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【要約・書評】『イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)』の評判・おすすめポイント

クレイトン クリステンセン|||0ページ

4.5
(4件)

この本を一言で言うと

顧客の声に誠実に応え続けた優良企業が「破壊的イノベーション」によって市場を失う逆説的メカニズムを解明した、現代ビジネスの必読書。

この本の概要

「なぜ、優秀な経営者が正しい判断をしているにもかかわらず、会社は失敗するのか」――クレイトン・クリステンセンがこの問いに正面から答えたのが本書だ。1997年の初版刊行以来、世界中の経営者・研究者に読み継がれるビジネス書の古典であり、「破壊的イノベーション」という概念を世に広めた記念碑的作品だ。 本書の核心にある「イノベーションのジレンマ」とは、優良企業が顧客の声に耳を傾け、既存顧客向けの「持続的イノベーション」に投資し続けることで、低価格・低機能でスタートする「破壊的イノベーション」への対応が遅れ、やがて市場を失うというメカニズムだ。ハードディスク産業、掘削機産業など複数の産業での詳細なデータ分析がこの理論を裏付けており、アカデミックな厳密さと実務的示唆を高いレベルで両立させている。 増補改訂版では電気自動車や製鉄所など現代に近い産業事例も追加され、デジタル時代にも通用する理論の普遍性が示されている。

「なぜうちの会社は動けないのか」への答えがここにある

部門横断の新規事業チームを立ち上げてから2年経つが、なぜかいつも既存事業側から「まだ早い」「顧客ニーズがない」と言われて止まってしまう。そのもどかしさの正体がこの本を読んで初めてわかった。 既存事業のマネージャーたちは間違ったことを言っているわけじゃない。むしろ「合理的」に行動している。ただその合理性が、破壊的な変化に対応できない構造を生み出しているとクリステンセンは言う。 ハードディスク産業の分析は圧倒的に面白かった。容量・価格・サイズという軸での技術進化と市場セグメントの推移が、データで克明に示される。「このパターン、うちの産業でも起きてるな」と思わず独り言が出た。 難点は事例がやや古く、デジタルネイティブ企業の分析は薄い。それでも「持続的」と「破壊的」の概念的枠組みは今でも十分機能する。新規事業を推進する立場の人間には必読だと思う。読みにくい部分もあるが、内容は本物だ。

大手電機メーカー・新規事業部マネージャー・橋本(41歳)

この本で学べること

「持続的イノベーション」は既存顧客ニーズの延長線上での改善であり、「破壊的イノベ

「持続的イノベーション」は既存顧客ニーズの延長線上での改善であり、「破壊的イノベーション」は既存顧客が求めない低機能・低価格からスタートする

優良企業が失敗する理由は経営者の無能ではなく、既存顧客・事業への合理的コミットメ

優良企業が失敗する理由は経営者の無能ではなく、既存顧客・事業への合理的コミットメントが破壊的変化への対応を阻む構造にある

破壊的イノベーションは最初「主流市場」では性能が低すぎて相手にされず、低価格セグ

破壊的イノベーションは最初「主流市場」では性能が低すぎて相手にされず、低価格セグメントから参入し、徐々に主流市場を侵食する

破壊的イノベーションに対応するには、独立した組織・評価軸・顧客基盤を持つ別会社・

破壊的イノベーションに対応するには、独立した組織・評価軸・顧客基盤を持つ別会社・別部門が必要

資源配分プロセス(どのプロジェクトに投資するか)が、意図せず破壊的イノベーション

資源配分プロセス(どのプロジェクトに投資するか)が、意図せず破壊的イノベーションを排除するメカニズムになっている

本の目次

  1. 1第1章: なぜ優良企業は失敗するのか
  2. 2第2章: ハードディスク産業の破壊的変化
  3. 3第3章: 持続的イノベーションと破壊的イノベーション
  4. 4第4章: 掘削機と鉄鋼産業の事例
  5. 5第5章: 電気自動車と新興市場
  6. 6第6章: 破壊的イノベーションへの対応戦略

良い点・気になる点

良い点

  • 「破壊的イノベーション」という概念を豊富なデータと事例で厳密に実証している
  • なぜ優良企業が失敗するかという普遍的な問いへの明快な答えを提示している
  • 増補改訂版で現代の事例も加わり、理論の適用範囲が広がっている

気になる点

  • 事例分析が詳細なため、ハードディスクなど特定産業への興味がない読者には読み進めにくい部分がある
  • 破壊的イノベーションへの「対応策」の部分はやや抽象的で、具体的な実行方法は別途学ぶ必要がある

みんなの評判・口コミ

5.0

既存プレイヤーへの挑戦に理論的な裏付けを与えてくれた本。「最初はニッチでOK、性能を上げながら主流を目指す」という戦略が腑に落ちた。スタートアップ経営者には必読。

4.5

なぜ社内で新規事業が通りにくいかの構造的な説明として上司への説得材料にもなった。資源配分プロセスが破壊的イノベーションを排除するメカニズムというくだりが特に刺さった。

4.0

理論の枠組みは今でも非常に有用。ただし提唱された対応策の実行可能性については、組織論・実行論の観点から別途補完が必要と感じる。理論書として読む価値は高い。

4.0

ハードディスク産業の分析が詳細すぎて読みにくいが、その代わりに理論の根拠が強固。イノベーション論の古典として、他の戦略論と組み合わせて読むと理解が深まる。

こんな人におすすめ

新規事業・イノベーション推進に携わっているビジネスパーソン

新規事業・イノベーション推進に携わっているビジネスパーソン

既存事業の優位性が崩れることへの危機感を持っている経営者・事

既存事業の優位性が崩れることへの危機感を持っている経営者・事業責任者

テクノロジーと市場の変化を戦略的に読み解きたいコンサルタント

テクノロジーと市場の変化を戦略的に読み解きたいコンサルタント・研究者

よくある質問

Q. 「破壊的イノベーション」と「持続的イノベーション」の違いは何ですか?
A. 持続的イノベーションは既存製品・サービスの性能を既存顧客向けに改善するもので、既存企業が得意とします。破壊的イノベーションは当初低性能・低価格で既存顧客には見向きもされないが、新しい顧客層を獲得しながら徐々に主流市場を侵食するものです。既存企業が後者への対応を遅らせる理由が本書の主題です。
Q. この理論はデジタル時代にも当てはまりますか?
A. 基本的な枠組みは当てはまります。スマートフォンが従来の携帯電話市場を破壊した過程や、クラウドサービスが既存IT企業に与えた影響などにも本書の概念は適用できます。ただし、デジタル産業特有のプラットフォームダイナミクスなど、本書で十分にカバーされていない側面もあるため、補完的な読書が推奨されます。

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