この本を一言で言うと
謎の疫病と帝国の陰謀が交差する中、元戦士ヴァンと医師ホッサルが命を懸けて立ち向かう、圧巻のスケールを持つ本屋大賞受賞作。
この本の概要
強大な帝国ツォルの支配に抵抗して死兵となった戦士団の頭ヴァンは、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、野犬の群れが鉱山を襲い、謎の疫病が発生。混乱に乗じて脱走したヴァンは、幼い少女ユナを拾い、逃避行を続ける。一方、帝国の医師ホッサルはこの疫病の謎を追う。感染症の起源、薬草の知識、政治的陰謀が複雑に絡み合い、やがてヴァンとホッサルの物語が交差する。文化人類学的な世界構築と医療・疫病というリアルなテーマが融合した上橋菜穂子の代表作のひとつ。2015年本屋大賞受賞。上巻・下巻合わせて読むことで全体像が見えてくる構成になっている。
コロナ禍の後に読んだら、架空の世界なのに全然他人事じゃなかった
本屋大賞受賞と聞いて積んでいた本を、コロナが一段落した頃にようやく読んだ。読んで驚いたのは疫病の描写の解像度で、免疫の獲得とか感染経路とか、架空の世界の話なのにちゃんと「考えて書いてある」感があって。研究職としては素直に感心した。
ヴァンという主人公がまた良くて、強さの中に喪失があって、ユナという幼い存在をかばいながら自分の居場所を探している。読んでいて「こういう大人でいたい」と思った。帝国に飲み込まれていく小さな民族の話は、現実の国際情勢を思わせて重くなる場面もある。
ボリュームはあるので覚悟がいるが、読み終わったあとの充実感がちがう。上下巻まとめて買ってから読み始めることをすすめる。途中で続きが来ないと困る。
— 38歳・製薬会社の研究職
この本で学べること
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本の目次
- 1第一章 岩塩鉱
- 2第二章 疫病の夜
- 3第三章 逃亡者
- 4第四章 ユナ
- 5第五章 医師ホッサル
- 6第六章 帝国の影
- 7第七章 山の民
- 8第八章 疫病の謎
- 9第九章 真咲きの地
- 10第十章 鹿の王
良い点・気になる点
良い点
- ○疫病・免疫・医療という普遍的なテーマを架空世界で描き、現実社会と重なる深みがある
- ○複数の視点人物を行き来する構成が、世界の多様な側面を見せてくれる
- ○2015年本屋大賞受賞という折り紙つきの完成度
気になる点
- △上下巻合計で1000ページ超の大作であり、読み通すのに相応の時間が必要
- △序盤から複数の視点・世界観・専門用語が一気に登場するため、読み始めが難しいと感じる読者もいる
みんなの評判・口コミ
★★★★★5.0
もののけ姫を読んでいるみたいな感覚があった。征服される民族の視点と征服する帝国の視点、どちらも描かれていて、どちらが正しいとは言い切れない複雑さがある。疫病のくだりは新型コロナの後に読んだこともあって、妙にリアルで背筋が冷えた。
★★★★★4.5
守り人シリーズが好きで読んだけど、また別の上橋菜穂子の側面が見られた。ヴァンとユナの関係がとにかく切なくて、下巻のある場面で泣いてしまった。難解な部分もあったけど、読み終わった達成感がものすごい。
★★★★★4.0
疫病の描写が思いのほか医学的に考えられていてびっくりした。免疫の話、感染の仕組み、薬草の効能、架空世界の話なのに「ちゃんと考えてある」感があって信頼できた。医療系の人間には特刺さる作品だと思う。
★★★★★3.5
本屋大賞だから読んだが、正直序盤は設定の多さについていくのが大変だった。中盤から俄然面白くなり、ヴァンとユナの場面は何度も読み返した。良い本だとは思うが、ファンタジーに不慣れな人には少しハードルが高いかもしれない。
著者について
こんな人におすすめ
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よくある質問
Q. 守り人シリーズと同じ世界観ですか?▼
A. 鹿の王は守り人シリーズとは独立した別の世界観の作品です。守り人シリーズを読んでいなくても全く問題なく楽しめます。
Q. 上巻だけ読んで内容はわかりますか?▼
A. 上巻は伏線とキャラクター紹介が中心で、物語の核心は下巻にあります。上巻だけでは物語の解決がなく、上下巻セットで読むことを強くおすすめします。
Q. 映画化されましたか?▼
A. 2022年にアニメ映画として公開されました。ただし原作の内容をかなり圧縮しているため、原作ファンからの評価は賛否が分かれています。原作を先に読むことをおすすめします。