるか)
橘ナナミ
「読んで終わり」にしないコツはありますか?
佐藤メバル
読む前に、自分の手元の案件を1つ決めておくこと。『手を動かしながら考える法人営業』は図表をダウンロードして使える前提で作られているし、『営業成果に差が出る法人EBMのススメ』は企業情報から兆候を読む手順が主題だ。読みながら自分の案件のシートを埋めるつもりで読むと、理解の残り方がまるで違う。
銀行の法人営業が学べる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
銀行の法人営業が学べる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

ソリューション営業のすすめ方: 事業性評価から「業績」につなげるノウハウ満載
竹内心作 著|銀行研修社
¥1,935(税込)
「銀行研修社」という出版社名が示すとおり、金融機関の担当者に向けて書かれたソリューション営業の実践書です。タイトルにある「事業性評価」は、決算書の数字だけでなく事業の中身や経営者の想いまで見て理解するという銀行ならではの視点。そこを出発点に、どう提案を組み立て、業績という結果につなげるかが188ページにまとまっています。厚すぎない分量なので、まず通読してから現場で使う読み方がしやすい。一般的な営業書が「売り方」から入るのに対し、この本は融資や取引の文脈から入るのが大きな違いです。
こんな人におすすめ
銀行や信金・信組で法人担当になったばかりの方、融資だけでなく本業支援やソリューション提案を求められるようになった若手・中堅の方。事業性評価という言葉を耳にしても、具体的に何をどう見て提案につなげるのか分からない、という段階の方にちょうどよい一冊です。
良い点
- 銀行研修社らしい実務目線
- 188ページで通読しやすい
- 事業性評価から業績まで一貫
気になる点
- 題材は融資・取引が中心
- 営業の基本作法は別途必要
- 金融機関以外には専門的
出版社
銀行研修社
発売日
2017年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「銀行研修社」って、銀行のための出版社なんですよね。ということは、銀行の人が読む前提で書かれた専門書ってことですか?
佐藤メバル
そう、金融機関の実務書を出し続けている出版社でね。この本は「事業性評価」——決算書の数字だけでなく、その会社が何をしていて、これからどうしたいのかまで見て理解する——を出発点に据えているのが特徴です。
そこから提案を組み立て、最終的に業績につなげるノウハウが詰まっている。188ページと厚すぎないので、まず一周読んで、あとは必要な章に戻る使い方ができます。
橘ナナミ
なるほど。街の書店に並んでいる営業の本とは、入り口の作りがまるで違うんですね。
佐藤メバル
そうなんです。一般の営業書は「どう売るか」から始まることが多いですが、こちらは取引先を理解するところから始まる。
銀行や信金で法人担当になった方には、こちらの順番のほうが現場に合うはずです。ただ、金融機関以外の方が読むと、題材が融資や取引寄りに感じられるかもしれません。

法人営業の本質: 元銀行員が起業して気づいた“売れる提案”
田澤俊輔 著
銀行で数多くの法人を担当し、起業後は自分が商品やサービスを売る側に立った著者が、「なぜあの提案は通り、自分の提案は通らないのか」を突き詰めた一冊です。銀行時代の“型”が通用しない現場で何を学んだか、提案書に書くべきこと・書いてはいけないこと、相手が本当に求めているものが実体験ベースで語られます。ソリューション営業という言葉を借り物ではなく自分の言葉で掴みたい人に向く。営業初心者から中堅・ベテランまで、明日から使える知恵が詰まっています。
こんな人におすすめ
銀行など金融機関から事業会社へ移った人、あるいは起業して営業の最前線に立つ人。「提案が通らない理由」を感覚ではなく言語化したい営業パーソン。資金調達や取引の文脈で培った提案力を、商品を売る立場でどう組み替えるかに悩んでいる方に向いています。
良い点
- 元銀行員×起業家の二面視点
- 提案書の実践的な指針
- 初心者からベテランまで対応
気になる点
- 理論より体験談が中心
- 業種ごとの差異は少なめ
- 体系的な教科書ではない
出版社
詳細情報なし
発売日
2025年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「元銀行員が起業して気づいた」という副題が気になります。銀行にいた人が、外に出て何に気づいたんでしょう?
佐藤メバル
そこがこの本の核なんです。銀行では融資という形でお金を出す立場だった人が、起業すると自分が商品を売って代金をもらう立場になる。
同じ「提案」でも、評価される基準がまるで違うわけです。著者はその両方を経験して、通る提案と通らない提案の差はどこにあるのかを書き出しています。
橘ナナミ
なるほど。銀行で通用していたやり方が、そのままでは通らないということなんですね。
佐藤メバル
そう。だからこそ「売る」ではなく「選ばれる」提案という言い方になる。提案書に何を書いて、何を書いてはいけないかという具体的なところまで踏み込んでいるのが、他のソリューション営業本との違いです。
理論書というより、体験から抽出した実践の書ですね。

財務で切り込む法人営業: 経営者に一目置かれるアプローチの鉄則
細矢進 著|近代セールス社
¥1,760(税込)
財務という切り口から経営者に迫る法人営業の指南書です。近代セールス社は金融機関の渉外担当者向けの実務書を数多く出す出版社で、この本も決算書や財務の数字を手がかりに、経営者に一目置かれるアプローチをどう組み立てるかに焦点を当てています。雑談や接待ではなく、財務という共通言語から本題に入るのが特徴。223ページと読み応えがあり、数字を読む力と提案を結びつけたい人に向く一冊です。
こんな人におすすめ
財務の知識を営業の武器に変えたい法人担当者。決算書を前にしたときに、どこを見て何を話題にすればよいか迷う方。すでに基本の営業サイクルは回せていて、もう一段深い提案で差をつけたい中堅の方に向いています。
良い点
- 財務×営業の実務書
- 金融機関の現場に即す
- 経営者との話題作りに有効
気になる点
- 財務の基礎知識が前提
- 手法は金融寄り
- 読み物より実務書の性格
出版社
近代セールス社
発売日
2009年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「財務で切り込む」って、けっこうハードルが高そうに見えるんですが、数字が苦手な営業の人はどうすればいいんでしょう。
佐藤メバル
いい質問だね。ここで言う財務は、簿記の試験問題を解くような話ではないんです。決算書の数字をきっかけに、経営者が何を考えているかに会話を進める。
たとえば在庫が増えているなら、その背景には何があるのかと。数字は会話の入口なんですよ。
橘ナナミ
なるほど、会話の入口なんですね。じゃあ決算書を最初から全部読み解けなくても、始められるんでしょうか。
佐藤メバル
そうそう。ただ、近代セールス社の本らしく、金融機関の渉外担当が読む前提で書かれているので、基本的な財務用語は押さえておきたい。
223ページありますから、辞書的に手元に置いて、担当先の決算が出るたびに開くという使い方もできます。

法人営業1年目の教科書: ~提案・関係構築・案件管理がゼロからわかる即実践ガイド~ 【法人営業 新人・新卒・中途入社 完全対応】
MICKWORKSデジタル出版 著
「配属初日から名刺を持たされ、とにかく行ってこい」——そんな現場で、誰も教えてくれないまま悩む新人に向けて書かれた実践ガイドです。BtoBとBtoCの違いから、提案書の黄金構成、ヒアリング術、案件管理、「また考えておきます」への対応まで、現場で起きる場面を想定して6章構成で整理。専門用語を使わずスマホでも読み流せる言葉で書かれているので、研修が整っていない職場の1年目が地図代わりに使えます。
こんな人におすすめ
法人営業に配属されたばかりで何から手をつけるか分からない新人。中途入社でBtoBが初めてで早く結果を出したい人。数字のプレッシャーでメンタルが疲れている若手。逆に、すでに十分な実績のあるベテランには物足りないかもしれません。
良い点
- 第1〜6章の体系構成
- 専門用語なしで読みやすい
- 案件が止まった場面に対応
気になる点
- ベテランには物足りない
- 電子出版ゆえ紙では探しにくい
- 深掘りの解説は少なめ
出版社
詳細情報なし
発売日
2026年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
この本の書き出し、すごく刺さります。「また今日も、何をすればいいかわからないまま、一日が終わってしまった」って。
佐藤メバル
そう、そこから始まるんですよ。法人営業の現場って、研修が整っているところばかりじゃない。先輩は忙しいし、上司に聞けば「自分で考えろ」と言われる。
その状態で毎月数字だけは追いかけてくる。著者はその孤独を前提に書いています。
橘ナナミ
提案、関係構築、案件管理と、六つの章が順番に並んでいるんですね。
佐藤メバル
ええ。しかも難しい用語を使わずに、現場で実際に起きる場面から入っている。特に「また考えておきます」と言われたときの対応や、案件が消えそうなときの突破口は、1年目の人が本当に困るところです。
ベテランには易しすぎるかもしれませんが、逆に言えばそこがこの本の役割です。

実務入門 改訂版 法人営業のすべてがわかる本
高城幸司 著|日本能率協会マネジメントセンター
¥2,935(税込)
アプローチの準備からアポ取り、ヒアリング、提案、プレゼンテーション、クロージング、顧客管理、そして営業脳の鍛え方まで——法人営業の流れを一冊で通せる入門書です。イラストを交えながら、リクルートでトップセールスを続けた著者の実践的なノウハウが並びます。営業プロセス全体の地図を先に手に入れたい人に向く構成で、個別のテクニックに特化した本より、最初の一冊として選びやすい。改訂版として内容が更新されている点も安心です。
こんな人におすすめ
初めて法人営業に携わる人、そして今ひとつ伸び悩んでいる中堅の営業パーソン。独学で断片的に覚えてきた人が、プロセスを一度きれいに並べ直したいときに。研修テキストの代わりに通読する使い方も向いています。
良い点
- アプローチから顧客管理まで網羅
- イラストで流れが追える
- リクルート出身者の実践知
気になる点
- 価格はやや高め
- 専門特化の深さはない
- 金融実務の文脈は薄い
出版社
日本能率協会マネジメントセンター
発売日
2012年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、法人営業の入門書としては定番なんでしょうか。書店でも見かけた気がします。
佐藤メバル
長く読まれている一冊でね。特徴は守備範囲の広さです。アプローチの準備、アポの取り方、ヒアリング、提案、プレゼン、クロージング、顧客管理、それから営業脳の鍛え方まで、一冊で流れ全体を押さえられる。
個別のテクニックより順番が大事だという人には、この構成が効きます。
橘ナナミ
リクルートでトップセールスを続けた方が書いているんですね。現場の説得力がありそうです。
佐藤メバル
ええ、だから説得力がある。ただ、200ページで全部を扱う以上、一つのテーマをとことん深く掘るタイプの本ではないんです。
まず全体像、次に課題別の専門書、という順番で読むと無駄がありません。
![図解入門ビジネス最新法人営業の基本としかけがよ~くわかる本[第2版] (How-nual図解入門ビジネス)](https://img.shelf-y.com/items/17395.jpg)
図解入門ビジネス最新法人営業の基本としかけがよ~くわかる本[第2版] (How-nual図解入門ビジネス)
橋本直行 著|秀和システム
「図解入門ビジネス」シリーズの一冊で、法人営業の基本と「しかけ」を図解で整理した入門書です。176ページとコンパクトで、文字を追うより図で構造を掴みたい人に向きます。第2版として内容が更新されているのもポイント。営業の仕組みを一枚の絵にして理解するというアプローチは、文章主体の実務書とは読み味がはっきり違います。まず用語と流れを頭に入れたい段階の最初の一冊として使いやすい。
こんな人におすすめ
配属されたばかりで、まず法人営業の全体像を短時間で把握したい新人。文章を追うより図で理解するタイプの方。社内研修の副読本として、あるいは異動前の予習としても使いやすい一冊です。
良い点
- 176ページで短時間に読める
- 図解中心で構造が頭に入る
- 第2版で内容が更新
気になる点
- 事例の厚みは少なめ
- 実践の踏み込みは浅い
- 用語解説が中心の構成
出版社
秀和システム
発売日
2016年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、この「図解入門ビジネス」のシリーズって書店でよく見かけます。法人営業の入門書としてどうなんですか?
佐藤メバル
このシリーズは、一冊でテーマの地図を描くのが役割なんです。この本も176ページで、法人営業の基本と「しかけ」を図で整理している。
文章でがっつり読む実務書とは役割が違って、構造を先に知りたい人に向きます。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、いきなり分厚い実務書に挑む前に、この本で地図をもらっておく感じですか。
佐藤メバル
そうそう。ただ、事例の厚みや踏み込んだ実践は他の本に譲る部分もある。第2版になっているので情報も更新されていますから、予習や研修の副読本として使って、そのあと課題別に深掘りするのがおすすめです。

法人営業 勝ちパターン大全 顧客の意思決定プロセスを完全解明して「再現性」を築く
高橋浩一 著|翔泳社
¥2,420(税込)
2万4000人への調査から「失注の裏側で実際に起きていたこと」を掘り起こした一冊です。キーパーソンに会えない、連絡がつながらない、検討が進まない、予算が増えない——この4つの迷路に対して、前半は「5段階の購買プロセス」と「6種類の関係者」を押さえる守りの戦略、後半はターゲティング戦略やエキスパート戦略といった攻めの勝ちパターンを提示します。「決裁者さえ押さえれば」といった常識が覆る、データとロジックの本です。
こんな人におすすめ
商談が止まる理由を感覚ではなく構造で理解したい営業パーソン。「検討します」で止まる案件を抱えている中堅・ベテラン。決裁者以外の関係者をどう押さえるかに悩む人。320ページと読み応えがあるので、じっくり腰を据えたい方向けです。
良い点
- 2万4000人調査に基づく
- 守りと攻めの二部構成
- 購買プロセスの分解が明快
気になる点
- 320ページで読み応え十分
- 用語に慣れが必要
- 即効性より構造理解
出版社
翔泳社
発売日
2026年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
2万4000人への調査って、すごい数ですね。営業の本でそこまでデータを取るものなんですか。
佐藤メバル
ここがこの本の強みなんです。著者は『無敗営業』や『営業の科学』を書いてきた人で、感覚や経験則ではなく、データから営業の勝ち筋を出そうとする。
たとえば連絡が途絶えたとき、選択肢は「催促する」か「待つ」だけじゃない。失注の裏側で何が起きていたかを調べたからこそ、別の打ち手が見えてくるわけです。
橘ナナミ
「決裁者を押さえればOK」という、いわゆる常識も覆るんですね。ちょっと驚きです。
佐藤メバル
そう。前半で5段階の購買プロセスと6種類の関係者を押さえて、後半で攻めの型を使う。320ページあるので軽い読み物ではありませんが、商談が止まる理由を構造で理解したい人には、投資する価値のある一冊です。

法人営業のバイブル: 必ず成果の上がる新規開拓の鉄則&必須ノウハウ
細矢進 著|近代セールス社
¥1,760(税込)
副題に「必ず成果の上がる新規開拓の鉄則&必須ノウハウ」とあるとおり、新規開拓に絞った実務書です。同じ著者の『財務で切り込む法人営業』が財務を入口にしたのに対し、こちらは開拓そのものを扱う点が違います。近代セールス社から出ている211ページの一冊で、新規開拓の手順と勘所を鉄則という形で整理。すでに既存顧客の担当をしている人が、開拓の型をあらためて仕入れたいときに手に取りやすい構成です。
こんな人におすすめ
新規開拓に苦手意識のある法人担当者。既存の深耕ばかりで新規が後回しになっていると感じる中堅。金融機関の渉外担当として、開拓の基本の型を確認したい方に向いています。
良い点
- 新規開拓に絞った構成
- 財務本と補完関係にある
- 鉄則形式で確認しやすい
気になる点
- 深耕の話は少なめ
- 金融渉外寄りの内容
- 事例の分量は限られる
出版社
近代セールス社
発売日
2007年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
さっき紹介した『財務で切り込む法人営業』と同じ著者なんですね。この2冊はどう使い分けるんでしょう。
佐藤メバル
いいところに気づきました。あちらは財務を入口にしたアプローチ、こちらは新規開拓そのものに焦点を当てている。
同じ著者が違う角度から書いているので、2冊で一組のように使えます。既存先を深くする話と、新しい先を開く話は、現場では別の筋肉ですから。
橘ナナミ
なるほど。新規開拓に苦手意識がある人は、こちらのほうから入るといいんですね。
佐藤メバル
そうですね。211ページで鉄則という形に整理されているので、通読してから、うまくいかない場面で該当するところを開く使い方もできます。
ただ、新規開拓に絞っている以上、既存深耕のノウハウは他の本で補う必要があります。

新規開拓・取引深耕につながる! 融資渉外に役立つアプローチトーク集
荻野元夫 著|近代セールス社
¥1,650(税込)
「営業が苦手」「訪問しても何を話せばよいかわからない」——そんな若手担当者のために、取引先訪問時の着眼点とトーク例をまとめた本です。112ページと薄く、会話の引き出しを増やすことに特化しているのが特徴。同じ近代セールス社の実務書が制度や分析を扱うのに対し、こちらは現場の言葉そのものを扱います。新規開拓にも取引深耕にもつながる切り口が並んでいるので、訪問前の数分で確認する使い方に向いています。
こんな人におすすめ
融資渉外や法人訪問の経験が浅く、沈黙が怖いと感じている若手担当者。取引先で何を話題にすればよいか分からず訪問が憂うつな方。新規開拓の糸口を探しているものの、話の入り口でつまずいている人に向いています。
良い点
- 112ページで持ち歩きやすい
- トーク例が中心で実践的
- 着眼点と会話がセット
気になる点
- 制度や分析の解説は少ない
- 会話前提の手法である
- 事例は金融渉外寄り
出版社
近代セールス社
発売日
2024年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
112ページって、実務書としてはかなり薄いですよね。それで足りるんでしょうか。
佐藤メバル
薄さが持ち味なんですよ。この本は、取引先を訪ねたときに何を見て、何を話すか——そこに絞っている。着眼点とトーク例がセットになっているので、訪問前の5分で開いて確認する、という現場の使い方に合っています。
橘ナナミ
あ、それいいかも。私も研究のインタビューで、何を聞こうか決めずに行って失敗したことがあります。
佐藤メバル
その感覚に近いかもしれません。ただ、制度の解説や分析の深さは他の本に譲る内容です。営業が苦手だという人が、まず会話で固まらないようになる。そこがこの本のゴールなんですね。

精選実例に学ぶ営業店融資推進150 (上巻)
金融財政事情研究会 著|金融財政事情研究会
¥5,520(税込)
617ページ、価格も含めて実務書としては大ぶりな一冊で、副題どおり営業店の融資推進に関する精選された実例を150本収めた事例集です。上巻という構成からも分かるように、事例を読んで自店に引き寄せるという使い方が前提。理論や手順を説く類の本ではなく、他の営業店がどう動いたかを材料に自分の判断軸を作る本です。金融財政事情研究会という、金融実務の事例を蓄積してきた出版社ならではの厚みがあります。
こんな人におすすめ
営業店で融資推進を担う支店長・渉外担当者。自分の店の事例だけでは判断材料が足りないと感じている方。融資の提案や条件変更などの場面で、他の店の実例を参照しながら意思決定したい人に向いています。
良い点
- 精選実例150本を収録
- 金融実務の出版社による事例
- 参照型で長く使える
気になる点
- 617ページで通読は重い
- 価格帯が高めである
- 理論の解説は少ない
出版社
金融財政事情研究会
発売日
1996年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
617ページって、相当な量ですね。これはいったい、どうやって読むんでしょう。
佐藤メバル
通読する本ではないです。これは事例集で、辞書やカルテのように使うもの。自店で判断に迷う場面が出たとき、他の営業店の実例を開いて比べる。
上巻ということは下巻もある前提の構成ですから、必要な分を手元に置くイメージですね。
橘ナナミ
なるほど。理論を頭から読むというより、判断材料を集めておくための本なんですね。
佐藤メバル
そう。金融財政事情研究会は金融実務の事例を長く蓄積してきた出版社なので、そこに集まっている実例の引き出しは、一人の経験では到底持てない量です。
ただ価格もそれなりですから、まずは勤務先の共有本棚にあるか確認してみるのも手ですよ。

実践!「現場営業力」強化セミナー KINZAIバリュー叢書
髙橋昌裕 著|金融財政事情研究会
優秀な支店長や営業担当者が実践しているノウハウを形式知化・組織知化し、個々の力を引き出す方程式を導く一冊です。融資という商品がコモディティ化するなか、地域のお客様を正しく理解し寄り添える金融機関が信頼と取引を伸ばす——という立場から、「お客様の理解」「活動プロセスの高度化」「スキルの強化」「意欲の向上」の4観点で現場営業力を引き上げる方法を示します。前著の法人営業戦略を深掘りした内容です。
こんな人におすすめ
支店長・営業店のマネジャーとしてチームの営業力を底上げしたい人。個人の成績ではなく組織として成果を出す仕組みに関心のある方。地域金融機関で、融資以外の提案軸を育てたいと考えている管理職に向いています。
良い点
- 組織の営業力を4観点で整理
- 支店長目線の具体策
- 前著の戦略を深掘り
気になる点
- 個人の営業術は別途必要
- 地域金融機関が前提
- 管理職向けの内容である
出版社
金融財政事情研究会
発売日
2016年11月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「現場営業力」って、個人の営業スキルとはまた違うものなんでしょうか。
佐藤メバル
いい質問だね。ここで扱っているのは、個人の技を組織の力に変える話なんです。優秀な人が一人いる店は強いけれど、その人が異動したら終わってしまう。
だからノウハウを形式知化して組織知にする。支店長がそれをどう設計するか、というのがこの本のテーマです。
橘ナナミ
なるほど、支店長のように人を動かす立場の人が読む本なんですね。
佐藤メバル
そう。地域金融機関へのコンサルティング経験を持つ著者が、前の本の法人営業戦略をさらに深掘りしている。
お客様の理解、活動プロセスの高度化、スキル、意欲という4つの観点で整理されているので、朝礼や研修の設計に落とし込みやすいと思います。

知識で差がつく法人営業プラス 2026年度版
株式会社シャフト 著|セールス手帖社保険FPS研究所
¥3,080(税込)
法人と経営者に想定されるリスクとニーズに、生命保険をどう活用するか——という切り口の実務書です。法人マーケットを個人マーケットと比較して理解する、自社株の意味や価値、決算書や経理処理、法人のライフステージ別・目的別のニーズ、経営者個人の相続対策や事業承継まで、法人営業に必要な知識をまとめています。最新の相続税・贈与税の改正や、被災した顧客企業への情報提供まで触れているのが今年度版の特徴です。
こんな人におすすめ
保険を切り口に法人や経営者へ提案する営業パーソン。事業承継や相続の相談に備えて知識を仕入れたい方。法人担当になったばかりで、決算書や自社株の読み方から押さえたい新人にも、ベテランの確認用にも使える構成です。
良い点
- 法人ニーズを網羅的に整理
- 税制改正や復興支援も収録
- 新人からベテランまで使える
気になる点
- 保険提案が前提の内容
- 年度版で更新が必要
- 他の営業手法は扱わない
出版社
セールス手帖社保険FPS研究所
発売日
2025年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「2026年度版」ってことは、毎年更新されているんですね。こういう本はやはり買い替えるものなんでしょうか。
佐藤メバル
税制や通達は変わるので、年度版で確認する価値があります。この本は法人と経営者に想定されるリスクとニーズを、生命保険という道具でどう埋めるかという切り口。
自社株の意味や価値、決算書や経理処理、事業承継まで、法人担当が押さえるべき知識がまとまっています。
橘ナナミ
保険の営業をしていない人でも、読む意味はありますか?
佐藤メバル
ありますよ。相続税や贈与税の改正、被災した企業への資金調達の助言まで触れているので、経営者の関心がどこにあるかを知る材料になります。
ただ、あくまで保険を活用した提案が前提の本だという点は押さえておいてください。

ソリューション営業の基本戦略
高橋勝浩 著|ダイヤモンド社
¥2,876(税込)
重要商談や大型商談で求められる、問題解決提案型の営業を体系的にまとめた一冊です。商談シナリオを描き、適切な相手に、商談コンセプトを明確に伝える——という流れを、理論とケースの両方から丁寧に解説します。著者はリクルートで20万人以上に「重要顧客と大型案件を逃さない技術」を提供してきた人物。小さな改善ではなく、商談の組み立てそのものを変える発想を扱っているのが特徴です。
こんな人におすすめ
大型案件や重要顧客を担当し、提案の中身で勝負したい営業パーソン。訪問回数や関係づくりではなく、商談の設計で差をつけたい中堅・ベテラン。ソリューション営業を理論から組み立て直したい方に向いています。
良い点
- 商談シナリオの描き方を体系化
- 理論とケースの両輪
- 大型案件に焦点を当てる
気になる点
- 253ページで読み応え十分
- 小口案件には大げさ
- 前提となる営業経験が要る
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2005年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「商談コンセプト」って、聞き慣れない言葉なんですが、どういう意味なんでしょう。
佐藤メバル
一言でいえば、この商談で相手に何を決めてほしいのかを一文で言い切れる形にすることです。商品の説明ではなく、相手の問題をどう解くかという提案の芯。
それが曖昧なまま訪問を重ねても、大型案件は動かない。この本はその芯の作り方から、相手の選び方、伝え方までを順番に組み立てています。
橘ナナミ
253ページ、なかなかしっかりした厚さですね。じっくり読む本なんですね。
佐藤メバル
リクルートで20万人以上に提供してきた内容がベースですから、抽象論ではなくケースが豊富です。ただ、大型商談を想定しているので、単価の小さい商談には少し大げさに感じるかもしれません。

ソリューション営業実践テキスト
飯田一彦 著|日本コンサルタントグループ
「売る」より「ニーズを満たす」——お客様のシグナルをとらえた適格なソリューション営業の手法を公開する一冊です。営業成績が伸び悩んでいる、自分の営業スタイルを変えたい、ソリューション営業についてもう一つピンとこない、これからイチから学びたい——そんな読者を想定して書かれています。固定レイアウトで作られているため、タブレットなど大きな画面で読むのに適しており、紙のテキストに近い読み味なのも特徴です。
こんな人におすすめ
ソリューション営業という言葉は知っていても、自分の商談でどう使うのかがつかめていない営業パーソン。売り込み型から提案型へスタイルを変えたい人。これから一から学びたい初学者にも向きます。
良い点
- シグナルの捉え方から解説
- スタイル転換を狙う構成
- 初学者にも分かる設計
気になる点
- 固定レイアウトで端末を選ぶ
- 文字検索や引用ができない
- 図表の作りは紙向き
出版社
日本コンサルタントグループ
発売日
2006年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
あ、この本「固定レイアウト」って書いてあります。電子書籍なのに紙みたいな作りなんですか?
佐藤メバル
そう、紙のレイアウトをそのまま電子化した作りなんです。だからタブレットのように画面の大きい端末で読むのが前提で、文字列の検索やハイライトは使えない。
図表やレイアウトごと理解するタイプのテキストだと思ってください。
橘ナナミ
なるほど、買う前に自分の端末で読めるか確認したほうがいいですね。
佐藤メバル
そこは注意点です。内容は「売る」より「ニーズを満たす」という立場で、お客様が出すシグナルをどう拾うかから始まります。
成績が伸び悩んでいる人が、自分の営業スタイルを組み替えるきっかけに向いています。

事例に学ぶ法人営業の勘所―ソリューション営業の極意
澁谷耕一 著|きんざい
¥2,420(税込)
「金融機関職員は取引先のコンサルタントたれ」という立場から、入門編・営業推進編・コンサルティング営業編・債権管理編の4部で構成された一冊です。支店長の悩みと解決方法、新規開拓のコミュニケーション、売上向上や販路拡大の助言、財務改善やキャッシュフロー改善、融資条件の変更や事業計画の策定まで事例で追います。NGワード・NGアクション集を収録しているのが他書にない実践的な特徴です。
こんな人におすすめ
金融機関で取引先のコンサルティング提案を求められるようになった中堅の担当者。新規開拓から債権管理まで一通り視野に入れたい支店長・渉外担当。やってはいけない言動を先に知っておきたい若手にも役立ちます。
良い点
- 4部構成で守備範囲が広い
- NGワード集が実践的
- 債権管理までカバー
気になる点
- 金融機関の文脈が前提
- 入門的な制度解説も含む
- 197ページに情報が集中
出版社
きんざい
発売日
2010年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「NGワード・NGアクション集」って、ちょっと怖い響きですね。何が書いてあるんでしょう。
佐藤メバル
そこがこの本の良いところでね。営業の本は「こうしましょう」ばかりになりがちですが、これはやってはいけない言動を先に示している。
取引先との信頼を壊す一言は、成功事例より先に知っておいたほうがいいんですよ。
橘ナナミ
たしかに、先に知っておきたいです。で、内容は四つのパートに分かれているんですね。
佐藤メバル
入門編で支店長の悩み、営業推進編で新規開拓や販路拡大の助言、コンサルティング営業編で財務改善やキャッシュフロー、債権管理編で融資条件の変更や事業計画まで。
金融機関の現場を一冊でかなり広く覆っています。

法人営業は新規を追うな
庭山一郎 著|日経BP
「釣った魚に餌はやらぬ」——営業リソースは新規顧客にこそ振り向けるべきだという長く続いた考え方に、真正面から異を唱える一冊です。世界のBtoBマーケティングで台頭しているABM(アカウント・ベースド・マーケティング)を軸に、第1部のナレッジ編で本質を理解し、第2部の実践編で経営陣の理解の促し方から重要顧客の選定、組織体制の作り方まで4フェーズで導入プロセスをひもときます。
こんな人におすすめ
新規開拓一辺倒の営業方針に疑問を持っている法人営業の責任者。重要顧客との関係を組織として深めたい経営企画・マーケティング担当。海外のBtoB手法を日本語で一度整理しておきたい方に向いています。
良い点
- ABMの知識と実践を両収録
- 導入を4フェーズで解説
- 組織論まで踏み込む
気になる点
- 個人の商談術ではない
- 経営層の理解が前提
- 導入には社内調整が必要
出版社
日経BP
発売日
2025年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルが挑発的ですね。「新規を追うな」なんて、開拓を頑張っている人に怒られませんか。
佐藤メバル
でも、これには理由があるんです。日本の営業は長く「釣った魚に餌はやらぬ」と言われて、新規にこそリソースを割くべきだとされてきた。
ところが世界のBtoBでは、既存の重要顧客にこそ営業を割り当てるABMという戦略が台頭して、圧倒的な成果を出している。その考え方を紹介している本です。
橘ナナミ
なるほど。でも、いきなり会社全体で導入するのは、なかなか難しそうですよね。
佐藤メバル
そこも書かれていて、第2部は経営陣の理解の促し方から、重要顧客の選び方、組織の作り方まで4フェーズで解説しています。
個人の商談術ではなく、会社としてどう構えるかという本です。

グロービスの実感するMBA 法人営業 利益の法則 (ビヨンドブックス)
グロービス 著|学研プラス
BtoBのマーケティングや法人営業を扱った本は、消費財マーケティングをベースにしていたり、逆にアカデミックに寄りすぎて現場から遠くなったりしがちです。この本はそのトレードオフを乗り越え、汎用性と実践性の両立を狙った希有な一冊。業界ごとに競争のルールや取引慣行が異なるなかで、「こうすればうまくいく」という単純な法則に寄りかからず、法人営業を組織対組織の頭脳戦として捉え直しています。
こんな人におすすめ
カリスマ営業マンの体験談では自分の悩みに合わないと感じてきた営業パーソン。MBA的な思考で法人営業を捉え直したい中堅・管理職。業界の個別性を越えて応用できる枠組みを欲しい人に向いています。
良い点
- 汎用性と実践性を両立
- MBAの視点で法人営業を整理
- 業界の個別性に配慮
気になる点
- 消費財の営業には遠い
- 読み物としての軽さは低い
- 抽象度はやや高め
出版社
学研プラス
発売日
2015年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
営業の本にMBAという組み合わせ、それって相性がいいんでしょうか。
佐藤メバル
いいところを突きますね。マーケティングの本はたくさんありますが、多くは消費財がベースで、法人営業になると一気に数が減る。
逆に汎用性を追求すると、アカデミックになって現場から離れてしまう。この本はそのトレードオフに正面から向き合っています。
橘ナナミ
「カリスマ営業マンの経験談は、自分の悩みとは違う」という一文に、ちょっと救われました。
佐藤メバル
そう、法人営業は業界ごとにルールも慣行も違うから、ひとつの成功談が全員に効くわけではない。組織対組織の頭脳戦として捉え直す枠組みを与えてくれる。
抽象度は高めですが、長く手元に置いて使える本です。

法人営業「力」を鍛える
今村英明 著|東洋経済新報社
¥2,331(税込)
ボストン コンサルティング グループ(BCG)の知見をもとに、法人営業で高収益を実現するための考え方と行動指針を示す一冊です。「無駄な訪問」「採算割れ覚悟の値引き」「接待」——御用聞き営業がまかり通る分野に対して、著者はマーケティング・ロジックこそが鍵だと言い切ります。市場を科学的に観察して自社の勝ち方を見つけるという発想で、行動基準を確立するための手引書として構成されています。
こんな人におすすめ
訪問件数や接待で数字を作るやり方に限界を感じている法人営業の責任者。高収益の営業体制を設計したい経営企画・営業企画。欧米でいう「ビジネスマーケティング」を一度体系的に押さえたい方に向いています。
良い点
- BCGのコンサル知見ベース
- 高収益という切り口が明確
- 分析的な思考を鍛える
気になる点
- 実務手順の解説は少なめ
- 御用聞き営業には厳しい
- 理論寄りの読後感
出版社
東洋経済新報社
発売日
2005年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「御用聞き営業」って、言葉は聞いたことがあるんですけど、何が問題なんでしょう。
佐藤メバル
簡単に言えば、言われたものを言われただけ持っていく営業のことです。無駄な訪問、採算を割り切った値引き、接待——そういうやり方で数字を作ってきた現場は多い。
著者はBCGで数多くの企業を見てきて、そこにマーケティング・ロジックを持ち込むことで高収益が実現できると言うんです。
橘ナナミ
市場を科学的に観察して勝ち方を見つける、か。営業というより経営に近い話ですね。
佐藤メバル
その通りで、個人の商談術の本ではありません。営業の行動基準を会社として決めるための手引書です。ただ、接待や訪問を否定されるので、そういう現場で読むと少し痛いかもしれません。

法人営業力
髙橋延生 著|ビジネス教育出版社
ビジネス教育出版社から出た、法人営業力をテーマにした349ページの一冊です。単発のテクニック集ではなく、法人営業という仕事の力をどう身につけ、どう積み上げるかに向き合う構成。厚みのある一冊だけに、通読して終わりではなく、自分の経験と照らし合わせながら時間をかけて読む読み方に向きます。手頃な入門書を何冊か読んだあと、思考の土台を据え直したい段階で手に取りたい本です。
こんな人におすすめ
入門書やノウハウ本を一通り読んだうえで、自分の営業観をあらためて組み立てたい中堅の法人営業パーソン。短い実務書では物足りなくなってきた方。じっくり時間をかけて読む本を探している人に向いています。
良い点
- 349ページの読み応え
- 営業力という土台から問う
- 長く参照できる構成
気になる点
- 通読には時間がかかる
- 即効性のある型は少なめ
- 入門には向かない
出版社
ビジネス教育出版社
発売日
2013年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
349ページって、けっこうな厚さですね。法人営業の本でこの長さは、ちょっと珍しい気がします。
佐藤メバル
そうなんです。ノウハウ本の多くは、現場で即使える形に絞るから薄くなる。これは逆で、法人営業という力をどう育てるかという土台から書いているので、ページ数が必要になる。急いで答えを拾う本ではありません。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、入門書を何冊か読んだあとの段階で向く本なんですね。
佐藤メバル
そう思います。若い頃に書店で働いていて感じたのは、厚い本は敬遠されがちだけど、いざ読むと戻ってくる回数が圧倒的に多いということ。
この本も、経験が増えるほど刺さり方が変わってくるタイプですよ。

法人営業で成功するにはコンサルティング力を磨け!: 売れる営業部にするための処方箋
大森啓司 著|同友館
¥1,925(税込)
副題に「売れる営業部にするための処方箋」とあるとおり、個人のスキルではなく、営業組織をどう強くするかという視点を持つ一冊です。法人営業で成果を出す鍵をコンサルティング力に置き、277ページをかけてその磨き方を論じます。個人の営業術と組織づくりの両方に触れているのが特徴で、同友館という学術系出版社らしい落ち着いた構成。営業部のあり方を見直したい立場の人に向きます。
こんな人におすすめ
営業部長・支店長として、チームを「売れる営業部」に変えたいと考えている管理職。コンサルティング提案を組織の標準にしたい営業企画担当。個人としてコンサルティング力を磨きたい中堅にも向きます。
良い点
- 個人と組織の両面を扱う
- コンサルティング力に焦点
- 277ページの構成力
気になる点
- 実例の分量は多くない
- 学術寄りの記述もある
- 即効の型は少なめ
出版社
同友館
発売日
2015年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「売れる営業部にするための処方箋」って、個人向けではなく組織向けの本なんですね。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の立ち位置です。法人営業で成功するにはコンサルティング力を磨け、というのが主張で、個人が磨く話と、営業部としてそれを標準にする話の両方に触れています。
処方箋という言葉どおり、診断して手を打つという構成なんです。
橘ナナミ
そういえば同友館って、大学の教科書のような本も出している出版社ですよね。
佐藤メバル
ええ、だから記述は落ち着いていて、流行りのフレームワークを並べるタイプではありません。ただ、そのぶん地味に感じる人もいる。
営業部のあり方を見直したい管理職が読むと、いちばん持ち味が出る本だと思います。

手を動かしながら考える法人営業
広瀬幸泰 著|翔泳社
¥400(税込)
法人営業は額が大きいぶん受注も難しく、足を運ぶだけでは結果につながらない——という前提から、顧客の立場に立った戦略分析と企画提案の出し方を、テンプレートを使ってステップバイステップで進める一冊です。顧客の顧客まで踏まえるという視点が軸にあり、汎用性の高い図表はWebからダウンロードできます。189ページで価格も手頃なため、まず手を動かして試したい人に取りつきやすい。
こんな人におすすめ
提案の作り方を型として身につけたい若手・中堅の法人営業パーソン。分析や企画の進め方で手が止まりがちな方。まずテンプレートに沿って手を動かし、そこから自分なりのやり方を作りたい人に向いています。
良い点
- テンプレートで手順が追える
- 図表をダウンロード可能
- 価格が手頃で試しやすい
気になる点
- 図表は旧形式のPowerPoint
- 読み物としての厚みは少ない
- 応用は自分で工夫が必要
出版社
翔泳社
発売日
2009年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
400円って、翔泳社の本にしては珍しい値段な気がします。それにタイトルも面白いですね。
佐藤メバル
そう、この本は読んで終わりにしない設計なんです。テンプレートを使って、ステップバイステップで分析と企画を進めていく。
手を動かすことで考えが進むという思想がタイトルに出ています。汎用性の高い図表はWebから落とせるようになっています。
橘ナナミ
あ、でも図表は「PowerPoint 97-2003形式」って書いてありますね。ちょっと古い形式かもしれません。
佐藤メバル
そこは事前に確認しておきたいポイントです。ただ、顧客のことを理解し、顧客にとってのユーザーまで踏まえて提案する、という中身のほうが大事。
まず型をなぞってみたい人には、価格も含めて試しやすい一冊です。

法人営業のズバリ・ソリューション
片山和也 著|ダイヤモンド社
船井総研のコンサルタントが、法人営業の会社が業績アップを果たすためのノウハウをまとめた一冊です。注目は市場の捉え方で、競争の少ない「雨ざらし市場(零細・個人事業主)」と「クジラ市場(大企業)」という二つの市場の攻め方を分けて解説します。その手法としてB2Bダイレクトマーケティングの導入法を具体的に示しており、価格競争に陥らずに優良顧客を開拓する道筋を描いています。
こんな人におすすめ
価格競争から抜け出したい中小企業の経営者・営業責任者。どの市場を狙うかで悩んでいる法人営業の会社。ダイレクトマーケティングの手法をBtoBに持ち込みたいマーケティング担当にも向いています。
良い点
- 市場の分け方が明快
- B2Bダイレクトマーケティング
- 価格競争回避の視点
気になる点
- 個人の商談術は扱わない
- コンサル視点の内容
- 実行には体制づくりが必要
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2013年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「雨ざらし市場」と「クジラ市場」って、いったいなんですか? 名前が強烈で気になります。
佐藤メバル
雨ざらし市場というのは、零細・個人事業主のように大手があまり狙わず、競争が少ないけれど雨風にさらされる市場。
クジラ市場は大企業のように一件が大きい市場です。この本は、その二つの市場で攻め方を変えるという発想から始まります。
橘ナナミ
なるほど、市場によって攻め方を変えるんですね。で、手法としては何を使うんでしょう。
佐藤メバル
B2Bダイレクトマーケティングです。船井総研のコンサルタントが書いているので、現場で使った具体策として出てくる。
価格競争を避けて優良顧客を開拓したい会社に向く本ですが、個人の商談術ではなく、会社としての攻め方の本だという点は押さえておいてください。

どんな会社もうまくいく 法人営業の極意
大林誠一 著
太陽光発電システムの営業で初年度に10億円以上の売上をあげ、のべ30を超える事業に携わってきた著者が、法人営業で結果を出すポイントを厳選した一冊です。「モノを売る時代は終わり、人から買う時代へ」という立場から、信頼がすべてという考え方を軸に、ウソをつかない、ムダな動きをしない、言いにくいことほど先に伝えるといった具体的な行動を並べます。仲介役の伝え方や値付け、資金回収まで実務の細部に踏み込んでいます。
こんな人におすすめ
高額の商品やサービスがなかなか売れないと悩むBtoBの営業パーソン。仲介シーンで双方にどう伝えるかに苦労している方。リピートにつながる信頼の築き方を知りたい営業責任者にも向いています。
良い点
- 10億円超の実績に基づく
- 値付けや回収まで言及
- 仲介役の心得が具体的
気になる点
- 精神面の記述が多い
- 体系的な教科書ではない
- 業種によって差が出る
出版社
詳細情報なし
発売日
2022年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
太陽光発電の営業で初年度に10億円って、すごい数字ですね。でも、業種が違っても参考になりますか。
佐藤メバル
そこが面白いところでね。この本は業種の話より、信頼をどう積むかに紙幅を割いています。ウソをつかない、言われたことをやる、名刺やオフィスの整理整頓まで見られている——そういう基本が延々と並ぶんですよ。
橘ナナミ
地味な話かもしれないですけど、たぶんそういうのがいちばん大事なんでしょうね。
佐藤メバル
そう。しかも値付けの考え方や支払い条件、資金回収のリスクまで踏み込んでいる。のべ30を超える事業に携わってきた人の本だから、お金の話に具体的なんです。精神論に見えて、実は実務書です。

法人営業の教科書: 損金提案なんてバカのすることだ
上河慎吾 著
現役の保険営業マンが、法人営業の第一線で失敗と成功を繰り返して掴んだ基本と実践をまとめた一冊です。法人営業と個人営業の決定的な違い、初回訪問で押さえるべきポイント、プレゼン・提案で失敗しない鉄則、契約を積み重ねる関係構築術など、現場で使える形に落とし込んでいます。巻末には「初回訪問チェックリスト」「決算書 読み解き超基本ガイド」「定期訪問ネタ50選」といった付録が付くのが特徴です。
こんな人におすすめ
保険を扱う法人営業の担当者で、初回訪問の型を固めたい人。提案やプレゼンの失敗を減らしたい若手・中堅。付録を現場でそのまま使いたい、実務直結の素材を探している方に向いています。
良い点
- 現役の保険営業マンが執筆
- 巻末付録が実務直結
- 個人営業との違いから解説
気になる点
- 保険営業の文脈が強い
- タイトルに賛否が分かれる
- 他業種には応用が必要
出版社
詳細情報なし
発売日
2025年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルがすごいですね。「損金提案なんてバカのすることだ」なんて、書店でもかなり目立ちますよ。
佐藤メバル
そう、強い言葉です。でも中身は現役の保険営業マンが現場で積み上げたものなんです。損金にするための提案ではなく、企業の存続と発展を本気で考える提案でなければ社長から選ばれない、というのが主張の芯ですね。
橘ナナミ
巻末に「定期訪問ネタ50選」なんて付録があるんですね。現場だと、そういうのがいちばん助かりそうです。
佐藤メバル
そう、初回訪問チェックリストや決算書の読み解きガイドも付いていて、ここが実務的です。ただ、保険営業の文脈が強いので、他業種の人が読むときは置き換えが必要。
タイトルに引っかかりを覚えるなら、そこは好みが分かれるところです。

営業成果に差が出る法人EBMのススメ
帝国データバンク営業推進部営業開発課 著|近代セールス社
企業情報からイベントの発生や予兆を把握し、タイミング良くアプローチする「法人EBM」という手法を解説した一冊です。商号変更や代表者交代、商流の変化といったイベントを起点にした進め方、ホームページや商業登記、COSMOS2といった情報ソースからの把握方法を、サンプルと事例で説明します。膨大な企業情報を扱う帝国データバンクだからこそ書ける実践ノウハウが詰まっています。
こんな人におすすめ
「アプローチのタイミングが分からずライバルに先を越される」と感じている法人営業パーソン。企業のニーズを先に掴みたい営業企画・マーケティング担当。情報収集や分析の時間が取れないと悩む担当者にも向いています。
良い点
- タイミング起点の営業手法
- 情報ソースの具体名を提示
- サンプルと事例で分かりやすい
気になる点
- 情報ツールの利用が前提
- 営業トーク自体は扱わない
- データ管理の知識が要る
出版社
近代セールス社
発売日
2020年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「法人EBM」って、聞いたことがない言葉です。そもそもBMは何の略なんですか?
佐藤メバル
イベント・ベースド・マーケティングの略でね。企業に起きる出来事——商号変更や代表者交代、商流の変化——を捉えて、そこを起点にアプローチする考え方です。
いつ動くかを勘ではなく、兆しから決める。帝国データバンクが長く企業情報を扱ってきたからこそ書ける内容です。
橘ナナミ
ホームページや商業登記、それにCOSMOS2なんていう情報ソースも出てくるんですね。
佐藤メバル
そう、どこから何を拾うかが具体的に書かれています。「ライバルに先を越される」「情報収集の時間がない」という悩みに効く本です。
ただ、情報ツールを使う前提があるので、そこは環境を確認してから選んでください。
法人営業の業務フローに沿って読む——新規開拓から与信、モニタリング、提案まで
橘ナナミ
さっき「業務フローのどこを埋めるか」とおっしゃっていましたが、具体的にどう並べるんですか?
佐藤メバル
銀行の法人営業は、おおまかに新規開拓、与信・審査、日々のモニタリング、そしてソリューション提案の四つが循環する。この流れに1冊ずつ置くと迷わない。新規開拓の入口は『新規開拓・取引深耕につながる! 融資渉外に役立つアプローチトーク集』のように訪問時の着眼点と話し方が具体で書かれたもの、もう一歩踏み込むなら『法人営業のバイブル』。与信の局面では『精選実例に学ぶ営業店融資推進150』の事例に当たって、判断の型を借りる。
橘ナナミ
モニタリングと提案はどうつながるんでしょう。
佐藤メバル
ここで効くのが『営業成果に差が出る法人EBMのススメ』だね。商号変更や代表者交代といった変化を起点に動くという考え方で、これはまさに日々のモニタリングを提案のタイミングに変える発想。そのうえで提案の中身を組み立てるのが『ソリューション営業のすすめ方』や『ソリューション営業の基本戦略』になる。同じ1冊を新規開拓の場面と深掘りの場面で読み返すと、使える幅が広がるよ。
競合記事が薄いところを埋める——与信・事業性評価・業種別の決算書・行外の視点
橘ナナミ
いろんな記事を見ると、営業テクニックの本ばかり紹介されていて、与信や事業性評価の本がほとんど出てこないんです。
佐藤メバル
そこは僕もずっと気になっていました。銀行の法人営業は、提案が通っても与信が通らなければ仕事にならない。与信判断の実例を積むなら『精選実例に学ぶ営業店融資推進150』、事業性評価や本業支援の考え方を押さえるなら『事例に学ぶ法人営業の勘所』で、財務改善や資金繰りの見方を具体的に追える。ここを読まずに提案書だけ磨いても、実務では片足で立っているようなものなんです。
橘ナナミ
決算書の本も、入門ばかりで業種別の読み分けが見当たらない気がします。
佐藤メバル
正直に言うと、製造・建設・医療といった業種ごとに特化した1冊を探すのは簡単ではない。だからまず『財務で切り込む法人営業』で経営者に一目置かれる切り口をつかみ、『知識で差がつく法人営業プラス』で決算書や経理処理、自社株の意味といった法人特有の論点を押さえる。そのうえで自分の担当業種の実務書や統計を足す。汎用の1冊と業種の1冊を組み合わせるのが現実的な最短ルートだと思います。
橘ナナミ
あと、銀行の中の論理だけで考えてしまいそうで怖いです。
佐藤メバル
そこは意識して行外の視点を混ぜたい。『法人営業の本質』は元銀行員が起業して見えた“売れる提案”の話だし、『法人営業は新規を追うな』は既存の重要顧客に資源を割く考え方、『法人営業「力」を鍛える』はコンサルティングの現場から出た高収益の考え方。行内の常識を相対化してくれる数冊を、あえて並べておくといい。
読んだ内容を商談と与信判断に落とす——時短読書と資格勉強の役割分担
橘ナナミ
資格の勉強もあるし、読書にどこまで時間を割くべきか悩みます。
佐藤メバル
役割を分けて考えるといい。資格は知識の抜けを埋める地図、読書は現場の地形を歩く練習。簿記やFPの勉強で用語が入っていれば、『財務で切り込む法人営業』の記述がすっと腹に落ちる。逆に、本で先に現場の解像度を上げておくと、資格の暗記もただの記号でなくなる。
橘ナナミ
忙しい時期は、何を削ればいいんでしょう。
佐藤メバル
削るなら冊数、残すなら1冊。今日の訪問先が決まっているなら、その会社の決算書を眺めながら関連する章だけ拾い読みする。『法人営業1年目の教科書』のように章ごとに場面が切られている本は、つまみ読みに向いている。読了を目標にしないで、明日の商談で1つ使えたら合格くらいの気持ちでいい。
よくある質問
銀行の法人営業(渉外)におすすめの本は?
橘ナナミ
銀行の法人営業(渉外)におすすめの本はについて教えてください。
佐藤メバル
提案の型を学ぶなら『ソリューション営業のすすめ方』、現場の会話に困るなら『新規開拓・取引深耕につながる! 融資渉外に役立つアプローチトーク集』、与信や融資推進の実例を積むなら『精選実例に学ぶ営業店融資推進150』が候補になります。自分の業務フローのどこが弱いかを先に決めてから選ぶと、1冊が無駄になりません。
財務分析・決算書の本はどれから読めばいい?
橘ナナミ
財務分析・決算書の本はどれから読めばいいについて教えてください。
佐藤メバル
経営者との会話で使いたいなら『財務で切り込む法人営業』、法人特有の論点まで押さえたいなら『知識で差がつく法人営業プラス』が入り口になります。数字を読むだけで終わらせず、目の前の取引先1社の決算書を横に置いて読むと理解が定着します。
新人銀行員・若手渉外が最初に読むべき本は?
橘ナナミ
新人銀行員・若手渉外が最初に読むべき本はについて教えてください。
佐藤メバル
まず『法人営業1年目の教科書』か『実務入門 改訂版 法人営業のすべてがわかる本』で、提案・関係構築・案件管理という基本の流れをつかむのがおすすめです。いきなり難解な戦略書に手を出すより、訪問の準備から提案書づくりまでの型を先に入れたほうが現場で使えます。
業界分析・業界地図の本はどう選べばいい?
橘ナナミ
業界分析・業界地図の本はどう選べばいいについて教えてください。
佐藤メバル
業界全体の地図を頭に入れる本と、個別企業の変化を読む本は役割が違います。全体像は業界地図系でつかみ、個社の動きは『営業成果に差が出る法人EBMのススメ』のように企業情報から兆候を読む本で補う。担当業種が決まっているなら、その業種の実務書を足すと提案の解像度が上がります。
営業ノウハウ本と銀行専門書はどちらを優先すべき?
橘ナナミ
営業ノウハウ本と銀行専門書はどちらを優先すべきについて教えてください。
佐藤メバル
どちらか一方では足りません。営業の一般論は提案や交渉の土台になり、銀行の実務書は与信や事業性評価の判断材料になります。提案書と与信レポートの両方を書く立場なら、交互に読んで往復するのが一番早いです。
仕事が忙しくて読む時間がないときの効率的な読書法は?
橘ナナミ
仕事が忙しくて読む時間がないときの効率的な読書法はについて教えてください。
佐藤メバル
読了を目標にしないことです。章ごとに場面が切られている本を選び、翌日の訪問先に関係する章だけ拾い読みする。通勤などの短い時間でも、毎日同じ時間に開くと習慣になります。
資格勉強と読書はどう両立すればいい?
橘ナナミ
資格勉強と読書はどう両立すればいいについて教えてください。
佐藤メバル
資格は知識の抜けを埋める地図、読書は現場の地形を歩く練習と考えると整理しやすいです。勉強で用語を入れてから実務書を読むと理解が速くなり、逆に実務書で現場感をつかんでから問題集に戻ると暗記が苦になりません。
支店長・管理職・本部企画向けのおすすめ本は?
橘ナナミ
支店長・管理職・本部企画向けのおすすめ本はについて教えてください。
佐藤メバル
現場の営業力を組織として引き上げたいなら『実践!「現場営業力」強化セミナー』、個々の提案力を底上げしたいなら『法人営業「力」を鍛える』や『グロービスの実感するMBA 法人営業 利益の法則』が参考になります。自分が動く本から、人を通じて成果を出す本へ切り替えるタイミングです。
まとめ
橘ナナミ
今日はけっこう長く話しましたけど、最後に佐藤さんご自身は、読書に何を求めていますか?
佐藤メバル
僕にとって読書は、答えをもらう時間ではなくて、問いを増やす時間なんです。うまくいかない商談のあとに本を開くと、「見えていなかった論点はこれだったのか」と気づく。その繰り返しでしか、判断の解像度は上がらないと思っています。
橘ナナミ
なるほど……。でも、それだと今日読んだ本をどう活かせばいいのか不安になります。
佐藤メバル
焦らなくていいよ。読書は、商談や与信の現場と違って、失敗しても誰にも迷惑がかからない。だから遠慮なく試せる。今日挙げた本のうち1冊を、いま担当している取引先1社に重ねて読んでみる。それだけで、次に訪問するときの質問が変わるはずです。
橘ナナミ
質問が変わる、か。たしかに、質問が変われば出てくる答えも変わりますね。
佐藤メバル
そう。法人営業は、短期的に結果を刈り取る仕事に見えて、実際は何年もかけて取引先と関係を育てていく仕事でしょう。読書も同じで、1冊で即効性を求める“短期貸し”ではなく、何年もかけて自分の判断力を育てる“長期の取引”なんです。焦って完読を積み上げるより、1冊ずつ自分のなかに貸し出しておく。そうやって、返ってくる日を待つ。
橘ナナミ
長期の取引……いいですね。私も、まず1冊を自分の担当案件に貸し出してみます。
