この本を一言で言うと
300以上の海外論文を根拠に、マーケティングの「常識」を根底からひっくり返すエビデンスベースの衝撃作。
この本の概要
コレクシアのマーケティングサイエンティスト・芹澤連氏が、国内外300以上の実証研究をもとにマーケティングの「通説」を徹底検証した476ページの大著。STP・ロイヤルティ向上・差別化戦略・ニッチ戦略・ブランドイメージ管理・購買ファネルなど、多くの企業が「正しい」と信じて実践しているマーケティング手法の根拠を問い直し、「事実ではない、あるいは一般的に有効ではない」ケースが多数存在することを明らかにする。2023年12月刊行後にSNSで話題となり、マーケ界の常識を覆す「エビデンスベーストマーケティング」の決定版として高い評価を得ている。
自分のやってきたことが「ごっこ」だったかもしれないという恐怖
この本を読んでいる間、何度もコーヒーを飲む手が止まった。「そのやり方、間違ってたかもしれません」という内容が、章をまたいで次々と出てくるから。
僕は今34歳で、消費財メーカーのブランドマネージャーをやっている。コトラーのマーケティングマネジメントを読んで、「顧客ロイヤルティを高める施策」に力を入れてきたし、「明確なポジショニングを一つに絞り込む」ことが正しいと疑わなかった。なのに本書を読んだら「ロイヤルティはリーチ(浸透率)の結果として生まれるものであり、ロイヤルティだけを独立して高めることはできない」という研究知見が出てくる。え、じゃあ俺が半年かけてやってきたロイヤル顧客向け施策は何だったんだ。
そういう「耳が痛い」体験が476ページかけて積み重なっていく。差別化戦略についても「市場の大半ではブランド間の実際の知覚差異は消費者の購買行動に思ったほど影響しない」という話が出てくるし、パーセプション変容についても「態度変容が先に起きて行動変容につながるという前提自体が怪しい」という研究が紹介される。読むたびに「自分が疑わなかった前提が、実は証拠のない思い込みだったかもしれない」という気持ちになる。
ただ、著者も「じゃあどうすればいいか」という方向にちゃんと向かっていて、ブランドの浸透率を上げること・心理的可用性(思い出してもらいやすさ)と物理的可用性(買いやすさ)を高めることの重要性を一貫して強調している。「バイロン・シャープの『ブランディングの科学』の日本語版副読本」という位置付けで読むのが一番しっくりくる。
デメリットとしては、476ページは本当に重い。しかも文章が緻密で、一章読み終えると消化に時間がかかる。「読みにくい」という意見もあるが、それは内容の密度ゆえであって仕方ない。消費財メーカーやサービス業のマーケター・商品開発者に特に刺さる内容で、「根拠のある事業成長」を目指す人は必ず手元に置くべき一冊。
— 34歳 消費財メーカーのブランドマネージャー / コトラー流の実務を6年経験後にエビデンスベースを模索
この本で学べること
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良い点・気になる点
良い点
- ○国内外の実証研究に基づいた主張で、「なんとなくそういうもの」という思い込みを根本から問い直せる
- ○扱うトピックが広く、STP・ロイヤルティ・差別化・価格戦略・広告予算まで体系的にカバーしている
- ○既存の成功事例やコンサル発のフレームワークではなく、再現性のあるファクトに基づいた知識が得られる
気になる点
- △476ページと分量が多く文章密度も高いため、通読には相当の時間と集中力が必要
- △主に成熟市場の消費財・サービス向けの知見が中心で、イノベーション型の新規事業やスタートアップには適用しにくい
みんなの評判・口コミ
★★★★★3.0
入門書として読み始めたら内容が難しくて途中で挫折しそうになった。ある程度の実務経験がないと消化しにくい。マーケを学び始めたばかりの人には別の本を先に読むことをすすめる。
★★★★★5.0
頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。ロイヤルティ施策もポジショニングも、自分がやってきたことの前提が崩れる感覚。でも「じゃあどうすればいいか」も書いてある。おっさんになる前に読めてよかった。
★★★★★5.0
チームのマーケ担当に読ませて社内輪読会を開いた。「なんとなくやっていた施策」を見直す議論が生まれ、実際にアプローチを変えたキャンペーンで成果が出た。実務に直結する知識がある稀有な本。
著者について
こんな人におすすめ
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よくある質問
Q. バイロン・シャープ『ブランディングの科学』と内容が重複しますか?▼
A. 核となる理論(浸透率・ダブルジョパディの法則など)はブランディングの科学と共通しますが、本書はそれを日本市場の文脈と追加の研究知見で大幅に拡張しており、独立した価値があります。ブランディングの科学を読んだ人には補完的、未読の人にはこちらから入っても十分に機能します。
Q. 新規事業やスタートアップのマーケティングにも使えますか?▼
A. 著者自身が「イノベーション性の高い市場や新しいビジネスモデルで成功する方法を求める人には向いていない」と序章で明示しています。本書の知見は成熟市場の消費財・サービス財に最適化されており、新規事業や急成長スタートアップへの適用は慎重に判断する必要があります。
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