この本を一言で言うと
チェスター・バーナードが1938年に著した組織論の原点——「組織とは何か」「経営者の機能とは何か」を理論化した経営学古典の最高峰。
この本の概要
チェスター・バーナードの「経営者の役割」(The Functions of the Executive)は1938年に発表され、今日に至るまで組織論・経営学の理論的基盤として参照され続ける不朽の古典だ。
本書の核心は「組織」という概念の理論的定義にある。バーナードは組織を「意識的に調整された人間の活動や諸力のシステム」と定義し、組織が成立するための3要素として「共通目的」「協働意志」「コミュニケーション」を挙げた。この定義は今日の組織論でも普遍的な出発点として使われる。
経営者の役割についても、単なる「管理」ではなく「協働システムの創造と維持」として捉えた点が革新的だった。目的の明確化、コミュニケーション体系の構築、そして組織メンバーの貢献意欲を引き出すインセンティブ設計が経営者の本質的な仕事だとバーナードは論じる。
ドラッカー、サイモン、マーチら後代の経営学者に多大な影響を与えており、組織論の原点を学ぶ上で欠かせない一冊。難解ではあるが、経営学を体系的に学ぶなら必ず通過すべき古典。
難しいのは確かだが、これを読んでいないと組織論の会話に入れない
指導教員に「バーナードを読んでいないなら話にならない」と言われて読み始めた。確かに難しい。1938年の英語を日本語訳したもので、概念の定義が周回遅れになっていくような感覚がある。
2回読んで、ようやく「なるほど、これが出発点か」とわかった。「組織の3要素」「無差別圏」「公式組織と非公式組織の区別」——後代の研究者が当たり前のように使っている概念が、ここで初めて定義されていた。
特に印象に残ったのは「経営者の役割は命令することではなく、協働意志を維持することだ」という主張。管理者論ではなく、「なぜ人は組織に参加するのか」「なぜ組織は崩壊するのか」という根本問いから経営を見ている。
実務書として読む本ではない。でも組織や経営の「なぜ」を突き詰めたい人には、逃げずに読んでほしい本。読む価値は確実にある。
指導教員が正しかった。これを読んだ後では、組織論の文献の読み方が変わった。
— 経営学を専攻する博士課程の院生・岡田(28歳、神戸)
この本で学べること
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本の目次
- 1第1部: 個人と組織
- 2第2部: 公式組織の理論
- 3第3部: 非公式組織の理論
- 4第4部: 経営者の機能
- 5第5部: リーダーシップと責任
良い点・気になる点
良い点
- ○組織論・経営学の理論的出発点として他に代えがたい古典的権威がある
- ○後代の理論(サイモン・ドラッカー・マーチ)を理解するための基盤になる
- ○「組織とは何か」という根本問いへの厳密な理論的回答を与えてくれる
気になる点
- △1938年の著作で概念定義が複雑かつ抽象度が高く、初読では難解
- △実務への直接応用は難しく、学術的な文脈での学習が主な目的になる
みんなの評判・口コミ
★★★★★5.0
組織論の授業で必須文献として指定している。難解ではあるが、現代組織論の概念がほぼすべてここに起源を持つことを知ると、読む意義が明確になる。学術的に組織を学ぶなら避けて通れない。
★★★★★4.5
実務家として読んだのは50歳を過ぎてから。若いとき読んで難解で放棄したが、経験を積んでから読み直したら全く違う本に見えた。「無差別圏」の概念は組織開発の実務で今でも使っている。
★★★★★4.0
MBAで一部抜粋を読んだが、卒業後に通読した。現代の組織論・リーダーシップ論の多くがバーナードの言語で語られていると気づいた。難しいが、知的な読書体験として充実している。
★★★★★4.0
論文の先行研究として避けられない文献。指導教員から「原典を読め」と言われるたびに戻ってくる本。読むたびに新しい発見がある密度の高い古典。
著者について
こんな人におすすめ
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よくある質問
Q. 実務経験のある社会人が読んでも意味がありますか?▼
A. はい。実務経験があると「組織の現実」と理論が結びつきやすくなります。ただし実務の即戦力として使える本ではなく、経営・組織の「なぜ」を理解するための深い学習として位置づけた方がいいでしょう。
Q. ドラッカーと合わせて読んだ方がいいですか?▼
A. はい、相互補完的です。バーナードが組織の存在論的・理論的基盤を提供し、ドラッカーがそれを実践に展開した関係です。バーナード→ドラッカーの順に読むと理論的な系譜が見えてきます。
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