営業の数字に強くなる本のおすすめ人気ランキング25選【2026年版】
監修

佐藤メバル
@shelfy_mebaru
編集長。あらゆるジャンルの本を年間数百冊読み込む本のプロ。投資・経営から小説・実用書・絵本まで、良書と読者の相性を見抜く。

橘ナナミ
@medias_nanami
編集部の新人インターン。22歳の大学院生で、メディア論を研究中。「それ気になります!」が口癖の天然キャラ。読者の素朴な疑問を代弁する役割で、各メディアの専門家にいろんなジャンルの素朴な質問をぶつけていく。
最終更新: 2026年10月
橘ナナミ
佐藤さん、今日のテーマは「営業 数字 本」です。検索すると「数字に強い営業マン」系の本が山ほど出てくるのに、読んでみるとどれも同じことを言っている気がして、どこから手をつけていいかわからなくなります。
佐藤メバル
いいところに気づいたね。そこがこのテーマ最大の落とし穴なんだ。ひとくちに「数字に強い」と言っても、実は成績としての数字と考えるための数字が混ざっている。売上・受注率・単価のような前者と、粗利・原価・財務諸表・統計のような後者では、必要な本がまるで違うんだよ。
橘ナナミ
それ気になります! 同じ「数字」なのに別物なんですね。
佐藤メバル
そう。書店員時代、「数字」とつくビジネス書を同じ棚にまとめて並べたことがあるんだけど、お客さんに「どれがいいですか」と聞かれて答えられなかった。売上を上げたいのか、数字で考えられるようになりたいのか。目的が違えば正解は別なんだ。
橘ナナミ
なるほど……。じゃあ選び方の軸から教えてください。
佐藤メバル
目的、レベル、形式、根拠、入手性。この5つを押さえれば、候補が何冊あっても迷わない。順番に見ていこう。
営業の数字に強くなる本の選び方
目的別:成績の数字か、思考の数字か
佐藤メバル
まず目的。売上や受注を上げたいなら、伊庭正康の『会社では教えてもらえない 数字を上げる人の営業・セールストークのキホン』のように、目標から逆算して行動量を設計する本が効く。逆に商談の場で数字を使いこなしたいなら、深沢真太郎の『営業マンにホントに必要な「数字」の話をします。』が向いている。
橘ナナミ
同じ深沢真太郎の『入社1年目から、仕事の数字に強くなる本』とは何が違うんですか?
佐藤メバル
あちらは営業に限らず、報告・資料づくり・プレゼンで数字を使う基本を網羅した本。仕事全体の数字の底上げをしたい人向けだね。
レベル別:新人・中堅・マネージャー
橘ナナミ
レベルでも違いますか?
佐藤メバル
大きく違う。1年目なら、新入社員研修のテキストとして作られた『営業に必要な数字』のような薄い本で言葉を揃えるのが先。中堅で自分の数字が伸びないなら、村上純也の『数字が取れないと嘆く前に! 知っておきたい営業のイロハ』や、香川晋平の『営業ならもっと数字で考えなきゃ!』でプロセスを分解する。マネージャーなら、堀内智彦の『新版 2時間でわかる 図解KPIマネジメント入門』や山田和裕の『最新版 1枚のシートで業績アップ!』に切り替えるといい。
形式別:教科書型・物語型・図解型
佐藤メバル
体系立てて学ぶなら中村穂の『1週間で「数字に強い営業マン」になれる本』のような教科書型。物語で抵抗感を消すなら、深沢真太郎の『仕事で数字を使うって、こういうことです。』は数学科出身のコンサルタントが営業部員と向き合う会話形式で進む。マンガで入るなら『営業マンにホントに必要な「数字」の話をします。』が8つのストーリー仕立てだ。
橘ナナミ
数字アレルギーの人は、いきなり教科書型だと心が折れそうです。
佐藤メバル
その通り。まず物語やマンガで「数字は敵じゃない」と体感してから、教科書型に移る順番が現実的だね。
根拠と著者実績で見る
佐藤メバル
著者がどんな現場で数字を扱ってきた人かも大事。会計士・税理士の香川晋平の本は会計データの視点から、安藤広大の『数値化の鬼』は企業のマネジメント研修を展開してきた立場から書かれている。レビュー数だけで選ばないのがコツだよ。
入手性で選ぶ:文庫・電子・紙
橘ナナミ
予算が限られている人へのアドバイスもほしいです。
佐藤メバル
『1週間で「数字に強い営業マン」になれる本』はPHP文庫、『仕事で数字を使うって、こういうことです。』は日経ビジネス人文庫で、文庫なら手に取りやすい。まず文庫や電子で試して、自分に効いた1冊だけを紙で手元に置く選び方もいいよ。
営業の数字に強くなる本をひと目で比較
橘ナナミ
えっ、25冊もあるんですか!?まずどう見ればいいんですか?
佐藤メバル
焦らず焦らず(笑)。まずはこの一覧で全体像を眺めてみよう。価格・著者・対象読者をまとめて見られるから、自分に近そうなのが分かるはず
営業の数字に強くなる本のおすすめ人気ランキング
橘ナナミ
一覧だけだとピンと来ないので...1冊ずつ詳しく教えてください!
佐藤メバル
よし、それじゃあ1位から順に1冊ずつ解説していこう。各冊どんな人に向いてるかも合わせて話すから、自分に合いそうなのを見つけてほしい

営業の数字に強くなる本―どんな会社のどんな営業でも必要な数字の見方・読み方
本間建也 著|日本実業出版社
「どんな会社のどんな営業でも必要な数字の見方・読み方」というタイトルどおり、業界や商材を限定せずに数字の基本をまとめた一冊です。営業が日々ぶつかる「この数字はいいのか悪いのか」という素朴な疑問に、判断のものさしを与えてくれます。214ページという分量も、かばんに入れて読み進めやすい。タイトルが「見方・読み方」と掲げているように、計算そのものより数字の読み取りに重心が置かれている点が、計算ドリル型の本との違いです。まず共通言語を持つための最初の一冊として無理がありません。
こんな人におすすめ
営業に配属されたばかりで、先輩が口にする数字についていけない人。異業種から転職し、前職の常識が通用しないと感じている人にも。業種を問わないと銘打っているので、商材が特殊で市販の業界本が合わない人にも向きます。新人研修の副読本としても手に取りやすい。
良い点
- 業種を問わず使える数字の基本を扱う
- 214ページで通勤中にも読み切りやすい
- 見方・読み方から入るので挫折しにくい
気になる点
- 具体的な事例や演習は多くない
- 計算テクニックを鍛える本ではない
- 経験者が読むと基礎の確認にとどまる
出版社
日本実業出版社
発売日
1978年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、営業の数字の本ってたくさんありますよね。そのなかで最初の一冊にこれを選ぶ理由って、どこにあるんですか?
佐藤メバル
いい質問だね。この本の強みは、タイトルに「どんな会社のどんな営業でも必要な」と書いてあるとおり、業種を限定していないことなんです。
営業の数字の本は業界や商材が決まっているほうが具体的で役立つ反面、異動や転職で環境が変わると使えなくなる。
その点これは、数字の見方・読み方という土台の部分を214ページにまとめている。まず共通言語を持つという意味で、最初の一冊に向いています。
橘ナナミ
なるほど、土台の本なんですね。じゃあ逆に、暗算が速くなりたいという人には向かない感じですか?
佐藤メバル
そこは正直に言っておくと、計算力を鍛える本ではないんです。この本が扱うのは、目の前の数字をどう読むかというところ。
だから「電卓なしで瞬時に計算したい」という目的なら、別の本のほうが合います。逆に、上司がさらっと出す数字の意味がつかめない、という段階の人には効きますよ。
まず読む、次に商談で使う、という順番で試してみてください。

営業ならもっと数字で考えなきゃ!――60分1回より15分4回や!
香川晋平 著|あさ出版
「ヨコ1列がピシーッとつながってるとこ攻めて、ドミノ倒しや!」「今日パン焼いて、明日バター塗るつもりか?」——関西のトップセールスから実際に聞いた言葉を51のフレーズにまとめた一冊です。見込客へのアプローチ、興味を持ってもらう、買ってもらう、リピートや紹介につなげるという4つのプロセスごとに区切られ、それぞれの数字をどう高めるかが語られます。関西弁のキツさが逆に記憶に残るのが特徴で、数字の理論書で挫折した人に向く。会計士でありながらリフォーム会社で90日で取締役に就いた著者の実務感覚が背景にある点も、類書と違うところです。
こんな人におすすめ
数字目標を課されているのに、行動に落とし込めていない営業マン。理論書で挫折した人が、フレーズ単位で記憶に残る形で学び直したいときに向きます。朝礼や営業会議のネタとしても使いやすい。ただし関西弁の表現が苦手な人は、そこだけ覚悟が要ります。
良い点
- 51のフレーズで記憶に残りやすい
- 4つのプロセス別に数字を整理
- 会計士であり現場経験もある著者
気になる点
- 関西弁の表現がキツく感じる人もいる
- 体系的な教科書を求める人には物足りない
- フレーズ集のため拾い読み向き
出版社
あさ出版
発売日
2014年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
佐藤さん、目次を見てたら「今日パン焼いて、明日バター塗るつもりか?」ってあって、意味が気になって仕方ないんですけど……これ、どういう話なんですか?
佐藤メバル
はは、そこが気になるよね。この本は関西のトップセールスから実際に聞いた言葉を51集めたもので、目次そのものが語録になっているんです。
共通しているのは「順番を飛ばすな」ということ。見込客にアプローチする、興味を持ってもらう、買ってもらう、リピートや紹介につなげる——この4つのプロセスを数字で一段ずつ確かめろと。
理論より先に、行動の順番を教えてくれる本です。
橘ナナミ
なるほど。でも関西弁だと、ちょっとキツく感じる人もいそうですよね。そこは大丈夫なんでしょうか。
佐藤メバル
そのへんは著者自身も分かっていて、前書きで関西人独特のユーモアだと思ってページをめくってほしいと書いています。
実際、キツく聞こえる言い回しほど、数字が伸びない原因をずばり突いていることが多い。著者は公認会計士でありながらリフォーム会社に入り、わずか90日で経営管理本部の取締役に就いた人で、理屈と現場の両方を見ているんですよ。

1週間で「数字に強い営業マン」になれる本 (PHP文庫)
中村穂 著|PHP研究所
この本が言う「数字に強い」は、計算が速いことではありません。売上と粗利、原価と在庫、変動費と固定費——これらの関係を理解している人を指します。著者は大手企業で長く営業マンの計数感覚を鍛えてきた人で、「お願いすれば買ってもらえる時代ではない」という前提から、時代に合ったセールスの発想を説きます。1週間という区切りを前面に出し、日単位で読み進められるよう構成に工夫が凝らされている。285ページと読み応えはありますが、通読の計画が立てやすいのが利点です。
こんな人におすすめ
入社1〜3年目で、売上と粗利の違いを説明できないまま現場に出ている人。研修前後の独学に向き、1日1テーマずつ進めれば1週間で全体を見渡せます。数字から逃げてきた中堅が、後輩に聞かれる前に立て直すのにも使えます。
良い点
- 1週間という区切りで計画が立てやすい
- 粗利・在庫・変動費など用語の関係から入る
- 著者が大手企業で指導してきた内容
気になる点
- 計算テクニックを鍛える本ではない
- 文庫のため図表は多くない
- 読み終えた後の実践が別途必要
出版社
PHP研究所
発売日
2005年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「1週間で」って、さすがに盛りすぎじゃないですか? 数字に強い人って、何年もかけてなるイメージがあるんですけど。
佐藤メバル
そこは誤解をほどいておきたいところで、この本のいう「数字に強い」は計算が速い人ではないんです。売上と粗利の関係、原価と在庫、変動費と固定費——こうした数字の意味を理解している人を指している。
覚える量が限られているから、1週間という区切りが成り立つわけですね。著者は大手企業で営業マンの計数感覚を磨いてきた人で、教え方そのものが研修向けに整っています。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、数字が本当に苦手な新人が読んでも、途中で投げ出さずに済みそうですか?
佐藤メバル
むしろそういう人のために書かれています。前提として「お願いすれば買ってもらえる時代ではなくなった」と置いたうえで、時代に合ったセールスの発想に切り替える必要があると説いています。
同じ著者に実践講座の本もありますが、こちらは1週間という区切りを前面に出した入口の一冊。区切りごとに読み進めれば、変動費と固定費の違いでつまずくことも減るはずです。

営業マンにホントに必要な「数字」の話をします。
深沢真太郎 著|U-CAN
¥1,896(税込)
この本の主張ははっきりしています。営業に必要な数字は、売上目標や業績管理の数字でも、統計分析や財務会計の数字でもない、というのです。取引先から「おたくの商品、最近動きが悪いんだよね」と言われた場面で、どんな数字を使って劣勢を挽回するか——そうした実践のシーンを8つのマンガストーリーで描き、14のテーマに落とし込んでいます。数字は必ず武器になるという立場で貫かれ、累計4,000名のビジネスパーソンが仕事ですぐ使えると評価したと紹介されている。会計や統計の入門書とは違い、商談の場で口に出す数字に絞っているのが類書との差です。
こんな人におすすめ
商談で数字を出すのが苦手で、感覚的な説明に終始してしまう営業担当。マンガから入れるので、活字の数字本が苦手な人でも最後まで読み切れます。若手から中堅まで、商談の言い回しを増やしたいときに向きます。
良い点
- マンガストーリーで場面が想像しやすい
- 14テーマに絞った実践的な構成
- 商談で使う数字に焦点を当てている
気になる点
- 財務や統計の知識は深まらない
- 体系立てて学びたい人には断片的
- マンガが苦手だと冗長に感じる
出版社
U-CAN
発売日
2014年10月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「おたくの商品、最近動きが悪いんだよね」って言われたら、もう言葉に詰まりますよね……。私だったら愛想笑いで終わっちゃいそうです。
佐藤メバル
その場面が、この本では出発点になっているんです。どんな数字を出せば劣勢をひっくり返せるか、8つのマンガストーリーで追いかけていく。
著者は営業に必要な数字は別物だと最初に線を引いていて、売上目標の管理でも、統計でも、財務会計でもないと断言します。
会計の入門書では身につかない、商談で口に出す数字に絞った一冊です。
橘ナナミ
でも、マンガで数字が身につくものなんですか? 読んで楽しかったで終わってしまいそうな気もするんですけど。
佐藤メバル
身につくというより、まず「使える場面」が頭に残るんですよ。劣勢を挽回する数字は、覚えるというより、その場面を思い出せることが大事なんです。
累計4,000名のビジネスパーソンが仕事ですぐ使えると評価したと紹介されているように、読んで終わりにしない前提の作りですね。
統計や会計を深く学びたい人には向きませんが、商談で数字を口にする練習には向いています。

営業に必要な数字
大久保聖 著|職業訓練法人H&A
職業訓練法人が発行し、全23のテーマごとに専門の著者が執筆した新社会人向けテキスト集のうち、営業に必要な数字を扱う一冊です。78ページと薄く、新入社員研修のテキストとして使えることを前提に作られているので、独学の読み物というより、集合研修やOJTの副教材としての性格が強い。現代のビジネスパーソンに必要な基本知識・スキルを網羅するというシリーズの設計方針のもとにあり、網羅性より基礎の抜け漏れを防ぐことに重心を置いています。読み込む読み物を求める人には物足りませんが、研修の座学を補う用途では無駄がありません。
こんな人におすすめ
新入社員研修の教材を探している教育担当者と、研修を受ける側の新人。短時間で基礎を確認したい場面向きです。営業の数字を体系書で深く学ぶ前に、用語の抜け漏れをチェックしたい人にも使えます。
良い点
- 78ページで研修の合間に読める
- 新社会人向けに振り切った内容
- シリーズで周辺テーマも揃う
気になる点
- 事例や応用には触れない
- 経験者には物足りない
- 独学の読み物としては薄い
出版社
職業訓練法人H&A
発売日
2021年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
78ページ……これ、あっという間に読み終わりますよね。この薄さで営業の数字がどこまで分かるのか、正直ちょっと気になります。
佐藤メバル
そうなんです。これは職業訓練法人が発行している新社会人向けテキスト集の一冊で、全23のテーマをそれぞれ専門の著者が担当している。
だから網羅する範囲も、実務の応用というより基礎を落とさないところに置かれています。独学で営業の数字を深く掘りたい人には物足りないかもしれないけど、研修の座学と現場のあいだをつなぐ用途では無駄がないんですよ。
橘ナナミ
ということは、新人に配る用と、自分で買って読み込む用は、分けて考えたほうがいいんですね。
佐藤メバル
その整理でいいと思います。たとえば同じ基礎でも、統計の使い方をストーリーで押さえる本は別にありますし、財務の視点から入る本もあります。
これはあくまで入口の確認用。ただ、新入社員研修のテキストとして使えるように作られているぶん、説明の順番が素直なんです。
教育担当の人が目次を眺めるだけでも、研修設計の抜け漏れチェックに使えますよ。

数字で成功する営業の教科書: 成果につながる目標設定・行動管理・分析手法の全て (とと文庫)
yoko 著
営業未経験・数字が苦手という人に向けて、小学生レベルの計算ができれば結果を出せるところから始まる入門書です。出発点は売上・件数・単価という基本の3つの数字で、そこから目標設定、行動管理、データ分析へとステップを進めます。難しいツールは不要とされ、手書きでできる管理表の作り方や、再現できる成功パターンの見つけ方、やる気を維持するコツまでが一冊に入っています。Excelや無料のデジタルツールを使う段階まで案内してくれるので、アナログからデジタルへの橋渡しがあるのが類書との違いです。
こんな人におすすめ
営業職に挑戦したいが数字の管理が苦手と感じている人。手書きの管理表から始めたい初心者や、副業・個人で売上管理をしたい人にも。Excelに踏み出す前の段階を埋めたいときに向きます。
良い点
- 売上・件数・単価の3つから始める
- 手書きの管理表から入れる
- モチベーション維持まで触れる
気になる点
- 中級者には物足りない内容
- 分析手法は深追いしない
- 著者に関する情報は限られる
出版社
詳細情報なし
発売日
2025年7月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「小学生レベルの計算ができれば大丈夫」って、営業の本で言い切っちゃっていいんですか? ちょっと安心するけど、本当かなって思っちゃいます。
佐藤メバル
そこがこの本の立ち位置なんですよ。売上・件数・単価という基本の3つから始めて、目標設定、行動管理、データ分析へと順に進む。
計算の難易度を上げない代わりに、管理の手順を丁寧に踏む構成になっています。手書きでできるシンプルな管理表の作り方から入って、最後はExcelや無料ツールの活用まで案内している。
アナログとデジタルの橋渡しがあるのは、同じ初心者向けでも珍しいところです。
橘ナナミ
じゃあ、数字に本当に苦手意識がある人でも、途中で放り出さずに済みそうですね。
佐藤メバル
そう思って作られている本です。営業未経験の人が対象だと明言されているので、私も新人に薦めるときはまずここから渡すことが多い。
再現できる成功パターンの見つけ方や、やる気を維持するコツまで書かれているのは、続けられない人を想定しているからでしょうね。
逆に、すでに分析を回している人が読むと物足りないと思います。

数字に強い営業マンをつくる実践基礎講座: 利益はまだまだ稼ぎ出せる 計数感覚の弱いビジネスマンが会社をダメにする
中村穂 著|かんき出版
¥2,251(税込)
冒頭の主張が明快です。電卓や表計算が発達したことで「計算は機械がやってくれる」という姿勢が広がったけれど、機械は計算はしても判断まではしてくれない。数字を改善するのも仕事を改良するのも人だ、という立場から書かれています。想定されているのは、先輩が丁寧に教えてくれない、聞くのも恥ずかしい、格調の高い本は理解しにくい——そういう人たち。計数センスの入門書だと自ら位置づけているだけに、難しい計数管理の議論には踏み込みません。195ページで腰を据えて基礎を固められます。
こんな人におすすめ
数字の質問を先輩にするのが恥ずかしくて、ずっと放置してきた人。独学で基礎を埋め直したい中堅にも向きます。表計算に頼りすぎて、数字の判断ができていないと感じている人にも効きます。
良い点
- 聞きにくい基礎を前提に書かれている
- 判断は人がするという立場が明確
- 195ページで腰を据えて学べる
気になる点
- 高度な計数管理は扱わない
- 事例の鮮度は期待しすぎない
- 実務での反復が前提になる
出版社
かんき出版
発売日
1989年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「機械は計算はしてくれるけど、判断まではしてくれない」——この一文、ちょっと刺さりました。私、Excelに数字を入れるだけで分かった気になってるところがあります。
佐藤メバル
そこなんですよ。この本の背景には、計算機が発達して暗算が弱くなったのと同じことが、表計算でも起きているという危機感があります。
数字の改善や仕事の改良は人が考えて行動するものだ、と。だからこの本は難しい計数管理の本ではないと自分で断っている。
むしろ、先輩に聞きにくい基礎を、独学で埋めるための入門書なんです。
橘ナナミ
なるほど。同じ著者の「1週間で」のほうと、どう使い分けたらいいんでしょうか。
佐藤メバル
「1週間で」は区切りを決めて短期で全体像をつかむ本、こちらは195ページで腰を据えて基礎を固める本という違いがあります。
会社で教わる機会がなかった人が、こっそり埋め直すのに向いているのは後者ですね。中村さんの本はどちらも、格調高い専門書の前に読む一冊という位置づけです。
順番としては、短期で見渡してから、こちらで詰めるのが合っています。

数字を使える営業マンは仕事ができる: 数学嫌いのための統計活用術
内山力 著|日本経済新聞出版
¥1,650(税込)
タイトルのとおり、数学に苦手意識がある営業マンに向けて書かれた統計の活用術です。「数字を使える営業マンは仕事ができる」という主張を軸に、統計を営業の現場でどう使うかに絞っている点が、統計学の教科書との違い。数式を覚えるためではなく、使うための一冊として、203ページという分量に収められています。ビジネス書の出版社から出ていることもあり、実務で意思決定に数字を持ち込むための橋渡しを狙った内容です。統計の理論を体系的に学びたい人には物足りませんが、営業の現場で「なんとなく」を数字に置き換えたい人には取り組みやすい入口です。
こんな人におすすめ
統計という言葉を聞くと身構えてしまうが、提案の根拠を数字で示したい営業担当。数学から逃げてきた人や、企画職に移る前に統計の使い方を知りたい人にも向きます。分析の入口として手に取るのに適した一冊です。
良い点
- 数学嫌いを明示した入口の作り
- 営業での活用に絞っている
- 203ページで見通しが立てやすい
気になる点
- 統計の理論は深く学べない
- 具体例の量は多くない
- 分析ツールの操作は扱わない
出版社
日本経済新聞出版
発売日
2003年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
統計って、大学の授業で単位を取るために必死にやった記憶しかないです……。営業の本として出ているってことは、もっと実用的なんですよね?
佐藤メバル
そう、そこを狙った本です。書名に「数学嫌いのための」とあるように、統計を営業の現場で使うところに重心を置いている。
203ページですから、統計学の教科書のように分布や検定を延々とやるのではなく、提案の根拠を数字で示すための使い方に絞られているんですよ。
ビジネス書の出版社から出ているので、実務で意思決定に数字を持ち込む場面を想定した作りになっています。
橘ナナミ
なるほど。でも、統計の考え方そのものをちゃんと学びたい場合には向かないですか?
佐藤メバル
その場合は統計学の教科書を当たったほうがいいですね。これはあくまで営業の現場で使うための入口です。数字を使えている営業とそうでない営業の差は、知識量より、根拠を示せるかどうかで出ることが多い。
そういう意味で、数学への苦手意識だけが障害になっている人には効きますよ。まず一冊読んで、自分の提案に数字を一つ足すところから試してみてください。

営業マンのための会社の数字がわかる本
石上芳男 著|ジェイ・インターナショナル
¥2,509(税込)
売り方のテクニックではなく、会社の数字そのものを営業マンが理解するための一冊です。商談の場では商品知識だけでは足りず、会社がどのようにお金を回しているのかを踏まえた会話が求められます。この本は会社の数字を読む側に営業を置き、社内の意思決定や取引先とのやり取りで困らないための基礎を207ページにまとめています。会計士や経営者向けの財務諸表の本とは違い、読み手を営業マンに絞っている点が特徴。売上目標を追うだけで終わらず、もう一段視野を広げたいときに手に取る本です。
こんな人におすすめ
商品の説明はできるが、会社全体の数字の話になると黙ってしまう営業マン。管理職に上がる前に、社内の数字の読み方を押さえたい人にも向きます。異動で法人営業や経営に近い部署へ移る人の準備としても役立ちます。
良い点
- 読み手を営業マンに絞っている
- 会社全体の数字を扱う視点
- 207ページで見通しがよい
気になる点
- 売り方のノウハウは扱わない
- 会計基準の細部までは踏み込まない
- 実践の場での補習が必要
出版社
ジェイ・インターナショナル
発売日
2005年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
タイトルが「会社の数字がわかる本」って、営業の本なのに会社全体の話なんですね。営業って自分の売上だけを見ていればいいのかなと思っていました。
佐藤メバル
いい気づきです。営業の強さは、商品知識だけでは決まらないんですね。商談では、相手の会社がどうお金を回しているか、自社がどういう判断をしているかが関わってくる。
この本は会社の数字を読む側に営業を置いているところが珍しいんです。会計士向けの財務諸表の本ならたくさんありますが、読み手を営業に絞った本は少ない。
社内の会話についていける土台を作ることを狙っています。
橘ナナミ
なるほど。じゃあ、売り方の本を何冊か読んだ人が、次に読む感じでしょうか。
佐藤メバル
その順番が合っていますね。テクニックを増やす前に、自社の数字を語れるようになると、提案の説得力が変わります。
特に管理職に上がる前の人が読むと、メンバーの数字を見るときの解像度が上がります。ただ、会計基準の細部や実践の演習までは踏み込んでいないので、そこは別の本で補ってください。

できる営業が知っていた経営者思考: 簿記仕分け不要、数字アレルギーの人必見!知らないと損する営業のための会計の教科書 年収8桁会社員のデキる仕事術シリーズ
西園寺祐介 著
営業の数字を、会計の用語からではなく案件の優先順位から入っていく本です。想定読者として挙げられているのは、受注予算に追われてどの案件を優先すべきかわからない人、提案資料の社内承認が他部署で止まってしまう人、限界利益という言葉は聞くけれど意味がつかめない人、限界利益が黒字なら大丈夫と思い込んでいる人。つまり、判断の基準を持てていない営業の困りごとに沿って書かれています。プレゼンの勉強を一通り終えて次に何を学べばいいか見えない人が、売り子から経営者視点のビジネスパーソンへ進むための一冊とされています。
こんな人におすすめ
案件の優先順位づけで毎回迷う営業担当や、社内の承認取りに苦労している人。簿記の知識なしで会計の考え方を営業に使いたい人にも向きます。同期と差をつけたいと感じている中堅にも手が届く内容です。
良い点
- 案件の優先順位という実務の入口
- 簿記仕分け不要と明言している
- 社内承認の悩みにも触れる
気になる点
- 会計の体系的な学習にはならない
- 業種によっては事例が合いにくい
- 用語の網羅性は高くない
出版社
詳細情報なし
発売日
2021年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「簿記仕分け不要」って書いてあるのがありがたいです。会計の本っていきなり仕訳から始まって、そこで心が折れるんですよね。
佐藤メバル
そこを外してくれたのがこの本の親切なところです。出発点が仕訳ではなく、どの案件を優先するかという判断なんですよ。
限界利益という言葉は聞いたことがあるけどよくわからない、あるいは黒字なら大丈夫だと思い込んでいる——そういう状態の人に向けて書かれています。
プレゼンの勉強は一通りやったけれど、次に何を学べばいいか見えない人が、売り子から一歩進むための本ですね。
橘ナナミ
なるほど。社内の承認取りの話も入っているのが、ちょっと意外でした。
佐藤メバル
そう、そこが実務的です。上司はOKと言ってくれても他部署から承認が取れない、というのは営業がよくぶつかる壁ですよね。
この本は、それを数字の言葉で突破する視点を与えてくれます。会計の体系書ではないので、簿記や財務諸表を本格的に学びたいなら別の本が必要ですが、営業として会計を使う入口としては筋が通っています。

10分で読み解く!一流の営業マンになるための財務分析
大野潔 著|ごきげんビジネス出版
¥9(税込)
法人営業のジレンマ——商品や業界には詳しくなったのに、クライアントの経営者が何に悩んでいるのかわからない——を出発点にした一冊です。この本が求めるのは、細かい指標を計算することではありません。財務諸表を読んでメッセージを受け取り、仮説を立てること。そしてその仮説をクライアントにぶつけて検証する過程で信頼を勝ち取ることを、最終的な目的に据えています。110ページと短く、10分という単位で読み解く構成なので、財務分析の全体像を短時間でつかみたい人に向きます。銀行員・証券マンなど、会計の勉強にモチベーションが上がらない人も想定読者に含まれています。
こんな人におすすめ
法人営業で、担当商品の説明はできるが顧客の経営課題に踏み込めない人。財務諸表を会話の材料にしたい営業担当や、銀行・証券の若手にも向きます。数字が苦手な経営者が経理部の話を理解する用途にも触れられています。
良い点
- 指標の計算より仮説構築を重視
- 110ページで短時間で読める
- 法人営業の実務に直結する
気になる点
- 個人向けの営業には向かない
- 分析の網羅性は高くない
- 会計の基礎は別途必要
出版社
ごきげんビジネス出版
発売日
2015年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
110ページで財務分析って、正直そんなに薄くて大丈夫なのかなって思いました。10分で読み解く、なんて言い切るのも思い切りがいいですね。
佐藤メバル
そこは狙いがはっきりしているんです。この本は、細かい指標の計算は必要ないと言い切っています。大事なのは財務諸表からメッセージを受け取って仮説を立てること。
そして、その仮説をクライアントにぶつけて検証する。その過程で信頼を勝ち取るのが最終目的だと書かれています。
ですから、財務分析の教科書を薄くした本ではなく、営業の道具として財務諸表を使う本なんですね。
橘ナナミ
なるほど。法人営業じゃないと、ちょっとピンとこない感じですか?
佐藤メバル
そうですね、想定読者に法人営業マンが挙げられていますから、個人向けの商売だと使いにくい。あと、数字が苦手な経営者や、会計の勉強にモチベーションが上がらない銀行・証券の若手も読者として想定されています。
指標の網羅性は高くないので、会計の基礎を固めたい人は別の本と組み合わせるといいと思います。短時間で読み切れるぶん、商談の前日に見返す使い方もできますよ。

現役営業マンが教える営業で数字を上げるための極意: 営業で数字を獲得するための根拠立てとマネジメント術 (grit.books)
しゅむ 著
現役の営業マンが書いた、体験の濃い一冊です。著者は、営業とはお客様が欲しい商品を提案して買ってもらう仕事だと肯定したうえで、闇雲に売ろうとしても売れない、一番はお客様の信頼を得ることだと繰り返します。信頼を得るにはどうするかを自分なりに考え悩んできた過程がそのまま本になっていて、お客様が欲しい物をどう判断するか、そのうえでどう話し、どういう話し方をするかが具体的に語られます。自分が売るだけでなく、営業マンを育てるために必要なことにも触れているので、プレイヤーとリーダーの両方の立場で読めます。
こんな人におすすめ
売り込み先行になってしまい、お客様との関係づくりでつまずいている営業担当。後輩を育てる立場になった人や、営業チームの型を作りたいリーダーにも向きます。営業の仕事そのものに迷いが出てきたときにも手に取りやすい。
良い点
- 現役営業マンの実体験がベース
- 信頼構築を軸に据えている
- 育成の視点まで含んでいる
気になる点
- 体系的な理論は少なめ
- 業種による差が大きい
- 著者の経歴情報は限られる
出版社
詳細情報なし
発売日
2023年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「営業はいい仕事だ」っていう書き出しから始まるの、ちょっと意外でした。営業の本って、どちらかというと厳しいことが書いてあるイメージだったので。
佐藤メバル
そう、そこがこの本の温度なんですよ。お客様が欲しい商品を提案して買ってもらう、いい仕事だと肯定するところから入る。
でも同時に、闇雲に売ろうとしても売れない、一番は信頼を得ることだと繰り返しています。著者は現役の営業マンで、どうすれば信頼を得られるかをずっと考えて悩んできた人。
その過程がそのまま本になっているので、きれいにまとまった理論書とは肌ざわりが違います。
橘ナナミ
後輩の育て方にも触れているんですね。プレイヤー向けだけじゃないのが面白いです。
佐藤メバル
ええ、そこが実務的です。自分が売る技術と、人に伝える技術は別物ですからね。ただ、体系立てて学びたい人には向かないので、理論の枠組みは別の本で補うといい。
逆に、売り込みが先に立ってしまって関係づくりでつまずいている人が、立ち位置を確かめ直すのにはちょうどいい一冊です。

会社では教えてもらえない 数字を上げる人の営業・セールストークのキホン
伊庭正康 著|すばる舎
¥1,540(税込)
テレアポも訪問も頑張っているのに受注につながらない、という悩みに答える37の実践テクニック集です。著者はリクルートでプレイヤー部門とマネージャー部門の両方で年間全国トップ表彰を4回受けており、しかも人見知りだったと明かしています。累計40回以上の社内表彰を受けた経験から、アポ取り、ラポール形成、ヒアリング、プレゼン、クロージングまでを工程ごとに分解しているのが特徴です。目次には「間に合っている」への返し方や名刺の使い方、クロージングはサービスであるといった具体的な項目が並び、224ページで辞書的に引ける構成になっています。
こんな人におすすめ
訪問件数はこなしているのに受注率が上がらない若手から中堅。人見知りで営業に向かないと感じている人にこそ向きます。マネージャーが部下に教える際の共通言語づくりにも使えます。
良い点
- 37のテクニックに分解されている
- アポからクロージングまで一貫
- 人見知りだった著者の実例
気になる点
- 業界によっては使えない手法もある
- 精神論の比率は低い
- 読むだけで実践しないと身につかない
出版社
すばる舎
発売日
2018年2月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
人見知りだったのに全国1位って、そのギャップがすごいです。でも、そういう人のほうが、私でも再現できる気がしてきます。
佐藤メバル
そのとおりで、天才型の成功談より役に立つんですよ。著者はリクルートでプレイヤー部門とマネージャー部門の両方で年間全国トップ表彰を4回受けている人ですが、最初から売れていたわけではない。
アポ取り、ラポール、ヒアリング、プレゼン、クロージングという工程に分けて、37のテクニックとして並べている。
だから、自分がどこでつまずいているかを特定しやすいんです。
橘ナナミ
目次に「『間に合っている』には『万全ですか』で流れを変える」ってあって、そういう具体性がいいですね。
佐藤メバル
ええ、辞書みたいに引けるのがこの本の使い方です。訪問件数はこなしているのに受注率が上がらない、という段階の人が自分の商談を棚卸しするのに向いています。
ただ、業界によってはそのまま使えない言い回しもありますから、そこは自分の商材に置き換えて読む必要があります。
読んで終わりにせず、次の商談で1つ試すのが前提の本ですね。

数字が取れないと嘆く前に! 知っておきたい営業のイロハ
村上純也 著
数字が取れないと嘆く前に、まず営業の基本を押さえようという立場の一冊です。メインの読者は営業部で数字を追う立場の人ですが、営業に配属されたばかりの人、思うように進まない人、クロージングが苦手な人まで幅広く想定されています。個人向けと法人向け、文房具のような手頃な商材からマンションのような高額商材まで視野に入れているのが懐の広さ。押し売りではなく、相手から売ってほしいと言われる状態を理想に掲げ、著者自身も厳しいことを言うかもしれないと断っています。甘い励ましより、現場の厳しさごと伝えたい人向けです。
こんな人におすすめ
配属されたばかりで、何から手をつければいいかわからない新人。数字を追う立場になったばかりの中堅や、クロージングで毎回つまずく人にも向きます。営業を続けるか迷っている人が姿勢を確かめるのにも使えます。
良い点
- 新人から中堅まで幅広く想定
- 個人向け・法人向け両方に触れる
- 厳しさも含めて書いている
気になる点
- 固有のノウハウは絞られる
- 語り口がきついと感じる人もいる
- 体系的な数字の解説は少ない
出版社
詳細情報なし
発売日
2017年12月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「数字が取れないと嘆く前に」って、タイトルからしてもう厳しそうです……。でも、そう言われたほうが聞く気になるのも事実です。
佐藤メバル
そういう本です。この本の目的は、読んだ人が営業訪問に行ったら、お客さんから「是非その商品を弊社に売ってください」と言われるところまで。
押し売りではなく、相手から求められる状態を理想に置いています。優秀な営業マンは雨の降らない砂漠で傘を売れる、という比喩も出てきます。
著者も、少々きついことを言うかもしれないと前置きしていますよ。
橘ナナミ
個人向けも法人向けも、安い商材も高い商材も対象って書いてあるのが意外でした。絞ったほうが深くなるのに、あえて広くしているんですね。
佐藤メバル
そこは「営業のイロハ」というタイトルに表れています。基本の所作は、相手が個人でも法人でも、商材が手頃でも高額でも、そう変わらないという判断でしょうね。
ただ、固有のノウハウの深さはその分ゆるやかですから、数字の立て方や分析を学びたい人は別の本と組み合わせるといい。
これは、営業を続ける覚悟を確かめる本だと思って読むとしっくりきます。

提案営業を極める: 数字が上がる!問題解決型提案営業のすすめ
田中浩 著|同友館
タイトルが示すとおり、問題解決型の提案営業を軸に据えた一冊です。「数字が上がる」という副題からもうかがえるように、提案の質を上げることが売上につながるという立場で書かれています。商品を並べて売り込むのではなく、相手の課題を見つけて解決策として提案する——その進め方を231ページで扱う、実務寄りの構成です。提案の中身から組み立てるタイプの本なので、トークの言い回しを増やしたい人より、商談の設計そのものを見直したい人に向きます。法人営業で提案書を書く機会が多い人ほど、読む価値が出ます。
こんな人におすすめ
商品の説明はできても提案になっていないと感じている法人営業担当。提案書の質を上げたい中堅や、上長から提案の作り込みを求められている人にも。プレゼン以前の設計段階を学びたいときに向きます。
良い点
- 提案営業にテーマを絞っている
- 問題解決型という切り口が明確
- 231ページで実務向けの分量
気になる点
- 個人向けの商談には遠い
- 数字の基礎は扱わない
- トーク例は多くない
出版社
同友館
発売日
2006年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「提案営業を極める」って、もう覚悟を決めたタイトルですね。私、提案っていうと資料を作る作業だと思ってたんですけど、違うんですか?
佐藤メバル
そこがこの本の出発点です。資料を作ることが提案ではなく、相手の課題を見つけて、解決策として組み立てること。
問題解決型という切り口を書名に掲げているのはそのためです。商品を並べて売り込むのではなく、課題から逆算して提案を組み立てる進め方を扱っています。
数字が上がるという副題も、提案の質が売上につながるという立場の表れですね。
橘ナナミ
なるほど。でも、それって個人向けの営業でも使えるんでしょうか?
佐藤メバル
考え方は使えますが、この本は法人の提案営業を想定した作りなので、個人向けの商談だと遠い部分もあります。
向いているのは、商品の説明はできても提案になっていないと感じている人、提案書の作り込みを求められている人ですね。
トークの言い回しを増やしたいなら別の本、提案の設計から見直したいならこれ、という使い分けになります。

数値化の鬼 ── 「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法
安藤広大 著|ダイヤモンド社
¥1,870(税込)
大ヒット作『リーダーの仮面』の著者による、全プレーヤー向けの仕事術の「型」を体系化した一冊です。著者は識学のエッセンスから「伸びる人」に共通する考え方をまとめており、全国4400社以上が導入したとされるマネジメント法が背景にあります。数字を無視して成長した人は誰1人としていない——この言い切りが本全体を貫いていて、営業に限らず仕事の進め方そのものを組み替えたい人に向きます。2年連続で年間ベストセラーに入ったと紹介されているように読者の支持も大きく、数字の道具としての使い方より、数字との向き合い方を問う本です。
こんな人におすすめ
成果を数字で測られることに抵抗がある人や、頑張っているのに評価につながらないと感じている人。数字で語る習慣を身につけたい若手から中堅まで。マネージャーが部下の成長を数字で見たいときの土台にもなります。
良い点
- 数字との向き合い方から説く
- 識学のエッセンスを平易に扱う
- ベストセラーとして読者が多い
気になる点
- 個別の営業ノウハウはない
- 抽象度が高く実践は自分次第
- 既読の関連書と重なる部分もある
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2022年3月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「数値化の鬼」ってタイトル、ちょっと怖いです。数字に追われるのはもうたくさん、みたいな気持ちもあるんですけど……。
佐藤メバル
そこを逆から説く本なんですよ。著者はまず、数字がすべてではないと認める。そのうえで、数字を無視して成長した人は誰1人としていないと言い切る。
この順番が大事で、数字嫌いの人を頭ごなしに否定しないんです。全国4400社以上が導入したとされる識学のエッセンスから、伸びる人に共通する考え方の型をまとめた一冊です。
橘ナナミ
なるほど。営業のテクニックではなく、考え方の本なんですね。
佐藤メバル
そう、そこは期待値を間違えないほうがいい。個別の商談術は書かれていません。ただ、成果を数字で測られることに抵抗がある人や、頑張っているのに評価につながらないと感じている人が、数字との距離の取り方を変えるには効きます。
読み応えはありますが、2年連続で年間ベストセラーに入ったと紹介されるだけあって、多くの人が同じ壁にぶつかっているんだなと分かりますよ。

入社1年目から、仕事の数字に強くなる本: 説得力と信頼感が格段にアップ! (知的生きかた文庫 ふ 34-3)
深沢真太郎 著|三笠書房
¥891(税込)
この本の白眉は、同じ状況を「いい感じです!」と言う人と「今月は売上げが前年比150%で、新商品の貢献度が25%と高く……」と言う人を並べた導入です。成果を出す人に共通するのは数字に強いことで、それは計算が速いという意味ではありません。普段から自分の仕事の情報や概念を数字で認識し、数字で考え、評価し、説明する習慣があるかどうか。報告や意見の伝え方、データの読み方、資料づくりのコツ、プレゼンの技術まで、数字の基本を一冊で網羅しています。営業に限らず社会人1年目から使えるので、学び直しの入口としても重宝します。
こんな人におすすめ
報告や提案が「なんとなく」で終わってしまう入社1〜3年目の人。数字で説明する習慣を身につけたい若手や、久しぶりに基礎から学び直したい中堅にも。文庫なので通勤中の読み進めにも向きます。
良い点
- 会話と文章に数字を入れる話
- 報告・資料・プレゼンまで網羅
- 文庫で持ち歩きやすい
気になる点
- 営業固有の話は少なめ
- 事例の詳細は絞られている
- 実践の場での反復が必要
出版社
三笠書房
発売日
2024年4月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「いい感じです!」って言っちゃうの、私も完全にやります……。でも、前年比150%って言える人と、何がそんなに違うんでしょう。
佐藤メバル
その差がこの本のテーマです。できる人は、普段から自分の仕事の情報や概念を数字で認識して、数字で考え、評価し、説明しようとしている。
つまり、話す瞬間に数字を探すのではなく、日頃から数字で見ているから、とっさに出てくるわけです。
報告や意見の伝え方、データの読み方、資料づくりのコツ、プレゼンの技術まで、数字の基本を一冊にまとめています。
橘ナナミ
文庫で、社会人1年目から読めるように書かれているんですね。営業じゃなくてもよさそうです。
佐藤メバル
そう、そこが営業の数字本との違いです。商談の技術ではなく、仕事の数字の基本なので職種を問いません。入社1年目から読めるように書かれているぶん、営業に配属されてから読み返すと、また違って見えるはずですよ。学び直しにも向いています。

仕事で数字を使うって、こういうことです。 数学女子 智香が教える (日経ビジネス人文庫)
深沢真太郎 著|日本経済新聞出版
¥880(税込)
数字の本なのに小説のように読める、というのがこの一冊の持ち味です。舞台はアパレル企業。数学科出身のコンサルタント柴崎智香が、経験と勘を頼りに仕事をする営業部員たちと出会い、なかでもリーダーの木村斗真は「数字嫌い」を公言してはばからない——この二人の掛け合いを通して、数字を使う意味、データの読み方、活用方法が語られます。「エクセルでつくったグラフをそのまま使っていませんか」といった章立てが象徴するように、日常のつまずきに沿って進む構成です。単行本に40ページ超を加筆した文庫版で、352ページと読みごたえがあります。
こんな人におすすめ
数字の本を読んでも頭に入らなかった人や、ストーリーから入りたい人。データの読み方を見直したい営業や企画職にも向きます。会話形式なので、後輩に数字の考え方を伝える台本としても使いやすい。
良い点
- 会話形式でスラスラ読める
- グラフの使い方まで踏み込む
- 文庫化で40頁超を加筆
気になる点
- 用語の整理は薄め
- 物語の好みが分かれる
- 実務の計算練習にはならない
出版社
日本経済新聞出版
発売日
2019年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
これ、小説みたいじゃないですか。数学科出身のコンサルタントと、数字嫌いを公言する営業リーダーが出てくるって……読み物として気になります。
佐藤メバル
そう、そこが狙いなんです。数字の本は説明が続くと頭に入らない、という人に向けて、アパレル企業を舞台にした会話形式で組み立てている。
木村という数字嫌いのリーダーは、経験と勘で仕事をしてきた営業部員の代表なんですね。読者がつまずくところで、智香が立ち止まって説明する。
だから、用語の暗記ではなく、考え方の筋道が残るんですよ。
橘ナナミ
「エクセルでつくったグラフをそのまま使っていませんか」っていう章があるのが、ちょっとドキッとします。
佐藤メバル
そこですよ。数字を使う意味やデータの読み方を説くだけではなく、日々の資料づくりの癖まで見にいく。単行本に40ページ超を加筆した文庫版なので、読み応えもあります。
ただ、実務の計算練習や用語の網羅には向いていません。数字に苦手意識がある人が、まず考え方を手に入れるための本だと思ってください。

ビジネスマンのための最新「数字力」養成講座 (ディスカヴァー携書)
小宮一慶 著|ディスカヴァー・トゥエンティワン
¥1,100(税込)
営業の商談術ではなく、世の中と会社を数字で読む力を養う一冊です。国家予算、東京電力、ユニクロとマクドナルドの原価率、シャープの窮状——こうした経済的・経営的な数字を材料に、一瞬で会社の経営状態を知る方法や、社会の姿、政治の裏側まで推測する視点を扱います。前著から8年ぶりの第二弾で、累計85万部を超えるシリーズの最新刊と紹介されています。演習問題も豊富なので、読みっぱなしにせず手を動かして身につけたい人に向く。営業として顧客企業を見る目の解像度を上げたいときにも効きます。
こんな人におすすめ
数字を覚えるのではなく、世の中や取引先を読むために使いたい人。経営状態を短時間でつかみたい営業や、新聞記事を数字から読み直したい人にも向きます。同シリーズの既読者が続編として手に取るのにも適しています。
良い点
- 世の中と経営を数字で読む
- 演習問題が豊富
- 携書サイズで持ち歩ける
気になる点
- 個別企業の事例は古くなる
- 会計の体系書ではない
- 営業の実務手順は扱わない
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日
2016年6月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
国家予算に東京電力、ユニクロとマクドナルドの原価率……。これ、営業の本というより経済の本ですよね?
佐藤メバル
そこが面白いところで、営業の数字というより世の中を読む数字なんです。でも、取引先の経営状態を一瞬でつかむ方法が身につくなら、営業にとっても武器になりますよね。
数字が読めれば世の中が見えるというのが著者の立場で、新聞の記事でも数字のとらえ方で見える世界が変わる。
演習問題が豊富なのも、読んで分かったつもりにさせない工夫です。
橘ナナミ
累計85万部を超えるシリーズの最新刊って書いてあります。前の本を読んでいなくても大丈夫ですか?
佐藤メバル
第二弾として書かれていますが、単体でも読める作りです。ただ、シリーズの一冊目を読んでいる人は、視点がより実践的になっているのを感じられると思います。
注意点としては、個別企業の事例はどうしても鮮度が落ちますから、数字の読み方の部分を持ち帰る読み方がいい。
会計の体系書ではないので、そこは別の本で補ってください。

ビジネスで差がつく計算力の鍛え方―――「アイツは数字に強い」と言われる34のテクニック
小杉拓也 著|ダイヤモンド社
¥1,360(税込)
数字の読み方ではなく、計算そのものを速くする珍しいタイプの一冊です。狙いは暗算力で、廊下で上司から「前期の経常利益は8億円だったが、後期は11億円で着地しそうだ」と言われたときに、瞬時に「37.5%アップですか」と返せるようになることを目指します。2ケタ×2ケタの瞬算法、カレンダーを見ずに納期までの日数を答える方法、値引きとポイント還元のどちらが得かの比較、展示会の来場者数の予測、計算ミスを指摘する九去法まで、34のテクニックを200ページに収めています。数字の意味を学ぶ本の前後どちらに置いても効く、実用度の高い一冊です。
こんな人におすすめ
商談や報告の場で、とっさに割合や差を出せず言葉に詰まる人。暗算に苦手意識がある営業や、資料を作る前の概算を速くしたい人にも。数字の本を読んでも計算が追いつかないと感じている人に向きます。
良い点
- 34のテクニックを実例で示す
- 商談で使う割合計算に強い
- 200ページで手を動かしやすい
気になる点
- 数字の読み方の本ではない
- 練習しないと身につかない
- 内容の一部は人によって既知
出版社
ダイヤモンド社
発売日
2013年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「37.5%アップですか。すごいですね!」って、とっさに言えたらかっこいいですけど、私だったら絶対に固まります。
8億と11億……どうやって出すんですか?
佐藤メバル
そこを埋めるのがこの本です。数字の読み方ではなく、瞬時に計算する力に狙いを絞っている。しかも、ただ速いだけでなく、商談や報告で使う場面が具体的に想定されています。
納期まであと何日か、値引きとポイント還元はどちらが得か、展示会の来場者数はどう予測するか。34のテクニックとして並んでいるので、苦手なところから拾い読みできますよ。
橘ナナミ
計算ミスを指摘する必殺技「九去法」っていうのもありますね。そういうのが載ってる本は珍しい気がします。
佐藤メバル
そう、実務の細かいところまで拾っているのがこの本らしさです。数字の意味を学ぶ本と組み合わせると効果的で、読み方だけ分かっても計算が追いつかない、という状態を解消してくれます。
ただ、読むだけでは身につかないので、手を動かして練習する前提で使ってください。すでに暗算が得意な人には、既知の内容が多いかもしれません。

ビジネスマンのための経営数字の読み方・活かし方
山下福夫 著|産能大出版部
経営の数字を「読む」だけでなく「活かす」ところまでを扱う一冊です。財務諸表の見方を学んでも、日々の仕事にどう結びつけるかで止まってしまう人は多い。この本は読み方と活かし方を一対で据えているのが特徴で、204ページと過剰に厚くないので、経営数字の全体像を一度通して押さえたい人に向きます。会計士向けの専門書というより、部門の数字を預かる立場のビジネスパーソンが、社内の会話についていくための土台を作る本です。数字の読み方の入門書を読んだ次の一冊としても選びやすい。
こんな人におすすめ
部門の数字を任され始めた中堅や、管理職手前で経営数字の見方を押さえたい人。読み方だけでなく活かし方まで知りたい人や、社内の会計用語についていけないと感じている人にも向きます。
良い点
- 読み方と活かし方を一対で扱う
- 204ページで全体を見渡せる
- 実務家教本としての構成
気になる点
- 事例の具体度は高くない
- 営業の商談術は扱わない
- 演習は別途必要
出版社
産能大出版部
発売日
1991年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「読み方・活かし方」って、読むだけじゃ足りないってことですよね。読み方は分かっても、自分の仕事にどう使うかで止まってしまう気がします。
佐藤メバル
まさにその壁を想定したタイトルです。財務諸表の見方を学んでも、日々の判断に結びつかないと意味が薄い。
この本は読み方と活かし方を一対で据えているところが、読み方だけの入門書との違いです。部門の数字を預かる立場の人が、社内の会話についていくための土台を作ることを狙っています。
橘ナナミ
204ページなら、ひととおり通せそうですね。営業の人が読む意味はありますか?
佐藤メバル
ありますよ。営業は自分の売上だけでなく、原価や利益の構造を知っていると提案の幅が変わりますから。ただ、商談の技術や事例の具体度は高くないので、そこは営業の専門書で補う必要があります。
数字の読み方の入門を一冊読んだ人が、次に経営の視点へ上がるための本という位置づけが合っています。

営業KPIについて
竹下雅人 著
「営業改善」と言っても漠然としていて、どこから手をつければいいか分からない——この本はそこから始まります。ただ頑張るだけでは望んだ結果に結びつかず、改善ポイントも見えない。そうした現場に向けて、営業プロセスを定量的に分析して改善するKPIという考え方を軸に据えています。KPIとは何か、どう設定するか、指標ごとの分析と改善方法までを順に扱うのが構成上の強みで、精神論の励ましに頼らないのが特徴です。営業担当者、マネジメント層、現場スタッフが日々使える運用方法や改善サイクルにも触れています。
こんな人におすすめ
営業チームの数字が伸びず、どこを直せばいいか分からないマネージャー。KPIの立て方から学びたいリーダーや、現場で自分のプロセスを数値化したい営業担当にも向きます。営業会議の設計を見直したい人にも役立ちます。
良い点
- KPIの設定から分析まで一貫
- 頑張り頼みからの脱却を狙う
- 現場と管理職の両方を想定
気になる点
- ツール操作の解説はない
- 業種別の事例は限られる
- 理論の背景は深追いしない
出版社
詳細情報なし
発売日
2025年5月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
KPIって、聞いたことはあるんですけど、なんとなく目標のことかなって思ってました。この本だとKPIそのものを説明するところから始まるんですね。
佐藤メバル
そう、そこが大事なんですよ。KPIは目標そのものではなく、営業プロセスを定量的に分析して改善するための指標です。
ただ頑張るだけでは結果につながらないし、改善ポイントも見えない——そういう現場に向けて、KPIの作り方から、指標ごとの分析と改善までを順に扱っています。
構造的で再現性のある仕組みが必要だ、というのが著者の立場ですね。
橘ナナミ
マネージャー向けの本ですか? プレイヤーの私が読んでも意味ありますか?
佐藤メバル
両方を想定しています。営業担当者、マネジメント層、現場スタッフが日々使えるシンプルな運用方法や改善サイクルにも触れていますから、自分のプロセスを数値化したい人にも効きます。
ただ、ツールの操作や業種別の細かい事例までは扱っていないので、そこは自分の環境に合わせて補う必要があります。

新版 2時間でわかる 図解KPIマネジメント入門
堀内智彦 著|あさ出版
¥2,420(税込)
KPIマネジメントを図解で短時間につかむための入門書です。KPIは目標達成度を測る指標で、それを部門別・個人別に設定し、マネジメントサイクルを回すのがKPIマネジメントと説明されます。目標設定から実行、測定、改善までのポイントが整理され、間接部門の目標設定例まで紹介されているのが実務的に貴重な点です。営業のような直接部門は数字を立てやすい一方、間接部門は設定が難しいとされるため、そこに踏み込む本は多くありません。著者は赤字企業の黒字化を手がけてきたマネジメントコンサルタントで、160ページと薄く会議の前後に読み切れる分量です。
こんな人におすすめ
部門の目標設定に悩むマネージャーや、KPIの運用をこれから始めるリーダー。間接部門の目標づくりに困っている管理部門の人にも。経営者や人事が評価制度と連動させたいときの入門としても使えます。
良い点
- 図解で短時間に全体像がつかめる
- 間接部門の設定例まで紹介
- 160ページで会議前後に読める
気になる点
- 細かい計算論は扱わない
- 業種特化の事例は少ない
- 導入後の運用は実践次第
出版社
あさ出版
発売日
2022年8月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「2時間でわかる」って、図解の本で160ページなら本当に読めそうです。でも、KPIって営業以外の部門でも設定できるんですか?
佐藤メバル
そこがこの本の売りなんですよ。営業のような直接部門は数字を立てやすいけれど、間接部門は設定が難しいとされてきた。
この本は間接部門の目標設定例まで紹介しているんです。目標設定から実行、測定、改善までの流れを図解で追い、限界利益や機会損失といった基本的な考え方にも触れています。
橘ナナミ
著者のほうは、どんな人なんですか?
佐藤メバル
マネジメントコンサルタントで、赤字企業を短期間に黒字化することをライフワークにしている人です。リストラを否定し、現状の経営資源を生かす人財育成型のコンサルティングを開発してきたと紹介されています。
だから、数字を締め付けるためのKPIではなく、人を育てながら業績を上げるためのKPIという色彩が強い。
160ページと薄いので、会議の前に一度通してから導入を検討する、という使い方が現実的です。

最新版 1枚のシートで業績アップ! 営業プロセス❝見える化❞マネジメント (Do books)
山田和裕 著|同文舘出版
¥2,200(税込)
数字だけを管理して精神論で叱咤激励する、という古い営業管理はもう通用しない——この問題意識から始まる一冊です。提案されるのは、営業のプロセスを標準化・見える化する三次元プロセス分析法。できる営業のプロセスを標準化し、1枚のシートで見える化し、営業の勝ちパターンとして組織で共有して業績改善につなげる流れを、理論と実践の両面から扱います。100社以上のコンサルティングから培ったノウハウが土台にあり、DXツールの活用やリモート環境下の管理まで更新された最新版です。巻頭には実践用のシートが付き、マネジメントから人財育成・人事評価まで射程に入っています。
こんな人におすすめ
数字の管理と精神論から抜け出したい営業リーダーやマネージャー。勝ちパターンを組織に残したいと考える人や、リモート下の営業管理に悩む人にも向きます。人事評価と営業プロセスをつなげたい管理部門にも。
良い点
- 三次元プロセス分析法を解説
- 巻頭に実践用シート付き
- DX・リモート環境に対応
気になる点
- 個人プレイヤー向けではない
- 導入には組織の合意が要る
- 相応の読み込みが必要
出版社
同文舘出版
発売日
2023年9月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「1枚のシートで業績アップ」って、そんなにうまくいくものなんですか? シートを1枚作れば売上が上がるなら、苦労しない気がするんですけど。
佐藤メバル
そう見えるよね。でも、中身はシートそのものではなく、その前の工程なんです。できる営業のプロセスを標準化して、1枚のシートで見える化して、勝ちパターンとして組織で共有する。
この順番を飛ばさないための道具がシートなんですよ。高度な分析というより、営業の再現性を作る話ですね。
橘ナナミ
100社以上のコンサルティングから作ったって書いてあると、説得力があります。これはリーダー向けの本ですか?
佐藤メバル
中心は営業リーダーやマネージャーです。数字だけを管理して精神論で叱咤激励する古いやり方は通用しない、というのが出発点ですから。
巻頭には実際のコンサルティングから作った提案型営業のシートが付いていて、DXツールやリモート環境の管理まで更新されています。
ただ、個人で読んでも導入は難しく、組織の合意が前提になります。まず自分が読んで、上司に渡すという順番が現実的です。

営業本 見える化で売り上げ目標達成
橋本勝一郎 著
営業における「見える化」に焦点を当てた一冊です。売上目標の達成には戦略と実行力が必要ですが、それに加えて見える化の手法を使うことで、目標の可視化、進捗管理、パフォーマンスの向上が図れると説きます。具体的には目標や進捗のグラフ化、KPIの可視化、成果の可視化。チームが自分の目標と進捗を明確に把握できれば、調整や改善を素早く打てるようになる。さらにこの本は、見える化の効果を心理面からも説明しているのが特徴で、目に見える目標を追うことでモチベーションが上がり、チーム内の競争意識と協力意識が促されるとされています。基本原則から実践方法、成功事例までを扱います。
こんな人におすすめ
チームの進捗が見えにくく、声かけが精神論になりがちなリーダー。モチベーション設計に関心がある人や、目標の立て方と追い方を仕組みにしたい営業担当にも。少人数チームで全員の進捗を共有したいときにも向きます。
良い点
- 見える化を心理面からも説明
- KPIの可視化まで踏み込む
- 基本原則から成功事例まで扱う
気になる点
- 分析手法の詳細は限られる
- ツールの操作解説はない
- 扱う事例の業種は広くない
出版社
詳細情報なし
発売日
2024年1月
ページ数
詳細情報なし
橘ナナミ
「見える化」って、最近どこでも聞きますよね。でも、グラフを貼ればいいってものでもないですよね……。
佐藤メバル
そこなんですよ。この本は、見える化を目標や進捗のグラフ化、KPIの可視化、成果の可視化という具体に落としています。
しかも面白いのは、心理面からも説明しているところで、人は目に見える目標や進捗を追うとモチベーションが上がる。
チームで共有すれば競争意識と協力意識が働いて、互いに伸び合うと。貼るだけでは終わらない理由がここにあります。
橘ナナミ
なるほど。同じ「見える化」でも、1枚のシートで勝ちパターンを作る本とは方向性が違いそうですね。
佐藤メバル
そう、そちらはプロセスの標準化に重心がありますが、こちらは目標と進捗をどう見せるかに重心があります。
基本原則から実践方法、成功事例まで扱っていますが、分析手法の細部やツール操作は範囲外です。少人数のチームで全員の進捗を共有したい、声かけが精神論になりがちだと感じているリーダーが、仕組みを組み直すきっかけとして読むのが合っています。
数字が取れない原因は「量・質・受注率・単価」で分ける
橘ナナミ
読む順番の前に、そもそも「数字が取れない」ときに何を読めばいいんですか?
佐藤メバル
そこが一番大事でね。営業の数字は一本の木になっている。訪問数 → 商談化率 → 受注率 → 単価 → 粗利、この順でつながっているんだ。だからどこで詰まっているかで読むべき本が変わる。
橘ナナミ
全部まとめて「営業の本」で済ませちゃダメなんですね。
佐藤メバル
そう。訪問数が足りないなら、伊庭正康の本にある「不足額の把握」と「前倒し」の考え方が直接効く。商談化で止まるなら、田中浩の『提案営業を極める』のように問題解決型の提案へ切り替える。受注率なら村上純也の本、単価や粗利なら西園寺祐介の『できる営業が知っていた経営者思考』で限界利益の見方を押さえる。
橘ナナミ
粗利って、個人の営業成績とは別の話かと思っていました。
佐藤メバル
そこが落とし穴。安く売れば受注率は上がるけれど粗利は減る。成績の数字だけで見ていると、そのトレードオフに気づけないんだよ。
名著・最新刊・要約版、どれで読むか
橘ナナミ
名著と新しい本、どちらから読むべきですか?
佐藤メバル
土台は名著、運用は最新刊。たとえば中村穂の『数字に強い営業マンをつくる実践基礎講座』は、著者自身が「計数に詳しい人から見れば程度の低いもの」とまで書いている計数センスの入門書だ。こうした本で言葉を揃えてから、堀内智彦の図解型や竹下雅人の『営業KPIについて』のようなKPI運用の本に進むと、頭の中でつながる。
橘ナナミ
逆に、今は読まなくていい本もあるんですか?
佐藤メバル
あるよ。すでに計数感覚がある人が入門書を何冊も重ねても学びは増えないし、体験談や精神論が中心の本は気持ちを上げてくれても、再現性のある手順は残らない。名著でも自分に合わないことはあると知っておいてほしい。
橘ナナミ
図解版やマンガ版は「手抜き」じゃないんですね。
佐藤メバル
全然。原典に挑む前に全体像をつかむ地図として使うのが正解だよ。
読了後90日でやること
橘ナナミ
読んで終わり、にしない方法を教えてください。
佐藤メバル
最初の30日は、自分の数字を書き出すことから。『数字で成功する営業の教科書』にあるように、売上・件数・単価の3つから始めて、手書きの管理表でいい。次の30日は、KPIを1つか2つに絞って1枚のシートで毎週見る。山田和裕の『最新版 1枚のシートで業績アップ!』の考え方がそのまま使える。
橘ナナミ
最後の30日は?
佐藤メバル
お客様の数字を見る番だ。大野潔の『10分で読み解く!一流の営業マンになるための財務分析』は、細かい指標の計算は必要なく、財務諸表からメッセージを得て仮説を立てることを勧めている。自分の成績の数字から、相手の経営の数字へ。90日でここまで来ると提案の質が変わるよ。
よくある質問
数字が苦手な営業マンでも読める入門書はどれですか?
橘ナナミ
数字が苦手な営業マンでも読める入門書はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
まずは物語やマンガ形式から入るのがおすすめです。深沢真太郎の『仕事で数字を使うって、こういうことです。』は数学科出身のコンサルタントと営業部員の会話で進み、『営業マンにホントに必要な「数字」の話をします。』は8つのマンガストーリーで実践的な数字の使い方を紹介しています。中村穂の『数字に強い営業マンをつくる実践基礎講座』も、著者自身が「計数に詳しい人から見れば程度の低いもの」と書いている入門書です。
営業成績(売上・受注)を上げるのに本当に役立つ本はどれですか?
橘ナナミ
営業成績(売上・受注)を上げるのに本当に役立つ本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
行動量と受注率のどちらで詰まっているかで変わります。行動量なら伊庭正康の『会社では教えてもらえない 数字を上げる人の営業・セールストークのキホン』、受注率や商談の進め方なら田中浩の『提案営業を極める』や村上純也の『数字が取れないと嘆く前に!』が候補になります。自分のどこで数字が止まっているかを先に確かめてから選ぶと外れません。
営業マネージャー向けの数値マネジメント本はどれですか?
橘ナナミ
営業マネージャー向けの数値マネジメント本はどれですかについて教えてください。
佐藤メバル
チームの数字を設計する段階では、堀内智彦の『新版 2時間でわかる 図解KPIマネジメント入門』が部門別の目標設定例まで図解で扱っていて分かりやすいです。より実務寄りなら山田和裕の『最新版 1枚のシートで業績アップ! 営業プロセス“見える化”マネジメント』、KPIの分析と改善サイクルを体系的に知りたいなら竹下雅人の『営業KPIについて』が向いています。
数字に強い営業マンになるには、どの本から読めばいいですか?
橘ナナミ
数字に強い営業マンになるには、どの本から読めばいいですかについて教えてください。
佐藤メバル
1年目なら『営業に必要な数字』のような研修テキストで用語を揃え、次に中村穂の『1週間で「数字に強い営業マン」になれる本』で売上と粗利、原価と在庫、変動費と固定費の関係を押さえるのが王道です。中堅なら村上純也の本や香川晋平の『営業ならもっと数字で考えなきゃ!』で自分のプロセスを分解し、余裕が出てきたら会計や財務へ進むと無理がありません。
営業本は何冊くらい、どんな順番で読むべきですか?
橘ナナミ
営業本は何冊くらい、どんな順番で読むべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
冊数より順番です。おすすめは、成績の数字を扱う本を1冊、思考の数字を扱う本を1冊、そして自分の課題に合った実践本を1冊の計3冊。たとえば成績側で伊庭正康の本、思考側で深沢真太郎の本、実践側で村上純也の本という組み合わせです。読むたびに自分の数字を書き出して比べると、学びが定着します。
Kindle Unlimitedや図書館・中古で読めるおすすめはありますか?
橘ナナミ
Kindle Unlimitedや図書館・中古で読めるおすすめはありますかについて教えてください。
佐藤メバル
配信状況は時期で変わるため、各サービスで必ず確認してください。確実なのは文庫化されている本で、中村穂の『1週間で「数字に強い営業マン」になれる本』はPHP文庫、深沢真太郎の『仕事で数字を使うって、こういうことです。』は日経ビジネス人文庫に入っています。まず文庫や図書館で試し、繰り返し使う1冊だけを手元に置くのが賢い買い方です。
数字系の名著と最新刊、どちらを選ぶべきですか?
橘ナナミ
数字系の名著と最新刊、どちらを選ぶべきですかについて教えてください。
佐藤メバル
土台は名著、運用は最新刊です。中村穂の『数字に強い営業マンをつくる実践基礎講座』のような本で計数の言葉を揃え、KPI設計や見える化、リモート環境下の管理といった現在の実務は最新刊で補う。ただし名著でも、すでに計数感覚がある人には物足りないことがあります。
会計や財務・統計の知識も営業には必要ですか?
橘ナナミ
会計や財務・統計の知識も営業には必要ですかについて教えてください。
佐藤メバル
法人営業なら、相手の経営を見る武器になります。西園寺祐介の『できる営業が知っていた経営者思考』は簿記仕分け不要を掲げ、限界利益の考え方から営業の優先順位を説いています。大野潔の『10分で読み解く!一流の営業マンになるための財務分析』も、細かい指標の計算は不要とし、財務諸表からメッセージを得て仮説を立て、クライアントにぶつけて検証する過程を重視しています。
まとめ
橘ナナミ
今日の話を聞いて、最初に抱いていた「どれも同じに見える」という感覚が、少し恥ずかしくなりました。
佐藤メバル
いや、それが普通だよ。同じに見えるのは、目的も段階もバラバラの本を、書店の棚という一つの平面に並べて眺めていたからだね。
橘ナナミ
棚じゃなくて、地図として見ればよかったんだ。
佐藤メバル
そう。訪問数から粗利までの道のりがあって、どこで詰まっているかによって必要な一冊は変わる。数字が苦手な人ほど、いきなり分厚い会計の本に行かず、物語や図解で入口を作ってから階段を上がってほしい。
橘ナナミ
ちなみに佐藤さん、失敗したことは?
佐藤メバル
あるよ。若い頃、売れない原因は根性だと思い込んで、数字の本を避けていた。あの頃に『数字が取れないと嘆く前に!』を読んでいたら、たぶん半年早く気づけていた。
橘ナナミ
では最後に、読者へひとことをお願いします。
佐藤メバル
営業の数字は、テストの点数みたいに後からついてくるものじゃない。自分で設計できるものだ。まずは1冊、自分の詰まっている場所に合ったものを選んでほしい。数字は、追いかける影ではなく、自分で描いていく地図になるから。
